リスタート:過去へ戻って孤高な女達を手駒にして現在の危機を打破する 作:霧江
俺は父から電話が来た日に戻っていた。
6月8日、俺が成績表をもらった日である。
これよりもっと未来に飛ぶこともできたけど、それはできなかった。
未来に飛んだとしたら、その空白は子供の意識をもつ俺が埋めることになるだろう。
しかし、俺は子供の俺という人間を中々信頼が出来なかった。
「子供の俺は、俺の両親さえも勉強をしたということだけで、驚愕するレベルの怠け者だからな。そりゃ信じられない。」
自分ながらもそんな男に何かを託そうという気持ちにはならない。
子供の俺が何をしでかすか本当に不安だったのである。
だから、俺は意識をなくしたすぐ直後に飛んだ。
「まあ、それはもういいか、今の現状を整理しよう。」
俺はスマホのメモアプリを起動した。
前回書いた目標は3つ、そのうち2番をのぞいてすべての目標を達成した。
俺は世界Dへ到達して、未来人のアドバンテージを利用して金持ちになった。
職に関しても、社会的信頼があるかは不明だけど、会社員という立場を手に入れることに成功している
我ながら素晴らしい成果と言える。
「しかし、油断は出来ない。過去改変は悪い方向にも起こりうるからな。世界Cのようなことがいつ起きてもおかしくはない。」
俺が安易なばかりに、世界Cが出来たと言っても過言ではない。
先ほどは子供の俺は碌でもないとか言ったけど、大人の俺もそこまで出来た人間ではない。
だから、気を抜くということは許されない。
俺はメモアプリ以前の項目を綺麗に消して、内容を更新した。
1.西之宮絵里を手に入れる。
→岬から聞いた限り、西之宮絵里もまた検事とのこと。
検察の情報を得るには打ってつけの相手である。
だけど、どうやって?
2.宮崎という男について調べる。
→敵を知っておく
これはついでという感じで。
3.社会的信用のある職へ就く。
→社会的信用のある職とは?
西之宮さんのことは今回の一番の目標だから一番に設定した。
ついでに、敵である宮崎のことを調べるという項目も追加する。
特に意味はないように思えたけど、何が役に立つか知らないからこれも追加した。
社会的信用のある職については…引き続きということで、三番に設定した。
「しかし、西之宮さんは本当にどうやって俺のものにするんだ?」
これが一番大きな問題だった。
俺は西之宮さんという人間のことをあんまり知らない。
何が好きか、何が嫌いかはもちろんのこと、最近まで彼女の地毛の色さえ知らなかった。
「何せ俺と西之宮さんはほぼ関わりがないからな。」
中学時代に岬の友人として西之宮さんを紹介されたものの、彼女との付き合いは片手で数えるしかなかった。
俺としては岬の友人ということもありそこそこ仲良くするつもりだったみたいだけど、あの事件が起きた。
宮崎によるクラスでの公開処刑。
俺が西之宮さんによくない心をもって接近したという噂が流されたかと思えば、気づいたらクラスで孤立していた。
そして、クラスの皆んなが集まっている前で宮崎は俺を殴ったのである。
クラスの皆んなには宮崎が義憤に駆られて、悪を打ち倒す勇者にでも見えたのだろう。
しかも、それを西之宮さん本人が肯定して自体はさらに複雑になった。
「俺が直接経験したわけでもないのに、考えるだけで冷や汗が止まらないな。。」
本当に恐ろしい状況だった。
岬の尽力無くしてはそのままイジメになり、俺の人生は破壊されかなかった。
本当に岬さまさまである。
俺はしばらく西之宮さんを手籠にする方法を考えた。
しかし、彼女に対する情報がなさすぎて困っていたその時。
俺の頭に天啓が降りた。
「あ!!」
俺は自身の発想に嘆声を上げるしかなかった。
答えは未来の岬とした会話の中にあったのだ。
西之宮さんが宮崎といい感じになり、彼に尽くしてきたのは、彼が初恋の相手だったからだ。
そして、その感情は自身のアイデンティティを否定されてもなお色褪せないくらいには強いもの。
だとしたら、俺がその初恋の相手になったら?
「そうなんだ。西之宮さんが宮崎を好きになったのは、宮崎が彼女の命を救ったからなんだ!」
つまり、俺が西之宮さんの命を救えば、彼女は俺が好きになるだろう。
幸いにも俺は彼女が危険に陥る日付と場所と時間さえも知っている。
実家近くの山で、2015年の6月27日、今から大体三週間後のことである。
タイミングも素晴らしい。
「これならやれる!俺、よくやった。ナイスプレイだ!」
まさか岬との適当な雑談が西之宮さんの攻略の鍵になるとは。
ただ、話の流れでそう言った話題になっただけで、何か計画が有ってそんなことを聞いたわけではない。
その時の俺は純粋に岬との会話を楽しんでいたのだ。
まさか、あの何気ない雑談が形で役に立つとは!
俺は過去(?)の、未来(?)の自身を褒め称えた。
これで糸口が見えてきたあとは行動があるのみだ。
「まずは山の調査だな。当日になって何かトラブルがあってはならないから。それに崖と言っても、一つとは限らないし。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
週末になって、俺は岬と近くの山に来ていた。
元々は一人でくるつもりだったけど、岬が外に行くなら一緒に行くとついてきた。
危ないから断るつもりだったけど、それを言ってしまうと俺自身も山に行けなくなる。
だから、仕方なく岬を連れてきたわけだ。
「岬、そこ足元気をつけて。」
「うん、わかった!」
俺は岬に注意した。
岬が怪我しないように細心の注意を払う。
西之宮さんがここで命の危険にあったとか言っていたから、警戒はしていたけど。
そこまで大きな山でもなく、どちらかというと木が多くてそこそこ広い丘と言ったほうがしっくりとくる。
子供目線ではこれが山にも見えるかもレベルのところだった。
まあ、そんなに危ない場所だったら、子供が入れないようにするよな。
俺と岬もここで数回は遊んだ記憶もあるし、そこまで危険はないということかな。
「何か山登りって新鮮だね!ところで、瑛二何で木を折っているの?」
岬は俺の行動を見て聞いてきた。
そう、俺は山を登りながら、近くの木の枝を折っていた。
完全にはへし折らずに、木に折れた枝がぶら下がるようにしている。
「今まで来た道を表示しているんだよ。ここって結構広いからね。」
俺は帰り道に迷わないように、木を折って標識を作っていた。
それを見た岬は俺に一言言った。
「瑛二、木が可哀想だよ。」
子供らしい可愛らしい反応。
俺は無性に岬を可愛がりたい気持ちになった。
右手は木を折るために使っていたから、俺は汚れていない左手で岬の頭を撫でた。
「よしよし、岬は良い子だね。でも、大丈夫だよ。俺が折っていた部分はあんまり葉っぱが生えてないでしょう?ここは栄養があんまり行かないからなんだ。だから、折ってあげたほうが木がもっと育ちやすくなるんだよ。」
「にしし、そうなの?瑛二は物知りだね。」
岬は撫でられて嬉しそうな声を上げた。
俺はそんな岬の頭をしばらく撫でた。
それから大体20分で俺たちは頂上的なところについた。
近くにはこれより高いところはないから、多分ここが頂上だとおもう。
だけど、そこには崖と呼べそうなところは特になかった。
「うううん…」
「どうしたの?」
俺が近くを見渡していると岬が俺に近づいてきた。
その時だった。
何かが折れる音がしたのだ。
「危ない!!」
「ふえ?」
俺は咄嗟に岬の手を掴んで、岬を横に押し除けた。
岬は軽く地面に尻餅をついたものの、幸いにも周りが草や葉っぱでふかふかになっていたから、怪我はしなかった。
俺はすぐに岬に抱きついた。
「無事でよかった、本当によかった。」
俺は驚いた胸を落ち着かせるために岬をさらに強く抱きしめた。
木の枝と葉っぱでよく見えなかったけど、ここの山の頂上には一部だけ険しくなっている部分があった。
先ほど岬がそこの崖で落ちそうになったのだ。
それを俺が身を飛ばして、止めたというわけだ。
「にしし、くすぐったいよ。」
岬はそんな俺の反応に恥ずかしそうにしていたけど、なされるがままにしてくれた。
それどころか俺を落ち着かせるために、俺の頭を撫でてくれる。
俺はさらに罪悪感を感じた。
「岬、こんな危ないところに連れてきてごめんね。」
俺は岬に謝った。
いい知れぬ罪悪感が胸の中でチクチクとしている。
俺は岬を危険に晒してしまった自身が許せなかった。
「いやだな、ついてくると言ったのはあたしだし。そんなに謝らなくていいよ。」
岬は逆に落ち着いた感じで言った。
先ほど死ぬかも知れない状況に置かれていたのに。
「でも…」
「でもじゃないよ。そんなこと言う悪いお口はこうなの!」
岬はそう言って俺にキスをした。
「ちゅっ」
暖かくて優しい啄むようなキス。
その口付けで俺のぐちゃぐちゃになっていた感情はやっと落ち着きを取り戻した。
「岬…」
「瑛二は悪くないの!むしろあたしを救ってくれたもん!あたしが感謝をするならまだしも、瑛二が謝る必要はないの!」
そう言って岬は俺の顔を掴んで、目線を合わせる。
「あたしがありがとうというから、瑛二はどういたしましてと言うの。ありがとう!」
「ど、どういたしまして。」
俺は岬の剣幕に押されてどういたしましてを言った。
「これでこれは終わりなの。」
岬はそう言って俺の顔から手を離してくれた。
俺より男らしい岬の返しで俺はキュンとなった。
やばい、改めて岬に惚れたかも知れない。
「岬、格好いいよ。」
「何それ、にしし」
それからしばらくして、俺は何とか普段の調子を取り戻した。
その崖は明らかに危険だったから、目に見えるように少し周りを整理した。
草を抜いて、枝を退かしたりして、穴が目に見えるようにしておいた。
これで西之宮さんの初恋の相手になれないかも知れなかったけど、それでも俺は岬の前では格好良い人間でありたかった。
岬もこんな手段で親友を手に入れたというと俺に失望するだろう。
それが終わって、俺たちは上原家に帰宅した。
岬は良いって言ってくれたけど、俺は美鈴に山であったことを報告した。
美鈴は当たり前にも母親らしい怒りを見せたものの、すぐに怒りの矛を収めてくれた。
俺が元々は岬を連れていこうとしてなかったのに、岬が勝手について行ったことにも非があるとのこと。
それよりは俺が自身を蔑ろにして、一人で山に行こうとしたことの方がもっと怒られた。
保護者として俺の安全も自分の責任だという美鈴にも俺は感動した。
やはり、普段の美鈴は立派な大人である。
それに美鈴も岬と同じく俺に娘を救ってくれてありがとうと感謝してくれた。
俺は本当にこの二人には頭が上がらないなと思った。
美鈴が最後に口を開く。
「はい、説教はこれで終わり。仲直りと娘を救ってくれたご褒美のセックスね。」
そう言って美鈴は服を脱ぎ出した。
岬もつられて服を脱ぐ。
こういうことさえなかったらな…格好いい大人なのに。
と言いつつ俺も服を脱いだ。
私にはとんでもない性癖があります。
未来の情報を用いて、過去に帰って、他の人の恋人を奪うのが大好きです。
変わった性癖ですが、よろしくお願いいたします。