リスタート:過去へ戻って孤高な女達を手駒にして現在の危機を打破する 作:霧江
それからも俺は色んなことをしてみたけど、一向に過去改変が起こる気配はなかった。
セックス、勉強、セックスの毎日を過ごしながらも、過去改変の手がかりを探してみたけど、何の成果もなかった。
今の所、分かっている条件である勉強についても、いくら頑張っても過去改変は起こらなかった。
正直、俺は挫けそうになっていた。
こんなにも長く過去改変が起こらなかったことはなかったからである。
前回もそこそこ長くて二週間くらいだったのに。
今回は1ヶ月が経っても過去改変の気配がない。
このままで何も変わらないのではないかと俺は焦って、気分が沈んでいった。
しかし、その度に岬と美鈴はそんな俺を慰めてくれた。
「瑛二、元気ない?あたしのおっぱいでも吸う?」
「瑛二、私のおっぱいの方がいいわよ。岬より大きくてふわふわよ。」
「何それ…二人は一体俺を何だと思ってるの…吸う」
別におっぱいで元気が出たわけではないけど、俺は少しは元気が出た。
自分でも何だかわからないけど、いくら挫けそうになっても、岬と美鈴の顔を見てるだけで不思議と力が湧いてくる。
今までは味わったことのない変な気持ちだったけど、悪くはなかった。
そんなこんなんで5月はあっという間に過ぎて、5月末には学校で中間テストがあった。
テストのことだけど、こんなことは人生で初めてだった。
驚く程問題がスラスラと解けた。
え、勉強ってこんなに面白かったのと思えるくらいにスラスラと。
これも今までない新感覚、積み重ねてきたものが肯定されるかのようなこの感覚は中毒になりそうだった。
どの世界の俺も真剣に勉強をしたことがなかったから分からなかった感覚。
普通に勉強が好きになるかもしれない。
ちなみに、岬もいい成績を残せたみたいだ。
岬は普通に天才肌なところがある。
この間、岬に勉強を教えてもらったことがあったけど、全部オノマトペだらけで何を言っているのかわからなかった。
「これがパババッでシュウって解いたら解決するよ。」
「何言っているの、岬。」
岬は人に勉強を教えることが苦手みたいだった。
これでは岬には勉強を教えてもらうことはできそうにない。
困惑する俺をみて、なんで分からないか分からないって表情をする岬は印象的だった。
こんな感じの岬だけど、全ての科目が100点だった。
それに対して、俺は国語が100点で他の科目は大体80点台。
岬に比べれば劣る点数ではあるけど、俺としては人生で初めてもらったいい点数だった。
俺は本当に嬉しくて嬉しくて溜まらなかった。
成績表をもらった時、大人の意識をもつ俺だけど、思わず大きい声で叫んだ。
叫んだあとは羞恥心で顔が赤くなったけど、岬も美鈴も生暖かな目でそんな俺をみていた。
当然ながら、俺はこの結果を父と母にもメールで知らせた。
すると父からはすぐに電話が返ってきた。
「瑛二、よくやった。」
父の声は平常を装っていたけど、喜んでいることだけはしっかりと伝わってくる。
父も相当喜んでいるらしい。
「最初は心配していたけど、これなら安心できる。まさか、勉強に意欲がなかったお前がこんなにも変わるとはな、俺は驚いた。改めて言わせてくれ。瑛二、よくやった。俺たちはお前を一人にしたのに、お前はしっかりと成長してくれた。頑張ってくれてありがとう。そして、一人にしてすまない。」
珍しく饒舌な父。
父は感慨深そうな声で俺にお礼をいった。
「!」
俺は驚いた.
どの世界でも父からこんなことを聞いた覚えはない。
あの父も、こんなことが言えるんだなと感心した。
「そうだ。まだ、電子通貨は欲しいのか?」
父は喜びのあまりに、俺に電子通貨を買い与えることにしたみたいだ。
電子通貨のことをふんわりとしたイントネーションではなくて、しっかりと発音する父。
どうやら、父は忙しい中でも電子通貨について調べてくれたようだった。
それだと、電子通貨の値段を知っているはずなのに、それを俺に買い与えるとは、父の喜びっぷりが凄まじかった。
「うん!欲しい!」
しかし、これは遠慮するべき場面ではない。
俺は父の心が変わらないうちに食い気味に返事する。
この機会を逃したら、一番簡単な金稼ぎという目標が長期戦化するからな。
これが過去改変の鍵になるかもしれないと思った俺は、俺は父に必死にアピールした。
「わかった。」
父が俺のその一言を発した瞬間、俺は意識を失った。
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凄まじい吐き気に襲われて、俺は目を覚ました。
頭に強制的に情報を書き込まれる奇妙な感覚。
そろそろ慣れてもいい頃だけど、何回味わっても過去改変後のこの感覚はなれる気配がない。
しばらく、頭を抱えてもがいた。
やっと、吐き気が収まって、俺は周りを見渡す。
もはや、見慣れた留置所の風景。
過去をそんなに変えても、いまだに俺は留置所から逃れられていない。
本当に奇妙な話だ。
過去改変後の俺は全て違う立場の人間で、住んでいるところも全部違うのに、俺は毎回全く同じ容疑で同じ留置所に入られている。
「一体どうなっている。世界Aでも、世界Bでも、世界Cでも俺は前日全部違う場所にいた。」
世界Aでは安酒が飲める飲食店が集中しているところ。
世界Bでは美鈴に金をもらって、そこそこいい酒が飲める高級飲食店があるところ。
世界Cでは岬に小遣いを止められはしたけど、それでも金はあったので、家で近いところで酒を飲んでいた。
この世界Dについてはまだ記憶は戻ってないけど、多分また違う場所にいただろう。
つまり、この状況は途轍もなく作為的であるということだ。
俺は毎回それぞれ違う場所にいたにもかかわらず、俺は同じ場所、同じ容疑で捕まっている。
いくら俺が酒に酔って、実際に犯行を決意したとしても、毎回同じ場所をターゲットにはしないだろう。
しかも、世界Aではそれなりに近い場所であったけど、それ以外の世界では犯行現場とそこそこ距離があった。
通常狙うなら、近くの場所でもっと危険がないところにするはずだ。
「じゃあ、何で俺は毎回ヤクザの事務所で逮捕されるんだ?」
俺は少し思案した。
そして、俺は結論をだした。
しかし、それはありえない結論だった。
「誰かが俺を罠に嵌めようとしている?」
そう、誰かが俺に殺人の罪を着せようとしている。
だが、何でそんなことをする必要があるんだ?
自分で言うのは悲しいけど、俺という人間はどの世界でもそこまでのことをして貶めるほど価値のある人間ではなかった。
俺の名誉なんてあってないものだった。
「俺に恨みを持った誰かがいるのか?」
ありえない。
俺は今までどの世界でも誰かに恨みを持たれるくらい、誰かと関わったことがない。
世界Aはもちろんのこと、世界BとCも岬と美鈴以外の人間関係は全滅だった。
だから、俺が誰かに恨みを買うことはありえない。
「だとしたら、この現実はなんだ?誰かが俺を狙って殺人の罪を着せようとしている。」
俺は自分に問いただしてみたけど、俺の疑問に答えは返ってくることはない。
「一つだけ覚えておこう。俺を嵌めようとする誰かがいると言うことを。」
この問題については、後回しだ。
それより、今は情報収集だ。
今日も普通に取り調べがある。
その前に、この世界Dのことを調べる必要がある。
新しい世界の記憶の引き出し方もそこそこ慣れてきたものである。
俺は大まかな流れを調べるために過去を振り返る。
「電子通貨はどうだったけ…あの後っと」
その後、父は俺に電子通貨を買い与えた。
驚くことに俺が言った通り、100個を全部買ってくれた。
俺としては10個でも良かったけど、父は余程嬉しかったみたいだ。
俺の言う通り100個を買ってくれた。
ありがたいことである。
これを用いて、成人の俺は富豪になった。
少なくとも一般のサラリーマンよりは資産がいっぱいあった。
これで川崎弁護士が言っていた、一つめの条件である金の問題は解決した。
「俺の就職については…どうだったけ?」
岬と共に例の中学校に入った俺はそれからも普通に進学した。
勉強に味をしめた俺は、熱心に勉強をしたけど、やはり一人の力だと限界があった。
美鈴とのセックス勉強も小学校の問題が限界だった。
まだ、小学校の問題だったから美鈴が教えることができたというわけだった。
「むう、やはり、俺の頭は凡人レベルだったのか?」
それでも驚くことに昔の俺と違い、世界Dの俺は諦めはしなかった。
一生を遊んで暮らせる金はあったけど、岬に、美鈴に恥ずかしい人間にならないため、普通に就職した。
そこまで名のある会社ではなかったけど、俺は普通に会社員として働いている。
そういえば、昨日は会社の飲み会で、会社近くで酒を飲んだ記憶がある。
また、例の犯行現場とは違う場所での移動からの逮捕だ。
背後があることは確かみたいだ。
「一番大事な岬のことは…」
俺は岬の顔を思い浮かべる。
世界AとBと同じ中学に入った岬は無事に弁護士になった。
その証拠に司法試験に合格した日に俺がお祝いをした記憶が頭の中に残っている。
それとこの世界でも変わらず、俺は岬と夫婦の関係だった。
「よかった。岬は無事に弁護士になれたんだ。」
世界Cで岬が普通の主婦になった時のこと。
俺は何とも言えない罪悪感を持っていた。
しかし、これでその罪悪感ともおさらばできそうだ。
「本当によかった。」
俺は岬ちゃんの顔を思い出しながら、自然と安堵の言葉を漏らした。
変な話だけど俺は理由が分からず安心していた。
とにかく、俺が掲げた世界Cでの最大の目的が達成された。
あの上原岬弁護士の復活。
しかも、俺と岬は今まで最も最高の関係を築けている。
上原岬弁護士が俺のために全ての力を絞り出してくれるのは間違い無いだろ。
それが遂げられただけで、何よりも大きな価値がある。
俺はしっかりと前へ進んでいる。
誰かが俺を貶めようとしているかは分からないけど。
「それでも、俺は絶対に負けない。なんとしてもここから出てやる。」
俺は覚悟を決めた。
「まずは取り調べだ。」
今日は検察の取り調べが待っている。
世界Dでの初の取り調べだ。
長い長い辛い取り調べになると思うけど、岬を思い出すだけで自然と力が湧いてくる。
不思議な感覚だ。
ここでの俺の役割なんて限られているけど、最大限情報を集めるだけ集めて、後は岬に繋げる
学業で実績を出して、父から電子通貨をもらいました。
因みに瑛二は自身が洗脳された自覚がありません。
元々自身の洗脳なんて想定に入れてないですからね。
なんか岬ちゃんを思い出すとたまらなく愛らしくて、
岬ちゃんのためなら元気が出せる!くらいの感覚です。