ツンなOL上司の彼女とイチャラブ温泉旅行する官能小説 作:sakamotsu
道端に積もる雪を眺めながら山道を抜け、二人を乗せた車は旅館に到着した。
二人が訪れたのは、それなりに有名な温泉街で、街中は観光客で賑わっている。
彼らが宿泊するのは、その中でもそれなりにランクの高い有名旅館で、街中の賑わいから少し離れて、落ち着いた山間にある。
『明治39年創業の日本を代表する老舗旅館で、山間から温泉街を望む、広大な敷地に広がるその姿は、伝統と格式を象徴。数寄屋造りの建築美、季節ごとに表情を変える日本庭園、そして源泉かけ流しの温泉が訪れる者を魅了します』
と、パンフレットにあるように、浮かれたカップルが訪れれば、ひと目でテンションの上がるロケーションである。
が、気まずい沈黙に包まれた二人はチェックインの手続きもそこそこに「露天風呂付デラックスルーム(和タイプ)」に案内される。
カードキーロックの現代的なドアを開けると、一転、和風の広々とした玄関には、黒漆の飾り棚が控えめに佇み、その上には季節の花を生けた花瓶が彩りを添えている。
仲居さんが奥の襖を開けると、さらに広々とした客間で、正面の大窓には雪化粧した山間の景色が見下ろせる。
左隣は寝室で、反対側には露天風呂の入り口には脱衣所があり、ガラス越しに客間からその様子が見える設計だ。
露天風呂も同様にガラスで仕切られ、湯けむりが漂う様子が幻想的だ。
「お食事はお時間になりましたら、こちらへお運びしますので。それまでの間、どうかごゆっくりなさってください」
など、丁寧に宿泊の説明を済ませて仲居さんは退室した。
二人の間に気まずい沈黙が流れる。
車中で涼子がキレてから、二人は最低限必要な会話しかしていない。
「荷物、ここに置くから。わたしはお風呂に入る」
たまらず涼子が切り出すと、特に荷物も持たずに脱衣所へ向かう。
脱衣所も露天風呂もガラスの仕切りとなっているが、ブラインドが備えられていて、涼子はそれを下ろしたが、ハネは閉じ損ねた。
ブラインドの隙間から、涼子のシルエットがぼんやり浮かぶ。
彼は何度か彼女の裸を見たことがある。
恋人として親密な時間を重ねてきたからだ。
だが、温泉旅館の非日常感と、ブラインド越しの曖昧な視界が、涼子をひときわセクシーに見せていた。
脱衣所で涼子がリブニットをたくし上げる。
巨乳がレースのブラに包まれ、薄暗い光に揺れる。
スカートを脱ぐと、張りのあるお尻がショーツに収まり、太ももの白さがブラインドの隙間からチラつく。
彼女はブラとショーツを外し、裸の背中がガラスに映る。
巨乳の横のライン、お尻の丸みが、湯けむりとブラインドの陰影に溶ける。
彼女との気まずい状況は理解しているけど、それでも彼の喉が鳴り、ちょっとドキドキする。
涼子の裸は見慣れているはずなのに、この曖昧な視界が、彼女の肢体を禁断の果実のように輝かせていた。
涼子が露天風呂に浸かると、湯けむりが彼女を包む。
彼は客間の座布団に座り、彼女の心をどうやってほどけばいいのか考える。
とはいえ、いままでのパターンを思い返すと、彼女の苛立ちが自然に収まるのを待つしかない、という消極策に至ってしまう。
でも、と彼は思いを巡らす。
さっきの涼子の怒るタイミングに彼は違和感を持っていた。
「せっかく褒めたのに……」
つぶやいてみる。
いつもなら、彼女も場の空気を汲んで、彼の誉め言葉に乗ってくるはずだった。
それがどうして? と彼は思い悩むが答えが出ないまま、涼子が湯舟から立ち上がる姿が見えた。
涼子がすぐに風呂へ入ると言い出したのも、この場をなんとか切り替えたかったからだ。
とはいえ、二人の距離が物理的にも離れてしまってはあまり意味がない、というより、逆効果の恐れもあると気づいて彼女は湯舟に浸かるのもそこそこに風呂を出る。
涼子もこの状況に対処できずに困っている。
というよりむしろ、テンパっていると言ってよかった。
なので、涼子は脱衣所に戻って身体を拭くのも簡単にすませて浴衣を羽織る。
客間に戻った彼女の浴衣姿に、彼は一瞬で顔が熱くなるのを感じる。
濡れた身体の湿気を吸って浴衣が貼り付いている。
浴衣は決して厚い生地ではないので、まん丸で大きな乳房の形をくっきりと浮かび上がらせる。
乳首の輪郭が透け、胸の谷間が浴衣の隙間から覗く。
細いウエストから張りのあるお尻へと流れるラインもぴったりと強調されていて、普通の裸体よりエロい。
股間の布地は、濡れて肌に密着し、秘部の微かな膨らみと、膨らみに貼り付いた黒い茂みがほのかに透ける。
彼女が動くたびに、巨乳が重たげに揺れ、お尻が浴衣を押し上げる。
髪から滴る水が首筋を伝い、頬はほんのりと上気し、厚めの下唇の濡れた赤が艶めいている。
どこを見ても、湯上り特有の艶めかしさに圧倒される。
「涼子さん…綺麗」
彼は思わずつぶやいてしまった。
「またそんな話?」
不機嫌に言いつつも、涼子は彼の隣に座る。
両ひざをついて、正座しようとする動きに合わせて浴衣をぱんぱんに張り詰めさせた乳房がたゆんと揺れる。
ヒリついた状況であるにも関わらず、浴衣越しとはいえ、ほぼ透けて見える張りのあるおっぱいに、感情をかき乱されつつ彼もまた居住まいを正して正座する。
そして改めて涼子に顔を向けて頭を下げる。
「涼子さん、ごめん。ボクはどうして詰めが甘いんだろう……」
謝って頭を振る。
「いつも言われてることなのに」
涼子は付け足された一言に、はっとして彼のほうに顔を向ける。
彼はやはり自分の指導を守ろうとしている。
彼の大事なところは変わっていないんだ。
そう気づくと、涼子は気持ちがほぐれていくのを感じた。
それと同時に、後悔がよぎる。
「わたしこそ、ごめんなさい」
涼子は思い切って切り出した。
あのとき、涼子が激昂した理由。
「実は今日着てきた服、わたしなりに考えて選んだの。キミに喜んでもらえたらな、って思ってたんだけど、なんだかそうはならなくて……」
そう言って涼子が言い淀むので、彼は「それはでも」と言いかけて涼子は首を振ってそれを押しとどめた。
涼子は自嘲気味に小さく笑う。
「わたし、自分で勝手に筋書きを作ってしまうのね。今朝だって、キミと合流して"今日の涼子さん気合はいってる!"とかなんとか服の事を褒められてさ、それで機嫌を良くして旅行に出かけるの」
そこまで言って、涼子はまた小さく笑う。
「チョロいでしょ? でもそういうのでいいんだ」
それは彼女も分かっていることだった。
完璧主義ゆえに、彼女は先の見通しを立てて行動する。
それは時に自分だけでなく、周囲の人々の行動も織り込む事がある。
彼女の言う「勝手な筋書き」がそれだ。
「でも、そういうのが、思ったとおりにならないと、イライラが募っちゃう……」
そう言うと、なんだかいたたまれなくなって、涼子は視線を落とす。
この場に、いつもの知的で凛々しい涼子は居ない。
涼子の独白と弱々しい様子に彼はびっくりする。
そして、ようやく理解する。
彼女に叱られても仕方ない事を自分はやらかしたと改めて気づく。
それはそうだ。
彼の失敗を彼女に尻拭いさせた最悪のタイミングで、彼女が本当に言ってほしかった事を言ってしまったワケだから。
彼もまた、自嘲気味に「ふふっ」と笑う。
そしてさらに彼は顔を上げて背筋を伸ばして、さらに彼は天井を見上げる。
「ボクって最悪だ」
何かふっきれたように彼は言う。
あっけにとられた涼子は、彼の挙動が理解できずに、ぽかんと見上げる。
「涼子さんに、そこまで言わせないと分からない自分が最悪すぎて嫌になります」
そう言うと、彼は涼子に向き直り、頭を下げる。
「涼子さん、ボクがんばります!」
さらに頭を下げる。
「ボクの"彼女"にそんなこと言わせることが二度と無いように頑張るので、もう少し一緒にいてください!」
と、彼は振り絞るように言った。
涼子は頭の整理が追い付かなくてしばし沈黙する。
けれど、と彼女は思いを巡らせる。
いたってシンプルな事柄なのだと、彼女は気づく。
彼のまっすぐなところは変わってない。
そしてまた、自分を大事に思ってくれているのが分かって、涼子はちょっと瞳を潤ませた。
涼子は彼の手をそっと握る。
「そう言ってくれて嬉しい。わたしも……、少し変わってみる」
努めて優しく彼に声を掛ける。
言われて彼は顔を上げる。
その表情は明るい。
涼子は知っている。
この表情は、職場であれこれと二人で仕事に取り組んで、どうにか上手くいったときの表情と同じだ。
涼子は内心でホッとする。
それと同時に、気持ちに余裕ができたせいか、彼が私服のままで、自分だけ浴衣姿だという事に居心地の悪さを感じた。
そもそも、涼子がさっさと風呂に入ってしまったから今の状況があるわけで、なんだか自分だけ温泉を満喫している罪悪感に苛まれるのも、自業自得としか言えないのだが、そんな経緯は置いといて、涼子は彼にも温泉旅行を楽しんでもらわねば、と思い至ったのだった。
問題が解決した後の切り替えの早さは彼女の持ち味でもあった。
「キミもお風呂、入ったら?」
釣り目気味の目元を、嬉しそうに細めて言う。
彼は笑い、「涼子さんも一緒に入ろう? 湯冷めしちゃうよ」と返す。
涼子は、さっと頬が熱くなるのを感じながら、目を細めて頷く。
二人の心は、雪の旅館で新たな一歩を踏み出していた。