※この作品はR-18です。

アズラエルの野望   作:カイト__

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第26話

しりょ

 

序章:エターナル、静寂の宇宙(そら)に墜つ ~歌姫、囚われる~

 

漆黒の宇宙(そら)に、一条の閃光が奔った。プラントの歌姫ラクス・クラインの座乗艦エターナルは、その白銀の船体を震わせ、必死の抵抗を続けていた。しかし、ムルタ・アズラエル率いるドミニオン艦隊の、周到に仕掛けられた罠と圧倒的な物量の前に、エターナルの奮戦は徐々にその輝きを失っていく。アンドリュー・バルトフェルドの卓越した指揮も、歴戦のクルーたちの勇猛さも、数の暴力とアズラエルの冷酷な戦術の前には、あまりにも無力だった。

 

次々と被弾し、内部で爆発が連鎖するエターナル。悲鳴と怒号、そして警報音がブリッジに木霊する。メインエンジンはやられ、航行能力は完全に喪失。やがて、ドミニオンの白兵戦部隊が、破壊された隔壁を突破し、艦内へと雪崩れ込んできた。銃撃戦の閃光が通路を照らし、金属が擦れる不快な音が響き渡る。

 

ラクス・クラインは、エターナルのブリッジで、静かにその様を見つめていた。その美しい顔には悲しみの色が浮かんでいたが、瞳には未だ気高い光が宿っていた。彼女は、これ以上の無益な犠牲を避けるため、そして捕虜となるクルーたちの安全を少しでも確保するため、自ら投降の意思を示すことを決意した。あるいは、アズラエルの非道な部隊が、彼女を玉座から引きずり下ろすように、乱暴にその身柄を拘束したのかもしれない。いずれにせよ、プラントの歌姫、平和の象徴たるラクス・クラインは、その活動拠点であり、多くの希望を乗せたエターナルと共に、アズラエルの手に落ちた。

 

アズラエルは、その報せをドミニオンの艦橋で聞き、口元に歪んだ満足の笑みを浮かべた。「ようやく手に入れたぞ、あの女を…これで、コーディネイターどもの精神的支柱も、私の意のままになる」。彼の嗜虐的な支配欲が、新たな、そして最高の「獲物」を得て、疼き始めていた。

 

ラクスは、バルトフェルドらエターナルの主要クルーと共に、ドミニオンへと連行された。冷たく無機質な通路を歩かされ、やがてアズラエルの私室へと通される。そこは、彼の歪んだ権力と嗜好を反映した、豪奢だがどこか息の詰まるような空間だった。

 

第一章:金色の鳥籠、始まりの不協和音 ~アズラエルとの面会と最初の要求~

 

ラクスは、ドミニオン艦内の一室に軟禁された。部屋は表面的には豪華で、生活に必要なものは全て揃えられていたが、そこは紛れもなく金色の鳥籠だった。窓の外には、星々が冷たく輝いている。

 

数日後、アズラエルがその部屋を訪れた。彼は、ソファに深く腰掛け、ラクスに対し、まるで旧知の友人にでも語りかけるかのような、しかしその実、冷酷な計算に満ちた口調で「対話」を試みた。

「ラクス・クライン。君の名声と影響力は、私もよく知っている。その歌声は、多くの人々の心を動かす力を持っているようだね。どうだろう、その素晴らしい力を、真の平和――すなわち、私が目指す、ナチュラルによる秩序ある『蒼き清浄なる世界』――の実現のために使ってみる気はないかね?」

彼の言葉は、一見すると協力を求めるものだったが、その裏にはラクスの精神的支柱を揺るがし、利用価値を探ろうとする明確な意図が隠されていた。

「君が私の理想に賛同し、その歌声で民衆を導いてくれるのならば、捕虜としたエターナルのクルーたちの命、そしてプラントの同胞たちの未来も、多少は考慮してやらんでもない。私の『慈悲』を、君自身の手で勝ち取ってみるがいい」

 

ラクスは、静かにアズラエルの言葉を聞いていた。その美しい顔には、悲しみと、しかし決して屈しない強い意志が浮かんでいた。

「アズラエル議長。あなたの仰る『平和』や『秩序』は、憎しみと恐怖、そして多くの犠牲の上に成り立つものであり、決して真の平和ではありません。私の歌は、そのような目的のために使われるためにあるのではありませんわ。歌は、人の心に寄り添い、希望を繋ぐためのもの…誰かを傷つけたり、支配したりするためのものではないのです」

その声は穏やかだったが、そこには一片の妥協も許さない、毅然とした響きがあった。

 

アズラエルの口元から、作り物の笑みが消えた。彼の瞳に、冷たい怒りの光が宿る。

「理想論者の戯言は聞き飽きた。君は、まだ現実というものを理解していないらしいな」

アズラエルはデータパッドを操作し、壁面の大型モニターに映像を映し出した。そこには、ドミニオンの捕虜収容区画で、エターナルのクルーたちが劣悪な環境に置かれ、時には兵士によって乱暴に扱われる様子が映し出されていた。特に、バルトフェルドが、アズラエルの部下と思われる男たちに囲まれ、何かを強要されているかのような緊迫した場面も含まれていた。

「彼らは、君の『友人』であり、忠実な部下だったのだろう? 彼らの命運は、全て君の今後の態度にかかっている。そして…」

アズラエルは、さらに別の映像を映し出した。それは、プラントのいくつかの主要コロニーに、ドミニオンの主砲の照準が合わせられているかのような、戦術マップだった。

「プラントの同胞たちも、君のその頑なな理想の犠牲となるかもしれないな。私の命令一つで、あの美しいコロニー群も、宇宙の塵と化すことができるのだよ」

 

さらに、アズラエルはキラ・ヤマトの名を口にした。彼を捕らえている、あるいはいつでもその命を奪えるという情報を、真偽を曖昧にしながらラクスに囁き、彼女の心を的確に抉った。愛する者の名を出され、ラクスは僅かに表情を曇らせたが、それでも毅然とした態度を崩そうとはしなかった。

「さあ、ラクス・クライン。もう一度問おう。君のその美しい歌声で、プラントの民に、地球連合への無条件降伏を呼びかけるのだ。それが、君の愛する者たちと、君の故郷を救う唯一の道だ。賢明な君なら、どうすべきか分かるはずだ」

 

ラクスは、目を閉じ、深く息を吸い込んだ。多くの無辜の命、信頼する仲間たち、そして愛する人の存在。それらが、彼女の肩に重くのしかかる。彼女の歌は、平和のため、愛のためにある。しかし、その歌を封じ、あるいは歪められることでしか守れない命があるというのなら…。

計り知れない苦悩と葛藤の末、ラクスは静かに目を開いた。その瞳には、深い悲しみと、しかし何かを決意したような強い光が宿っていた。

「…分かりましたわ、アズラエル議長。あなたの…『提案』、受け入れましょう。ただし、捕虜の安全と、プラントへの攻撃停止を、確約していただけますね?」

それは、彼女の魂を汚す最初の、そして最も重い決断だった。これから始まるであろう、長い「調教」の日々の、ほんの序章に過ぎないことを、彼女はまだ知らなかった。アズラエルは、ラクスのその言葉に、満足げな、そして嗜虐的な笑みを浮かべた。

 

第二章:歌声を封じられたカナリア ~『調教』の開始と聖域の汚染~

 

アズラエルによるラクス・クラインへの「調教」は、まず彼女の最も強力な武器であり、その存在の核とも言える「歌声」を奪い、彼の意のままにコントロールすることから始まった。

「ラクス・クライン、君の歌は確かに力がある。だが、これからは私の許可なく歌うことは許さん。そして、歌うとしても、私が指定する歌だけだ」

ラクスが愛し、多くの人々に希望と癒しを与えてきた平和の歌や愛の歌は、全て禁じられた。代わりにアズラエルが用意したのは、ブルーコスモスの歪んだ思想を賛美するプロパガンダソングや、アズラエル個人の「偉業」を称える、聞くもおぞましい歌詞の歌だった。彼女が歌うことを拒否したり、あるいはその歌に僅かでも抵抗の念を込めたりすれば、即座にエターナルのクルーへの「罰」が実行されるという脅しが、常に彼女の首にかけられた刃のように存在した。

 

次にアズラエルが手を付けたのは、彼女の公的イメージの破壊だった。プラントの歌姫としての清純で高貴なイメージは、彼にとって打ち砕くべき対象でしかなかった。ラクスが纏っていた純白や淡いピンクの、優雅で気品のあるドレスは全て剥ぎ取られ、代わりにアズラエルの歪んだ嗜好を反映した、肌を過剰に露出し、彼女の尊厳を著しく傷つけるようなデザインの衣服が与えられた。例えば、身体のラインを強調する、黒い革と金属でできたボンデージ風の装束。あるいは、娼婦を思わせるような、極端に短い丈で胸元が大きく開いた、卑猥なデザインのドレス。アズラエルは、鏡の前に立たせられたラクスが、それらの衣装によってその神聖さすら感じさせる美貌とプロポーションを汚され、羞恥に顔を歪める様を、満足げに眺め、愉しんだ。

「どうだね、ラクス・クライン。その衣装も、なかなか君に似合っているではないか。新しい君の魅力が開花するようだ」

その言葉は、彼女の心をさらに深く切り裂いた。

 

思想の「矯正」と称する洗脳の試みも執拗に行われた。アズラエル自身が、あるいは彼の息のかかった「教育係」――時には、既に完全にアズラエルに「堕ちた」フレイ・アルスターがその役目を担わされることもあった――によって、ブルーコスモスの思想やナチュラルの優位性を説く講義が強制的に行われた。ラクスの平和主義や共存の理想は、「甘ったるい夢想」「コーディネイターの選民思想の裏返し」として徹底的に否定され、アズラエルの掲げる「絶対的な力による秩序」こそが唯一の世界平和への道であると、繰り返し刷り込もうとされた。フレイは、その虚ろな瞳でラクスを見つめ、「ラクス様も、アズラエル様の深いお考えを理解されれば、きっとお幸せになれますのに…」と、歪んだ善意からの「助言」をすることもあった。

 

そして、アズラエルは、ラクスの精神的支柱を完全に折り、彼女を自分の所有物とするため、最初の性的な「奉仕」を強要した。それは、ラクスにとって想像を絶する屈辱であり、彼女の聖域とも言える心身への、決して許されることのない冒涜だった。

アズラエルは、ラクスのかつてのヒット曲の歌詞を卑猥に替え歌にして歌わせながら、あるいは彼女にアズラエルを賛美する屈辱的な歌を歌わせながら、その清らかな体を蹂躙していった。彼は、特に彼女の「歌声」に執着し、性的な行為の最中に、彼を賛美する歌や、屈辱的な懇願の言葉を囁くよう強要した。彼女の透き通るような美しい声は、苦痛と屈辱、そしてアズラエルが抵抗を弱めるために密かに投与した薬物の影響によって、次第に掠れ、歪められた喘ぎへと変えられていった。

アズラエルは、ラクスの白い肌に自身の所有の印を刻み付けるかのように、執拗にその体を愛撫し、口づけ、そして貪った。彼女の豊かな胸、くびれた腰、そして清らかな秘部。その全てが、彼の歪んだ欲望の対象となった。ラクスは、涙を流しながらも、エターナルのクルーたちの顔を思い浮かべ、必死にその屈辱に耐えようとした。しかし、薬物の効果は彼女の理性を蝕み、体は意に反して熱を帯び、アズラエルの与える刺激に微かに反応してしまう。その自己矛盾が、彼女の心をさらに深く傷つけた。

「そうだ、ラクス・クライン…その声だ…もっと私を求めて啼くがいい…君のその美しい声は、私のためにこそあるのだ…」

アズラエルの囁きは、悪魔の誘惑のように、ラクスの耳に、そして心に、深く、深く染み込んでいった。プラントの歌姫の、長く、そして暗い調教の日々が、こうして幕を開けたのだった。

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