リリカルの崩壊 作:ヒステリア
地球から少し外れた異空間に浮かぶ、岩石の孤島。
その孤島に唯一建てられた館の中で……。
――ひゅっ。
風を切る音とともに黒い影が横切る。
その直後、バシィンという快音が響いた。それに紛れて少女のうめき声も漏れる。
「うぅ……」
鞭で打たれていたのは、天井から吊り下がった
激痛と“最愛の母”からの仕打ちに赤い瞳から涙が溢れるが、『これも不甲斐ない私への叱咤だ』と言い聞かせ、懸命に堪える。
だが、彼女の前に立つ黒衣のドレスを纏った女は、泣き声一つ上げない少女の姿が癇に障ったように顔を歪め、再び鞭を持つ右手を振り上げる。
「うっ――」
鞭を叩きつけられ、快音とともに少女の柔肌にまたひとつ赤い筋が走る。
そこで女は鞭を下ろし尋ねた。
「あなたがなぜこんな目に合ってるか分かるかしら、フェイト?」
その問いに少女、フェイトは身を震わせながら……
「母さんが欲しがっていた“ロストロギア”を……手に入れる事ができなかったからです」
その答えに対し、女は冷たい声で「そう」と頷く。
「あなたに手に入れるようお願いした『ジュエルシード』。母さんの言う通りにしていれば、21個のそれを持ってくることができたはずなのにねぇ。ご褒美も用意して待っていたのに」
「…………」
フェイトは沈痛な表情と沈黙を返す。
ご褒美というものが本当にあるかはわからない。でも確かに、ジュエルシードを持ってくることさえできれば母さんは喜んでくれたはずだ。
その笑顔こそが、フェイトにとって何よりの“ご褒美”だった。しかし……。
「ごめんなさい……まさか輸送船が事故で墜落するなんて。あの後すぐ探しに行こうと思ったところで――」
「言い訳は聞きたくないわ!!」
雷のような怒声とともに顔面に鞭が叩きつけられ、フェイトは悲痛に呻く。
女は荒げた息を吐き出し、呼吸を整えながら言った。
「まあいいわ。万が一に備えてかけた探知魔法で、ジュエルシードが落ちた場所は掴んでいるから。ここからすぐ近くにある第98管理外世界、通称『地球』。そこの小さな町にジュエルシードが全て落ちているそうよ。あの使い魔を連れてすぐそこに行きなさい」
「はい、わかりました……母さん」
労いか励ましを期待したのか最後に付け加えられた一言が気に障り、女は「さっさと行きなさい!」と告げてフェイトの手を縛る縄を消し、苛立たしげに部屋を出ていく。
フェイトは激痛が走る体に鞭を入れて立ち上がり――
「せめて服だけでも直さないと……こんなの見せたら、あの子と母さんがまた喧嘩しちゃうから」
『Yes,Sir』
呟いた直後、懐から無機質な声と金色の光が漏れ、フェイトの防護服が元に戻っていく。母親に付けられた傷を覆い隠すように。
それを確認して、フェイトは“相棒”が待つ外へと向かっていった。
一方、そのジュエルシードが落ちた地球・海鳴にある聖祥学校では……。
「うーん、いい眺めだね~♪」
その声と声の主の気配に気づいた途端、なのははさっとスカートを抑える。
が、つい前の方を押さえてしまい、
彼……式条陽人は目を逸らす素振りもなく、ニヤニヤと憎たらしい笑みでなのは(の下着)を見上げる。
なのはは急いで階段を上がり、スカートを押さえながらきっと陽人を睨みつける。が――
「パンツ見られたぐらいでそんなに怒るなよ。なんなら俺のも見ていいぜ。近くの空き教室でならパンツと言わずもっと立派なもんを――」
「見たくありませんそんなの!!」
勢いよく叫び、なのはは背中を向けて
その後ろで陽人はくっくっと喉を鳴らした。
すずかとアリサに比べれば色気がないが、あの二人やマネージャーの過度なアプローチも食傷気味で、ああいう反応やガキっぽい下着も悪くはない。
――
「ちゅぷ……理事長さんのおちんちん、クサいけど癖になりそう。先生も遠慮しないで私の中にもっと精液を注いで♡」
「ぐふふ。いいのかね? これ以上中に出してしまっても? 月村家の令嬢が相手なら喜んで責任を取りたいが、儂には妻も子もいるしのぉ」
理事長の一物を舐めながら自身のモノを求める孫ほどの少女に、先生は下卑た笑いを漏らしながら訊ねるが――
「いいのよぉ。『発情期』でも滅多に孕まないんだから。先生がイヤなら理事長さんにお願いしちゃおうかなぁ♪」
「私をご指名かね? 忍ちゃんに舐められてギンギンになってたところだ!」
「おいおい、まだやめると言っては――」
理事長は歯をむき出しながら先生を押しのけ、忍をベッドに押し倒し、ドロドロに濡れている彼女の中に自身の欲棒を挿れ込む。
その向こうでは……。
「くちゅ……じゅぷ……ぺちょ」
「私のような脂ぎったおじさんのちんちんを丹念に舐めて。ノエルちゃん、そんなに美味しいかね?」
忍の相手二人と変わらぬ齢の中年男の問いに、短い紫髪のメイドは一物から口を離し……
「正直美味しくはないのですが、私に好き嫌いはありませんし奉仕も慣れてますから。ただ、他の男性より少々甘酸っぱいですね」
「いやあ、最近尿酸や糖分が多いって言われてのぉ。だがパーティーや会食が多くて節制する暇もなくてな。お世辞もなくばっさり言いきっちゃうところはノエルちゃんらしいわい。あれこれ言いつつも飲んでくれるしのぉ」
「はい。このままご奉仕されていただきます――ちゅる」
気を悪くした様子もなく豪快に笑う客の一物に舌を伸ばす。
さらに別のベッドでも彼女の妹が。
「やあっ! 待って。私は普通の接待だけって約束で――」
長い紫髪のメイドは必死に抵抗するが、痩身の男は彼女を押さえつけ下卑た声と唾を飛ばす。
「いいじゃないかファリン君。もう何十回も式条君の相手をしてるんだろう? こういうプレイも悪くないがなぁ!」
「そんなこと陽人君とは――お姉様、すずかちゃん、たすけ――」
組み敷かれながらファリンは姉と主人に助けを求める。
だがノエルは自身に
「ちゅ、あむっ、ぺろ……陽人くんの舌とおちんちん、あつくて気持ちいぃ……ちゅるる、はぷ、うううんっ」
従者の助けなど耳に入っていないように、すずかはソファの上で陽人と抱き合い、舌を絡め、ぱっくり開いた下の口で彼のものを呑み込む。
陽人も膨らみ始めた胸を愛撫しながらすずかの奥を侵していた。
月村家の屋敷で行われている“宴”を止める者はいない。
屋敷の主人であるすずか達の父親は海外への出張に出ており、『発情期』とやらを迎えた長女
彼女らの母親も別室で若い執事と楽しんでいる所だろう。
「おじさま、このまま中にだして。妊娠とか気にしなくていいからっ!」
「陽人くん、わたしのなかにだして。陽人くんの赤ちゃんできても責任もって育てるからぁ!!」
姉妹揃って嬌声を上げた瞬間、互いに男の竿から放たれたどろどろの欲液を受け入れた。
「ふぅ、久々にハッスルしたわい。やはり若い女はええのう。女房じゃ誘われても抱く気になれんわい」
「がははっ、女房も女房で若い男に抱かれてるんじゃないか。だったらお互い様よ。気に病むことはない」
忍やメイドの身体を堪能した客達は裸体のまま品のない会話と笑いを飛ばしあう。
そんな中、陽人は行為後もしがみついてくるすずかを抱えながら、電子煙草を咥え白い煙を吐き出し、ふと声をかけた。すずかにではない。
「理事長。お楽しみの直後に悪いが、ひとつ頼みがある」
タメ口で呼びかけられても理事長は不機嫌な顔もせず、「なんじゃ?」と聞き返す。
彼の前で陽人はもう一服してから――
「以前女子の制服をデザインを変えるよう頼んだが、あれそろそろ実行してくれねえか? 月村関連のメーカーに雛型も作らせてる。量産には一週間もかからねえ」
それに理事長を含む客達は眉を持ち上げた。
「ふむ、制服のぉ。儂らも目の保養に――いや、女の子も動きやすくなるからいいと思うが」
「しかし他の役員や保護者の中には伝統にうるさいのもいるしな。上品そうなあの服も悪くないし……」
“制服”について客達はあれこれ囁き合う。
彼らは陽人とすずか達が通う聖祥学園の役員。その中でも理事長を頂点とし経営に深く関わる“最高幹部”と呼んでもいい者達だった。
そんな連中を相手に陽人はぞんざいに片手を振る。
「何言ってやがる。適当な理由つけて中学から短いスカート履かせてるくせに。伝統なんてもう廃れちまってるだろう。すずかはどうだ? 短いスカートは嫌か?」
最愛の恋人の問いにすずかは胡乱な声で……
「わたしは短いのでもいいよー。はるとくんに脚や下着を見てもらえるなら~」
そう言って
二人の返事を聞いてなお役員達は考え込む。この手の買収が効かない女役員や大口の寄付者を含む保護者の反応が怖いという様子だ。
が――
「嫌ならいい。忘れてくれ。ただし、“パーティー”は今日でお終いだ。大事な娘やメイドを抱かせてるなんて月村の親父に知られたら俺もただじゃ済まねえし、そんなリスクしょってタダであんたらの下の世話をしてやる義理はない……あんたらだってこんなことがバレたらまずいだろう?」
陽人が口を吊り上げた瞬間、役員達は顔を青ざめさせる。
さっきのようなことが月村当主に、いや世間にバレたら免職では済まない。ファリンを犯した男に至っては逮捕もあり得るだろう。
学園を牛耳る彼らが陽人の態度に口出しできない理由がこれだ。
「さて、先生方どうします? 女子の制服を俺が提案した動きやすい服に変更してやるか、月村家との関係を断つかだ。ちなみに忍やメイド達が黙っていてくれるかは俺も保証できませんがね」
わざと丁寧な口調で返事を迫る陽人に、役員達は何も言えず顔を見合わせる。そんな中、理事長が首を縦に振り、陽人の“提案”を受け入れると約束した。
その後、聖祥小学校女子制服の変更が決定し、二週間後に全女子が丈を短くした『新制服』を着用することになった。
賛否両論あったものの、時代の流れや動きやすさもあって喜ぶ子も多く、洗濯の手間が省けることから保護者の反応も良かったが、まさか制服変更の裏にどろどろにイカくさい――もといきな臭い背景があったなど、彼らは微塵にも思っていないだろう。
この学校もまた一歩、陽人好みに造り変えられた。女どもや魔法、青い石をうまく使えばなのはを手に入れる日もそう遠くないだろう。
そしてひとり、彼の餌食になる少女がのこのこ海鳴にやってきていた。
月村家の宴が予想以上に長くなったため、フェイトと遭遇までいきませんでした。
あの一族、エロに実用的すぎる。