俺はネットにアナログのイラストや四コマなどを上げてる者なんだが。
まだ全然ヘタクソなんだけど、いいねつけてくれる人もときどきいる。
ちょっとだけどフォロワーも増えてきたので、ちょっとうれしい。
で、その中にひとり、英語でいつも好意的なコメントをつけてくれる人がいて。
俺はかなり舞い上がって(これは経験したらわかるけどマジで舞い上がるんだよ)、翻訳サイトを
そうやってやり取りをしていたある日。
その人から「日本に留学することになったので会いたい(意訳)」というDMがきた。
名前は、
俺はかなり迷った。
正直、ホメすぎじゃね? という気持ちはある。
すいません! ごめんなさい! 底辺絵師の俺、そこまでのもんじゃないんです! って申し訳なくなる。
会ってガッカリされたくないってのもある。
ご想像どおりの陰キャだからさ。
下心アリアリ感がみっともない、とも思った。
……ネカマかもしれないが。
ま、それならそれでいいか。
悩んだけど、結局会うことにした。
やっぱり、舞い上がってたんだと思う。
「コニチワ~。ハジメマシテー。
ゆったりしたセーターにロングスカートで、色味も落ち着いていてオトナっぽい感じ。
髪は肩まで。ウェーブがかかってて、黒に近い茶色。
背が高かった。俺より少し高いくらい。
金髪じゃないけど、外人だ……! って思った。
そして……、
眼鏡っ子だった!
「……はじめまして。オナザル衛生兵……です」
このときほど自分の
とりあえず、歩いていて見つけた(ふりをしたが下調べはしていた)ちょっとおしゃれなカフェに入った。
席に着くなり、
「オナザル=サンの
「あ……ありがとうございます」
うれしいのはうれしい。
けど……ちょっと自重して……?
「女の子がとっても
「あ、はい、どうも……」
どうか、周りに配慮して……?
「『
「……すいません……」
お願いだから、俺に配慮して……
――会話が途切れた。
目を上げると、
「...I'm ...I'm very sorry, ゴメンナサイ……」
「えっ」
俺が黙り込んだのを気にしてるのかな?
そう思ったが、違った。
「ワタシみたいな
「グロス・ギーク」っていうのは、「キモヲタ」って意味だ。
それを見て、思わずいっていた。
「そんなことないっ」
「What? ...Why?」
「だって、俺も……同じなんです。
俺も……底辺キモヲタチー牛だから」
今度は
「楽しくないんじゃないんです。
楽しくて、舞い上がっちゃって、それで嫌われちゃうのが……恐い、んです……」
胸の奥底からふりしぼるような気持ちでいった。
すると……
――え、嘘?
少し、はにかんだような表情で。
ネイルは、『尊厳凌辱委員長』のメインヒロインだった。
それから打ち解けた雰囲気になり、俺と
夢を語る笑顔がかわいかった。
俺はそのとき初めて、
……久しぶりに性癖が破壊されてしまったぜ……
会話が落ち着いて、そろそろ店を出ようかという空気になったころ。
「オナザル=サンはきっとチョーヤバイ
「いやいやそんなことはないです」
いつものことだと思ってそう返したんだけど。
「No, no! なりマス。ゼッタイ。
デスカラ……」
「そうなる前に、ワタシの絵を描いてクダサイ」
「どうぞ」
「オジャマシマース」
俺はアパートに
(部屋を片づけておいてほんとうによかった……)
もちろん、下心があったからだ。
そこは否定しない。
でも、ここにきて迷う気持ちはあった。
ファンの子に――しかも俺の場合、数少ない――手を出す行為は、やっぱりダメな気がしていた。
というより本音は、調子に乗ってフられるのが恐かったんだけど。
とりあえず、カーテンを全開にした。
これなら妙な雰囲気になることもないし、無実の証明にもなるよな?
まあ……そんなことにはならないだろうけど、さ。
イーゼルを立てて、スケブを置く。
ペン立てからお気に入りの鉛筆を手に取った。
それを見て、
「Wow!
「うん。俺はアナログ専門だから」
作品を見たらわかるものだと思っていたけど、そうでもないんだな。
なぜか、ちょっとくすぐったい気分。
「――どんなポーズで描いてほしいですか?」
俺は鉛筆の
芯の引っかかり具合や
そういう描き味って、作品の出来に大きく影響する。
俺はそう思ってる。ちょっと神経質かもしれないけど。
……返事がなかった。
自分の作業に没頭しすぎて、聞き逃しちゃったかな?
そう思って、顔を上げると――、
「うおあああっ?」
俺の目の前で、長いスカートが床にすとんと落ちた。
……
脚が長い。
やっぱ外人だ……。
淡い水色に紺の
おしりは小ぶりだけどまるくて、きゅっと
でも、腰骨がぐっと横に張り出している。
そのせいで、太もものボリューム感がアンバランスなんだけど……
アンバランスなのに、なぜかめちゃくちゃ刺さる……っ!?
「
ブラはパンツとおそろい。
谷間はできてるけど、どちらかというとちっぱいか……。
待て、……C、くらいは、ある?
俺の巨乳キャラとくらべるのよくない、ほとんどの女の子がちっぱいになっちゃう。
いやそういう話じゃなくて。
そうそう、
「……オナザル=サンの
それとも
「待って待って待って!!」
俺は開けっ放しのカーテンをあわてて閉めた。
「えっと、えっと、えっと……、
その、それは、だめです、だめ、だめですよ」
「どうしてデスカ?」
「……それは……」
「ワタシ……
たしか、下半身デブという意味だ。
いうほど悪いイメージではないし、向こうではむしろ需要もあるらしいけど。
まあ感じ方は人それぞれ……なのかな。
「
俺自身、いつも自嘲気味に使ってるその言葉。
「……でも、オナザル=サンはワタシにいってくれマシタ」
「……俺が?」
何を?
「――『俺も、同じ』って。
オナザル=サンほどのチョーヤバイ
カーテンを閉めたのは失敗だったかも。
薄暗く閉ざされた部屋、隙間から差し込む光に、
あのちっぱいに……あの太ももに、おしりに……
さわりたい……っ……
ふれてみたいっ!
でも……
ダメだ、ダメなんだ……そんなことは……!
ファンに手を出すなんてことは……
「……ワタシは、ありのままのワタシを、オナザル=サンに描いてほしいデス!
だって、アナタがワタシに、その勇気をくれたカラ!!」
――俺は、