勝ちヒロインにとって最高に都合のいい男子 作:愛甲ハマチ
ちなみに、サブタイを可愛らしく小悪魔にしようかなと思いましたが、どこをどう見ても全然可愛げが無いので悪魔にしました。
午前八時。
太陽が空を照らしている時間帯。
理解が追い付く。
「(そっか……私、気絶しちゃってたんだ)」
休む暇もなく与えられる快感の波に堪えきれず気絶し、この度に深く挿入される怒張によって再び叩き起こされる快楽地獄。
そんな女が味わうことができる幸せを存分に享受した華恋は、まるで生まれ変わったかのような心地で微睡んでいたのだった。
ーーだが、それも次の瞬間には冷や水を浴びせられたかのようにハッキリと目が覚める。
「へ?……ーーえっ!?な、何これ……!?」
両手両足がそれぞれ布で縛られて身動きの一切ができない。
その理解不能な状況に戸惑っていると、寝室の扉をガチャリと開けて華奢な人影が現れる。
「おはようございます。華恋さん」
「ち、はや……ちゃん?……い、いや!見ないで……!」
「フフフッ、気にしないで構いませんよ。ですが、お話ができなくても困りますからね。バスタオルくらいは掛けましょうか」
目が覚めると温水ではなく友人の千早が現れ、全裸で縛られていた私の身体の上にバスタオルを被せる。
「申し訳ありませんが拘束をさせて頂きました。華恋さんとは話し合いが必要ですから」
「千早ちゃんがこれを……?どうして?」
何を言っているのか分からない。
理解不能なこの状況からくる恐怖で身体が
「まず、華恋さんにはこれを言っておかなくてはなりません」
千早ちゃんは温水君の部屋にある椅子を動かし腰を下ろした。
心意の読めない微笑みを浮かべ、千早ちゃんはその衝撃的な事実を口にする。
「ーー私は華恋さんが気絶している間、温水さんに抱かれ続けていました。それこそ、華恋さんが起きる10分ほど前までず~っとです」
「え…………?」
頭をガツンと殴られた気分だった。
言葉を理解できない。
いや、理解しないようにしているだけなのかもしれない。
「なん、で……?」
自分から浮気をしたことを明かすなんて理解不能だ。
何故、そんなことをしたのか。
何故、自分からそれを明かしたのか。
何故、それをそんなに平気そうな顔で言うのか。
全くもって理解ができない。
ただ胸を押し潰すような悲しみだけがあるだけ。
「何でそんな……酷いよ……っ」
浮気を彼氏からされて傷付いた上にこの仕打ち。
しかも、それが友達からなんて余りにも非情過ぎた。
ポロポロと涙を流す私に千早は冷たい瞳を向ける。
「そ、そんな……温水がそんなことするなんて……」
草介から浮気をされたばかりだ。
だからこそ、心を許した他でもない温水に似たようなことをされるなんて思ってもみなかった。
「ーーおや、何か勘違いをされているようですね」
「かん、違い……?」
その余りにも乾いた声音にビクリッと身体が反応する。
「まさか、気付いていないとは……ならば、私が言葉にしましょうか」
千早は華恋の顎を持ち上げて、視線を外す事は許さない状態にしながら口を開く。
「恋人と別れていないにも拘わらず、別の男性と一夜を共にする不貞を犯し、親友の長年好きだった方を相手に横恋慕をしようとしているのは、他でもない華恋さんでしょう?」
その一言はざっくりと私の胸を抉る。
「!……そ、それは……」
「客観的に見れば浮気をした袴田さんに仕返しをするため、温水さんを利用したようにしか見えませんよ」
私は草介に浮気をされはしたが現時点で私達は別れていない。
つまり、草介と同じ様に私も彼氏が居ながら浮気をしているということ。
「あなた方は同じ穴の
「ち、違っ……私はそんなつもりじゃ……!」
草介ともちゃんと別れるつもりだったし、温水君にも恋人になって貰えるように言うつもりだった。
一夜限りの過ちにするつもりなんてーー、
「では、今回の事を親友の八奈見さんに対して、何一つ後ろめたく思うことなく伝えられますか?」
「ぁっ…………そ……れは……」
杏菜の事を言われて言葉が詰まった。
簡単に思い返せる。
温水君の事ばかり口にする杏菜。
彼の愚痴を怒りながらも楽しそうに話す親友の姿が私には簡単に思い出せる。
彼女が私と一緒に居る時はその大体が温水君の話だった。
そんな親友を思い出して罪悪感が無いなんて事は……絶対に言えない……。
「もしそうでないのなら、他でもない華恋さん自身が間違った事をしてしまったということを、正しく認識しているということでしょう?もし違うのならば、私や温水さんが全て悪いのだと八奈見さんに言うことができる筈なんですから」
私は知らなかったとはいえ、親友の片想いの相手であった草介を横恋慕し、今の今まで彼の彼女となっていた。
親友の想い人が草介であるという事実を私が知らなかった故に起きた事故だったが、八奈見が草介の次に好きになった男の子が温水君である事実を私は当然知っている。
つまり……その全てを知りながら私は温水君に抱かれたのだ。
「私が華恋さんにお願いしたのは、温水さんの悩みを性交渉をしたことがある女性の立場でご意見をして欲しいということ。私としても帰って来ると性行為をした後だったので驚きましたよ」
かなり強引だったように思えるが、確かに千早は『性行為をしろ』だなんて一言も言ってはいない。
そう決めたのは、他でもない華恋と温水だ。
最後の一歩を踏み越えたのは間違いなく自分だった。
「そんな自分を棚上げをして悲劇のヒロインを気取るのは、幾らなんでも虫が良いとは思いませんか?私は確かに華恋さんの心の傷を癒せればと思い提案をしましたが、別に嫌なら嫌で断る事もできた筈です。私は一度も温水さんとの性行為を華恋さんに強要はしてませんからね」
「うぅ…………」
その言葉に嘘はない。
もし、しぶしぶ温水の相手をするのだとしても、口淫だけで済ませて終わりにしても何一つとして問題はなかった。
挿入まで許したのは私の意思でしかない。
「それこそ、交わる前に袴田さんに別れを告げて温水さんと恋人になっているのならば、不貞に近いことを働いたのは私だけという事になるのでしょうが……そうでないのなら、華恋さんはまだ温水さんにとってはただの友人の1人でしかないんですよ?」
その言葉が胸に深く突き刺さる。
千早ちゃんの言う通り、私の行ったことは浮気であり親友の想い人を横から奪い取る横恋慕にあたる行為だ。
客観的に見れば彼氏に浮気をされて傷心であるという事実を盾にし、親友が長年片想いをしていた相手を性的に食べた尻軽女として、指を指されて
それに対して、千早ちゃんにはそれが無い。
私とは違って千早ちゃんは綾野君と別れていて恋人関係を解消しているフリーの状態。
『将来の夢を叶えられるように脇目も振らず努力をするため』という理由で別れたことを考えれば、決して褒められる事ではないだろうけど、それでも私と比べてしまえば、しっかりと道理を通しているのは明らかに千早ちゃんの方だった。
親友が長年想いを寄せていた男の子に対して、一夜の過ちを犯した女が、『場に流されてシてしまった』と言ったところで一体誰に同情されるだろうか?
私の頭の中を過ったその疑問を千早は的確に抉る。
「ほら、よく言うでしょう?ーー『一度寝たくらいで彼女面をする女』……というヤツですよ。温水さんは優しい人ですが面倒な相手には極力近付きたくないと考える人です。重たい女なんて男性から嫌われてしまいますよ?」
目尻からさらに涙が溢れる。
何も反論ができなかった。
自分のしたことは温水を使い、彼氏に対しての報復としか思われることはない。
親友である八奈見杏菜に対する明確な裏切り。
それらの理由で華恋の心はズタズタになっていた。
「そもそも、私が温水さんに抱かれることになったのは華恋さんのせいなんですよ?」
彼女は溜め息を吐きながらそう言う。
まるで、そうなったことは不本意でしかないとばかりに言う千早ちゃんに、私は困惑するしかない。
千早ちゃんは言い聞かせるようにゆっくりと言った。
「
「……………………は?」
理解不能なその言葉に頭が真っ白になる。
「……な、何を言ってるの……?私が温水くんに、殺される……?」
彼女が言っていることが私には全く理解ができない。
どうして温水くんに殺されていたという話になるのか。
そして、あろうことか私が"悪い"なんて……。
本当にこの子はあの千早ちゃんなの……?
「ふぅ、やはり物的証拠を見せた方が早いですかね」
そう言うと、ポケットから携帯を出すと指でタップして画面を私に見せてきた。
そこには……、
『姫宮さん……!もっと、もっと……!』
『ぁ……ぉ…………かっ……』
『はあ……!はあ……!はあ……!』
『ぉ…………ぁ……』
盛りのついた犬のように腰を振り続ける温水と、ほとんど白目を向いて口から泡を吹きつつ、ベッドの上で全身を痙攣させながら抱かれ続ける自分が居た。
まるで強姦の事件現場の映像だと言われても納得してしまうほどの、衝撃的な映像だ。
その異常極まる映像を見て私は絶句する。
「な、なに……?……これ…………」
「見たままですよ、華恋さん。私が忘れ物をしていたことに気付き戻ってみれば、あなたは温水さんとのSEXで腹上死しそうになっていたんです。だから、私が温水さんのお相手を代わったんですよ」
ベッドの上で死に体の状態で抱かれ続けるその姿を見てしまえば、確かにあのまま死んでしまっても無理はないと分かる。
「それこそ、華恋さんが温水さんのお相手を最後まで請け負う事ができれば、私が温水さんに抱かれることになることはありませんでした。私はあくまでも救命措置と考えてくださいね?温水さんを人殺しにする訳にはいきませんから」
先程の映像を見せられるとそれも否定をしづらい。
陸に打ち上げられた魚のように全身を痙攣させながら、泡を吹いている私はどう考えても正常ではなかった。
"死ぬ"や"救命措置"と言われても大袈裟にはとても聞こえない。
「ーーちなみに、これが華恋さんが温水さんを射精させることができた回数です」
頬をぐっと押され顔を倒し壁がある側を向けば、そこには精液が中に
これはつまり、三回は華恋が温水を絶頂まで上り詰めらせる事ができたということ。
「それでは次に、華恋さんが眠ってしまった後に私が温水さんを絶頂させた回数です」
その優しいような声音であるにも拘わらず、支配者然とした圧力のある声に自然と恐怖を覚える。
そして、彼女がベッドの下に手を伸ばすとそこには口先を締めたコンドームがあった……だけど、それ一つでは終わらない。
一個。
二個。
三個。
四個。
五個。
六個。
七個。
八個。
九個。
十個…………。
「…………嘘……」
使用済みの避妊具が幾つも持ち上げられて、顔の横に一つ一つ積み上げられてくる。
その数は余りにも多い。
それこそ、草介に抱かれていたからこそ分かる、平均的な男性の射精回数を優に上回るコンドームがそこにはあった。
それこそ、両手では収まり足りない足りないくらいに膨大な数が。
「フフフフ……華恋さんと代わってから十五回も抱かれてしまいまして私も大変でしたよ。温水さんがあんなに元気な方だとは思いませんでしたから。これも全ては華恋さんが気絶してしまったからですよ?」
「そん、な……」
「もし、華恋さんがお一人で温水さんを満足させてしまっていたら、私もあの様な激しい性行為を知らずに人生を終えていたでしょうね」
それは浮気だの何だのを無意味にする事実だった。
千早が温水の事を華恋の五倍も満足させたということ。
女として自分が千早よりも劣っていると、認識せざるを得ないことだった。
自分が温水のパートナーに相応しくない。
その事実をまざまざと自覚させられてしまった。
「ぐずっ……う、うぅ……っ」
今日、何度目かの涙が流れていく。
交際をしている状態で親友の片想いの相手を横恋慕しようとした女。
その時点で言い訳のしようもない最低な行いでしかなく、親友も社会的な外聞も全て捨てたにも拘わらず、女としても格の差を見せ付けられて負けた。
惨め過ぎて死んでしまいたいと華恋は思う。
そんな華恋を冷徹な視線で観察するように見下ろしながら、その反応を
それは友人に向ける目でも男を寝取った女としてでもなく、まるで実験動物の一挙手一投足を観測する研究者のようだった。
「私としては少なくても
不義理な気もするがそれは私も同じ。
人の事は言えなかった。
「……ですが、このまま華恋さんと温水さんのお付き合いを認めてしまうと、温水さんの性豪ぶりを受け止められず、亡くなってしまうのは私の本意ではありません。私が身体を張って頑張りますね♪」
あくまでも、光希との関係を優先する千早ちゃん。
そして、その理由も納得できてしまう。
「しかし、女性との性行為を知ってしまった温水さんは、今までのように一人で満足することは難しいでしょう。それこそ、八奈見さんを襲ってしまうかもしれません。温水さんは女体の味を知ってしまいましたからね。今までのような自制心を持っていられるかは怪しいと言わざるを得ません」
その欲求が爆発しまえばどうなるか。
「あのどこか恋愛に夢を見ている八奈見さんにそんなことをしてしまえば、温水さんは縁を切られてしまうかもしれません。八奈見さんが温水さんを意識し始めた理由は、袴田さんという幼馴染みが華恋さんと付き合うことになり、周囲の男性が自分に色目を使う中で、自分の事を唯一そのような視線を向けて来なかったことにありますからね。失望されてしまうのも分からない話ではありません」
その愚痴を杏菜から散々されたからそれは正しい……少ししてからは温水君の愚痴ばかりになったけど。
温水君を安心できる相手として見ている以上は、そのようなことがあれば離れていくかもしれない。
「それに、温水さんの大きなペニスを処女である八奈見さんが受け止められると本当に思いますか?さらに、高校生時代から袴田さんと性行為を盛んに行っていた華恋さんが、途中で気絶してしまうほどの性技を持つ温水の相手を八奈見さんがするなど、私には自殺行為としか思えません」
確かに、無理だ……。
否定できる材料がない。
杏菜にも私にも温水君の相手はできない。
……なら、残るは……、
「私が温水さんのお相手をするしかないでしょう」
「それは……!」
「ーーですが、現実的に私にしか勤まらない……ですよね?」
「う……っ」
「なら、私がやるしかないでしょう?」
……何も否定はできない。
倍ならともかく四倍は根性程度ではどうにもならない。
私じゃ……温水君には相応しくない。
「(辛い……こんな情けなくて悲しくなるなんて……)」
失恋。
草介との傷も温水君と一緒に居れば癒せると思っていた。
それほど幸せで女として最高に気持ち良くして貰った。
でも、彼はそうではなかった。
温水君は千早ちゃんとのSEXの方が気持ち良かったらしい。
その証拠をまざまざと見せ付けられた。
「(こんなことなら、あんなの……知らなければよかった……っ)」
今までに無いほど求められて女としての幸せを骨の髄まで教えられた。
今までの草介とのSEXがお遊びに感じられるほどの、甘く激しい鮮烈な
途中で意識を飛びしてしまったが……それでも、あの身も心も溶かされる本能剥き出しの性行の記憶は、華恋の骨の髄まで深く刻まれた。
他の誰かに代わりができるなんて思わないし、代わりができる人が温水君のような人である可能性はさらに低い。
あれほどのモノを持ち技術まである男性が、横柄で自信過剰にならないとは思えない。
温水君は世界で唯一の存在だ。
「うえぇ……うえええええんっっ!!」
私は子供のように泣き喚く。
草介の時も悲しかったけど今回はしっかりと比較をされ、どうして振られるのか明確に理解させられてしまった。
それこそ、トラウマになってしまっても不思議じゃないほどの悲しみが胸を襲う。
鼻水を流しながら無様に泣き叫んだ。
「…………」
そんな私を上から眺めていただろう千早ちゃんが、二十秒以上じっくりと時間を取ると私の
千早ちゃんは聞き続けていると、そのまま底の無い沼地に沈み込んでしまいそうな魅惑的で色っぽい声音で言った。
「華恋さん、ここからはご相談ですーー私と、温水さんをシェアしませんか?」
「………………………………え?」