根源接続者の間桐慎二は酒池肉林を満喫する 作:フランチェスカスキー
うーん、やっぱアニメはつえーわ。
それは学校帰りのある日のこと。
桜は衛宮士郎の家に赴いていた。
「桜もだいぶ料理が上手くなってきたよな」
食卓に並んだ料理を口にしながら、士郎は自然とそう口にする。
士郎のその言葉で桜の表情が華やいだ。
「えへへ。これからも美味しいお料理を作れるように頑張りますね、先輩。ですので、ご指導ご鞭撻の程よろしくお願いします」
「はい、任されました……と、言っても、洋食は桜の方が腕前は上だけどな」
「そうよねー。まさか、桜ちゃんがたった数年で小さい時から料理してる士郎に追い付くなんて、私でも予想外だったなー」
ハンバーグを味わいながらそう口にするのは、彼らが通う学校の英語教師、藤村大河だ。
3人はそれが当たり前であるかのように夕食を囲んでいた。
「それにしても、桜ちゃん、また告白されたんだって~?青春してるじゃないの!」
「あはは……まさか、先生である藤村先生のお耳にも届いているんですね」
桜が困ったように笑う。
「でも、初めて喋った人でしたから断りましたよ?それにその人の視線が……」
「あー……やっぱりそうだよねぇ」
そう言って、大河がテーブルの対角線に正座で座る桜の顔からスッと視線を下に下げれば、そこには年不相応に実りに実った超乳が制服の下からその存在を強く主張していた。
大河も自分の胸が女性の平均値より大きめであるという自覚はあれど、ここまで飛び抜けて大きなものと比べてしまえば、士郎の保護者兼姉としての威厳もなりを潜めてしまうというものだ。
……端的に言えば、人生でここまで藤村大河が圧倒された瞬間は数える程度しかない。
「ゴホンッ、ゴホンッ。あー……その藤姉?あんまりそう言った話は食事中にしない方がいいと思うぞ。桜としてもなんて返答すればいいか難しいだろうし」
わざとらしく咳をして士郎が大河の言動を
それも無理はない。
思春期の青少年には気まず過ぎた。
それこそ、士郎も桜が学校中の男子からモテる事は言われるまでもなく知っていたし、その理由も男子の会話を聞いていればどんなに鈍感でも流石に分かってくる。
士郎としてはこの会話が続く事で、いつ自分が槍玉に挙げられるか分からないのだから、会話の流れを止めるのは最早自衛行為と言えるものだった。
「あははっ……いやーゴメンゴメン!まあ、安心してよ、桜ちゃん。たまたま、私が馬鹿な事を大声で言っていたあのアンポンタンに、キツーい奉仕活動をさせておいたからさ!面倒な事にはならないと思うよ?もし、なったら遠慮なく私を頼るのよ!鉄拳制裁も辞さないから!」
「ふふふっ……はい、ありがとうございます。藤村先生」
デリカシーが無い大河ではあるが、士郎の前で桜がされた告白について口にすることの不味さが分からないほど馬鹿ではない。
しかし、桜の告白は他の女子生徒にするものよりも軽いことが、学校中に流れる空気で自然と分かってしまう。
暗く気弱そうな性格であるにも拘わらず、絵に描いたようなボンキュッボンのグラマラスボディー。
言ってしまえば、桜に告白する男子の理由が恋心ではなく、下心ありきの『ヤリ目』でしかないのは誰の目からしても明らかだ。
だからこそ、下世話な猥談で間桐桜の名前が挙がるのは学校中の常識になりつつある。
教師である藤村大河としても性的な問題は触れ辛く、なかなかフォローするのが難しいのが現状だ。
「お兄さんである慎二君が今まで桜ちゃんを、そう言った男子から守り続けていたんでしょー?あの子、高飛車っていうか周りの子を下に見るような言動をするのに、ちゃんとお兄さんしてるのねぇ」
「あんな風だけど慎二は面倒見が良いからな。俺達が知らないところで色々動いているみたいだ」
「それこそ、桜ちゃんがここへ通うようになったのだって、慎二君がそうするように勧めたからだもんねぇ。最初は戸惑ったけど桜ちゃんの交友関係を広げるためって、ちゃんとした理由もあって驚いたなぁ」
「あはは……まあ、兄さんは色々と考えてる人ですから」
そんな和気藹々と食事を進めて食卓に並んだ全ての料理を食べきった。
「「「ご馳走さまでした」」」
全員一緒に手を合わせて食事を終える。
「いやー、本当に美味しかったわぁ。桜ちゃんは間違いなく良いお嫁さんになるわよ。うんうん、間違いない」
「お粗末様でした。将来は藤村先生のような素敵な女性になれるように頑張ります」
「も~、嬉しいこと言ってくれるじゃなぁ~いっ!本ッッ当に鈍感だけど頑張って!私は姉として桜ちゃんを応援をしてるわ!」
「うん?一体何の話をしてるんだよ?藤姉?」
「さあ~て、何の事かしらね~?お子ちゃまな士郎には早いかなぁ」
「はあ?なんだよそれ?」
そして、このまま大河は居間で少し寛いでから家に帰り、桜は食器を洗ったあとに帰るのが毎回の流れだった。
最早、日常となったその光景を見ながら士郎は思いを馳せる。
「(1年前のあの時から随分リラックスしてるように見える。慎二の判断は正しかったってことか)」
この場所に長年一緒に居る大河だけではなく、桜が共に居ることに違和感を感じなくなった事に士郎は穏やかな気持ちになる。
男性不振から人間不振になりかけていた桜の心を溶かすことができたのならば、これほど喜ばしいこともない。
「(なあ、爺さん。これでいいんだよな?)」
ーーなぜなら、それこそが士郎が命の恩人である衛宮切継から譲り受けた、くだらない『夢』なのだから。
「(俺はアンタの夢だった『
そんな『夢』なんてわざわざ掲げるほどの事でもない、普通過ぎる願望を義父のために自身で叶える事こそが士郎の夢だった。
公務員になること。
それこそ、誰かを守れる弁護士になれればいいと士郎は本気で思っている。
「ねえー……士郎知ってるー?」
「うん?どうした、藤姉?」
そんなことを思っていると、大河が食器を黙々と洗う桜を見ながらこちらに話し掛ける。
士郎は桜が淹れてくれたお茶を飲みながら聞く体勢に移る。
そして、その1秒後にその判断を後悔した。
「桜ちゃん、Lカップらしいわよぉ?」
「?…………っ!ーーブホォッッ!?」
一瞬、その聞き馴染みが無さすぎるアルファベットの数値に疑問符が浮かんだが、その意味を理解して気管にお茶が入り盛大に咳き込んだ。
「ちょっとぉ~?汚いわよ、士郎」
「ゲッホッ!ゴホッ!ゴホッ!……い、いきなり、な、何言ってんだよ、藤姉っ!?」
男性不振が理由で桜が自分の家に来るようになったにも拘わらず、明け透けにそんなことを言い出すとは思わず、士郎は思わず動揺がこれでもかと出てしまう。
「前に洗いっこした時にサイズを教えて貰ってねー。いやー、凄いわねー、桜ちゃん。まさに世界レベルよ。日本の女子高生であのクラスのサイズは片手で数えられるんじゃないかなぁ」
実際に豊胸を一度もせずに胸囲が100cmを超える胸を持つ女性も、外国の血が入らない純日本人の中にも次々と現れ始めている。
だからこそ、そんな人達の悩みも探せばチラホラと見掛けるようになった。
「確か、Kカップになると日常生活が難しくなるって話だし、慎二君だけに任せきりじゃなく士郎もちゃんと桜ちゃんをフォローするのよぉ?私は教師だからそこまで世話は焼けないんだから」
「あ、ああ、なるほど。そう言う話ね……」
セクハラ的な意味だけじゃなく、物理的な不便さを大河は注目していた。
思春期の男子では想像が及びにくい着眼点だ。
頭部に近しいサイズのモノが胸の前に2つもあれば、それはさぞ動きにくい事だろう。
「そうだよな……うん、俺にできる範囲で頑張るよ」
その言葉に納得した士郎は真摯に答える。
もう桜は士郎にとって守るべき対象になっていた。
男子からされるセクハラ的な問題も、日常生活における不自由さからも、体を張って桜を守るため矢面に立つくらいの心構えを、士郎は既に完了している。
それこそが、『しっかりとした大人』の行動なのだから。
「ーーそれと、桜ちゃんのおっぱいに視線がチラチラチラチラチラチラ、ず~~と動いているのバレバレだから。そんなんじゃ、桜ちゃんに嫌われるわよ~?」
「…………………………すみません」
次が本番。