【R-18】男女比1:50の貞操逆転世界で、僕は 作:オッパイダーマン
性行為実習室。
そこのベッドに僕と瑠璃子さんは腰をかけていた。
瑠璃子さんは……全裸のまま、パンを食べていた。
「……瑠璃子さん、何も裸のまま……しかもベッドの上で食べなくても」
「え、あー……ま、まぁ、良いじゃん?後でちゃんと掃除するし」
「なら良いけど……良いのかな?」
僕はベッドの端に置いておいたズボンを手に取った。
現在、学校の昼休憩中。
瑠璃子さんがどーしても我慢できない!って言うから、先程まで
サキュバスの血、恐るべし……なのか、瑠璃子さんがただただスケベなだけなのか。
まぁ、そんな瑠璃子さんの性欲についていける……どころか、まだまだ持て余してる僕もサキュバスの血を引いてるんだなーって感じはするけどさ。
「それでさ、雄介くん。話は変わるんだけど──
「うん?」
僕はズボンを履き直して、瑠璃子さんの方を見た。
まだ裸でメロンパンを食べている。
……も、もう終わったんだし、服を着て欲しい。
またエッチしたくなっちゃうから。
「私以外のパートナーの目処って立ってる?」
「ん、ん゛んっ!?ま、まだだけど?」
思わず咽せた。
そう、この世界は一対一の恋愛社会ではない。
一夫多妻のパートナー制なのだ。
社会の一般常識として、男に対して五人の女性は当たり前。
十人女性を囲めば優秀。
二十人なら尊敬される。
とか、そういう感じの狂った世界なのだ。
「えー、そっか。じゃあ当分、雄介くんのこと、あーしが独り占めできる?」
「そ、そうなるね」
ゔ、可愛い。
僕のパートナー、可愛すぎる。
まぁでも実際、瑠璃子さん以外にパートナーを作る予定はないし。
「それはあーしも嬉しいけどさ、ちゃんとパートナーは作ってね?じゃないと、あーしがパートナー作り邪魔してるみたいになって印象悪いし」
「……分かったよ」
……女の子の方から、別の女にも手を出せとか言われる状況、意味不明過ぎる。
やっぱりこの世界、変だよ。
「……あ、パートナーできても、あーしに飽きないでね?ずっと、エッチしよーね?」
「そ、それも、うん。瑠璃子さんに飽きる訳ないよ」
「やった、なら安心」
僕はこの世界の倫理観に染まりきってない男だ。
自分のことを大好きな美少女ギャルに飽きる訳がない。
まぁ、例え瑠璃子さんが美少女じゃなくても好きだけどさ。
瑠璃子さん、優しいし、気遣いできるし、可愛いし。
そこは容姿とは関係なく、瑠璃子さんを好きなポイントだ。
「てか、今日、茜となんか話してたよね?変なこと、言われてない?」
「え?いや、そんな事ないよ。普通にノートを貸してただけ」
「ふーん……もしさ、嫌な事言われたら、あーしに言ってね?」
……瑠璃子さん、茜さんのこと何だと思ってるんだろうか。
確かに茜さん、異性に対して凄くがっつくタイプで、モラルに欠けた発言もするけど、根は優しくて悪い人じゃないと思うんだけど。
少しぐらい、僕からも擁護してあげようかな。
「茜さん、そんなに悪い人じゃないと思うよ?」
「……いや別に、悪いって言ってる訳じゃないけどさ。あの……なんつーの?すっごく、処女っぽい発言するからさ」
処女っぽい発言ってなに?
文脈的に、嫌な感じの発言って意味っぽいけど。
「大丈夫だよ、気にしてないから」
「んー、気にしてないなら良いんだけどさ」
ぶすっとした感じで、瑠璃子さんがメロンパンの最後の一欠片を口にした。
「でも、瑠璃子さん。心配してくれてありがとう」
「へ?あ、あー、当然だし……どーしても、お礼したいなら、キスして欲しいかも……♡」
顔を真っ赤にして、瑠璃子がおねだりしてくる。
あまりにも可愛くて、僕は顔を近づけてキスをした。
その後、昼休みも終わりが近付き、僕は教室に戻って来たのだけれど──
「あ、相田くん。これ、返すよ、ありがと」
「茜さん?あ、うん。返してくれて、ありがとう?」
茜さんがノートを返しに来てくれたけど、何だか元気がなさそうだ。
心配になって、僕はノートを席にしまいながら視線を戻した。
「茜さん、どうかした?元気が無さそうだけど……」
「え?あ、いや、あるよ!元気!それはもうモリモリ!ビチャビチャ!」
……ビチャビチャ?
ちら、と少し離れた席の瑠璃子さんに目を向けると、険しい目で茜さんを見ていた。
あ、これセクハラ発言だったんだ。
所謂、処女っぽい言動ってこれの事か。
でも、大目に見てあげて欲しい。
だってこれ空元気っぽいし。
「何か困った事があるなら相談にのるよ?」
「……い、いや困ったとか、そういうのじゃないんだけどさ。あ、あはは……」
僕が首を傾げた、と同時にチャイムが鳴った。
授業が始まることを察して、僕も茜さんも自席に戻る。
しかし、僕の心の内は不思議なままだった。
茜さん、昼休み前までは元気だったし。
何かあったのかな?
数学の授業も終わり、そして放課後。
瑠璃子さんは今日、用事があるらしく先に帰ってしまった。
まぁ放課後にエッチできないからこそ、今日は昼休憩にしたんだろうな、なんて僕は納得した。
しかし、こう、久しぶりに放課後に一人だ。
といっても、やる事はないけど。
んー、さっさと送迎の車を呼んでも良いけど、図書室にでも行こうかな。
瑠璃子さんに案内はされた事あるけど、じっくりと本の品揃えを見た事ないし。
何か面白い本があるかも知れないし──
「あ、相田くん」
「茜さん?どうかした?」
茜さんに呼び止められて、僕は振り返った。
「ちょっと良いかな……その、話したい事があるんだけど」
「うん、いいけど……」
何やら真剣な顔をしている。
今日、思い詰めてた事でも教えてくれるのかな。
そうして「ここでは言いたくない」と茜さんが言うので、二人で校舎の裏まで移動した。
部活のない生徒は下校し始めていて、人目はない。
「茜さん、陸上部はいいの?」
「い、いいの。今日、休みにして貰ったから……」
顔を赤くしたり、不安そうにしたり、何やら葛藤する様子で茜さんは目線を泳がせていた。
心配になってくる。
しかし、校舎の裏……美少女と二人っきり、か。
茜さんは、日焼けした肌が綺麗な、少しボーイッシュな見た目をした美少女だ。
言動が多少、デリカシーに欠けるけど、可愛い所もいっぱいある。
正直、僕からすれば気になる女の子の一人だ。
そんな女の子に、校舎裏まで呼び出されたのだから……まぁ、僕も緊張している。
心臓もドキドキしてる。
「あ、あのさ……」
まさか、告白だろうか。
い、いやぁ、僕には瑠璃子さんが居るし……でも、この世界の常識的には複数の女の子と関係を持つのが普通らしいし。
瑠璃子さんも推奨してるし。
でも、僕の倫理観的にはそれって浮気だし。
だけど、茜さん可愛いし、断る理由はないし──
「今日のお昼、瑠璃子と『性行為実習室』に行ってたよね?」
……ん?
話題がちょっと不穏になってきたな。
何で知ってるんだ?
「……あ、うん」
何か根拠になる理由がありそうだし、誤魔化す意味はなさそうだ。
素直に頷いた僕に、茜さんは少し表情を歪めた。
「二人はもうパートナーなの?」
「……そう、だけど?」
パートナーじゃない女の子とエッチするのは、この世界の常識的には……どうなんだろう?
その辺、よく分からないけど。
瑠璃子さんの名誉のためにも、パートナーだって名言しておこう。
「…………そっか」
という判断だったのだけれど、茜さんは僕の解答が気に食わないらしい。
ショックを受けたような顔で、僕から目を逸らして……そして──
「そのこと、クラスのみんなが知ったら……瑠璃子、大変だろうね」
なんて、事を言う。
それは害意のある発言なのか、僕には一瞬分からなかった。
「茜さん……?」
「抜け駆けしたってバレたら、嫉妬されて……もしかしたら……」
そうして、茜さんは僕の方を見た。
何やら切羽詰まったような顔で、泣きそうな顔で僕を見ていた。
それでも、僕は口を開く。
「茜さん、その……秘密にしてくれるかな」
茜さんが何を考えているのか分からないけど、瑠璃子さんに傷付いては欲しくない。
だからこそ、僕はそう口にした。
「……どうしよっかな」
だけど、それが余計に茜さんを傷付けてしまったようで、表情を歪ませてしまった。
「茜さん」
「…………」
葛藤するような顔だ。
悪い事をする前の、躊躇うような顔。
そんな顔で僕を見て……そして──
「あ、相田くんが……私のことも、抱いて……エッチしてくれるなら、秘密にして、あげても……いい、けど」
か細く、途切れ途切れに、そんな事を口にした。
僕は驚いて、何も口に出来なかった。
そんな僕に茜さんは震える声で、言葉を繋ぐ。
「い、一回だけで良いから……!一回……だけで、ちゃんと諦めるから……」
涙をポロポロと流しながら、いつもの活発そうな顔ではなく……本当に辛そうな顔をしながらも、言葉を繋ぐ。
「どうしても、嫌なら……ハグだけでも良いから……だから……」
それは自己嫌悪の顔だった。
僕にも、少しだけ気持ちが分かる。
言わなければ良かった、なんて後悔する顔だったから。
それでも、だから──
「茜さん」
僕は茜さんの手を取った。
「あ、相田、くん……?」
僕の顔を見て、茜さんは困惑していた。
きっと茜さんが想定している表情ではなかったのだろう。
茜さんは……人の弱みを握って、僕のことを好き勝手にしようとした。
いや、「好き勝手したい」と思っていただけだ。
言葉の節々や、態度から……それが悪い事で、本当はしちゃダメだって分かっていて、それでも言葉は取り消せなくて。
どうしようもなく、八方塞がりになってしまったのだろう。
自分の欲求と、倫理観、それらが混乱して、あんな事を言ってしまったのだろう。
「……ごめんだけど、そういう理由で茜さんとエッチする気はないよ」
だから、そう。
「そ、そうだよね……ごめん、ね。変なこと、言って。だ、大丈夫だよ……ちゃんと、言わない、から」
茜さんが思うほど──
「でも、僕は……僕も、茜さんとエッチしたいと思ってるよ」
僕は茜さんのことを嫌いにはならない。
「……え!?」
「だって僕、茜さんのこと好きだから」
落ち込んで欲しくないから。
辛い思いをして欲しくないから。
そんな顔をして欲しくないから。
「茜さんが、秘密を出汁にしなくても、茜さんが“したい”って言ってくれるなら……僕はするよ」
握った手が、震えている。
茜さんが顔を真っ赤にして僕を見ている。
気恥ずかしい言葉だし、内心ちょっと自己嫌悪してるけど。
茜さんがかけて欲しい言葉を選んで、僕は口にする。
「……な、なら、私、相田くんと……“したい”。エッチなこと、したい……いい、かな?」
茜さんがして欲しいことを、望んで……僕はしよう。
「いいよ」
……まぁ、本音を言えば、ただ茜さんと“したい”だけなんだけどね。
倫理観とかそういうのより、性欲が勝ってるだけだ。
僕は自分自身の節操のなさに自己嫌悪しながらも、茜さんの手を握りしめた。