「なあ、イッセー」
「んぁ……?」
呼びかけと共に肩を揺すられ、一誠は我に返った。
ぼうっとしていた意識が覚醒し、視界が明瞭になる。
目の前には、休み時間で多少賑やかになった教室の光景。教室の至るところで仲の良い者たちで集まり、談笑している。それはいつもの日常であり、上級生である朱乃の影も形もなかった。
「どこに……」
立ち上がって周囲を確認するが、やはりいない。
自分の格好を確認してみるが、乱れなく制服を着用していた。ズボンと下着に隠された股間が湿っている感触もない。朱乃のデカパイズリによって唾液や精液まみれになっていたのが嘘のように違和感がなかった。
まるで夢でも見ていたようだが、リアスのときもそうだったように、あの生々しい快感が夢であったとは思えない。仮にあれほどの夢を見たとして、夢精をしないわけがないと一誠は断定した。
であれば、朱乃はどこへ行ってしまったのだろう。
「ご褒美は……!?」
「どうしたんだ?」
「寝ぼけてるのか?」
声を張り上げる一誠の前に立ち、声を掛けてくる二人の男子生徒。
一人は、坊主頭の少年、
もう一人は、眼鏡を掛けた黒髪の少年、
殆どの女子が松田によってレンズに収められ、元浜によってスリーサイズを暴かれており、今月入学した一年生も軒並み被害に遭っている。
自他共に認める変態である一誠をして、「どうしようもない変態」と言わしめる変態二人。『変態三人組』という蔑称で周囲から認識されている一誠たちが集うと、同級生の女子からの敵意が否応なく高まっていく。
「また変態が悪だくみしてる……」
「キモ……」
「最っ低……」
女子たちが聞こえよがしに罵倒してくるが、松田も元浜も意に介さない。余裕の表情を保った姿は紳士的とさえ思えるが、それは表面的な態度に過ぎない。元浜はともかく、松田に至ってはおそらく、罵倒してきた女子を脳内で犯す程度のことはしているだろう。
「ほら、手に入れたばかりの新作だ。パッケージだけでも破壊力抜群だろ? これを見て目を覚ませ」
と、松田が鞄から取り出したのはアダルトビデオのパッケージだった。妖艶な雰囲気のセクシー女優が、微笑みながら豊満な乳房にチンポを挟んでいる様子が映し出されている。
少し前の一誠ならば、パッケージを見ただけでも気分が高揚したことだろう。
しかし、朱乃の破壊力抜群のパイズリを受けた今となっては、これでは刺激が足りなすぎる。パッケージを手に取って矯めつ眇めつ観察してみるが、確かにエロいとは思うものの、それ以上の感想は抱けない。
「今日の放課後、鑑賞会しようぜ」
と元浜から提案されるが、賛同するほどの意欲は湧かなかった。
そもそも放課後には予定があるため、参加できないのだが。
「悪い、今日の放課後は予定があるから」
「なんだよ、最近つれないぞ。良い写真が撮れたから幾つかやろうと思ってたのに」
「ようやく一年生のスリーサイズをまとめ終えたから、共有しようと思っていたんだが」
「ごめんって。写真は後でください。スリーサイズは後で詳しく教えてください」
欲望を丸出しにしつつ、一誠が断りを入れたときだ。
ポケットの中で携帯電話が振動した。
そうだ、携帯電話だ。一誠は、リアスと朱乃のフェラチオを撮影したのを思い出した。朱乃が唐突にいなくなったからと言って、あの映像までなくなっていることはないだろう。メールを見るついでにそれを確認しようと、携帯を取り出した。
が、予想に反して届いていたのはメールではなく、以前から利用しているメッセージアプリ内で作成された、覚えのないグループからの通知だった。
『オカルト研究部』
そう名付けられたグループに知らないうちに参加しており、通知には『姫島朱乃が写真を送信しました』という一文が表示されていた。一誠を含めて六人がグループに参加しているらしく、そのメンバー構成が気になるところだが、それよりも今は写真に興味が向いた。
朱乃と写真。その単語だけで、如何なる写真が送られたのか想像に難くなかった。
「今年の一年に気に入った子はいたか?」
「今年も粒ぞろいだが、個人的には
「ああ、あの子の写真もバッチリ撮ってるぞ。可愛いよな、あの子」
松田と元浜が別の話題に移る中、一誠はオカルト研究部のグループチャットを開いた。
開いた瞬間、それは真っ先に飛び込んできた。
精液や唾液にねっとりと絡みつかれながら、勇ましくそそり立つ一誠の肉棒。その真横で、口を大きく開いている朱乃。口内にはゼリーのような粘度の高そうな精液がたっぷりと貯めこまれており、それを楽しそうに見せびらかせている。
あまりにも卑猥。変態である一誠が言葉を失うほどの破壊力が写真には秘められていた。
写真を見たことで、一誠の中で欲望が渦を巻く。徹底的に精を絞られていたはずの肉棒がズボンの内側でムクムクと大きくなっていく。この場で勃起しても朱乃はいないというのに、完全に勃起してしまいそうな勢いだった。
「あ、大きくなった。……へぇ、かなりの大きさね」
たまたま近くを歩いていた眼鏡を掛けた女子、
「ちょ、ちょっとトイレに……」
一誠は前屈みになると、慌てて教室を出た。股間を手で押さえる姿は不審でしかないが、勃起を見られるよりかはましだ。もっとも、股間を手で隠すという行為から事情を察し、嫌悪感を剝き出しにする女子は何人かいたが。
廊下をひた走り、トイレへ。
その途中の廊下にて、一誠は女子の集団を目にする。
何やら楽しげな様子で群れを成す女子たち。その中心にいるのは男子、ではなく、さらさらとした金色の髪を腰まで伸ばした女子生徒。周りの女子よりも背が高く、スラリとした体型。しかし胸元は豊かな曲線を描いていて、母性を感じさせる。
だが、彼女のどこか中性的で包容力のある雰囲気が、女子を魅了するのだろうか。少女漫画で見かけるような、王子様に群がる女子たちという構図が出来上がっていた。同じ女子にチヤホヤされるという不思議な状況だが、王子様(仮)は嫌な顔一つ見せず、物腰柔らかな対応を見せている。随分と女子の扱いに慣れているようだ。
そんな集団の横を、一誠は慌ただしく横切る。
近くの女子が一誠に目もくれない中、女子たちに話しかけられる王子様(仮)は話を合わせながらも、一誠を視界に留めていた。走り去っていく一誠を見送る目を微かに見開き、頬に朱を差しながら。ごくりと生唾を飲み、ちょうど子宮に位置する下腹を片手で触れた彼女は、何を想っているのだろうか。
後に、その想いと均整の取れた女体に触れた一誠が、女子たちの憧れである王子様を雌に堕とすことになる。王子様は自分の雌としての価値を認識し、雌としての生き方を学び、一誠のチンポに熱心に媚びて自ら望んで種乞いをすることになるだろう。愛しい雄の子を孕み、産み落とすために。
二人のたった数秒の邂逅によって、その未来が結実されることとなった。