人生舐めてるちょいエロ系女性配信者が自分の意志でザーメンジョッキを一気飲みするまで。 作:鬼金目なむか
アタシはあのときのリサさんのように、いやそれよりももっと堂々と一気飲みする。
メガジョッキに満載の大量ザーメンを、ときどき、ごぼっ、と逆流させながらも、ジョッキを下ろすことはせず、ごぶりっごぶりっ、と力強く喉仏を上下させながら飲みくだしていく。
──つもりだった。
「んぷわっ、ごぼぉっ、んっ、ぐ……ごきゅっ、ごきゅっ……がぼっごほォっ!!」
(なんだよこれええええッ!?!? 無理無理無理無理無理!! 臭いしどろっどろだし、絡みつき方エッグ!! 全然飲み込めないっ…………!!)
アタシ、秒で後悔してた。
いや、不味いとか臭いとか汚いとかそういう問題じゃねぇぞ! 粘度! とにかく粘度がやばい!! ゼリーみたいなもんだと思ってたけど、全然ちがう!
子どものころ絵の具まちがって口に入れたときのこと思い出した。喉動かして飲み込もうとしても吐き出そうとしても、ねっとりへばりついて嫌な味が残りつづけるあの感じ。
メガジョッキからどんどん流れこんでくる精液は、触れるとこ全部にねっとりへばりついて、しかもそれが重なってく。人が飲んじゃだめじゃんこんなもん!!
「っうゥッ! ごぼォっ、ンんんんッんッ、ごくっごくりっ、ゔゥゥ~~~~……ッッ!」
それでもメガジョッキは降ろさなかった。あーもう! 顔も服も口から溢れた精液でびちゃびちゃ。最悪最悪最悪最悪!!!!
(何やってんだよアタシ! 馬鹿じゃなねえの何アツくなってたんだホント馬鹿、宇宙一馬鹿!! こんなもん飲まなくてよかったんだよ! 飲んでも飲まなくてもAV女優ンなるのは変わらないし!)
ぼたっ! ぼたぼたっ!
床にまで精液がこぼれる。足がふらつく。
(もうジョッキ降ろしたい!! やめたいやめたいやめたいアタシやめろやめろアタシやめろもういいもういいってばぁ!! 馬鹿じゃねえかよマジで!! ちょっと失敗したけどさ、今まで賢くやってきたじゃん! 自分の魅力つかって求められるようにしたらお金貰えるじゃん! それで生きていけるじゃん! なのにこんな……!! やらなくていい死んでも嫌だったことやって! 自分の意志で嫌なこと2倍に増やしてんじゃん!!!!)
脳内の悪罵が止まらない。だけど。
──自分の意志で。
巨大なジョッキの角度が上がっていく。並々とたたえられていた白濁汁がわたしの小ぶりな口に流れ込んでいく。その様子に、おっさんたちは、口に手をあて、涙していた。だっかっら、なんの涙だよクソが!!
それでも。
──嫌なことの影でこそこそ生きる人生だね。
幻聴がリフレインする。
(うるっっせえんだよドブカスがぁぁぁぁっ!!)
アタシはメガジョッキの取っ手を握ったまま、もう片方の手をガシッと腰にあてる。そんで足の裏に思いっきり力を込めて、
ダンッ!
と座敷を踏みしめる。
「ごくりっごくりっ、ごぼっ、ごきゅっ、ごぶりっ、ごきゅ、ごきゅっ──」
(クソクソクソクソォおおおおお!!!! 臭い臭い臭い臭い口ん中ぎとぎと!! 鼻から逆流してる鼻ちょうちん出てる最低最低最低最低サイアクサイアク最悪最悪最悪最悪ッッ!!)
「ゔゔッぶぉっ! ぐ、ぶごっ、んんんん!! んぐっ、ごくっごくんっ!」
(止めろやめろやめろもうやめろよアタシ止まれ止まれ止まれジョッキ下ろせよ意味ねぇんだよ止めろ辞めろヤメロぉぉぉぉぉ!!!)
「んん~~ッッ!! んっぐっゔゔゔゔ!! ッッごきゅんっごきゅんっごきゅんっっ!!」
(止まんな止まんな止まんな止まんなとまんなとまんなあああああッッ行け行け行け行け行け行け行け行け行け行け行け行けこのまま行けアタシ止まんな行け行け行け行けいけいけいけいけいけいけいけいけけぇぇぇぇぇーーーーーーーーーッッッッ!!!!!!!!!)
「ん゙ん゙ん゙!!! ごきゅっ! ごきゅんっ! ッはあっはあっ! んくっ、ごくっ………はあっ、ぢゅるるっ、ん゙ぐっ、んあぁ、こくん……ん、ごくっ…………」
どろどろの塊を喉奥に流し込み、ほぼ真上を向いたメガジョッキにへばりついた残滓も口に啜り飲む。
そして、
──がぁんっ!
アタシはテーブルに空っぽのメガジョッキを叩きつけた。個室から、地下フロアから、音がふっ飛ぶ。
重力に従いガラスの内壁をゆっくりと伝う白い膜が、イカ臭いオーロラをつくった。
「……はぁっ……はぁっ…………うっ……ぅぶ」
胃の中が重くて熱い。飲み干したのに味覚が、嗅覚が、胃粘膜がずっと犯されてるみたいだった。最悪・オブ・最悪。
気合いで飲み込んだのを戻さないよう歯を食いしばって、呼吸を整えたけど──
「ッう……ごめん」
胸の奥でなんかが爆ぜる感触に無駄を悟って、アタシは口元に手を当てると、
──げえ゙っえ゙え゙え゙え゙え゙え゙え゙え゙ぇぇえ゙え゙ぇぇぇえ゙え゙ッ!!
盛大に、げっぷした。
ぎとぎとの粘液が大量の空気を抱え込んでいたらしい。
それはもうどうでもよくて、私はふっと笑ってしまった。炸裂したげっぷと一緒に何かが弾けたみたいだった。
リサさんを見る。
「…………」
彼女は何も言わなかった。ただ、少しだけ目を細めていた。まるで巣立っていく教え子を見送る先生のような顔で。
──ただ見ているのはアタシの方ではなく空のメガジョッキの方だった。
「……ぅぷ、ふぅ……あの、リサさんもしかして、これ飲みたか──」
──え゙ッッぉげえ゙え゙え゙え゙え゙え゙え゙え゙ぇッ! ぼげえ゙ぇえ゙ぇえ゙え゙え゙ッッ!!!!
最後の一言が、牛ガエルの大合唱みたいなげっぷでかき消された。
リサさんもおっさん達もびりびり空気を揺らすほどの絶唱に一瞬ポカンとした後、「ぷっ」と笑い、次の瞬間、誰からともなく拍手が起こった。
──その拍子に気合いで留めていた吐き気が決壊した。
「っぷぉ!? おぼろろろろろろろろおろろおろろろろ──」
アタシの口から胃液混じりの白い滝があふれ出した。
「ここよ!」
でもリサさんが神速で差し出したエチケット袋で店への被害はゼロにおさえられた。
◆
気持ち悪さが一気にきて立ってられなくなったアタシは、個室の片隅でリサさんに膝枕されてる。
下から見上げるリサさんの顔は、修学旅行で美術館行ったときみたどっかの国の女神像みたいだった。
「…………リ、リサさん、準備よすぎ……です」
「アンナさんなら飲むんじゃないかって思ってたもの」
「…………はぁ……あはは、そんな度胸あるように見えました? アタシ」
「ええ。だって最初にみたときのあなたって、飲まれるのを待ってるけど誰にも飲んでもらえないザーメンジョッキみたいだったもの」
「へぁ???? ──ぅぷッ」
意味がわからなすぎて追いゲロするとこだった。
「言い換えれば──気を悪くしないでね──無意味な享楽の残り滓で塗り固めたような女の子、って感じだったわ。だがらこそ、あなたは──逃げないって、思ったの」
「いや…………えぇ〜」
リサさんが紡ぐ言葉の意味はやっぱりわからない。
「アンナちゃん、大丈夫かい?」
おっさん達がアタシの顔を覗き込む。
「アンナちゃん、格好よかったよ。俺……興奮よりもなんか、感動しちゃって。ありがとうな」
こいつら笑ってる。でもニヤニヤしたやらしい感じじゃなくて、なんかスポーツの後、相手に向けるようなさわやかさがあった。
「でも、ハハハ、ちんこは勃つんだなぁ」
前言撤回。ゲスめ。
「やっぱりかわいい女の子がザーメン飲む姿って最高だよ。ねっ、アンナちゃん、お金払うからさ、また飲んでよ! ザーメンメガジョッキ」
と、こんなこと言うんだよこいつらは。
アタシはリサさんの膝に頭をあずけたまま、なんか無性に馬鹿馬鹿しくなって、でも妙にくすぐったくって、
「あはははははっ! 二度と飲むか! しねっっっ!!」
中指立てて笑い飛ばしてた。
おわり
この作品はいかがでしたか?
-
エロかったしストーリーも良かった
-
エロくなかったけどストーリーは良かった
-
ストーリーはいまいちだったけどエロかった
-
まあまあだった