―――――M.M.R.深層資料や怪しげな薬品が無造作に積み上げられたデスク。
椅子に深く腰掛ける美女は、こちらを頭の先からつま先まで値踏みするように眺め、くすくすと愉しげに笑う。
「さ、飲みながらお話、じっくり聞かせてくださいな?」
シュエンの腹違いの姉――ジエン。ミシリスの闇を司る女は、白タイツに包まれた脚を優雅に組み替えながら、コーヒーカップに注がれた濃紺の液体を差し出した。
□□□□□
「私の可愛い可愛い妹……シュエンちゃんのことで、お悩みですか」
彼女はふっと目を細める。その表情には、面白がるような色と、ひやりとした冷たさが同居していた。
普段、マッドサイエンティストとして見せる狂気とは異なる、静かな観察者の目。
「あの子がアークやニケたちに重ねてきた身勝手や悪行を、『悩み事』なんて……そんな生ぬるい言葉で包み込んで差し上げるなんて……ふふっ。相変わらずお優しいこと」
白手袋に包まれた左手で口元を隠し、鈴を転がすような笑い声を漏らす。
その仕草は無邪気な少女のようでありながら、瞳だけは相手の奥底を見透かすように鋭い。
「それで、その『間違ったことをした』妹について、親身な『味方』である私に何をご相談なさるのでしょう?」
「……まさかとは思いますが、『ニケ化という形で一方的に命を握り続けている』あなたが、今さら『あの子をどうにか救ってほしい』とでも願うおつもりですか?」
「ふふっ……まあ、どのようなご相談でも構いませんよ。あなたのお悩みなら、うちは喜んで耳を傾けます」
「……それが、私にとっても興味深い『実験データ』に繋がるのなら、なおさら、ねぇ♪」
そう言って、彼女はゆっくりと身を乗り出す。
まるで舞台の上で観客を魅了する役者のような大げさな仕草で、こちらを覗き込んだ。彼女の瞳には、好奇心と愉悦が入り混じっている。こちらが何を語り出すのか、それすら楽しんでいるような表情だった。
「……あ、ちなみにそのカップの中身、別に毒なんか入ってへんので安心してくださいね? そもそも毒なんて効かないでしょうし……単に集中力を研ぎ澄ますための、ほんのちょっとした『試作品』ですから♪」
そう付け加える口元には、悪戯っぽい笑みが浮かんでおり、
どこまでが冗談で、どこからが本気なのか――判断に迷う余地を残したまま、彼女はこちらの反応を楽しげに待っていた。
□□□□□
「あらあら……ふふっ、あはははっ!」
ジエンは両手で口元を覆い、堪えきれないように肩を揺らした。
「……失礼、失礼。あまりにも青臭くて、それでいて途方もなく重たい『愛』のお話でしたもの。思わず笑ってしまいました」
ひとしきり笑うと、小さく息を整え、こちらへ視線を戻す。
「まさか、妹を救いたいのではなく……ニケにしたい、だなんて。ふふっ、本当に予想外でした」
そこに浮かんでいたのは、いつもの狂気ではなく、興味深い対象を見つけた研究者の目だった。
「本当に恐ろしいお人ですねぇ」
頬杖をつき、愉しげに首を傾げる。
「命を奪うだけなら、一瞬で終わります。でも、人としての生も、権力も、誇りも全部失わせて……それでもなお、自分の傍に置き続ける」
彼女はそこで一度言葉を切り、口元を緩め―――
「それって、死よりも長く続く罰でしょう?」
―――くすり、と笑う。
「あんなに真っすぐで優しかった7号さんが、いつの間にそんな歪んだ独占欲を育てはったんでしょうねぇ……。私、ぞくぞくしてしまいます♪」
ゆっくりと立ち上がった彼女は、白衣の裾を揺らしながら歩み寄り、顔を寄せると、耳元で甘く囁いた。
「その『愛』……いえ、『執着』がどこへ辿り着くのか」
「あの子がニケとして生まれ変わり、あなたに全てを握られたとき、どんな顔をするのか」
さらに唇の端を吊り上げ、喉の奥で小さく笑い声を漏らす。
「そして、そんな彼女を傍に置き続けるあなたが……最後には、どんな人間になるのか」
「ふふっ……最高に魅力的な『観察実験』になりそうです♪」
ジエンはそこで満足そうに息をつくと、まるで新たな疑問を思いついたように首をわずかに傾ける。
「……けれど、不思議ですねぇ」
「お悩み相談、なんて理由を用意してまで、どうしてうちのもとへ通う必要があったのでしょう?」
「……まるで、うちをここから出さないための理由を探しているようにも見えますけれど」
そこで、一度言葉を切った。
「妹をニケに変え、その全てを手元に置き続ける……。それだけでも十分すぎるほど歪んだ執着やというのに、『あの子』だけで終わってへんことくらい、私が気づかへんとでも思いました?」
細められた瞳が、こちらの奥底を探るように向けられる。
その声音には責める色はない。
むしろ、自らが導き出した答えに愉悦を覚えたような響きが滲んでいた。
「あの子は私の妹であると同時に……私をこの暗闇から逃がさず、自分の手元へ留め置くための『鎖』でもある……」
互いの視線が静かに絡み合う。
ジエンは妖しく目を細め、まるで新たな発見をしたかのように微笑んだ。
「……まあ、なんて悪辣なのでしょう。」
音もなく立ち上がり、一歩踏み出した彼女は、そのまますっと距離を詰める。
整った鼻先が触れそうなほど近くで足を止めると、逃げ道を塞ぐようにこちらの瞳をじっと見つめ返した。その妖しい双眸には、未知の実験を前にしたような、喜悦。
「あの子の生殺与奪を握りながら、同時に……このアークの闇そのである私の心も、存在も、まるごと自分の『支配下』に置こうとしてる……」
囁くたびに、その吐息がかすかに頬をかすめる。
「ふふっ、最高に欲張りで、ぞくぞくするほど罪深い男前さんやねぇ。」
その笑みは拒絶でも軽蔑でもない。相手の底知れない執着を目の当たりにし、新たな観察対象を見つけた瞬間のような、満ち足りた興味の色を浮かべていた。
「ああ、構いません。その執着がどこへ辿り着くのか……うちが最後まで見届けて差し上げます。」
白手袋に包まれた指先が、触れる寸前で止まり、その存在だけを意識させるようにゆっくりと動く。
「……ただし、忘れんといてくださいね?」
「私はいつでも、あなたの『味方』の顔をした……観察者なんです」
「あなたが私を縛り付けようとすればするほど……私もまた、あなたという存在を深く観察して――――
そう言おうと、したところで……予想していなかった温もりが、突然身体を包み込んだ。
――――……あら?」
ほんの一瞬だけ、ジエンの思考が途切れた。
漏れた小さな声に宿っていたのは、驚きよりも興味。
………けれど、次の瞬間には、口元にいつもの妖しい笑みが浮かんでいた。
「ふふっ……そうですか。言葉だけでは足りませんでしたか」
彼女は抵抗することなく、その身を静かに預ける。
「こうして繋ぎ止めようとするなんて……本当に、欲張りなお人ですねぇ」
背中へ回された腕に、ゆっくりと身を寄せる。
「でも……悪くありません。私を手元に置こうとするなら、私もまた、あなたを観察できる」
「あなたがどこまで深く沈んでいくのか……その一番近くで、見届けられるのですから」
そこで、ジエンはほんのわずかに目を細めた。
――――まあ……面白いものです。
――――失うものなど、とっくにないと思っていたのに。
そんな考えが浮かんだ理由を、ジエン自身にも説明できなかった。
ただ、不快ではない。
「……ふふっ」
次の瞬間には、口元にいつもの愉しげな笑みが戻っている。
「お互い、どっちが先に狂ってしまうか……楽しみで仕方あらへんねぇ♪」
□□□□□
数か月後。
アークのさらに深い闇の中。
すでにニケとなり果てた妹と、その変化を引き起こした男の間に、彼女は悠然と腰を下ろしていた。
「ふふっ……あははっ。ほんまに……最高の眺めでしたねぇ♪」
白衣の袖を揺らしながら優雅に脚を組み替え、こちらへ愉しげな視線を向ける。
「ねぇ、見はりました? ニケとして生まれ変わって……すべてを失った、私の可愛い妹の顔を」
「激昂することも、抗うこともできず……ただ現実を受け入れるしかない。その表情……」
くすり、と笑う。
「研究者としても……姉としても。これほど興味深い観察結果は、なかなかありません」
耳元へ顔を寄せ、囁く。
「あなたは、あの子を縛る鎖を手に入れたつもりだった」
白く細い指先が、そっと触れる。
「でも……違いましたねぇ?」
「その鎖を握り締めていたあなた自身が……いつの間にか、縛られていた」
「身体も、心も、運命も……ぜんぶ差し出すと決めたのは、あなたですもの」
「もう、後戻りなんてできませんよ?」
ジエンは細めた瞳に、隠しきれない愉悦を浮かべる。
「さあ……7号さん」
「これから、このアークの最深部で……私たちはどこまで変わっていくのでしょうねぇ」
「ふふっ……最後まで、見届けさせてくださいな♪」
そうして、しなだれかかるような体勢になった彼女の大きく実った胸が無遠慮に掴まれた。
「あら……?ふふっ、本当にどこまでも遠慮のない男前さん」
予想していた反応とは違ったのだろう。
ただ、その大胆な行動の奥に潜む感情まで見透かすように、一瞬たりとも視線を逸らさなかった。
「そこまで分かりやすく、ご自身の欲を見せてくださるなんて……」
「ほんまに、興味深いお人」
そう囁きながら、さらに距離を詰める。
触れられていることよりも、その行動を選んだ相手自身を観察しているかのようだった。
「研究者としても……ひとりの女としても、興味深くて仕方ありませんねぇ」
拒む様子はない。
むしろ、その感情の奥にあるものを確かめるように、静かな眼差しを向けている。
「ええ、ええ、構いません」
「あなたが抱えるその衝動も、私へ向けるその執着も……すべて含めて、あなたという人間なのでしょう?」
耳元へ寄せられた柔らかな声色とは裏腹に、その言葉には逃げ道を塞ぐような冷たさがあった。
「……でも、覚えておいてくださいね?」
「一度、私をあなたの側へ置いた以上……もう以前のように、何も知らないままには戻れませんよ」
くすり、と笑う。
「あなたがどこまで深く沈んでいくのか……心ゆくまで見ていますから♪」
□□□□□
「ふふっ……さあ、あの子に命令してあげて下さい」
隣で沈黙したまま座る妹へ、視線を向ける。かつてミシリスの頂点に立ち、誰よりも強い言葉で他者を切り捨てていた存在。
それが、押し殺した感情を抱えたまま、ただ静かにそこへ座していた。
彼女の小さな肩へ、白い手袋に包まれた細い手をそっと置く。
「ほら、シュエンちゃん……聞こえてます?あなたの『ご主人様』からの命令がありますよ?」
「ぐっ………………っ!!!!」
喉から、押し殺した声が漏れる。
怒りか、屈辱か。それとも、認めたくない現実への拒絶か。
そのすべてが飲み込めないとでも言うかのように、彼女はただ目の前の相手を睨みつけていた。
「もう反抗しても……誰かが手を差し伸べてくれることはありません」
「だって……あなたはもう、ミシリスのCEOとして誰かを選別する側ではない」
震えを押し殺す妹の姿を静かに見つめながら、穏やかな声で囁く。
「かつて自分にとって不要なものを『鉄くず』と呼んで切り捨てていたあなたが……今は、自分自身の価値を、誰かに決められる側になったんです」
「戦場へ送り出す価値すらないと判断され、それでも廃棄されることもなく、誰かの所有物として残される……」
「ただの『愛玩用ニケ』……ふふっ。皮肉なものですねぇ、シュエンちゃん」
口元に薄い笑みを浮かべたまま、ゆっくりと視線をこちらへ戻した。
「さあ、あの子も覚悟が決まったみたいです。私も準備はいつでもできていますよ?
あなたのその深すぎる『情』と、あまりにも素直な『欲』……この場所でたっぷりと向き合って……
その結末を最後まで愉しんでくださいねぇ♪」
ジエンは二人を連れるようにゆっくりと歩き出す。まるで最後の観察場所へ案内するかのように、三人は並んでベッドへ向かった。
シュエンは、悔しさを噛み殺すように表情を歪めながら、黙って歩を進めていた。CEOとして誰にも頭を下げることのなかった彼女が、今は自らの意思ではなく、決められた場所へ向かうしかない――――その一歩一歩が、自分自身の誇りを踏みにじるような感覚を伴っていた。
その事実が何よりも屈辱だった。
唇を強く噛み、怒りを押し殺しながらも、瞳に宿る反抗の光だけは消えていない。
それでも彼女は足を止めることはできず、ただ重い足取りで、底へと、ゆっくりと沈んでいった。
□□□□□
「……っ! な、なによ……何するのよ!!触らないで! こんな……こんな屈辱……!ニケにされた時点で、もう十分すぎるほど屈辱だったのに……なんで私が、こんな奴に……っ!」
怒りと悔しさで声を震わせながら、必死に視線を巡らせる。
そして、すぐ傍にいる姉へと睨みつけるように顔を向けた。
「……お前っ!見てないで、なんとかしなさいよ……!この変態を追い払いなさいよ!!」
声の限り叫び、怒りと屈辱をぶつける隣で、姉は柔らかなシーツへゆったりと腰を沈めていた。表情には、動揺も焦りもない。
ただ、妹の反応すら楽しむような、静かな余裕が浮かんでいる。
同じ色を宿した髪へ、確かめるように指先を滑らせる。それが姉としての情なのか、それとも別の何かなのか――彼女自身にも、もう分からなかった。
「ふふっ……どれだけ声を張り上げても、ここはアークの最深部ですよ?助けに来るような人なんて、もう誰もいません」
穏やかな声音のまま、言葉を重ねる。
「あなたがどれほど悔しがって、どれほど抗おうとするのか……そのひとつひとつが、私にとっては興味深い観察対象なんですよ」
「……姉としても、研究者としても。そんな表情を見られるなんて、なかなか……ねぇ?」
「お前っ――――――
反論しようと口を開いた妹より先に、細い指先がそっと唇へ触れた。
「……ふふっ」
制止というよりも、取り乱した妹を宥めるような穏やかな仕草。
怒りを押し殺せずにいる彼女をしばし眺めた後、ベッドへ手をつき、ゆっくりと顔を上げる。
そして妹へ覆いかぶさろうとしているこちらを見上げると、静かに呟く。
「怒りも、悔しさも、意地も……全部抱えたままのあの子と」
「そして、そのすべてを見届けることを選んだ私と……」
二人の間に生まれた沈黙を静かに受け止めるように、小さく息を漏らした。
「あなたは、この二人をこれからどう扱うおつもりなんでしょうねぇ?」
その言葉に、妹の押し殺していた感情がわずかに表へ滲んだ。
「ふふっ……ほら、シュエンちゃん。もう目を逸らしても、何も変わりませんよ?」
「あなた自身が選んできたものも、失ったものも……全部向き合う時ですから」
□□□□□
「やっ……やめなさいよ……! む、無理……っ、嫌……!こんなの……っ、なんで……なんで私が、こんな目に……!」
必死に抗おうとする声は、怒りと悔しさで震えていた。
けれど、どれだけ叫んでも状況は変わらない。
その事実が、かつてミシリスの頂点に立ち、支配してきた彼女の自尊心を、少しずつ削っていく。
「ラプラス……! マクスウェル……っ!!お願い……助けなさいよっ……!こいつを……今すぐ―――――
「シュエンちゃん。そんなに必死になっても、状況は変わりませんよ?それどころか……あなたが最後まで何を失わずにいられるのか。ますます興味深くなってしまいますから」
「……それにしても、ほんまに遠慮の欠片もありませんねぇ。ふふっ、怖い人です」
そう言って静かに傍らへ腰を下ろすと、その一部始終を見届けるように、穏やかな眼差しを向ける。こちらの伸ばした指先がシュエン肌をなぞるたび、妖しい愉悦がその瞳の奥で静かに揺れていた。
「ひっ……っ、あ、ジエン……」
震える声で、隣にいる姉を見上げた。
「なんで……なんで笑ってるの……っ?」
「お願い……やめて……私は……私はミシリスのCEOなのに……っ!」
かつて自分が絶対の立場だと信じていた肩書きを、必死に握りしめる。
ジエンは、まるで予想していた答えを確認するように、静かに口を開いた。
「『元』CEO、でしょう?」
たった一言。それだけで、シュエンの表情が歪む。
「ふふっ……ご覧になりました?」
「誇りも、怒りも、過去の肩書きも……すべて抱えたまま、それでも抗おうとする」
「なんて興味深い変化なんでしょう」
妹の頭へそっと手を添え、優しく撫でる。
その触れ方には姉としての優しさが滲んでいた。けれど同時に、長く傍で見続けてきた妹の知らなかった一面を確かめるような、好奇心も滲んでいた。
□□□□□
「ひっ……ん、や……嫌ぁっ……!……っ!!」
必死に腕を振って抵抗しようとする。だが、着慣れた上着は引きちぎられ、華奢で小さな肩が露わになると、屈辱と恐怖に瞳を潤ませ、震える身体を押さえることもできずにいた。
「ふふっ……あらまあ、綺麗なお肌が見えてきましたわぁ。にしても、そんなに叫んだら喉を痛めてしまいますよ?」
ベッドの上で、脱がされていく体にそっと手を重ねる。
人間にケガを負わせることが出来ない動きは、それだけで鈍くなった。ジエンは熱のこもった白衣の胸元を自ら少し寛げながら、いつもの整然とした印象とは違う、わずかな乱れを声に宿らせる。
それでも余裕を崩さない声は、甘さの奥にいつもの毒が滲む。
「シュエンちゃん。これがあなたが馬鹿にして、見下していた指揮官さんの……『本質』ですよ?
あれほど正しさを信じて、理想を掲げていたはずの人が……ほんの少しきっかけを与えられるだけで、ここまで深い場所へ沈んでいく……ふふ、最高の観察データやと思いません?」
「ひぐっ……っ、あんたたち……頭、狂ってるわよ……っ!こんなの……こんなの認められるわけないでしょ……!私にこんなことして……っ!!」
「さあ……妹がこんなに可愛らしく啼いてはりますよ? 遠慮なんか要りません。私の言うとおりに、あの子のプライドも、身体も、ぜ〜んぶ壊してしまう勢いで……満足するまで可愛がってあげてください♪」
指を抜き、代わりに熱を帯びたものを入り口に押し当てる。瞳孔が収縮し、唇がわななく。
そして、一息に中を貫かれた。
「んあッ……!? やっ、ああっ♡ 嫌……嫌ぁッ♡な、なにこれ……なんで………ッ!? ひぁんッ♡ 触らないで……っ、そんな……っ、動かないでよぉッ♡♡」
痛みはない、しかし始めから気持ちよすぎる。身体の感覚が誤作動を起こし、胎の奥が熱を持つ。
自身の口から漏れ出す情けない甘い悲鳴と艶っぽさに、屈辱で真っ赤に染めながら、目尻にボロボロと涙を溢れさせる。必死に口を塞ごうとするが、高感度なボディに容赦なく与えられる強い刺激に、思考すら真っ白に引き裂かれていく。
「あらあら……愛玩用ニケのボディは感度が異常に鋭いんです。そんなに激しく突き動かされたら……どれだけ拒もうとしたって、身体も声も素直に甘く鳴いてしまいますよねぇ」
ジエンは首筋へ白い腕を絡めつけ、激しく腰を打ちつけるたびに伝わる熱と衝撃を、自らの柔らかな胸元でしっかり受け止めていた。白衣の下でわずかに乱れた呼吸を抑えながらも、濡れた瞳にはうっとりとした愉悦が宿り、口元には妖しい笑みが浮かんでいる。
逃げ場を失い、突き上げられるたびに甘く歪んだ声を漏らし続ける妹の頬へ、細い指先を伸ばし、ゆっくりと撫で回す。涙で濡れた肌の感触を確かめながら、乱れた表情を間近で味わうように視線を落とす。
「ふふっ……いいですよ、もっと激しく……シュエンちゃんのプライドも、自尊心も、ぜ〜んぶ壊してしまうくらい貪り尽くしてください♡」
「あぁっ♡ ジエンっ……助け……あッ♡ やだぁッ♡♡ ひんッ、ごしゅじん……様ぁ……っ♡♡」
容赦ない腰の動きが奥を抉り続け、甘い悲鳴と涙がシーツに散っていく。かつて誰にも頭を下げなかった唇から、屈辱にまみれた嬌声がこぼれ落ちるたび、細い身体はびくびくと痙攣し、抵抗する力すら甘く溶かされていく。
ジエンはそんな変わり果てた姿を間近で眺め、乱れた髪を梳きながら、満足げに息を漏らした。
「あら、『ご主人様』だなんて……ふふ、言えてえらいやないですか♪ ほら。妹の準備は完璧みたいです。私も……もう待ちきれませんわ♡ 心ゆくまで、二人まとめて満足させてくださいねぇ♪」
容赦ない動きと激しい刺激の渦に完全に呑み込まれた妹は、涙を散らしながらシーツを必死に掴み、甘い悲鳴をあげて翻弄され続けていく。
「あなたのその激しい欲望も……ぜ〜んぶ私たちが受け止めて差し上げますから♡」
そう囁くと、自ら優しく唇を重ね合わせた。深く、舌を絡めるように甘く毒を流し込むキスを交わし、空いた指先で激しく揺れ動く背中をゆっくりとなぞり降ろしていく。熱のこもった吐息を混じえながら、白い指は背筋を這い、その感触を確かめるように静かに動いた。
「ん……ふ……っ♡ ほら。私らのキス……特等席でじっくり見とき?
あなたを支配し、私を繋ぎ止める……あなたの新しい『主』の姿ですよ♪」
「んあッ……♡ ジエン……っ、目の前で……そんなっ……嫌ぁッ♡♡」
「……さあ、次は可愛い妹の唇も奪って……ふたりまとめて、とろとろになるまで満足させてあげてくださいねぇ♡」
「はぁっ!?………んむっ……!? んんーーッ♡♡んっ……はぁっ! ふ、ふはッ……♡ 息……息が……ッ!なに……っ、なにするのよ急に……っ! んぁっ♡♡」
腰の動きを止めぬまま、妹の顔を引き寄せ、抵抗する唇を強引に塞いだ。荒々しく舌を押し込み、酸素を奪うように深く口づけを繰り返す。
シュエンは大きな瞳を潤ませ、頭を真っ白にしながら必死に身をよじるが、愛玩用ニケの身体は力なく、ただ甘い声を押し殺すことしかできなかった。弾けるように唇が離されると、糸を引く唾液が彼女の顎を伝い、赤く腫れた唇を震わせて激しい喘ぎが漏れる。
「はぁ……っ、はぁ……ッ♡ 嘘……嘘でしょ……っ! わたし……っ、私、こんなやつに……キス……っ♡♡やだ……やだやだッ! こんなの絶対おかしい……っ、身体が……熱くて……っ♡♡」
拒絶しようとしても、敏感な体質と強烈な快感の余韻が容赦なく締めつける。華奢な肉体はキュンと跳ね、自覚とは裏腹に甘い吐息を溢れさせ続け、シーツを掴む指先が白く力を込めていく。
「ふふっ……あはっ♪ 見はりました? 口では『やだ』なんて言いながら、瞳はすっかりとろけて、唇を奪われた衝撃で身体をビクビク震わせてはりますよ♡」
首に腕をしっかりと絡めたまま、無様に乱れた姿を心底楽しそうに見つめ、くすくすと妖しい笑い声を上げる。自身も興奮に胸を上下させながら、深く熱い視線を注いだ。
「さあ。観念して身体の力を抜いて………
ご主人様に唇を奪われて……その薄い身体も、甘い声も、ぜ〜んぶ暴かれてしまったんですから。」
腰の動きを一段と激しさに変え、奥深くを抉るように突き上げる。限界を超えた熱がせり上がり、一気に放たれた。熱い精液が最奥へ容赦なく注ぎ込まれ、内部を満たしていく。
「……ふふっ、身体もすっかりほぐれたみたいですねぇ。さあ……次は私のことも、もっと激しく貪って……二人まとめて、壊れるまで満足させてくださいな♡」
身体を弓なりにしならせて激しく痙攣する。溢れ出す圧倒的な熱量と衝撃に、白目を剥きかけるほど瞳を大きく見開き、激しい絶頂の余韻に体を震わせ続ける。高感度ボディは容赦なく全身に快感を伝達し、自尊心と理性を完全に打ち砕いていく。
「んあぁぁッ――!? ひぁっ♡♡ や、やだぁッ♡ どこで……っ! 奥で……っ、出さないでぇッ♡♡
あはぁっ……熱い……っ、熱いの来ちゃっ……ひんッ♡♡ 嘘……嘘よ……っ♡ わたし……ミシリスの……っ、こんな……っ♡♡」
「あらあら……あはっ♪ 最高、最高の生体データですわぁ♡
見て。元CEOとしての誇りもプライドも、熱いお仕置きで『奥深くまで』塗り潰されてしまって……ふふっ、なんて情けなくて、愛おしい姿なんでしょう」
ジエンは拍手でもしそうなほど愉悦に満ちた表情で目を見開き、恍惚の表情で震えるシュエンの体にそっと指先を滑らせる。そして、心底嬉しそうに胸を躍らせながら、熱を帯びた瞳で指揮官を振り返った。
「はぁ……っ、はぁ……っ♡ 嘘……嘘よ……っ♡ わたし……こんな……っ♡♡」
奥底に注ぎ込まれた激しい熱量と、絶頂の恐ろしい余韻に白目を剥きかけたまま、涙と唾液に濡れた顔をシーツに埋め、ぴくぴくと身体を痙攣させて身動きひとつ取れずにいる。かつてのプライドも横暴さもすべて打ち砕かれ、ただの情けないニケとして荒い息を吐き出すことしかできない。
「ふふっ……まあ。手加減なしの熱いお仕置きで、すっかり骨抜きにされてしまいましたねぇ……」
手際よくぐったりとした妹のすぐ隣に姉を寝かせると、彼女は白衣をはだけさせた滑らかな身体をシーツに横たえ、心底満足そうにくすくすと妖しく微笑む。そして、逃がさないように首元へすっとしなやかな腕を回した。
「……で?妹をそこまで無惨に可愛がり尽くして、今度は私の番……というわけです?」
自分の身体に体温がぴったりと重なる感触を確かめるように腰を寄せて滑らせ、瞳に深く妖しい熱を宿しながら、首筋へ甘い吐息を吹きかける。
「さぁ……遠慮なんか要りません。あの子の身体を暴いたその手で、奥深くを熱く満たしたその欲望で……次は私のことも、身も心もドロドロにとろけて壊れてしまうまで……貪り尽くして満足させてくださいな♡……ふふっ、このアークの最深部で……私のすべてを、あなたに差し上げますから♪」
□□□□□
隣に横たわる二人の体を交互に弄ぶと、妹とは何もかもが違う体つきがはっきりと伝わってくる。涙と汗で濡れた顔を背けた妹は、情けない喘ぎ声を漏らしながら震える。
華奢で小柄なボディと、すぐ隣に横たわる豊満で艶やかな肉体との明確な密度の違いを、手触りを通じて見せつけられる屈辱に苛まれていく。
「ふふっ……まあ。小柄で薄ぅい身体と、私のこの身体……両方の手触りをじっくり確かめて楽しんではるんですか?」
腕にすり寄り、自らの豊満で滑らかな果実と肉体を包み込むようにぴったりと押し付ける。逃げ場のない妹の耳元と、首筋へ交互に甘い吐息を吹きかけながら、積極的に手ほどきをするように体をくねらせ、煽るような言葉を重ねる。
「あの子にはない女の柔らかさも、温もりも……どうぞ気の済むまで♡
ほぉらシュエンちゃん?ご主人様が私とあなたの『違い』をこんなに愛でてはりますよ?」
「んくっ……はぁ……っ♡ 嘘でしょ……っ!私をこんな目に遭わせて……次は……っ♡♡」
涙で顔を濡らした妹が、屈辱に塗れた情けない息を吐き出しながら横たわる中、一切の猶予もなく、豊満な肉体を横たえる姉へと襲いかかる。
「あはっ……んふっ♡ もう待ちきれへんかったみたいやねぇ……♪」
力任せに飛びつかれても、拒むどころか心底嬉しそうに目を細め、白くしなやかな腕を首元にしっかりと巻き付ける。溢れんばかりの果実と滑らかな肉体を自ら押し付け、背中を指先でなぞりながら、艶やかな手ほどきで受け入れる。
「……どうぞ、気の済むまで私の身体を………小さな身体とは違う、この温もりも……弾力も……ぜ〜んぶあなたのものですから♡」
「ほら……もっと激しく動いて……♡ あなたのその熱い欲で、私の奥深くまで塗り潰してくださいな……。ふふっ、聞こえますか? 隣であなたの荒い息遣いと、私の甘い声を聞かされている……妹の可哀想な泣き声が♡」
始めは余裕を保っていたが、声が少しずつ途切れ途切れになり、最後には余裕を失っていく。
「あ……ッ! ……っ、いくらなんでも激しく……っ♡ んくッ……あぁッ♡♡」
「はぁ……っ♡ はぁ……っ♡は……っ、ざまぁ……みろ……ッ♡ 余裕ぶってたくせに……声……出てんじゃ……ないのっ♡♡」
自身の深部を貫かれた熱い感触に震えながらも、涙で濡れた瞳で、すぐ目の前で崩れていく姉の姿を眼裏に焼き付ける。姉が自分と同じように欲望に呑み込まれていく様は、屈辱の中にある唯一の救いのようでもあった。
「んあッ……!♡ ふ、ふふっ……何を……言って……っ♡」
最初は優雅に微笑み、耳元で煽る余裕を見せていたが、容赦ないストロークと力任せな突き上げに、徐々に表情が歪み始める。上品な言葉は途切れ途切れになり、白衣を掴む指先にぎゅっと力がこもる。
「あッ……♡ ちょっと……っ! ……さんっ♡ 激し……っ、激しすぎ……っ♡♡あはっ……やだ……っ、こんなの……っ!……っ、……んぁッ――♡♡」
激しい動きに追いつけなくなり、ついに瞳から余裕の笑みが消え去る。うっとりと潤んでいた瞳は快楽の恐怖と悦びに大きく見開かれ、背中を大きく反らせて情けない悲鳴を上げた。
「あッ♡ あぁッ♡♡ ダメ……っ、 ……ッ♡♡奥……っ、奥まで来すぎ……っ! 壊れる……っ、私……っ、壊れてしまいますッ♡♡んあぁっ♡♡ ご主人……様ぁッ! お願い……っ、ゆるし……ひんッ♡♡」
容赦ない突き上げがさらに加速し、豊満な肉体を激しく揺さぶり続ける。奥深くを容赦なく抉られるたび、声は甘く裏返り、白い指先がシーツを強く掴んで皺を寄せる。余裕などすでに欠片もなく、ただ快楽に飲み込まれていく姿がそこにあった。
「あはッ♡ ……も……っ、ご主人様って……ッ♡♡ざまぁみろ……っ! 一緒に……壊れちゃいなさいよ……ッ♡♡」
「んむーーッ♡♡ あぁぁぁッ!!」
完全に理性を失い、シーツを掴みながら激しく身体を跳ねさせて絶頂する。背筋を大きく反らし、内部が強く締めつけるように痙攣し、甘い悲鳴が部屋に響き渡った。
「はぁ……っ、はぁ……っ♡ 嘘……嘘でしょ……っ♡
ジエン……あんなに大きな声あげて……っ♡ わたしより……完全にイッちゃって……っ♡♡」
涙と汗で濡れた顔をシーツに埋めながら、すぐ目の前で理性を完全に吹き飛ばされた姉の姿を瞳に焼き付ける。自分を超えるあまりの反応の強さと、圧倒的な感度の差を見せつけられ、屈辱と妙な敗北感に苛まれながらも、その視線は欲望の渦から離せなくなっていく。
「あぁっ……♡ んふっ……はぁっ……ッ♡♡あはっ……やだ……っ、愛玩用ニケより……っ♡ 私の……私の感度が上だなんて……そんな………っ♡♡」
一度理性を失い絶頂に達したにもかかわらず、手と腰が止まることはない。余韻に震える過敏な身体へ容赦なく撃ち込まれる激しいストロークに、シーツを握りしめたまま、白目を剥きかけるほど瞳を大きく見開いて背中を何度も反らせる。
「んあぁぁッ――♡♡ 待っ……待ってください……っ! 終わらな……っ、終わらせてくれないんですかッ♡♡あッ♡ あぁッ♡♡ だめ……っ、もう無理……っ、脳みそ……とけちゃう……ッ♡♡
ご主人様ぁッ♡♡ 私の……私の奥まで……ぜんぶ……ぜ〜んぶ壊してぇッ♡♡」
妖艶で知的な観察者としての仮面は完全に剥ぎ取られ、ジエンは途切れ途切れの甘い悲鳴を上げながら、すがりつくように自ら腰を跳ねさせる。手ほどきをする側だったはずの彼女が、今や翻弄されるだけのただの狂おしい女へと成り下がっていく。
「あはッ♡ ……っ、完全に狂ってる……っ♡♡ご主人様……っ! ……こいつが……壊れるまで……っ、もっと奥まで……出しまくって……っ♡♡」
果てるその瞬間まで、幾度も激しい痙攣とともに絶頂を重ね、身も心もドロドロに溶かされながら熱を受け止め続ける。
「んあぁぁぁーーッ――♡♡ご、ご主人様……っ! あッ♡ 来ちゃっ……中に……熱いの来てるうッ♡♡」
自身のいちばん奥深くまで撃ち込まれた熱量と激しい衝撃に、ジエンは白目を剥きかけるほど瞳を大きく見開き、白衣を掴む手に激しく力を込めて全身を弓なりにしならせる。これまで積み重ねてきた理性や矜持は完全に吹き飛び、ただ欲望に塗れた快楽の渦に呑み込まれる。
「あぁッ♡♡ んくッ……はぁ……っ♡
すごい……っ、奥が……熱いので満たされて……っ♡♡
ふふ……あはっ♪ これで……これで私も、あなたの『所有物』……♡」
溢れ出す温もりを感じながら、恍惚とした表情で首元にしっかりと抱きつき、糸を引く唾液を垂らしながらうっとりと瞳を濡らす。そして、すぐ隣でぐったりと倒れ込み、絶頂の余韻に体を震わせている妹へ、見せつけるように優しく手を伸ばしてその頬を撫でる。
涙と唾液でドロドロになったシュエンは、目の前で繰り広げられたあまりに濃厚で圧倒的な光景と、自分以上の凄惨な姿で射し込まれた姉の姿に、屈辱と敗北感、そして消し去れない快感の余韻で体をぴくぴくと痙攣させ続けていく。
「はぁ……っ、はぁ……っ♡……あんた、私たちを……こんな……こんなにしちゃって……っ♡♡」
自身の深部を貫いていた熱が抜け出た喪失感と、あまりの快感の余韻に、ジエンは荒い息を吐きながらトロンとした瞳で見上げる。
「ふふっ……わかりますか、シュエンちゃん?あなたをミシリスの座から引きずり下ろし、私のことも完全に支配した……私たちの『ご主人様』ですよ♡姉妹そろって、あなたに最深部まで暴かれて……身も心もドロドロに溶かされてしまいました。このアークの最深部で……これからもずっと、私たち二人をたっぷり可愛がって……満足させてくださいねぇ♪」
―――――――――――――――
――――――――――
―――――
「あらあら……ふふっ♡それを……二人まとめて、舌で掃除させようなんて……。
どこまでも強欲で、とびきり意地悪なご主人様やねぇ……♪
ほら、シュエン。ぼさっとしてないで、ご主人様の『お掃除』……手伝って」
「はぁ……っ、はぁ……っ♡なっ……なにいってんのよ……っ!? 嘘でしょ……っ、そんな汚いこと……っ! 嫌……嫌よ! 誰がそんなっ……んむッ!?」
拒絶して顔を背けようとする妹の頭を、姉は細い指先でぐっと固定する。自ら真っ赤に熟した舌をゆっくりと伸ばし、這わせるように、絡め取るように艶っぽく舐め上げていく。
「ん……ちゅっ……れろ……っ♡ ほら、シュエン。ご主人様が待ちきれずに、身体を強張らせてはりますよ?断ったら、またあの恐ろしいお仕置きで……身体も声もぐちゃぐちゃに暴かれてしまいますよ……?」
「ひぐっ……っ、あ……あぁ……ッ♡やだ……嫌なのに……っ、……こんなの……っ♡♡」
屈辱と恐怖、そして先ほど刻み込まれた絶頂の余韻に抗えず、シュエンは涙を浮かべながら震える小さな舌をそっと伸ばす。ジエンの濃厚で淫らな手ほどきに巻き込まれるように、二人の舌が絡みつき、交互に、そして同時に熱く擦り付けられていく。
「んっ……ふ……ちゅぷ……っ♡ そうそう、お上手やないですかシュエン……♪
ご主人様……見ておられますか? あなたの熱い証でドロドロになったそれを、二人でこうして……綺麗に拭い取って差し上げてますよ♡」
「んむっ……れる……っ♡ ちゅ……っ、んぐッ♡
くそっ……クソ指揮官……っ、わたしに……こんなこと……させて……ッ♡♡」
涙を散らしながら必死に舌を動かし、屈辱に濡れた眼差しで見上げてくる。姉はぐったりと力なく横たわり、呼吸を乱しながらも、上気した頬とトロけた瞳で見上げ、白衣の隙間から覗く白い胸元をぴったりとすり寄せる。
「……ふふっ、でも嬉しいわ。私のことも、こんな風にボロボロになって啼いているシュエンのことも、まとめて可愛がって満足していただけたみたいで……♪」
唇でそれを拭わされ、喉を鳴らしながら掃除を終えた妹は、屈辱と敗北感で涙をポロポロと溢れさせながら睨みつける。しかし、二人に熱く刻み込まれた余韻と快感に抗えず、その瞳はすっかり欲望に毒されてとろけ切っていく。
「……っ♡ だけど……あんた……っ! ジエンだけじゃなくて……私にも……私もちゃんと愛しなさいよ……っ♡わたしが……ミシリスで一番……っ、ううん、アークで一番……好きだって……言わないと……絶対に許さないんだから……ッ♡♡」
シュエンは傲慢さを失ったわけではない。
誰かに縋ることを覚えただけで、自分が特別な存在であるという確信まで捨てたわけではない。
彼女はただ、これまで自分を支えていた「立場」という名の支柱を失い、新たな拠り所を求めているだけだった。
「あらあら……ふふっ♪ あんなに突っぱねていた妹が、こんなに素直で可哀想な『愛玩動物』になってしまいました。」
その言葉は、いつものジエンらしい悪趣味な冗談にも聞こえた。
けれど――
ジエンは、観察者であろうとすることをやめたわけではない。
ずっと誰かに認められることを求めていた妹が、今は隠すこともできずに誰かを求めている。
その姿を可哀想だと思う気持ちと、興味深いと思ってしまう気持ちが、混ざり合っていた。
言葉にそれ以外の感情が混ざっていることを、ジエン自身は認めようとしなかった。
妹の髪を優しく撫で下ろしながら、手を取り、自らの胸元へと導いて甘く囁く。
「………さあ、ご主人様。うちもこんなにとろとろになって、あなたの熱に毒されてしまいました!」「これからもずっと、可愛くて愛おしい『ふたりのペット』を……好きなだけ愛でてあげてくださいねぇ♡」
……ジエンがそんな言葉を口にしたのは、妹がようやく手に入れたものを、姉である自分は相変わらず観察することしかできない。
―――――その構図が、少しだけ気に入らなかったからだ。