TS鉄騎戦記 鋼鉄の戦乙女たち、その淫らな記録 作:えぴっくにごつ
――それは我々の住まう世界とは異なる、とある世界での話だ。
その世界では、一つの戦争が行われていた。
元はこの世界で新しく発見された、非常に有用なものとなる希少物質の。その採掘地の利権を巡る小競り合いから始まり。
しかしそれは長引き、拗れ。
今では二つの陣営に分かれての、大きな紛争に発展していた。
そしてその戦争の最中で。新しく登場し、そして革新的なものとして着目されたとある「兵器」があった。
――鉄騎。
そう名称される、機動兵器。
乱暴を承知で言ってしまえば、ロボット。少し正確に言えば、人型を模した歩行型機動兵器。
これまでは空想、物語の中に限り表現されて来たそれが。この戦争の最中に開発登場して現実のものとなり。
そして戦場の主役となったのだ。
鉄騎は、今現在にまで拗れ長引く戦争の原因とあった希少物質――「エネルジオ」を。それを用いる機関を、動力のための核とするのだが。
そのエネルジオ機関を核として組み込んだ鉄騎は、他の兵器には見られないある特性を持った。
それは操縦に当たり、操縦者――パイロットの精神と、そして鉄騎の核が「シンクロ」することが求められること。
そしてそのシンクロ率が、そのまま鉄騎の性能に直結する事だ。
そしてだ。どういうわけかそのシンクロ率は、操縦者が「男性」であった場合にはあまり芳しく無く。
操縦者を「女性」とした場合に、高いシンクロ率を発揮し。高性能を叩き出す例を顕著に見せたのだ。
そんな妙な性質を持つ鉄騎が。しかしその戦況を揺るがしうる性能は捨てがたく、難儀な物ながらもいくらかの不都合は承知で、戦場に登場し始めた頃。
彼――ユエト・ルークスは。
彼の産まれ住まう祖国、「皇国」にて。
巷で賑わい始めた、鉄騎に関わるそんな諸々の噂を耳にしつつも。その時は他人事であった。
ユエトが思ったのは、「何か戦争が当たり前となる前の物語で聞いた話だ」という。
そして合わせて、「鉄騎というのは女を好むスケベな機械なんだな」というくだらない感想くらい。
それよりも、今に通う上級学校を卒業した後には。今や皇国国民の大半に課される、兵役義務のため。
軍に入隊し、散兵(歩兵)として過酷な戦場に身を投じなければいけない事。それに向けての覚悟を整えなければならない事が、ユエトにとっての目下の問題であった。
だが、その時のユエトは。
鉄騎のその特性事情から。また思わぬ形で世界の在り方が変わり始めている事は、まだ知らなかった。
エネルジオ機関が、それが動力の核とする鉄騎が。なぜ女性が操縦者である際に限って、良好なシンクロ率を叩き出すのか。
その謎を解明するための研究の過程で、思わぬ副産物が。ある効果現象が、新技術として生み出されてしまっていた。
――それは、性の垣根を越える御業――性転換技術。
男性が女性に身姿へと、それも任意に転換する事を可能とする。ある意味、鉄騎の登場以上に驚くべき技術。
これはすなわち男性も、女性へと転換する事によって。鉄騎を効果的に操るための、有用な操縦者となれることに直結する。
これに、ただでさえ有用な兵力・兵員不足で悩んでいた皇国軍は飛びつき。限りあるリソースを優先して費やし実用化から普及にこじつけられ。施策として注力され。
そしてそれは、学校を卒業して兵役に就き。訓練学校での訓練が始まったばかりのユエトの元に。
ユエトを始め、戦場に臨む覚悟を各人なりに決めた男性男子諸君の元に。
程なくの後に「彼女」へと身を変じる事となる「彼」等の元へ。舞い込む事となったのだ――
「――ふぅ」
そんな、ユエトの元へ驚きの舞い込んだ日から、いくらか経過したある日。
その日その時。訓練学校の施設内に設けられた、「鉄騎」操縦のための訓練シミュレーター装置の内で。。
その内のパイロットシートに身を収める、一人の少女が小さく吐息を零した。
その少女は、歳は20歳手前程。
凛としたツリ目気味の目が主張する、端麗だがあどけなさを残す顔立ちが。
少しふわっとして毛先長めの、黒髪のショートカットに飾られている。
そして反して。160半ば程の、女子としては少し高めの身長のボディには。
ワガママなサイズで、しかし形の良い乳房がまず主張し。同時に括れた腰回りと、また反した豊かな尻肉に太腿が携えられている。
謙遜こそ逆に嫌味なまでの、抜群の美少女。
そしてその完璧なボディがその身に纏うは。
そのボディシルエットをこれ見よがしに主張するように、はっきり浮き立たせるぴっちりとしたボディスーツ。
灰色みの掛かった黒色を基調として。金色や灰銀色で、身体の曲線を飾る様にラインが走り、また階級類が描かれている。
合わせて、最低限のプロテクタ類がアクセントのように付随。
それは「操縦者接続装甲」と正式には名称される、鉄騎の操縦者のためのパイロットスーツ。
それを纏う姿が示すように。その凛とした黒髪少の美少女は、鉄騎の操縦者である。
《――ユエト・ルークス補助少尉。本日のシミュレーションはこれにて終了だ、報告を提出したら終業として良し》
そしてだ。
次に効果の掛かった色で、シミュレーター内に響いた。訓練教官からのものである通信音声は。
その黒髪美少女を、しかしユエトのフルネームで呼んだのだ。
そう――その黒髪美少女の正体は、ユエト自身。
その彼の、少女へと転換変貌した姿で在った――
先にも少し言及したが。
拡大に長期化する紛争から皇国は。いや皇国に限らず、敵対勢力である「連合」に、諸々の各陣営勢力は。
少しでもの有力な戦力確保に死に物狂いであった。
その上で、戦局を変えうる兵器である鉄騎その物の増強・戦力化と合わせて。
各陣営勢力が手を出したのは、その鉄騎の操縦者に適する存在である「女」を増やす事。
そのために、エネルジオと鉄騎の特性の研究過程で生み出された性転換技術を。皇国に連合、各陣営はリソースを割いて実用性にたる物へとこじつけ、普及運用を開始したのだ。
鉄騎の「女性」しか有用に扱えないという泣き所を。しかし性転換技術で保管すれば、操縦者は単純計算で倍にできる。
その都合は分からないでも無かったが。
その現実となった驚きの話を聞かされた時。しかしユエトは驚きよりも前に、どこか呆れてしまった。
そしてしかし、そんなユエトをよそに。
拡大長期化から総力戦に足を突っ込みだしてる紛争のために。その施策は急ピッチで進められ。
訓練学校に入学し、これから訓練が始まろうとしていたユエト等の元にも。しかし派遣されてきた医療機関チームによって、性転換技術が持ち込まれ。
簡単(言ってしまえば適当)な、身体健康面でのレクチャーだけを受けさせられた後。
男子から女子への身の変貌と言う、奇跡のような初体験を――しかし定期健康診断の流れ作業のような環境の中で、感動よりも前に慌ただしさに追われながら終え。
そしてそれから急かされるように、鉄騎へのシンクロ度合いを。鉄騎操縦者としての適正検査を受けさせられ。
結果。ユエトは非常に高い数値を。
何なら元より女性である操縦者たちよりも、高く優秀な数値を叩き出してしまい。
散兵として過酷な戦場に身を投じるであろうと考え、決めていた覚悟は。想像もしていなかった形で横やりを入れられ。
ユエトは美少女へと身を変えて。鉄騎の操縦者への配置を命じられたのであった――
「ふぁっ……」
そんな、ここ数か月で怒涛の勢いで流れ変貌した、自分の身の上を少し思い返し。
少しの呆れの想いと、倦怠を覚えながら。
物々しい音に様相でハッチを開いたシミュミレーター内より、ユエトは這い出し降りる。
「……!」
乗降用の足場に足を着き。とりあえずは操縦席で凝り固まった身を解すべく、その身体を捻ろうとした際。
しかし、嫌でもその気配に視線に気づいた。
向こう近くで待機していた整備兵たちが、あからさまな好奇――いやらしい眼で。
今は抜群の美少女であるユエトの、パイロットスーツに包まれ飾られるワガママボディを盗み見ていた。
盗み見ていると言うが、それはバレバレ。
そしてだ。
鉄騎のメンテナンスの際には整備兵の彼らも、シンクロのテスト、試運転などがあるため。性転換により「女」の身姿となる事が、実は最近から日常と成り始めており。
そんな彼らをしょうがなく思いつつ、ユエトが同時に思ったのが。「自前の女体で満足していて欲しい」などという所であった。
「やれやれ――ん……っ♡」
しかし、溜息交じりに零したその次。身を捻り動かした影響で、慣れないパイロットスーツが悪戯に身を締め付け。
半分無意識に、無防備に。ユエトは悩ましい声を漏らしてしまう
「……うわ、えろ」
と思った矢先、向こうから透る声でのそんな声が漏れ聞こる。
ユエトが向こうに視線を向ければ。そこに居た長身イケメン系の美女の整備兵が、反した童貞丸出しの反応を見せ届け、慌てて視線を逸らす姿を見せた。
その様子から、その中身正体は性転換した、初心な男子であろうことがまたバレバレ。
唇の動きで、「えっろ……無防備過ぎだろ……」とでも言っているだろう事が伺える。
「……」
そんな中身男子のイケメン美女を、自分の無防備から戸惑わせてしまった事をいくらか申し訳なくは思いつつも。
しかしユエトは同時に。そのイケメン美女の纏う整備兵ツナギの、無防備に開け放った胸元ファスナーから零れ落ちそうなまでの。二つの「特大メロン」を見つつ。
「人の事を言えた義理か」、と。また困り呆れる感想を浮かべてしまったのであった。