※この作品はR-18です。

歪んだTS転生者の汚話(旧題:純愛に挟まりたいTSふたなり転生者の汚話)   作:アスタロット

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狩人の罠

 

一年目の初夏、インターハイが目前となり、部活動がさらに活気付いて来た頃。

 

その男は、私達がテニス部へ向かう道を遮るように話しかけて来た。

 

「ひそかちゃ〜ん、いきなりで悪いんだけどさぁ、チョットいいかなぁ?」

 

髪を染め、肌は焼けて、ピアス穴を隠さない。

この学園に相応しくない、柄の悪い男。

 

「な、なんなんですアナタ!」

 

後藤さんに、いったい何の用…

きっとろくでもない事に違いない。

そう感じて、私はソイツの言葉を遮ったの。

 

「ふぅん…悪くねぇな。ま、いいや。今はひそかちゃんに用があるんだよ」

 

その男は私を足元から頭まで、値踏みするように見ながらそう言った。

気持ち悪い。

自ずと寒気が走った。

 

「はい、どういった御用でしょう。金井先輩」

 

金井先輩!?

交友関係で悪い噂が絶えないって、テニス部の先輩から聞いた事がある。

そんな輩が、後藤さんに何の用があるの。

 

「あ!俺のこと知っちゃてる系?」

 

「ええ、それは勿論。学園で有名ですよ、先輩は」

 

「え!?マジで!?超ウレシー!で、ちょぉっとさ、ひそかちゃん借りたいんだけど」

 

金井先輩は、これから部活動だと言うのに後藤さんを連れ出そうとした。

いけない!

 

「だ、ダメ!後藤さんは、これから私と部活動に行くんです!」

 

「ったく、っせぇなぁ。あ、そうだ……ひそかちゃんーーーー」

 

金井先輩は後藤さんの耳元で何かを呟いた。

 

「ッ!?」

 

後藤さんは一瞬、驚愕の表情を浮かべた。

何を言われたの。

 

「だから頼むよ、な?」

 

「………分かりました。五十鈴さん、今日は部活をお休みするから、部長に伝えてもらっていい?」

 

え?嘘でしょ?

なんでこんな男の言う事を聞くの?

 

「後藤さん!?ダメ!行っちゃダメ!先輩が後藤さんに、何の用があるんですか!!」

 

私は間に割り込んで、必死で止めようとした。

 

「あぁ!?外野は黙っててくんねぇかなぁ!」

 

「ひぃっ!?」

 

「待って!五十鈴さん、私は大丈夫だから、ね?」

 

無理をして抗議する私を察して、後藤さんが私を庇ってくれた。

 

「…わ、分かりました」

 

私は渋々と後藤さんを、ただ見送るしかなかった。

 

「そう言うコト、お友達チャン」

 

「五十鈴さん、あまり事を荒立てたくないから…この事はどうか他言無用で。じゃ、また明日」

 

私は何も出来なかった自分に苛立ちを隠せないまま、テニス部に向かった。

 

そのあとも、後藤さんが心配で電話を掛けたり、メールを送ったけど。

 

結局、その日のうちに返事が返ってくる事はなかった。

 

私は弱い自分に対して、情けなくて悔しくて、怒りで震えて涙が止まらなった。

 

 

ー翌朝ー

 

 

後藤さんは翌日、何事もなかったかのように教室へやって来た。

 

「あぁ!後藤さん!大丈夫!?大丈夫だった!?」

 

私は後藤さんの両肩を掴み、揺りながら問い質した。

 

「あ゛ぁ゛…だ、大丈夫だか…ちょ、やめ…そんな大袈裟だよ。安心して、五十鈴さん」

 

「ほんと!?本当に!?」

 

「んもー大丈夫だって。話してみたら、意外と悪くない人だったよ?私の事を、知り合いか何かと勘違いしてたみたい」

 

「なんだぁ、心配して損しちゃった。じゃあ、なんで返事もなにも無かったのかぁ?」

 

「あー…ごめん!ごめんごめん!お詫びに、新しいスイーツ奢るから、ね?」

 

「もぉー!約束だからね!!」

 

私は心の奥にモヤモヤを抱えながらも、一旦は自分を強引に安心させる事にした。

 

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