※この作品はR-18です。

リスタート:過去へ戻って孤高な女達を手駒にして現在の危機を打破する   作:霧江

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日常

翌日、俺は目を覚ました。

時計を確認すると時刻は既に12時頃になっている。

かなり遅めの起床だった。

俺は無意識的に隣をみたけど、そこに美鈴の姿はいなかった。

どうやら、美鈴は既に起床しているようだ。

 

「寝坊しちゃったか?」

 

いや、そこまで寝坊でもないか。

昨日、美鈴は宣言通り俺を寝かせなかった。

美鈴は本当に最後の一滴まで搾り取る勢いで、俺を絞り尽くしてきた。

人生で精力剤なるものを使ったのは始めてだったけど、昨日は使うしかないくらいだった。

結局、美鈴が満足したのは明け方になってからのこと。

寝る直前に朝日が見えたことは覚えている。

だから、寝坊というよりは、夜更かしをしたということがもっと正確な表現だった。

 

「しかし、本当に昨日は死ぬかと思ったよ......」

 

セックスが大好きな俺が始めてそう思うくらいの夜だった。

過去に体力差を使って、美鈴を組み伏せたことがあったけど。

俺はその時の美鈴の気分がこれではないかと思えるくらいの体力差を感じた。

どうやら美鈴の若返り施術は、行きすぎるレベルまで上手く行ったようだ。

 

「後にちょっと詳しく聞いてみようかな?」

 

俺は少しその若返り施術というものに興味が出来た。

あれだけ、効果の良い施術である。

俺も受けてみることもありかもしれない。

そんな風にどうでも良いことを考えていたところで、ふと、あることが思い付いた。

 

「そういえば、あれのこと忘れてた。」

 

俺はベッドから身を起こした。

そして、近くにあった写真立てを取る。

そう、昨日のウェディング写真のことだった。

昨日は美鈴の乱入によって、確認出来なかったあれ。

現状を確認するために、これ以上良いものはないだろう。

俺は恋人4人と一緒に撮影したウェディング写真を睨み付ける。

それだけで、俺はこの衝撃的な写真に関連した過去の記憶を蘇らせることに成功した。

 

「ああ、そういうことか。」

 

結論から言うと、俺は4人全員と結婚している訳ではなかった。

日本は一夫多妻の国ではないから当たり前なことではある。

一応、俺の法的な配偶者は絵里ちゃんだけだった。

他の3人については事実婚関係という状態になっている。

ちなみに岬ではない絵里ちゃんが法的配偶者になった理由は、単純に連さんが原因だった。

娘を差し置いて、他の子と結婚するとなると、あのお父さんは何をするか分からないからな......。

俺が4人全員と添い遂げるためには、それが最善だったのである。

俺は未来でも変わらず娘バカっプリを発揮している漣さんに少し呆れた声をあげた。

 

「相変わらず、娘バカなようで......」

 

他の恋人たちもこのことについては、了承済みだった。

岬と美鈴については、一家がまるごと俺の恋人だから、そもそもそういう問題に発展することもないし。

葵に関しては家が放任主義気味だったので、そこまで結婚にこだわってないとのことだった。

その中で一番結婚とかでうるさいお家は西之宮家だったのである。

そうやって、俺の外向けの正妻は決められた。

ちなみに裏では特に正妻とかそういうものはない。

基本的に皆、岬と仲が良いから、岬が良い感じに仲を取り持ってくれている。

 

「本当に岬様々だ。」

 

弁護士としてのみならず、こんなところでも俺の最愛の恋人様は活躍しているようだ。

大体状況を把握した俺は、写真立てを元の場所に戻した。

ふむ、これからどうしよう?

ちょっと、身体に疲れが残っている感じはするが、既に回りは明るい。

少し眠くはあるけど、二度寝はなしだな。

特に寝室でやることもないからな......

 

「まあ、そろそろ、下に降りますか。」

 

そう思った俺はそのまま部屋から出て、下の階に降りた。

下の階に降りるとなんだか美味しいそうな匂いがしてきた。

俺は匂いの導くままにキッチンへと向かった。

すると、そこには美鈴が鼻唄を歌いながら、食事を準備していた。

見た感じ美鈴は物凄く上機嫌のようだ。

 

「美鈴、おはよう。」

 

「英二、おはよう。もう起きちゃったの?もう少し寝ててもいいのに。」

 

「うん、何か目が覚めちゃった。」

 

一旦手を止めて、エプロン姿で俺に朝の挨拶を返してくる美鈴。

どうやら、料理はほとんど終わっているらしい。

しかし、朝の美鈴にはエプロン姿が似合うな。

俺はそんな美鈴のことが愛らしく感じた。

そうだ、折角だし、あれをやってみようか?

俺は美鈴にゆっくりと近づいた。

 

「あら、どうしたの?」

 

美鈴はそんな俺のことを頭をかしげながら見つめて来た。

くっ、可愛いな。

 

「いや、何となくこうしたいなって。」

 

俺はそう言ってから、美鈴のことをハグした。

 

「本当にどうしちゃったの?急にハグなんかして?」

 

美鈴は少し困惑したようだったが、俺をはね除けたりはしなかった。

それどころか、そのまま俺のことを抱き返してきた。

何だかいいよね、こういうの。

実は俺はこういう特に意味のない夫婦同士のスキンシップというものに、昔から憧れていた。

テレビとかで見た時は羨ましいなと指を咥えてみているだけだったというのに。

まさか、それを自分で出来る日が来るとはな。

俺はその事実に感動してさらに強く美鈴のことをハグした。

 

「美鈴が可愛いくて急にハグしたくなっただけ。」

 

「うふふ、もう、なにそれ。」

 

俺の褒め言葉に満更でもなさそうに微笑む美鈴。

微笑む美鈴は先程よりも、さらに上機嫌に見えた。

朝の幸せホルモンを充填してからのこと。

俺と美鈴は食事を開始した。

昼のメニューは昨日のよりは比較的に簡素だったものの。

それでも立派な献立だった。

もちろん、どれも精の付くものばかりだということも変わってない。

俺は白米を貪りながら美鈴に質問した。

 

「岬は?」

 

「出勤したわよ?」

 

「そうか......。」

 

出勤か。

俺もしないと行けないよな。

未来の俺は岬と同じ職場に通っている。

というか、正確にいうと、俺がその事務所を運営している。

俺と岬は個人事務所を持つ弁護士だったのである。

 

「英二はどうする感じ?」

 

「俺は......今週一杯は休みたいかな。」

 

美鈴の質問に俺はそう返した。

本当なら今日からでも出ることが正しいだろう。

だけど、俺は弁護士業務というものに恐怖を抱いていた。

情けない話しだけど、なるべく、仕事を開始する時間を後回ししたいと思ったのである。

 

「そう?私もそれでいいと思うわ。だって、あまり人来ないでしょう?」

 

え、来ないの?という言葉を俺は必死に飲み込んだ。

これを言ってしまうと本当に怪しまれるからな。

どうやら、俺の弁護士事務所は指名度が全くないらしい。

それって大丈夫なのか?

そう思った俺はなるべく遠回りで状況把握に走ることにした。

 

「俺が勾留されていた間、岬は一人でも大丈夫だった?」

 

「大丈夫だったわね。特に英二の件以外は他に仕事はなかったようだから。」

 

それって本当に大丈夫なの?

一応、そこって事業所だと思っていたのだが、違っていたのかな?

 

「むしろ、岬は久しぶりに弁護士の仕事が出来ると張り切っていたくらいよ......。英二も広告とかすればいいのに。」

 

「あ、うん。そうだね。考えてみるよ。」

 

俺はそう答えた。

そうか、俺の事務室は特に広告とかも出してないのか。

そりゃあ、人が来ないのは当たり前だ。

何というか趣味人がやっている感じの知る人ぞ知る飲食店みたいな運営方式だな......

弁護士事務所がそれで良いのかとも思ったけど、別にそれでも問題はないのかも知れない。

だって、俺は金には困ってないからな。

それに、むしろ、今の俺にとってはそれが都合も良い。

急に弁護士の仕事をする羽目にならないということだからね。

まあ、それについては追々考えていくとして。

 

「葵と絵里ちゃんは連絡なかった?」

 

「そうね。今朝連絡があったわ。二人は物凄く忙しいみたいだわ。今日も帰宅出来るか分からないいって。」

 

二人については昨日とそう状況が変わらないみたいだ。

まあ、宮崎の件があったからね。

仕方がないといえば、仕方がない。

検察と警察は犯人確保で止まらず、宮崎が所属している半グレ組織をまるごと潰そうとしているかもな。

詳細はまだ分からないけど、この件については俺の手を既に離れている。

今はそんなことよりも俺にとって大事なものがある。

それは......

 

「それで何だけど......美鈴、絵里ちゃん、大丈夫そうだった?」

 

これだった。

情けないと思うかも知れない。

だけど、これは割と死活問題だった。

 

「絵里ちゃんね......どうだろう?声を聞いた感じだと普通だったわね。」

 

「普通だっただと!?」

 

それを聞くと、逆に不安になる。

絵里ちゃんはというと、初体験で俺のことを逆レープしてきた子だ。

そんな性欲お化けの絵里ちゃんが、二週間も禁欲した状態で普通であるはずがないけどな。

もしかして、大人になって性欲が弱まったとか?

いや、そんなことあり得ないか。

俺はその可能性を頭の中から消し去った。

あの絵里ちゃんに限ってそんなわけはないからね......

 

「普通だったとか、むしろ怖い......」

 

「ふふっ、英二が思う通り、これは暴風前夜なのかもね。」

 

美鈴はそんな俺の反応が面白かったのか、俺のことをからかってきた。

十数年一緒に住んでいるから、当たり前なことではあるけど。

言葉ぶりからして、美鈴も絵里ちゃんの性欲のことについては分かっているらしい。

お互いそんなことまで知っているとか、俺の恋人たちはそれなりに上手く付き合っているみたいだ。

俺はその時だけはなんとか、絵里ちゃんの脅威を忘れることが出来た。

俺の恋人たちが皆仲良く生活している様を見て、少しほのぼのとした気持ちになったのである。

まさか、こんな未来が来るとは感無量だな......

そんな風に俺が現実逃避をしているその時。

 

「英二?」

 

急に美鈴から声をかけられた。

 

「え、何?」

 

「そんなに絵里ちゃんのことばかり心配していいの?」

 

「え?どういう意味なの?」

 

俺は本当に訳の分からなくなって、美鈴にそう聞き返した。

すると、美鈴の目付きが怪しくなり始める。

その目付きはまるで捕食者のそれだった。

俺はその光景を見て思わず、唾を飲み込んだ。

何となくこれからのことが予想されたからである。

美鈴は俺の隣まで近づいてきた。

そして、耳元に甘い吐息と一緒に吐かれた一言。

 

「私もまだ足りないからね♥️」

 

俺はその言葉を聞いてごくりと唾を飲み込んだ。

一瞬マジかと思った。

だけど、美鈴のためにも、ここで引き下がる訳には行かない。

ここは男を見せる時だ。

そう思った俺は腹を括って、覚悟を決めた。

でも、その前にこれだけ言わせてほしい。

 

「美鈴、若返り施術って俺も受けられる?」

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