※この作品はR-18です。

リスタート:過去へ戻って孤高な女達を手駒にして現在の危機を打破する   作:霧江

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上原家の変化と久しぶりの現代編。


過ち

俺が岬ちゃんの前で、美鈴を呼び捨てにしたあの日から1週間という時間が過ぎた。

長いようで短い期間であるが、その時間に意味がないとは言えない。

その間にも俺は岬ちゃんの調教より、美鈴の調教に力を入れ続けた。

だって、美鈴の性欲は常軌を逸している。

 

この間は3日我慢したけど、性欲を解消してくれる対象が近くにいる今は1日たりとも我慢ができないとのこと。

毎日の如く、俺の部屋に入ってきては裸土下座でセックスをせがんで来るようになった。

子供の体で元気と精力が有り余る俺としてはよかったけど、このままでは俺が妖婦美鈴に喰われることは明らかだった。

 

今のところは美鈴のことを見極めるために、毎日のように相手をしてやっている。

あれを完全に支配し、コントロールするためには持続的な調教が必要だった。

美鈴調教の鍵は精神的な快楽だと思っている。

初めて恋人セックスをしたあの日、美鈴は初めて恋人が出来たと言う充足感で一回イっただけで満足した。

つまり、ああいう状態を作り続けて、それを充足させることで美鈴を支配できると言うことだ。

 

岬ちゃんに関しては、そこまで調教は進んでいない。

俺の呪いによって、俺ではなく美鈴をライバルとして意識するようになったものの、

美鈴の制御に手間をとって、殆ど手がつけられてない状態だ。

しかし、この状態に意味がなかったとは言えない。

 

美鈴が俺を恋人と認めてから、美鈴の岬ちゃんに対する態度はかなり変わった。

前は常に優しい母として振る舞って、良くしてくれていた

だけど、雌としてスイッチが入った美鈴は岬ちゃんをあしらうようになった。

 

食事の時間にも大きな変化があった。

前までは岬ちゃんが好きなおかずを中心に食卓を埋めていたけど、

今では俺の好みのおかずや精のつくものばかりが食卓に並ぶことになった。

夜のことを考えて、俺に精のつくものばかりを作る美鈴。

 

これは別に俺が指示した事項でもなかったけど、美鈴は自らの性生活のために、娘より俺を優先した。

前、岬ちゃんを幸せにしてほしいと言っていたら、しっかり母性愛はあるだろう。

だけど、美鈴の性欲は母性愛よりも強かった。

当たり前だけど、岬ちゃんはこの偏愛状態に大いに不満を持った。

 

「お母さん酷いよ!エイちゃんばかりに構って、どうしちゃったの!」

 

「ごめんね、岬、あとで話しましょう。今はお母さん忙しいからね。」

 

「後っていつなの!」

 

「後は後よ。ごめんね。岬はいい子だから我慢できるわね?」

 

岬ちゃんがお母さんとの関係を改善しようとして、話をしようとしたものの、それは叶わなかった。

子供の岬ちゃんにこの状況は苦しいもののはずだ。

優しかった母にあしらわれるように扱われて我慢できるものではない。

 

以前まではどんな時も自分の言葉を聞いてくれていた母だったのに。

以前までは自分が好きなおかずをたくさん作ってくれたのに。

それが急変して、お母さんが構ってくれない。

 

普通の子供だったら、泣きそうになるくらいの状況なのに、岬ちゃんは強かだった。

そんな岬ちゃんも流石に、ブウブウと頬を膨らませて不満を表出することが多くなった。

 

「ブウブウ、お母さん最近可笑しい。あたしに構ってくれないし!そんなにあたしからエイちゃんを

 奪いたい訳なの!お母さん酷い。あたしもエイちゃんと遊びたいのに。」

 

岬ちゃんはプンスカと起こり出しながら、俺に抱きついて美鈴の不満を言った。

俺は岬ちゃんの反応を見て、ほくそ笑みを浮かべた。

俺は岬ちゃんの母親を奪われるという感情を、母親に俺を奪われるという感情と名付けた。

そうすることで、岬ちゃんは順調に美鈴にライバル心を持ったみたいだ。

 

「はは、ごめんね。美鈴がどうしても遊んで欲しいっていうから。」

 

俺は笑いながら敢えて美鈴の名前を出して謝る。

これで美鈴へのライバル心が強くなるだろう。

しかし、本当に岬ちゃんは気の強いお嬢さんだ。

まあ、鬱展開が待っているよりはいいのか。

可愛いやつめ、俺は岬ちゃんの頭を抱いてやった。

 

「エイちゃんは悪くないもん!すんすん、にしし、エイちゃんの匂い落ち着く!もっと嗅がせて!」

 

そう言いながら俺の脇に鼻を近づける岬ちゃん。

本当にあの狼っぽかった岬ちゃんで合っているのか?

今や完全に犬っころに見えてくる。

 

「よしよし、岬ちゃんは可愛いな。お腹触っちゃう。」

 

「これ!きたぁ!ひゃああああん!もっと、お腹ぷにぷにってして!気持ちいい!」

 

こんな感じに上原家は一変した。

俺としては相当過去改変をしたつもりだった。

だけど、俺が未来に帰る気配は全くなかった。

つまり、これらの変化は未来においてそこまでの影響がないと言うことだ。

 

美鈴は変わらず俺と結婚して、俺をヒモにして養っている。

岬ちゃんはそんな俺を見兼ねて、相変わらず俺に怒っているということ。

こんなにも上原家を滅茶苦茶にしたけど、未来は変わってないんだ。

だとしたら、どうすれば良い?

 

美鈴が変わらなかった理由はわかっている。

美鈴はまだ調教が足りてない。

だけど、岬ちゃんが変わってない理由はなんだろうか。

しかし、岬ちゃんはこんなにも俺を好感を持って、俺を慕っていると言うのに。

何故未来は変わらないんだ?

 

俺は熟考した。

そして俺はある結論に至った。

俺と岬ちゃんの違い。

それは学力、だが、学力自体が原因ではない。

岬ちゃんは俺とは別の学校に行って、新しい人たちと出会って、新しい価値観を持つようになった。

そして、成長した岬ちゃんにとって、俺は鼻につく存在でしかなかったのだろう。

 

だから、岬ちゃんは変わらなかったのだ。

だから、過去改変が起こってない。

だとしたら、俺がすることは一つだ。

俺も岬ちゃんと同じ学校に行くしかない。

それで岬ちゃんを完全に支配するのだ。

 

俺がそう決心した瞬間、俺は意識を失った。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

俺はまた留置場にいた。

過去改変が起きたのだ。

 

「うっ、吐きそう…。」

 

これで二回目の経験だったけど、脳に情報を押し込まれるこの感覚はいまだに慣れない。

ぐるぐると世界が回っている感覚だ。

俺は暫く頭を抱えて、苦しみにもがいていた。

 

「一体どうなっている。」

 

言葉通り、俺は状況を掴めずにいた。

前回は眠ってから、過去改変が発生したのに、今回は起きたままの状態で過去改変が発生している。

俺は前回と今回の違いについて、考えようとした。

だけど、過去改変の影響でうまく考えがまとまらない。

 

「おい、出てこい、面会だ。」

 

「はい!」

 

急に聞こえてくる人の声。

俺は怪しまれないように返答した。

どうやら係官の人のようだった。

彼は俺は面会室へとつれられていく。

その間に俺は周りを見渡す。

 

既に何回か見て見慣れた風景。

俺は変わらず同じ留置場に拘束されているみたいだ。

建物の構造は完全に一致している。

 

「!?」

 

しかし、違うところがあった。

面会者は上原岬弁護士ではなく、初めてみる中年の男性だった。

 

「あのどちら様ですか?俺に何の用ですか?」

 

「初めまして、私は弁護士の川崎誠と申します。」

 

川崎誠?

初めて聞く名前だ。

少なくとも前回と前々回の過去にもその名前に聞き覚えはない。

 

「どうも初めまして、俺は牧田瑛二です。」

 

俺は普通に挨拶を返すようにした。

 

「ええ、既に存じておりますよ。奥様である牧田岬さんからの依頼を受けてきました。」

 

「岬ちゃんが?」

 

奥さんだと?

岬ちゃんと俺は結婚しているのか?

川崎弁護士の言葉に俺は混乱するしかなかった。

 

「はい、奥様からの伝言のメモも預かってます。」

 

その内容は要約したらこうだった。

急に消えて心配だったこと。

発見が遅れて弁護士への依頼が遅れた。

お小遣いをあげないと言ってごめんなさいとも書かれていた。

無事に帰ることを祈ってますとのことだった。

 

「ご覧の通り、奥様がとても心配されてました。どういう状況か教えてください。」

 

「は、はい、実は…」

 

もう何回目のことだろうか?

俺は少し嫌気を感じたが、仕方なく俺は川崎弁護士に事情を説明した。

川崎弁護士は真剣に話を聞いてくれた。

 

「ふうむ、かなり厳しい状況ではあります。」

 

「そうなんですか?」

 

「はい、今のところは警察が主張している動機は合理的に見えます。職のない貴方が酒に酔って、金目の物を狙った。だから、記憶に残ってない。状況的には貴方が犯人として疑われることは仕方がないことのように思えました。」

 

川崎弁護士は淡々と所見を述べた。

あまりにも容赦のない言葉が俺の心をグサッと刺してくる。

だけど、それらは全て真実だった。

 

「そうですか…この状況をどうにか覆すことはできないでしょうか?」

 

「それは難しいですね。なるべく、裁判に行かないほうが理想なんですが、このままだと普通に裁判も有り得ると

思います。裁判になるとこの国ではほぼ勝てる手段はありません.せめて、貴方にもう少し社会的信用があれば…この状況を崩すことができたんですが。」

 

川崎弁護士はそういった。

彼の眉間に皺が走った。

これはそれだけやばい状況なのだろう。

 

「社会的信用ですか?」

 

「そうです。たらればの話に過ぎないのですが。貴方が今陥っている状況は貴方に社会的な信用があれば、脱脚できるものでしかありません。こういうことを言って大変恐縮ですが、警察が言っている動機に説得力を持たせているのは、貴方の出立そのものです。」

 

川崎弁護士ははっきりと物を言った。

俺としても何も言えることはなかった。

彼の言葉は全て正しい。

 

彼がいう通り、俺がもっとまともに生きていればこういう疑いはすぐに晴れた。

もっと金があったのなら、金を盗んだという疑いをかけられることはなかった。

俺がヒモではない真っ当な職を持っていたら、社会的信用を持つことができた。

俺に社会的信用があったら、俺はやった覚えはないという主張がもっとすんなり受け入れられたのだろう。

俺はいよいよ現実と向き合った気分がした。

 

「だから、大変恐縮ですが、今回の依頼は断らせていただきます。他の弁護士に依頼できるように

 奥様にも断りの件は伝えておきます。」

 

川崎弁護士はそう言って席を立った。

彼にとって、俺は経歴に汚点がつくリスクを冒してまで救う価値のない人間ということだろう。

俺は何も言えずに、彼の後ろ姿を眺めているしかなかった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

その日の夜のこと。

俺は考えをまとめていた。

朝のことがあったにも関わらず、俺の頭は冷静だった。

 

これで三回目の過去改変。

俺はこれらの記憶を整理するのに、名付けが必要だと感じた。

 

「一々、あれがああだった記憶と呼ぶのもめんどいからな。」

 

恐らく、これからも新しい世界の記憶は増えていくだろう。

まず、俺と岬ちゃんが夫婦になったこの新たな世界。

これを世界Cと名づける。

以前の世界も順番にAとBで名づけることにした。

 

この世界Cは、俺が岬ちゃんと同じ中学にいくと決めてから改変が起きて作られた。

即ち、この世界は俺と岬ちゃんが同じ中学に行ったことでできた世界だ。

 

「あれは確か…」

 

俺はこの世界での中学受験を思い浮かべる。

流石にこれは大きい事件だったので、すぐに思い浮かべることができた。

俺は宣言通り岬ちゃんと同じ中学に行こうとした。

 

しかし、俺が岬ちゃんと同じ中学に入るには成績が足りなかった。

そこで勉強をしたらよかったのに、俺は楽な道を選んだ。

岬ちゃんを俺と同じ、名前だけ書けば受かるような中学校に入れた。

そんな横暴な行為にも関わらず、俺に好感を持っていた岬ちゃんは断らなかった。

むしろ、いつでもエイちゃんの匂いが嗅げるねと喜んでいた。

 

俺はそうしても大丈夫と思い込んでいた。

岬ちゃんが弁護士になったのは、撲殺戦隊ブレイカーに憧れてだと思ったのに、そんなことはなかった。

岬ちゃんは中学生になってからは、すっかり特撮へ興味を失っていた。

美鈴と俺を取り合って、俺とイチャイチャするだけの毎日。

岬ちゃんは弁護士にならなかった。

 

つまり、上原岬が弁護士になったきっかけは、岬ちゃんの前の中学にあるということだ。

俺は自分のアホさ加減に辟易した。

俺はいつも楽な道ばかりを選んできた。

世界Aでも、世界Bでも、世界Cでもそれは変わらない。

その結果、俺はたった一人の味方である上原岬は弁護士を失った。

 

いやいやながらも、美鈴のために俺を救おうとした世界Bの上原弁護士。

それを俺の手で消してしまった。

俺は俺を更に追い詰めてしまったのだ。

 

「俺って本当にバカだ。」

 

そう呟くしかなかった。

過去の俺を責めようとしても、責められない。

だって、ここ1週間の間は美鈴と岬ちゃんにかまけて、勉強もしてなかった。

つまり、俺がだらけたから、過去の俺もその延長線でだらけたのだ。

 

「本当に救いようがないな。俺って。でも、俺はやり直せる。」

 

俺は銀の腕輪を見た。

俺に許された奇跡。

過去改変が出来るタイムマシン。

これを持って、俺はここから出てみせる。

 

俺は改めて目標を立てた。

岬ちゃんと同じ中学校に入って、岬ちゃんをを弁護士にする。

そして、それが失敗した時に備えて、

 

「俺がここを出るために必要な3つのもの。」

 

川崎弁護士が言っていた金、職、社会的信用を得るのだ。

彼はたられば話として話していたけど、俺はこれを現実にすることができる。

俺が努力さえすれば…

 

「やるしかないじゃない。やるんだ。」

 

俺は心を決めて、再びタイムマシンを操作した。




同中で過去改変が起こったのは、瑛二の努力を知らない堕落した心によるものでした。多分そのまま世界Cで人生を過ごしても完全に同じ結果になっていたはず。これでやっと瑛二も努力ということの重要さを知ることができました。
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