※この作品はR-18です。

子宮の中の宇宙   作:桜吐和堵 / フリッツ

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とある領主との一件


そうだリーリアを食べよう

ギィィと建て付けの悪い扉を開く。石造りの家屋の二階。この小部屋の窓から外をみれば、広場が見渡せる。その窓の辺に一人、女が立っていた。

 

風に靡く銀の長髪、物憂げな色を見せる白い肌、引き締まりながらも女性的な主張を隠しきれない腰首から脚、そして不釣り合いなほど豊満に聖職衣を引き延ばす大きな乳房。

陽光に射し込まれた銀は閃き、アメジストの瞳がこちらを眼差す。

 

「やあやあ、お忙しいところお待たせしてすまないね、浄化の姉妹」

 

男はぬめついた口角を釣り上げ、不快な声で語りかけた。

 

「いろいろ手を回すのにも手こずってねぇ。市民の皆にも納得いくよう説明するのは些か骨が折れるよ」

 

そう言いながらゆっくり、女の方に近寄っていく。女の方は少し伏し目がちに沈黙している。

 

「なにせあれほどの失敗をしたのだからね。市民が怒るのもよく分かるよ。キミはそのことについてどう思うのかね、リーリア?」

 

男はリーリアの鼻に息がかかる距離で話す。彼女は少し顔をしかめたように思えたが、変わらず物憂げな表情で答える。

 

「言い訳はありません。領主様のご好意感謝致します。」

 

領主は満足そうに鼻を鳴らす。広場からは遠く、多くの市民の声が上がっている。

 

「そうか、分かってくれるなら僕も嬉しいよ。賢いキミなら、ここに呼んだ意味も分かるよね?」

 

リーリアは目線でだけ、部屋の中を向く。最低限の物しか置いてない部屋の中には、明らかに装飾が合わない絢爛なベッドが置かれていた。

 

「領主様を満足させることができれば、ハーニャも助けていただけますか?」

 

広場の方の声は、怒号と嘲笑に沸いていた。その中に一つ、女の悲鳴が混ざっている。

 

女は成人と言うには慎ましい控えめな裸体を青空の下で晒し、枷に首と手を拘束されて喚いていた。それもそのはず、市民は狂ったようにその幼げな少女を辱めていた。浅いブラウンの髪を大きなおさげにしていた先端からは、どろっとした白い液体が垂れている。彼女の顔は精液と涙でぐちょぐちょだった。

 

「もちろんだとも、キミが”ああ”なってたときも僕が助け出したろう?なあに、終わりもなく不特定の人間に辱められるよりは幾分もマシなはずさ」

 

領主はリーリアの後ろに回り込み、肩を撫でる。耳元で不快な声を響かせながらの接触は、並の女性ならば嫌悪に体を強張らせるだろう。しかしリーリアは浄化の姉妹である。日頃より退魔に駆け、頭身の何倍もある化け物を相手取ってきた。たかだか人の息など羽虫ほど些細である。

 

領主の太く毛深い指が、リーリアの口に差し込まれる。もう一つの手は、乳房を乱暴に貪る。リーリアは指で舌を転がされた。彼女は寡黙で物静かな女である。領主はそこに付け込む余地を見出した。

 

「んっ…ちゅ…はぁ…」

 

リーリアは甘い吐息を吐く。領主はそれに気分を良くした一方で、少しだけ訝しんだ。やけに反応が早い。女というものは最初こそ嫌がる素振りをみせるが、本能からか次第にカラダが仕上がってしまうものだ。しかしこの娘はまだ少し触れられたぐらいである。淫売の気はないと踏んでいたのだが…。

 

領主が口に入れていた指を引き抜き、リーリアの股に手をやると、リーリアははじめて体を動かし抵抗した。浄化の姉妹だとて女。その力は人にはさほど通用せず、ましてや男の力だとすれば敵うことはなかった。リーリアは領主の指を黒い下着に招いてしまう。クロッチはしっとりと濡れていた。

 

「なんだね、これは?」

 

領主は呆れて問いかける。リーリアは顔を背けて何も言わない。この娘は期待していたのか。今まで幾度も似たような仕方で女を抱いてきたが、そそを濡らしている女などはじめてだ。

 

領主は強引にリーリアの衣服を剥ぎ取った。清貧な修道を務めているとは思えないほど、豊かに実った胸が空気に晒される。下から持ち上げるように揉み上げ先端を摘まむと、リーリアは小さく声を漏らす。やはりだ、何と脆弱な貞操観念なのか。領主は後悔した。これならば輪姦から助けない方が良かったではないか。

 

怒れる気持ちのままリーリアをベッドにうつ伏せで押し倒すと、靴以外に唯一残った下着を剥ぎ取り、努張りを下ろして有無をえわさず挿入した。リーリアはあまりに鬼気迫る強姦に喘いだ。領主はリーリアの美しい髪を引っ張り激しく突き上げる。

 

「ああっ、あっ、はぁっ、はぁぁっ、あっんっ」

 

リーリアは痛みに歓喜した。領主は頭に血が上った。この娘はこんな強姦紛いの行為で、嬌声をあげるのだ。怒りにまかせ、リーリアの頭を掴みベッドに押さえつけた。声が籠もる。息ができない。リーリアは手をバタつかせる。領主は判断が回らなくなっていた。何度も打ちつけていた。リーリアの手が動かなくなってから、しまったと思い、仰向けにする。

 

リーリアは妖艶に笑っていた。目を細め、頬を染め、深く息を吸い込み、艶を吐いた。何だこの娘は。領主は少し気圧されていた。しかし領主のプライドが許さなかった。正常位の姿勢で再び挿入すると、激しく腰を振った。リーリアは喘ぎながらも手で顔を隠す。耳は真っ赤に染め上がっている。

 

「中に出すぞ!おい、いいのか?もし妊娠したら、お前の使命をまっとうできなくなるぞ?それでいいか?」

 

領主は知っている。浄化の姉妹たちには不妊の加護がある。それがあればどんなに精液を流し込まれようが懐妊することはない。人目を盗み、生活費を稼ぐシスターも存在する。神に純潔を誓おうと、皆が明日生きていく身銭を稼ぐために身を売る者もいるのだ。だからこそリーリアに取り入れると思ったし、ハーニャが回されていても妊娠という面では問題がない。

それでも聞くのは、今頭が回っていない状態での女の反応が見たかったからである。

 

「…んっ、はっ、はぁぁ、んっ、ん」

 

答えはなかった。リーリアは変わらず顔を手で隠し喘ぎ続ける。領主は限界だった。

 

「ッー……――はぁ、はぁ、はぁ」

 

吐精した膣から陰茎を引き抜くと、僅かに溢れた精液が垂れた。リーリアは顔を隠したまま息を整える。それに合わせ形の良かった豊満な胸は柔らかく上下し、反り立ったピンク色の先端を主張している。

リーリアは手を目元からずらし、領主を見た。目が合う。手で隠された口元は、領主からは見えなかった。

 

「少し趣向を変えよう。来たまえ。」

 

領主はローブを身に纏いリーリアを手招く。リーリアは胸を隠すようにベッドのシーツを引いて包まる。ポタポタと精液が地面に垂れたが、気にせずついていった。

 

 

そこは屋敷の地下に繋がっていた。暗い石造りの洞窟を、壁の松明が点々と照らしている。リーリアは領主の腕にしがみつき従っていた。

しばらくすると、小部屋に辿り着く。戸を開け中に入る。するとそこには、拘束具、三角木馬、蝋燭などが散らばった空間だった。リーリアは目を見開く。

 

「あぁ、ここではない」

 

領主は踵を返す。リーリアは領主の顔を見ようとするが、行ってしまったので後を追うしかできなかった。

 

「こちらだ、キミに相応しいのは」

 

そうやって領主が案内したのは、植物を育てる温室のようなところだった。地下だというのに温かく、湿気ておりカビ臭い。リーリアは先ほどの部屋と思い比べて疑念が拭えなかったが、それを見てハッとした。

 

魔物である。蔦状の蔓を振り回す魔物。大きな花に寄生している。先ほどのカビ臭さと打ってかわって、強烈な甘い匂いがする。

リーリアは己の無警戒さを嘆いていた。今は杖がない。もしこの領主が外なる者の信奉者であったなら、このまま始末されて終わりである。リーリアは逃げようとするが、領主に体を押さえつけられる。

食べられてしまう――

 

「おいおい、勘違いしないでくれ。コレはちゃんと調教してある。キミも医療用ヒルは知っているだろう?魔物も危険性を理解して取り扱えば良薬となるのだよ」

 

領主が言うに、一部の魔物は人にとって利益をもたらすという。ある地には乳房を膨らませる魔物もいるらしい。確かにリーリアもかつて、男根のようなものを生やされたことがある。その際はハーニャが優しく治療してくれたから良かったものを…

 

「これは気分を昂ぶらせる蜜を出してくれてね。まあいわゆる媚薬というやつなのだが、これを一度煽ると、嫌悪を示していたどんな女でも忽ち蜜を垂らして、男のモノを懇願してくるようになるのだよ」

 

そういって領主は後ろから、リーリアの胸を弄ぶ。リーリアは艶をあげた。口から涎を溢す。それでもリーリアはバレまいと、領主から顔を逸らした。愛液がぽたぽたと垂れていた。

 

「さて、とはいえ、キミは帰ってくれて構わない。何時間も浄化の姉妹を引き留めているのは心苦しいからな。ハーニャを解放するよう尽力すると誓おう。さあ、帰ってくれたまえ」

 

そういって手をリーリアから離すと、出口の方へ手を差し出す。リーリアは動かなかった。ただ伏し目がちに、魔物を見ていた。

 

「どうした?信用ならないか?僕はキミを解放したろう、嘘は言わない。確かにこの魔物は雌に極上の体験を与えてくれる。しかしそれはキミには関係のないことだ。キミはハーニャのために、僕に身を捧げた。立派に役目を果たしたのだ。僕も約束を守る義理はある。だから早く教会に戻り、普通の生活に戻るのだ。さあ、ハーニャが待っているぞ、さあ」

 

リーリアは歩き出した。魔物の方に、一歩ずつ。

領主は呆れた。彼は心こそ清純なシスターをようやくこの手で穢せると思って期待していたのだ。しかし目の前にいるのは、ただ快楽に悦ぶ卑しい雌であった。魔物はリーリアに取りつき、乳首を舐めあげ、性器を嬲った。領主は付き合いきれず、響く嬌声を背に部屋を後にした。

 

 

数時間して閃いた領主は、宝具を手にしてリーリアの元を訪れる。リーリアは変わらず喘いでいた。涙を流しながら、膣に出し入れされる蔦をびしゃびしゃと濡らしながら、喘いでいた。リーリアは領主に気づくと、顔を逸らした。声は明らかに嬌声のそれだった。

 

流石の領主も回復してそれを見れば、興奮を禁じ得なかった。魔物を制する電流を流す。魔物はのたうちまわり、リーリアは悲鳴をあげた。領主は魔物が彼女を手離すより先に、蔓から引き剥がし地面に倒すと、そのまま挿入した。リーリアはカラダを逸らし悦んでいた。魔物が力を振り絞り、蔦をリーリアの口に差し込んだ。リーリアの頭は蕩けて何も考えられなくなっていた。ただ快感だけが、腔内と膣内に拡がっている。

 

領主は何度もリーリアの体位を変え楽しんだ。リーリアは木の机に手をつき、喘いだ。その上に、ピンク色の水晶のようなものが目に入る。リーリアは快楽で頭がいっぱいになりながらも、ぼーっとその水晶を見つめた。領主の陰茎が膨らみ、精液が流れ込んでくる。リーリアは幸せだった。

 

領主は立てかけてあった鉈を手に取り、リーリアの腕を切断した。

 

一瞬、何が起きたか分からなかった。遅れて痛みがやってくる。リーリアは悲鳴をあげ、転げるように後ずさった。領主はリーリアの腕を拾うと、切断面の方からムシャムシャと齧りついた。口から血飛沫が拡がる。リーリアは後退し続け、魔物に背中を取られた。次の瞬間、腕と太股の付け根を蔓に締め上げられ、身動きが取れなくなる。リーリアは危機を実感した。ダメだ、もう逃げられない。

 

領主はリーリア前で腕の肉を食べ尽くした。魔物の蔓は、うっ血するぐらいリーリアを締めている。血の気が引いていた。領主はリーリアの首元に鉈を当て、片手で太股をあげ、挿入した。何か琴線に触れたら、そのまま首を跳ねられてしまうとリーリアは直感した。リーリアは強く、膣を締め上げた。それは雄を喜ばせるための命乞いだったのかもしれない。それとも単に、命の危機に瀕した震えだったのかもしれない。

 

蔓がリーリアの口に入り、肺に到達して胸ごと貫いた。声に血が混じる。領主はリーリアの首元に噛みついた。その歯は骨に到達し、動脈を引き裂いた。痛みは通り越して感じない。ペチャペチャと食らいつく音が他人事のように聞こえた。リーリアは冷たく熱く、意識が遠ざかっていった。膣に流し込まれる精液に温かさを感じた。声が聞こえる。

 

「子を産ませる肉袋に手足は要らないのだが、魔物と融合すれば命だけは助かるかもしれない。さあ願え、お前は生き残り、ハーニャを救うのだろう。不妊の加護を外せば、これから一生母胎として使ってやる。許された時間はない。眠ればもう二度と目覚めることはないのだ。」

 

誓え、お前の神は何だ?お前の役目は、何だ?

 

 

リーリアは注ぎ込まれる精子に感謝した。白と黒の狭間、ふと立ち尽くす街路、冷たき暗闇に後ろ髪を引かれて振り向くと、空虚が広がっていた。宙である。この街灯より先にいけば、光もない外の世界が待っている。リーリアは笑っていた。手を拡げて清々しく背伸びした。今にも駈けていきたい気持ちをぐっと堪え、そこを後にした。

 

歩みは段々と泥濘に取られた。生臭い精液の臭いである。リーリアは気持ち悪くも心地良い温かさに沈んでいった。息ができなくなる。リーリアは黒と白、どちらも好きだった。まだやることがある。陰茎を感じ、精液を感じ、快感を覚えた。感覚が蘇ってきた。腕がある。息がある。肉を感じる。リーリアは気持ち良さに深く深く絶頂し、カラダをビクビクと震わせた。

 

 

 

領主は恐怖した。今、自分は何を見せられたのだ…?

この宝具は見つめた者の欲望を見せるのだ。この宝具は今まで、見つめた女たちの卑しい本性を曝いてきたのだ。だからこそ恐怖した。畏怖し、震えが止まらなかった。

 

ボクハカノジョヲタベテシマッタノカ?

 

リーリアは尻餅ついて失禁する領主を静かに見据えた。まだ行為の高揚が尾を引く妖艶さを纏っていた。艶でつむんだ唇を開く。

 

「ハーニャのこと…よろしくお願いします。」

 

領主はその言葉で我に返り、「あぁ…」と空返事した。リーリアが領主に手を差し伸べ、領主は手を取る。とても華奢で小さな手だった。これで我々よりも何倍も大きな魔物を屠っているなどとは思えない。

しかし先のヴィジョンで確信した。この娘は確かに、魔物祓いの狩人である。

 

領主は約束通り民に手を回し、ハーニャを解放した。ハーニャは先ほどまで泣きじゃくっていたのに、カラッとした笑顔でリーリアを迎え入れた。

 

「きっと助けてくれるって信じてましたよ」

 

リーリアはハーニャに上着を羽織らせると、肩を取って見世物台から降り、群衆を掻き分け消えていった。ハーニャは一度として侮蔑に応酬せず、辱めに堪えきったのだった。

 

なるほど、力ではない。浄化の力だけがあの姉妹達を支えているのではない。その高潔な意思が、彼女らに力を与えたのだ。

果たして神とは何なのだろう。試練を与え、一方では機会を与える。神は人をどうしたいのか。一枚岩ではないのだろうか。信仰とは何か、分からなくなってしまった。

領主は手にした宝具を見つめ、問いかける。

 

 

 

そのひと月後、浄化の姉妹に任務が入る。「アルセゾンの地にて忌み子の呪いアリ、これを対処セヨ。」

リーリアは不妊の加護をかけなおし、ハーニャとともにその地へ向かう。これから待ち受ける死の誘惑を、今は知る由もなく―――

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