今夜もアルドリックが聖堂の奥まった場所にある古い懺悔室を訪れてきた。
「またですか?」
いつもの老司祭がぞんざいな対応をする。
「申し訳ない、またなのです司祭様」
いつもと様子の違う司祭に面食らいながらもアルドリックは生真面目に返事する。そして「おまけのif回だしまあいいか。巻いていこう」とメタな考えで老司祭の了解を待たずに告解を始めた。
「またしても聖女様を冒涜するような夢を見てしまうのです」
何回も何回も告解を繰り返したお陰でアルドリックは今では言葉に詰まったり『……』を多用したりせずにスラスラ流暢に喋る。
「それで聖女様は今回の夢ではどんなふうにアルドリック様の種を搾り取ったのですか?」
「問題はそこなのです、司祭様」
「詳しく」
「本来の立ち位置というか、私アルドリックが辛抱たまらんくなって聖女セレスティア様を襲ってしまう話のはずじゃないですか?」
「そうでしたっけ? 読み込みが甘いんじゃないですかね? 伏線を大分読み落としてますよ?」
「真顔で嘘を言うのは止めてください、司祭様。真に受けた方が読み返し始めますよ?」
「これは失礼」
「それで話は戻りますが、最近は巻き戻って穢れなき純白の聖女に戻れば神罰は受けないのを確認しましたので、とか言って毎晩夢の中で私を襲ってくるのです」
「なるほど。最終話のビターエンドっぽいのが今のでぶち壊しになりましたね」
格子の向こうで老司祭が面白そうに頷く。
「それで何が問題なのですか?」
「頻度と回数が多すぎるのです」
「多いくらいで良いでしょう? 体力はアルドリック様が明らかに上ではないですか」
「事前に治癒魔法を遅延魔法で時間差を利用して飛ばしてくるのです、聖女様は。いつ頃疲れ果てるのか、打ち止めになるのかもう完全に把握してしまっているので、騎乗位で私を何度も搾り上げて疲れた頃に全回復した聖女様が腰を振り続けるのです」
「なるほど」
「このままでは聖女セレスティア様が杭打ちスパイダー騎乗位をマスターするのも時間の問題です。私はそれが恐ろしいのです」
アルドリックの顔が苦悩に包まれる。
次の瞬間、ずぁ! っと老司祭から威圧のようなものが放たれ、慄いたアルドリックが懺悔室の中で一歩二歩と後退する。
「こ、この淫気は!? ま、まさか司祭様が聖女セレスティア様だったとは!!」
アルドリックはすぐ首を横に振った。
「違う、今思い出した! 私は老司祭の正体が実はセレスティア様だと知っていたはずなのにッ! なぜか忘れていた!!」
「ふふっ♡ あなたに自裁などされるわけにはいきませんからね。都合の悪いことは忘れてもらっているのです♡」
老司祭の幻影が消え去り、そこに聖女セレスティアが姿を現した。
「それにしても杭打ちスパイダー騎乗位とか何という魅惑的な響きでしょうか♡ そういうことは全て包み隠さず私に伝えるようにお願いしておりましたのに♡」
薄い絹の夜着をまとい、淫蕩な笑みを浮かべた聖女セレスティアが横の扉を開けてアルドリックにゆっくりと近づいていく。
「さぁ、そこの簡易寝室のベッドでその杭打ちスパイダー騎乗位のやり方を私に教えてくださいまし♡」
「い、いやだ」
ずりずりと白銀の聖騎士アルドリックが後ずさる。
「夜明けまであと6時間はあります♡ またあの時のように強引に私を組み伏せてくださいな♡」
「あぁああああっ!!」
終わり♡