※この作品はR-18です。

底辺絵師と海外のファン   作:ぷちゅぷちゅぬふる

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底辺絵師と海外のファン【後編】

 次の日は、KARLA(カーラ)さんのアパートを一緒に探した。

 今回日本にきたのは、学校が始まる前にいろいろ準備をするためだそうだ。

 準備を済ませたら、いったん帰国する。

 KARLA(カーラ)さんはそういった。

 

 いい物件が思ったより早く見つかって、その後は軽く観光。

 ヲタ外人向けのガイドなら任せろ。

 案の定、KARLA(カーラ)さんがいちばん喜んだのは、同人専門店だった。

 

「オナザル=サンも DOUJINSHI(同人誌)を置いてもらいまショウ!」

 ……だから、そんなに大声出さないでって……

 

 でも、はしゃぐKARLA(カーラ)さんを見るのは楽しかった。

 俺まで幸せな気持ちになるんだよね。

 

 楽しい時間が過ぎるのは速い。

「もう遅いし、そろそろホテルに戻ったほうがいいんじゃない?」

 そういうと、KARLA(カーラ)さんは子供みたいに口をとがらせた。

「……ひとりになるの、さびしいデース」

 

 ああ、そうか。

 大好きな日本といっても、家族も友達もいなくて、たったひとりきりなんだもんな。

 

「もうチョットだけ、アナタと一緒がいいデス……」

 指先で、俺のシャツの裾をつまんでる。

 

 ああーもう!

 

「じゃあ……もうちょっとだけね?」

 チョロいなー、俺。

 

 

 

 

 ぎゅっ。

 

 部屋に入ると、すぐにKARLA(カーラ)さんが抱きついてきた。

 そのまま、キス。

 

 背中に回された手が、俺の服をくしゃくしゃにする。

 俺も負けじとKARLA(カーラ)さんの体を触るんだが。

 

 外人のエロ動画、観(み)たことある?

 あんな感じ。

 

 体全体で触りたいし、体全体を触られたい。

 

「生き急ぐ」じゃなくて……イき急ぐ?

 

 いますぐイかないと死んでしまいます。そんな感じ。

 

 

 

 そんなふうにまさぐり合って、体をすり寄せ合ってるうちに、流れで背後から抱きしめる形になった。

 

 KARLA(カーラ)さんが壁に手をついて、俺を待つ。

 

 俺はスカートをまくり上げ、おしりを撫(な)でる。

 パンツをずり下ろし、おまんこを愛撫してあげる。

 

 腰をくねらせながら、KARLA(カーラ)さんが喘ぐ。

 

 イき急ぐ俺は、さっそく挿入。

 

「――ひゃっ♡」

 

 立ちバックは膝がキツいらしいが、KARLA(カーラ)さんは脚が長いので(俺の脚が短いので)、ちょうどいい高さだ。

 俺のペースも速くなる。

 

 ――パン♡ パン♡ パン♡

 

「あぅ♡ すっご♡ おちんぽすっご♡」

 

 ――パン♡ パン♡ パン♡

 

「あっ♡ 先生♡ 先生もっと突いてっ♡ 先生先生先生♡♡♡」

 

 先生?

 ……って、たぶん漫画家とか呼ぶときの「先生」じゃない気がする……。

 まあ、そこは掘らんとこう。

 

 ――パン♡ パン♡ パン♡

 

「あっ♡ あ゙♡あ゙♡あ゙♡ごっ゙壊゛れ゛ち゛ゃ゛う゛ぅ゛ぅ゛♡♡♡」

 

「俺も……イッ、イくよっ、KARLA(カーラ)さ……うっっ」

 

 ――しばらく息を整えてから、第二ラウンドが始まった。

 

 

 

 

 

 次の日。

 KARLA(カーラ)さんは俺の部屋にきた。

 俺たちはセックスした。

 

 次の日も。その次の日も。

 俺たちはいっぱいセックスをした。

 いろんな体位でセックスをした。

 

 

 

 

 KARLA(カーラ)さんは、何もいわなかった。

 

 ――約束した絵のこと。

 忘れてしまうはずはないのに。

 

 KARLA(カーラ)さんは、ひとことも催促しなかった。

 

 ずっと待ち続けていただろうに。

 

 それでも俺は、彼女の前で一度も鉛筆を握らなかった。

 ……ただの一度も。

 

 

 

 

 ――いよいよ、明日はKARLA(カーラ)さんが帰国するという日。

 

 いろいろな手続きにやり残しがないか、ふたりでチェックした。

 余った時間でデートしたが、KARLA(カーラ)さんがあまり気乗りしないようすだったので、途中で切り上げた。

 

 でも、部屋に戻ってもキスもセックスもしなかった。

 俺には、伝えたいことがあったんだ。

 

「あの……」

 と、俺がいいかけるのと同時に、KARLA(カーラ)さんも口を開いた。

 

「オナザル=サン……覚えてマスカ?

 約束、ワタシの絵を……描いてくれるって……。

 

 ワタシ、明日帰るので、そしたら会えなくなってしまいマスので……

 モチロン、すぐにまた日本に来マスケド、デモ、well(その) ……ワタシにとっては NOW or NEVER(今しかない) ……。

 

 約束……オナザル=サンには違う、だったカモしれないデスケド……」

 

「違わないよ、俺にとっても」

 

 俺は机の上からスケブを取って、KARLA(カーラ)さんに手渡した。

 

「……?」

 

「その中からどれでもひとつ、気に入ったやつを選んで?

 それをクリンナップするから」

 

 スケブを開いて、KARLA(カーラ)さんは息を飲んだ。

「…………オゥ……!」

 

 いろんなポーズ、いろんな服装、いろんなアングル、いろんな表情。

 一冊全部、まるっとKARLA(カーラ)さんだ。

 

 こういってはなんだけど、俺だって絵師の端くれ。

 街なかで見かけたかわいい子、おしゃれさん、絵心をそそる顔立ち、ポーズ、個性。

 そういうのは短い時間で頭に叩き込み、家に帰ってからスケッチする。

 

 これができるようになるまで、何年もかかった。

 でも、その甲斐(かい)はあった。

 

 一緒にいる間、俺はほとんど無意識に、KARLA(カーラ)さんを観察していた。

 思い出して描くのは、そんなに難しくなかった。

 

 ――ひとりの時間はほとんど描いていた。

 ラフとはいえざっくり色も着けたし、これ以外にも何冊も描いている。

 いままでこんなに集中したことはないってくらい、俺は描いて、描いて、描きまくった。

 

 ぱらり……

 ぱらり……

 

 ページをめくるたび、KARLA(カーラ)さんはイラストになった自分を見つめた。

 

 ――俺が絵のことをなかなかいい出せなかったのには、理由がある。

 

 絵って描き手そのものなんだ。

「描き手の内面が現れる」っていうと精神論みたいであんまり好きじゃないけど、それは本当だ。

 

 同じリンゴでも、自分の目と他人の目とで、見える赤は違うかもしれない。

 もし、俺の描いた赤が、ほかの人から「違う」といわれたら……。

 いつも恐れながら、絵師は描いているんだ。

 それを見せるってことは、自分の隠したい部分まで、さらけ出すってことなんだ。

 

 ――もし、俺の目に映るKARLA(カーラ)さんが、KARLA(カーラ)さんのセルフイメージとズレていたら……

 

「オナザル=サン……これ、ワタシですか……?」

 スケブから顔を上げて、KARLA(カーラ)さんは俺に聞いた。

 

「これも? これも? これもデスカ?

 ワタシ……ワタシ……、

 こんなに kawaii(カワイイ) デスカ?!」

 

 間違いなく、その表情は輝いていた。

 

 うん、KARLA(カーラ)さんは可愛いよ……そう答える前に、KARLA(カーラ)さんが俺の胸に飛び込んできた。

 

「やっぱりオナザル=サンはチョーヤバイ artist(アーリス) デース!!」

 

 あんまり勢いがよすぎて、俺たちは一緒にベッドへ倒れ込んだ。

 体を支えようと、とっさに手を伸ばしたら、本棚の何かに引っかかった。

 

 バサバサバサッ!

 

「Oops...What?」

 

 スケブが何冊か、散乱していた。

 落ちた拍子にページが開いていた。

 

「あ……それは……」

 

 そのスケブは……

 本人には絶対見られたくない……

 一冊まるっと無修正の、KARLA(カーラ)さんのエロ絵だった。

 

 

 

 

 ――ぬちゅっ

 ――ぬちゅっ

 

 KARLA(カーラ)さんが俺の上で、自分から腰を振っている。

 いつもより激しい。

 

 どうやら自分のエロ絵で火が点(つ)いちゃったらしく、前戯に入る前から濡れていた。

 

 近づいてくる、そばかすと眼鏡。

 メス顔……というのは違う。何ていうのか……

 愛しくて、切ない表情。

 

 可愛いちっぱいが、俺の胸の上でつぶれる。

 舐めるような、むさぼるような、ディープキス。

 その最中にも腰を振るのをやめない。

 

「...Oh, oh, oh! Oh!

 No! I'm coming! I'm coming!

 Oh my God, oh my God, oh my God...!!!」

 

 KARLA(カーラ)さんは、英語で喘いだ。

 

 ――ありのままの自分。

 ふと、KARLA(カーラ)さんがそういっていたのを思い出す。

 そして、いま、たぶん、俺も。

 

 俺たちは、相手の体をぎゅっと抱きしめたまま、イった。

 

 

 

 

 帰国の当日。

 俺たちが空港に着いたのは、搭乗時間ぎりぎりだった。

 

 昨日はあの後も、まあ、盛り上がったっていうか?

 だから寝坊したし、その……

 いや、今朝は一発だけだったからな?

 

 ――KARLA(カーラ)さんは、見送る俺の前で泣いた。

 大粒の涙が、あとからあとからこぼれた。

 俺は、その可愛いそばかす眼鏡っ子をぎゅっと抱きしめた。

 

 別に、人目が気にならないとはいわないけど。

 PN(ペンネーム)を大声で呼ばれるのにくらべれば、何てことない。

 

 改札の前で別れるとき、KARLA(カーラ)さんはふり返り、俺に手をふった。

 

「アリガト! サヨナラ!

 オナザル=サン!!」

 

 ……何てことない……何てこと……。

 

 ――ちなみに、約束のクリンナップはできなかったけど、かわりにスケブを進呈した。

 KARLA(カーラ)さんの荷物のどこかに入ってるはずだ。

 

 その中身が、KARLA(カーラ)さんの家族や友人の目にふれないことを、俺は強く願っている。

 

 

 

 

★おわり★

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