「…………夜ごと私を苛むのです」
格子の向こう側からアルドリックの苦悩に満ちた声が響いてきた。しかしその声は次第に熱を帯び始めていた。
彼の告白が始まったのだ。
聖女に向けられた罪深い欲望の告白が今夜もまた繰り返されようとしている。
「聖女、セレスティア様に対する……許されざる欲望なのです」
彼の声は罪悪感に震えていた。
けれど語られるその言葉には酷く熱が籠り、老司祭の幻影のフードの裏側で聖女の心臓はその熱にあてられ高鳴り始めた。
「…………いつもの……夢の中でのあなたの罪を話すのです」
ああ……アルドリック様。あなたの罪を、私に対するその熱い想いを、その奥底まで……全てこの私に聞かせてくださいませ。あなたがどれほどの想いを込めてこの私を求めているのか、その言葉をこの身に刻みつけたいのです。
「………………夢の中で。私は、夢の中で聖女様に対して、あまりにも……あまりにも冒涜的な行為に及んでしまうのです」
老司祭の厳格な仮面の裏側で、私は生真面目な聖女としての顔を保てていたのか自信はなかった。
だけど聖女である私に対して聖騎士アルドリック様がどのような冒涜的な行為をなさるのか、私はアエテルヌス神に仕える聖女として知らなければならない。知る義務があると言ってもいい。
私は彼に告白の続きを促した。
「冒涜的な行為とは? 告解とは己の裡にあるものを全て神の前に曝け出す必要があるのです。夢の中でのあなたの行為を詳らかにして語るのです」
私の言葉に彼は一瞬息を呑んだ。
彼は震える声で、私の心を掻き立てる言葉を語り始めた。
「…………その幻の中では……あの方は純白の法衣ではなく、肌の色が淡く透けてしまうような、まるで……まるで娼婦のように薄い……とても薄い絹の夜着だけをまとっておられるのです」
私が、娼……婦!?
一瞬頭が真っ白になってしまった。
も、もちろん、聖女である私とて娼婦とは何かくらい知っています!
男性の欲望に、こ、応えて性奉仕をする職業……で、す。
男性の性欲というのが「溜まる性質」故、未婚の男性や、奔放な男性にとって必要な職業であることは理解しています。アエテルヌス神が人を──男性をそうお創りになられたのですから、そう在ることは神のご意思に沿っているとも言えますし、その男性に性奉仕をする職業である娼婦についても神はお認めになられています。
で、でも彼が聖女である私をそんな目で見ているとは……………………………………いいえ、そんな訳があるはずがなかったですね。
彼の高潔な魂を知る私はすぐに否定した。
彼は聖女である私を娼婦だと思っているのではなく、ただ……えっと…………娼婦のようにはしたない私の姿を見たいと切望されておられるだけなのです。
ほとんど透けて見えるような薄絹の布を纏った私の姿を見たい……などと。
「ん、ふっ…………」
懺悔室の小さな椅子に姿勢を正して座っている私の腰の奥が不意にうねった。
「ふっ……ふっ……ふぅ…………」
短く息を吐いて気を落ち着かせる。
落ち着かせて改めて想像する。
彼の悩みと苦悩を理解するためには、彼の夢の中で娼婦の姿をした私を正確に知る必要があるからです。
普段は純白の法衣に覆われている私のこの大きな胸や、誰にも見せたことのない下腹部の秘密の翳りが透けて見える夜着を纏い、アルドリック様の前で姿勢を崩しながら誘っている私を……あっ…………。
許されざる妄想を思い浮かべたせいで声が漏れかけ、慌てて指で口を押さえる。
彼の告解を聞く夜を重ねていくうちに、いつの間にか私の聖女としての肉体が……時折……本当に極稀に罪深い疼きを感じるようになってしまいました。
あぁ……。
身体の芯が熱くなるのを耐えながら私はさらに彼の欲望について問いかけた。
「その絹の夜着を……あなたはどうされるのですか?」
「私は……その頼りない薄絹を、焦れた私は乱暴に引き裂いて、月明かりの下に彼女の眩いばかりの白く美しい肢体を晒してしまうのです」
「──ッ!!」
彼の「乱暴に引き裂く」という言葉に、私の身体がびくりと震えた。
彼らしくない、なんて手荒な行為。
でも……、でも、その乱暴な行為が私の腰の奥で静かに燃える種火に薪をくべて熱く燃え上がらせてしまった。
熾火のようにちろちろと炙られ続けていた私の一番奥深い秘密の場所が不意の劫火でとろりと溶けてしまいそうになる。
「っ…………ん…………」
じくじくと本格的に私の両足の付け根の奥が疼き始めた。
ローブの下で自身の法衣の合わせ目に当てた指に力がこもる。もちろんアルドリック様はそんなことはしない。ただ、もし彼がその気になれば私の法衣も薄い絹のように引き裂かれてしまうに違いない。
なのでこんなことは形だけの抵抗にすぎない。
「私のその行いで彼女の肩は震えているのに……私は、彼女の細いうなじや、柔らかな胸の膨らみ、そして腰から太腿へと続く滑らかな曲線から目が離せなくなるのです」
彼が私の肢体を熱心に見つめる描写に、私の胸が熱く粟立ち呼吸が浅くなる。
彼の視線が、今まさに露わになった私の肌の上を這っているかのようだ。
あぁ……私なんかの身体を……そんなにも熱心に見つめるだなんて……。
娼婦を買い求める……そういうことを求める男性から見て自分が極めて価値のない女であることは理解している。聖女であるから当然ではあるのだけれど、私は男性の欲望をどうやって慰めればいいのかすら知らないのだ。
服を乱暴に剥かれて肌を晒し、どうすればいいのかすら分からず怯えるそんな私にアルドリック様が更にどんな仕打ちをなさるのですか?
「んんっ」
アルドリック様に襲われる具体的なイメージすら湧かないのに私の中心で燃える炎が勢いを増した。
……私の一番深い場所を炎で炙られながら、彼が次に語る夢の内容を息を詰めて待った。
「私は……抵抗する彼女の細い腕を掴み、何かを訴えるように潤んだその瞳を見つめながら、その聖なる唇を塞ぎ、彼女が呼吸を乱しているのにも関わらず、そのまま肩を強く抱きしめ口づけを続けてしまうのです」
口づけを!
そんな風に抱きしめながら激しくだなんて!?
口づけとは惹かれあう男女が行う神聖な儀式であるのに、まるで、まるで聖女を我が物にせんとするような強引な口づけの描写に、私は想像の中でそんな彼を跳ね除けようと自身の唇を一瞬噛みしめ……すぐに口を開いてしまった。
鍛え上げられた鋼の肉体を持つ彼にかかれば、か弱き乙女の私の抵抗など無意味なのだ。
抵抗を諦めた私の唇に彼の幻の唇が重なった……強引に重ねられた彼の唇が私の唇に重ねられているかのように僅かに口を開き、彼の舌が入り込んでくるのを胸を高鳴らせながら待ち受ける。彼の舌が私の口の中を我が物顔で蹂躙してしまうのを想像する。
「あぁ……」
セレスティアは無意識にその乾いた唇を艶めかしく舌で湿らせた。
その舌がまるで彼のもののように感じて腰が妖しく震え、足の爪先が自然にぎゅっと丸まってしまう。
んんっ……私の一番奥のどうしようもない部分がうねり続けて止まりそうにない。
待ちきれない私は囁くように彼の更なる行為を語るように促した。
「……口づけだけで、彼女を解放するのですか?」
「いいえ! いいえ、決して!」
彼の力強い否定の言葉が懺悔室の狭い空間に響き渡った。
その激しい響きは、私の中心を消えぬ炎で更に炙ってしまう。
「んぁあっ!」
私の腰の奥で渦巻く熱が口から瞬間的に漏れてしまった。
こんなにも求められているなんて!
この厳格で高潔な騎士は私を捕らえて離すつもりがないのだ。
彼の想いを受けて私の全身を甘美な悦びの電流が駆け巡り、胸の奥がきゅっと締め付けられ、代わりに背徳的で重く後を引くような幸福感が満ち溢れてくる。
彼に拘束され捕まえられてぎゅっと力強く抱きしめられる妄想はどんな甘い愛の囁きよりも強く私の心と身体を震わせ蕩けさせた。
私は恍惚としながら彼の次の言葉を待った。
「抱きしめたあの方の肩は屈辱に震えているというのに……私は……私は口づけを続けながら彼女の柔らかな膨らみに手を伸ばし、あろうことかその頂で堅く尖り立ったものを指先で弄ぶのです。許されぬことだと知りながら、私のこの武骨な指で、執拗に」
自分の手が勝手に伸び、老司祭の幻影の裏側で指先が法衣の中に忍び込んだ。
そして彼の言う堅く尖り立ったものを私自身の指が優しく挟み込み、しかし次第に大胆に弄び始める。
堅く尖った頂から心地よい快感が稲妻のように私の身体の中を走り抜けていく。
あぁ……きっとこんなものでは済まないんだわ。
アルドリック様の鍛えに鍛えた武骨な指先で私の胸の先端が弄ばれてしまうのを想像する。
指が触れるたびに、びくりと私の大きな胸が跳ねた。
生み出され続ける快楽にピクピクと痙攣する。
甘美な痺れが胸から全身に広がり脳が蕩けるような快楽に包み込まれる。
あぁ……あぁ!
私の堅く尖った胸の頂きが彼の指で執拗なまでに捏ねられてしまう。
その度に甘い迸りが胸の先端で生まれ、私の全身を駆け巡るのだ。
彼の手に余るほどの大きさの乳房を乱暴に揉みしだきながら、彼の武骨な指が本来は愛し子に乳を与えるための尖り勃った私の胸の先端を弄び続けている。
強く、もっともっと強く……!
あぁ、自分の指が止まらない。
弄ばれてしまう。
強く抱きしめられ、身動きもできず、胸の先端から彼に送り込まれる快感に脳が溶けそうになる。
快感で乱れる息を必死に整えながら、私は……私の望む答えを求めて彼を促した。
「……執拗に?」
私の声は必要以上に熱っぽく懇願するように震えていたかもしれない。
「執拗に、です! そうなのです。私の指は何度も何度も彼女の頂の尖りを指で捏ね、彼女が根を上げて苦し気に息を詰まらせるまで、私は執拗にその行為を重ね、決して止めないのです」
ぐっと、指先が私の両の頂を逆方向に
あぁ……あぁああっ!
大きすぎる私の胸があまりの快楽と悦びに上下に跳ねた。
私が根を上げるまで、彼は私の胸を弄び続けるつもりなのだ。
こんな風に。
こんな風にっ! 執拗に! あぁ! 何度も何度も!
堅く尖り勃った私の胸の頂きが歓喜に包まれている。雷のような先鋭な快感が胸の頂から駆け下りてきて私の脳を快媚感で焼き焦がしていく。
背中が震え、お腹の奥の私の中心が熱く燃え盛る。
はぁはぁ、と彼の荒い息遣いが聞こえる。
彼の言葉に含まれる聖女を暴力で支配するような響き。彼の言葉に導かれ私の指が彼の言葉を寸分の違いもなく忠実に再現していく。
息を乱し、熱い吐息を漏らしながらも、彼の指先が堅くなった頂を何度も何度も執拗に捏ねて、時には引き伸ばし、押し潰し転がすように弄んだ。
「あぁ……私の胸が彼に弄ばれている……んんっ!」
痛みと快感が入り混じった鋭い刺激がさらに深い快楽の渦へと引きずり込んでいく。
ああ……アルドリック様……もうお許しを!
あなた様の指は私を……まるで普通の市井の女のように狂わせてしまうのです!
◇◇◇◇◇◇
指先が甘く執拗に胸の頂を捏ね続け、抗い難い快感の波が何度も何度も私の身体を覆っていく。
このままずっと彼の指で弄ばれていたい……。
狭い懺悔室の小部屋の中で快楽で小刻みに震えながら私は首を持ち上げた。
このまま快楽に耽るわけにはいかなかった。
彼に先を促さねば。
口から言葉を絞り出す。
「何度も何度も、執拗に……ですか。彼女はあなたに許しを請わないのですか? アルドリック様」
「請いませぬ! 彼女は気高いのです!」
彼の言葉に堅くしこり勃った胸の先端を弄ぶ私の指が止まる。
眼の隅に思いがけず涙が浮かぶ。
こんな私を気高いと言ってくれるアルドリック様。
快楽に溺れかけた自分の身体を叱咤しながら私は更に彼を促した。
「私は……私は、そんな気高き彼女の清らかな手を取り……導いて、無理やり己のものに触れさせるのです。触れさせて、そして私は……ああ、なんと罪深いのだ私は」
私の、手を!?
彼の言葉に、私は聖印の刻まれた自身の手を見つめた。
神と民への祈りのためにあるはずのこの手が、彼の妄想の中で彼の熱く滾った欲望そのものに無理やり触れさせられている!
その屈辱的な光景を想像すると、言いようのない羞恥と興奮が私を襲った。
その時ふと、硬い木製の椅子の手すりに目が留まった。私はまるで何かに憑かれたようにその冷たく滑らかな木肌にそっと手を伸ばし両手で包み込むように握りしめた。
「すごく……堅い……」
ぞくりとした快感が私の背中を駆け抜けた。
腰の奥深くで燃え盛っている炎の熱量が上がる。
「彼女の手をどうするのですか?」
「それはっ…………彼女に、強いるのです。私の手で上から押さえつけ握らせて動かすのです。気高き彼女は屈辱に顔を赤らめさせているのに、私はそれを強引に続けさせるのです。すべては己の罪深き欲望の準備の為に……」
私は目を閉じ、アルドリック様の荒い息遣いを聞きながらゆっくりとその手すりを上下に擦り始めた。
私は震える声で続きを促さずにはいられなかった。
「何度も?」
「何度もです」
あぁ……こうやってアルドリック様の、堅くて熱いモノを……何度も何度も、彼の言う通りに握らされ強引に擦らされるのですね……んっ!
私は堪らなくなり、はしたなくも椅子に座ったまま足を組み直すかのように太腿を捩ってしまう。
まるで娼婦のように扇情的に。
内股の奥に隠れている秘密の花弁が私の意志を無視してヒクヒクと痙攣している。
強引な彼にまるで娼婦のように奉仕させられている妄想は私の秘芯を堅く尖らせた。
私の手は彼に支配され、彼の熱く滾った欲望に奉仕させられるのだ。
「あぁ……殿方のがこんなにも熱く堅いだなんて……」
夢中になって擦る度に私は興奮は高まり、秘密の場所からまるで泉のように蜜を零れさせてしまう。
溢れた蜜は内腿に跡を残しながら垂れ落ち、椅子に染みを作り段々と大きく広がっていく。
彼を受け入れる準備を始めているのが本能的に分かる。
聖女である私の肉体が、無垢で純潔を求められている聖女の身体が準備を始めてしまう。
私の
私は身体の奥底でじくじくと疼き続ける切迫感に誘われ、指先が自身の秘められた場所へと自然と伸びていくのを止められなかった。
「そうしておきながら、私は夢の中のセレスティア様の秘められた場所に手を伸ばし確かめるのです」
指先が私の秘密の場所に触れる。
ただそれだけの刺激に震えながら私は彼に問うた。
「何を、確かめるのですか?」
私の声はもはや囁きに近かった。
焦燥と期待に私の心臓が早鐘を打つ。
「私を受け入れる準備ができているのかをです! そんなわけがないのに!」
ドン、と彼が足を踏み鳴らす音に驚いて、蜜を溢れさせている私の秘密の場所から指が離れる。
……夢の中の彼女がまさしく私であるならば。
「あなたの夢の中で彼女の準備は整っていたのですか?」
私は彼の答えを待った。
私の身体が彼の望む通りになっていることを、彼の口から聞きたかった。
「それこそが! ああっ! それこそが最大の冒涜なのです。司祭様。夢の中での彼女の……その滑らかな太腿の間に挟まれた秘められた場所に、隠されるべき繊細で神聖な彼女の一番奥で……私のこの、穢れた妄想に応えるかのように! 信じられないことに……信じられないほど熱く、柔らかく潤んで……私を受け入れる準備ができているのです。ああ、神よ! このようなこと、許されるはずがないのに!」
彼の妄想通りに私の身体は熱く濡れ、彼を受け入れる準備を整えてしまっている。そのことが彼を苦悩させているのに。
あぁその通りです、アルドリック様!
それは許されないことなのです!!
だけどっ!
あぁ……だけど。
私の指は濡れた熱の中心で激しく、けれど巧みに動き回り始めた。
誰にも触れさせたことのない秘められ複雑に折り畳まれた肉襞をなぞり、堅く尖った蕾を執拗に刺激し、時には熱い谷の奥深くを探るように指を滑らせ私自身をかつてないほどの高みへと誘っていく。
あぁ!
あぁああああっ!!
頂点に押し上げられて声にならない叫びを私は発した。
彼のすぐ側で。
格子越し彼に見つめられながら。
そして、同じくアルドリックの告白はついに妄想の頂点へと達する。
「ああ、彼女のそのしなやかな肢体を抱き寄せて、薄絹のような手触りの最も秘められた場所を目指して私の穢れたモノを突き入れ、私たちの二つの身体は熱く重なり合い、一つになって獣のように貪り求めあってしまうのです!」
「あ……っ……アルドリック……さま!」
「彼女は甘い声を漏らしながら、シーツを強く掴んで耐え、それどころか私に応えるように腰を動かして。あぁ……信じられない! 彼女の神聖な秘められた最奥がまるで私を悦ばすように何度も強く強く締め付けてくるので、私の全身の血は沸騰し、脳を灼き炎と快楽で支配してしまうのです。そう、……目覚めた後もその光景が脳裏に焼き付いて離れないのです」
彼の妄想のクライマックスと合わせて私の身体も限界を迎えた。
幻影の司祭の老いた声ではなく、セレスティア自身の熱に浮かされたようなか細い声だった。
私の身体は小さく痙攣し始め、しなやかな背中が弓なりに反り返った。
快感の波が寄せては返し、そのたびに私は自身のローブの裾を強く握りしめた。
「ん……ぁああ……ッ!!」
声にならない甲高い声が喉の奥で詰まり、全身が激しく打ち震える。目の前が真っ白になり、意識が飛散し、まるで魂が身体から抜け出ていくかのような強烈な感覚。
熱い奔流が身体の芯から迸り、全身の筋肉が硬直した後、私の身体は急速に弛緩していった。
深い、深い悦びの波が私の存在そのものを聖女の清らかな肉体から不純物として洗い流していくかのようだった。
どれほどの時間が経ったのか。
もしくはほとんど時間が経っていないのか。
私は荒い息を繰り返しながら椅子の背もたれにもたれかかった。全身は汗でじっとりと湿り、身体の奥にはまだ甘美な痺れと疼きが残っている。
法衣は乱れて肌には自身の指でつけてしまった赤い跡が残っていた。指一本動かすのも億劫だったが辛うじて声を絞り出した。
「…………それが夢の中でのあなたの罪なのですね。アルドリック様」
気づけば格子の向こうで、アルドリック様が告白を終え、しばし沈黙した後、いつものように悔い改めの祈りを小声で唱え始めた。祈りが終わり、彼が恐る恐る赦しを待っている気配が伝わってくる。このままでは怪しまれる。
私は最後の気力を振り絞り、震える唇で老司祭の声色を模倣した。
「あなたの苦しみ、そして悔い改めの心は、アエテルヌスに届いているでしょう。セレスティア様への熱情もまた、形を変えた信仰の現れなのかもしれませぬ。さあ、アエテルヌスの許しを求め、心から悔い改めの祈りを唱えてください」
いつもの告解後のアエテルヌス神への許しの秘跡の文言とは違ってしまった。
私の想いが止められなかった。
だがアルドリックには確かに赦しの言葉として届いたようだった。
彼は深く安堵のため息をつくと、しかし同時に自らの罪の重さと司祭のいつもと違う様子へのわずかな不審を残しながら重い足取りで懺悔室を後にしていった。
私は一人残された懺悔室の暗闇の中で遠ざかるアルドリック様の足音を霞む意識の中で聞いていた。
そしてようやく訪れた完全な静寂の中で、深い罪悪感とそれ以上に強い背徳の甘い果実を味わっていた。
腹の奥で昨日より大きくなった熾火が彼女の中心を甘く蕩かせながら炙り続けている。
彼の深い苦悩、その魂の叫びが今や自分のもののようにこの身体の疼きとして感じられた。
それはアエテルヌスへの裏切りであり、決して許されることではない。
しかし、彼の痛みに寄り添えたことが、私に言いようのない充足感を与えていた。
「あぁ……アルドリック様。あなた様の苦しみ……辛さを私も同じように感じます……この聖女の身で」
清らかな聖女の仮面の下で、私は自らの身体の
アルドリックの存在がもたらすこの甘美な悦びにもはや抗う術はなく、その身を焦がしていくしかないことを悟るのだった。