DB Another Love Story 作:Roland
第6話
アニスが宇宙船の入り口からひょっこりと顔をのぞかせて言った。
「――なぁマジュニア。黒い小さな箱どこかで見なかったか? 確かあの中に……、あっ!」
そう叫んで宇宙船から駆け出たアニスは、驚くほどの速度で飛行してくる男を凝視する。どうした、というピッコロの声も耳に入らぬまま声を荒げる。
「サイヤ人だろあいつ! 完ぺき悪人顔だぞ!」
ベジータはアニスの前にスタッと降りて来るなり言った。
「――おいおい、こんなガキだったのかよ」とまっすぐな背筋で腕を組み、尊大にあごを上向けて、きょとんと目だけ見開いている。
「――とんでもねぇ…悪人顔が……来やがった……ものすごい顔だ……」
アニスの言葉に、は? とベジータは首から上をやや突き出して、世にもまじめな顔になった。
「……おまえは、サイヤ人の特徴をすべて持っている。尻尾はないようだが、ソンと一緒で取れたのだろう」とアニスは相手の髪からはじまり顔面を集中的に眺めている。
「ほお、サイヤ人をよくご存知のようだな」ベジータは周囲の者たちをぐるりと見回して、皮肉に続けた。「……で、お前らは何をのんきに突っ立ってやがるんだ? こいつと仲良く漫談中か?」
クリリンが答えた。「今から自分の使命とやらを話すみたいだぞ。とりあえずベジータも一緒に聞けよ、オレらも…
「いや、ベジータは帰ってくれ」とピッコロがさえぎった。
「わざわざ俺は戻ってきたんだぞ、お前らがのんびりしているようだからな」
「手順を踏んで進めてるんでな。お前が戦うほどの、相手ではなかろう」
「別に俺が戦っても問題ないだろうが」
「お前の出る幕ではない。そもそも敵ではないからな」
「…は? なに言ってやがる、敵だろうが。邪悪な気だぞ」
「その辺は俺らが判断する。だからお前は、帰ってくれ。俺らでどうとでもなる」
ピッコロは執拗に食い下がり、ベジータは不可解な面持ちである。ともに目にいらだちの色を乗せて互いを見すえている。ベジータが言った。
「なぜ俺を帰らせようとするんだ? 何か理由でもあるのか」
「理由はさっき言った通りだ」
アニスは言った――「おいおい、帰らせねーぞ? とりあえずソンは後回しだ、まずおまえからだ」
それは一瞬の出来事だった。アニスは相手の心臓めがけて気弾を放った。とっさに飛び上がったベジータのはるか後方で、山が爆音とともに砕け散った。状況の急転にあっけにとられる面々をよそに、怒気のこもった顔でベジータは返す。「――貴様、よほど死に急ぎたいらしいな」
「ツフル人の恨みを思い知れ!」とアニスは長年あたためていた決め台詞をようやく口にした。
空から気弾を打ち返すところだったベジータの手がピタリと止まった。「なに?」と目を見開いた彼は、攻撃しかけるアニスを制止する――「ちょっと待て!」
「今、ツフル人と言ったのか……?」と言いながらベジータは地面に降りた。
「ツフル人なのだ私は。サイヤ人のおまえは、当然よくご存知だろ?」
「惑星ベジータで、すでに絶滅したはずだぞ……それにお前、ずいぶんデカイじゃないか」
「そこまでデカくねぇぞ。170あるかないかくらいだ。まあ、体のバランスが何しろトップモデル並らしいのだ。よく言われる。そのせいで、もっと高く見えてしまうみたいだ……フッ」
「……。……170センチのツフル人だと?」とベジータは、少しの無言をはさんだあとそうつぶやいて、「奴らの身長は、サイヤ人や地球人の半分程度のはずだ……」
「私は突然変異か、もしくは栄養状態良好だったからかもな。それか惑星プラントにいたツフル人はサイヤ人に搾取されまくってたせいで、だんだん体が縮んだんじゃねーの」
「なるほど、お前は他の星で生まれた訳か。まあ当然だな。何しろサイヤ人が奴らを絶滅させたのは48年前だ。お前の親は他の星に逃れて生き延び、そこでお前を産んだ、というところか……」
「逃げたわけじゃねーぞ、その前から既に移住してたんだ。でもおまえたちサイヤ人の横暴に立ち向かう為に父は惑星プラントに戻ったんだぞ」
「で、サイヤ人に殺されたという訳か……くくく」
「ケ、違うもんねー! 単なる病死だもんねー! 重症負わされる度にコズモポリシオンに戻って回復して、再び戦いに行くっての繰り返していた。だが結局、惑星プラントは隕石衝突で消滅してしまったがな。どちらにしろ父はコズポリで治療中だったから、絶滅と隕石衝突の2つから助かったのだ」
仲間たちが二人の会話を黙って聞いているなか、クリリンはしびれを切らしたように口を開いた。「――惑星プラントとかコズポリとかコズモポリシオンとか何なんだ? コズポリってコズモポリシオンの略だろうが、今は略すのやめてくれねぇかなあ」
「そういえば、使命について話すことになっていたな。ついでだから、こうなった経緯についても話してやろう。長くてややこしいからって途中で寝るなよおめーら」
そうしてアニスが語り始めた内容とは――
彼女が生まれる前、若き両親は故郷から『コズモポリシオン星』に移住した。ツフル人である両親の故郷は『惑星プラント』。高度な文明を持つツフル人により繁栄を極めた星だった、突如サイヤ人が乗り込んでくるまでは。父は故郷を救うため惑星プラントに戻りサイヤ人に戦いを挑む日々だったが、やがて先住民族ツフル人は戦いに破れ絶滅した。彼らの故郷は惑星プラントから『惑星ベジータ』へと改名されサイヤ人の星となった。コズモポリシオン星に一時退避し治療中であった父は絶滅から逃れ、その後起こった隕石衝突による惑星ベジータ崩壊からも、逃れることが出来たのだ――
「……というわけだがな、起きてるかおめーら」
起きてるぞ? とヤムチャが答えた。「つぅか別にそこまでややこしい話でもないぜ。すぐ終わったしさ」
「お前の父親は運のいい奴だ」ベジータが腕を組みながら言った。「入院してたおかげで助かるとは情けない話だがな……くく」
「父は強かったんだぞ、運も実力のうちって言うだろ」
「あと惑星ベジータが消滅した原因は隕石衝突じゃない。まあ37年前の事だから、お前は知るはずもないが」
「……隕石じゃないのか?」
惑星ベジータ消滅の十数年後に生まれたアニスは親から伝承された話に頼るほかなく真実を知らない。そして彼女の親は故郷が消滅した真の理由までは知り得なかったのだ。
「フリーザという奴が破壊したんだ」
「誰か知らんがけしからん奴だな。ところでおまえの名前、ちょっと気になったんだが……まぁ私の故郷にはベジータだらけだが、しかしおまえの場合サイヤ人でなおかつベジータだしよ……」
「なに……? 故郷がベジータだらけだと……?」
「ああ。半グレにベジータが多すぎて、もはやベジータがベジータを狩ってる有様だ。サイヤ人に憧れるDQNな親が子供につける名前なんだよ。歴史の教科書でしか知らないから美化してんだろ。サイヤ人と名乗ったソンも、その類の者だと最初は思ったんだがよ」
「えぇ、サイヤ人に憧れてえ?」と驚きの色を示す悟空にベジータが言った。「くくく……カカロット、俺たちはどうやら羨望の的らしいな」
「DQNから羨望されても嬉しくないだろ」アニスはため息混じりに言った。
「ドキュンってなんなんだ?」クリリンは真剣な目でたずねた。
「パリピ進化系、とでもいえばいいか」アニスはパッと浮かんだことを口にした。
「あ? パリピってなんだ?」クリリンはまた聞いた。
「なんでなんでマンかよ、おまえは」アニスは呆れ顔で言った。
「ヤムチャさん、ドキュンとかパリピって何すか? ヤムチャさんなら分かるんじゃ……?」
「いや、俺もわからん」とヤムチャは困惑気味に答えたあと――「しかし教科書に載ってるとはすげぇな。どんな風に書かれてんだ? キミは教科書でサイヤ人の特徴知ったのか? 他のサイヤ人には会ったことないよな?」と続けざまにたずねた。
「会ったことはないが、父が所有するサイヤ人の資料で学んだのだ。教科書にはイラストが多い。文章はどんな感じだったかな……いま、思い出しているところだ」
「……いやあのさ、そろそろ話まとめないか?」とクリリンが話をさえぎった。「結局オマエの使命ってのは、ツフル人を滅ぼしたサイヤ人に復讐するってことだな? サイヤ人の悟空やベジータを殺るのが目的で、地球自体をどうこうする気はないっつーことでいいのか?」
「ああ。さっき山を壊してしまった件は謝っておこう。地球の素晴らしいアートなのにな。私はサイヤ人を倒せと言われて育ったのだ。サイヤ人の生き残りがいることを父は知っていた」
「お前の気持ちはどうなんだ」とピッコロがアニスに問いかける。「別にお前自身がサイヤ人に対して、殺したいと思うほど恨みを抱いている訳ではないんじゃないのか。単に父親に頼まれたから、守らなければと考えているだけで」
「私はサイヤ人殺す気満々だぞ。実際、地球に近づいた時点で邪悪な気だったんだろ? それが私の心を証明してると思うがな」
「お前の邪悪な気というやつは、簡単に消え去る程度のものらしいがな」とピッコロは返した。
「すぐ復活するんだからいいだろ別に」と両手を腰に当ててアニスもすぐにやり返した。
短い間をおいてピッコロはたずねた。「サイヤ人が地球にいるとなぜ分かったんだ。父親が知っていたのか?」
「父は場所までは知らないよ。占い師やってる念力みたいなの使うお年寄りに聞いたんだ。まさか到着早々に2人も見つかるとは思わなかったけどな」
「孫に会って、多少は心変わりしてきているんじゃないのか」
「……父は、サイヤ人を自らの手で倒せなかった無念を残して、死んでいった。だから子供の私が、その責任を果たさなければいけないんだ。ソンがいくら善良な人間だとしても、関係ない!」
「責任とはおかしな話だな。父親が失敗した責任を、お前が負う必要はないだろ」
「おまえな、ああ言えばこう言うってのやめてくれないかなあ……。とにかく父の無念を晴らさなきゃダメなんだよ、私は」
アニスとピッコロの会話に、ベジータが割り込んできた。
「ぐだぐだ言ってないで、さっさとかかってくればいいだろう。俺と戦いたいのならばな」
「さっき攻撃してたとこなのに、おまえが止めたんだろ。だからこんな展開なったんだろ」
しばらくのあいだ沈黙していた悟空がアニスに向かって、「事情はわかったけどよ。でもおめぇさ、考えなおしてくんねぇかなぁ……。ベジータと戦っても、殺されちまうだけだぞお」と言って困惑の表情を浮かべた。
「私は死ぬ覚悟できてるんだが? 戦いとは、そういうものだろ」アニスは得意げに返した。
「こらガキ、俺様に相手してもらえるんだ、光栄に思えよ」とベジータが、まるで棒読みみたいな口調で言った。
「今おまえが着てる戦闘服は、ツフル人の発明品だという事を忘れるな。しかもおまえ、どうせ惑星ベジータ王の関係者かなにかだろっ!」
「おいおいおい何言ってやがる……関係者というか、俺は王子だぞ?」
「ほお。ツフル人殲滅を計画したあの張本人の息子だな」
アニスは言い終えると即座にベジータめがけて気弾を放った。彼女の攻めは常に迅速である。
「……やめろっ!」と怒鳴ったピッコロがアニスの腕を引っつかむも振りほどかれた。
ピッコロに向けてアニスは明快に、自信たっぷりに返答する。「あのな、これは私の問題だぞ? おまえにとやかく言われる筋合いはない! 邪魔するな!」
飛び上がって気弾を避けたベジータは、宙に浮いたまま、にこにこした顔でアニスを見下ろしていた。「くくッ、ガキの分際で一丁前の技を持ってやがるな」
「さっきからガキガキ言うけど、私はガキではないぞ」
と言うやいなやアニスはサッと飛んで相手の攻撃をかわす。直後、凄まじい爆発音が響いた。背後にあった宇宙船がベジータの打ち返した気弾で砕け散った。
「――あっ! おまえっ……!」
「ほぉ~、動きもなかなか素早いじゃあないか」
「よくも宇宙船壊しやがったなテメェ――!」
「しばらくは帰れなくなったあ? 俺を倒すまで地球に居候か? くくッ……」とベジータは終始、笑みを浮かべている。
アニスは上空のベジータに猛然と襲いかかった。横蹴りをしかけ、相手の避ける軌道を予測しそこに気弾を打った。ベジータはとっさに逃れたものの、肩先が射ぬかれ血がにじみ出た。
「ちっ、貴様……!」
ベジータの顔から笑顔が消えた、彼はアニスの腹部に足を蹴り上げた。交差させた腕で受け止めた彼女の背後にまわり込み、そこから片手で相手の体を押さえ込んだ。もう一方の手には気を溜めはじめる。ベジータの力強い腕からアニスはいまにも脱け出す勢いだ。彼女もまた両手の平を背後のベジータへ向け、持てるすべての気を溜めだした。ベジータの片手が解かれそうになった時、地上のクリリンが大声で叫んだ。
「おーいベジータぁ! なんで変身しねんだよぉ――、スーパーサイヤ人なら余裕だろぉ――」
アニスは声の主を見下ろして言った。「スーパーサイヤ人? 新手のギャグか?」
「こんなガキ相手にスーパーサイヤ人とはな……くそッ」と変身し始めるベジータ。……ズアッ!
ほぼ同時に、悟空とピッコロが二人の間に躍りこんだ。
「そこまでだ……!」とピッコロは彼らの体を引き離し、すでにスーパーサイヤ人となっている悟空がベジータを背後から抱き込みそのまま数メートル後退した。ベジータは叫ぶ。
「……オイッ! なぜ止めるんだ!? あいつは敵だぞ!」
「まぁ落ち着けよベジータ~」と悟空が軽い調子で、やや声を高めて言った。
アニスの視線は目の前にいるピッコロを越え、ベジータたちを見据えている。
「フッフッフッ……ちょうどサイヤ人が固まってやがる、まとめて始末してやるぞ!」
気を溜めた手をまっすぐ相手に向けてアニスは狙いを定めたが、背後へ移動したピッコロが彼女の手首を後ろからつかんで下げさせた。
「――おいおいマジュニア! 止めてんじゃねーぞっ!」とアニスは力まかせに手を振り上げる。
その手をふたたび下げようと、背中にぴったりと身体をつけたピッコロがぎりぎりと歯を食いしばって渾身の力を込める。
「……チッ、おいコラっ、おとなしくしろっ」と、押され気味のピッコロが荒々しく言った。
アニスの力は強い。しかし腕を振りまわし手首をひねって彼女が拘束から脱しかけたとき、相手の動きを自分に都合よく導いたピッコロが行動の先を読み、羽交い締めの体勢へと転じた。とはいえ、凄まじい腕力を持つアニスを制する役目は彼の体力に大きな負担を強いていた。
「こ…これでどうだっ……!」とピッコロは精一杯振り絞った声を吐き出した。片目はきつく閉じられている。
「これでどうだじゃねーぞボケッ!」とアニスが怒鳴りつけた。ピッコロの腕が腋の下を通り、そのまま手首をつかまれ頭の後ろで組まされていた。
ピッコロは力加減や角度などの微調整を重ね、一番しっくりくる形にようやく落ち着いたらしく、
「――ククッ……! 腕力よりも頭を使った俺の勝ちだっ」と、彼にしては珍しくはしゃいだ口調で言った。
アニスは腕が動かせない。痛恨の叫びが唇から洩れた。「くっそ――! 離せや――!」
「ピッコロおー、大丈夫かあー」
と、悟空の声が風に乗って二人の元へ届いた。アニスと同じような状況に置かれたベジータは、『たかが1人のガキ』に肩を切られて怒り心頭らしく目が血走って、ギリギリと歯ぎしりする歯をのぞかせて、殺気に燃えた顔で、悟空の腕の中からこちらを睨んでいる。
相手を睨み返すアニスを羽交い締めしたままピッコロはぐるりと後ろを向いて、「ベジータは捨て置け」と声をかけた。
「なんだよあいつ、煮立った鍋かよ。だが私は戦うぞ」とアニスはうんざりした声色で言った。
「あいつの戦闘力が分からんのか? お前は気を探ったり、抑えたりはできんようだな」
「それは練習中なんだよ。……普段は気を抑えて戦う時に一気に開放するんだろ? おまえ出来るのか?」
「俺だけでなくここにいる全員が出来る」
「とにかく、あいつらが強そうなのは分かるぞ、大猿以外にあんなピカピカにも変身できるんだしよ。サイヤ人が他に変身形態を持つとは知らなかったけどよ」
「あれは一部のサイヤ人のみだ、スーパーサイヤ人というやつだ。お前が勝てる相手ではない」
「スーパーサイヤ人は私も聞いたことがある。伝説の存在らしいな。それが……2人もここにいるってか? 嘘ついてんじゃねーぞ!」
「フンッ、そんなに死にたいなら止めはせんがな」
「だから止めるなよ! 今がチャンスなんだぞ! あいつら固まってんだからよ!」
「……人生をおもいっきり楽しむんじゃなかったのか。死んだら楽しめんぞ」
「あの独り言を聞いてやがったかっ、勝手に聞きやがって!」
「勝手に聞こえてきたのだ。人生を楽しむ方向に今すぐ頭を切り替えろ。それがおまえの真の望みじゃないのか」
「使命果たさぬままじゃ人生楽しめねーだろっ」
アニスは、「ハァ――ッ!」と声を張り上げ全力で背後のピッコロを振りほどこうとする。彼女の体を押さえている腕が緩みそうになって、「くっ……」とピッコロが歯を食いしばる。
「おーいピッコロぉ―、大丈夫かあ~」と悟空がふたたび叫んだ。ベジータの「くそお――!」という空気を切り裂く怒号をも響いてくる。
ベジータのわめきに応じるようにアニスは彼らのほうへ向きなおり、「クソ野郎があ――!」と敵の顔に怒りを爆発させた。ピッコロは連動する守護霊のようだ。次の瞬間には、なんと! あっという間にアニスは羽交い締めからすり抜けた。が、駆け飛ぶ寸前にまたも捕まった。
ずっと唇を噛みしめていたピッコロの口が開いた。「チッ……! 抵抗するなっ……!」驚異的な持久力を持つピッコロだが、そろそろ限界に近いのが口調からもわかる。
アニスのパワーを全身で受け止めながら、ピッコロはきりきりと歯を噛んで、決死の形相で彼女にブレーキを掛け、さっきと同じ方法で羽交い締めの体勢に戻った、すっかり要領を得たように。
地上のほうでは、早くベジータを解放しろとぼやく声のなかに、絶対離すなよ悟空とこぼす者がいた。ヤムチャである。戦闘力において、今、空にいる四名に到底及ばぬ彼ら戦士たちは曇天の空に顔を向け、ことの成り行きを見守っている。
天津飯がピッコロのもとへ飛んできながら言った。「――加勢するぞっ」
「い、いや……、まずは地上に降りる……」
そう答えるピッコロにはたして策はあるだろうか。