※この作品はR-18です。

リスタート:過去へ戻って孤高な女達を手駒にして現在の危機を打破する   作:霧江

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次回の投稿は火曜日になりそうです。

※休み明けで仕事が山積みでした。
 なので、火曜日の投稿も難しいそうです。
 申し訳ございません。


勉強会

俺は自分の能力を過信したりはしない。

どちらかというと自分の能力を全く信用できないタイプだ。

恥ずかしい話ではあるけど、大人の意識を持ってしても俺が宮崎に勝てるヴィジョンは見えなかった。

俺の力では宮崎を絵里ちゃんから引き離すなんて到底無理な話だと思った。

 

「だから、宮崎自身が絵里ちゃんから離れるようにすればいいんだ。」

 

葵の一件から俺はそのことを気づいた。

葵から二度と近づくなと言われたにも関わらず、恋心(性欲)だけで葵に執着していたあの三人。

あの三人の件は俺にインスピレーションを与えてくれた。

 

「あの三馬鹿の変貌振りは凄かった。今や葵と目も合わせようともしない。」

 

自分が恋していると勘違いしている相手からの長々な罵倒を受けて、他の人に告白する姿を見せられる。

子供じゃなくても軽くトラウマになりそうな経験をしたから仕方ないとは思う。

多分、大人でもこれはかなり効くだろう。

 

「と言うことは、これは宮崎にも効くはずだ。」

 

子供にしてはとんでもない悪知恵を持つ宮崎ではあるけど、感性は普通の人間と違わないだろう。

岬みたいな特殊性癖をもっていなければの話だけど。

あの時、一目みた限りはそんな突飛な性癖を持っているようには見えなかった。

持ってないよな?

 

「あの時の刺すような視線…宮崎は確実に自分の“もの”を奪われることを嫌う性分だ。少なくとも寝取られ性癖はない。」

 

俺が絵里ちゃんの命を救ったあの日。

宮崎は険しい目で俺を睨み続けていた。

絵里ちゃんが俺に抱きついた時は、それこそ殺意が籠ったとしか表現が出来ない目で俺を睨んでいたのだ。

宮崎は絵里ちゃんが他人に好意を持つことを嫌っていた。

だから、絵里ちゃんを寝取られたら宮崎のダメージが大きいと思う。

 

「名付けて絵里ちゃん寝取り作戦。」

 

大分滑稽な名前だけど、効果はあると思う。

その為には俺と絵里ちゃんの仲を今より進展させる必要があった。

だけど、絵里ちゃんは既に俺にメロメロな状態。

 

「これ以上の関係の進展と言えば、肉体的な関係しかないんだけど…そうする為には絵里ちゃんとの時間をもっと作らないと。」

 

現状はこれが一番難しい問題だった。

関係を進展させるためには絵里ちゃんともっと時間を過ごす必要がある。

しかし、学校とか物理的な距離の問題とかで絵里ちゃんといる時間を中々作れない。

だからと言って、お泊まりをしようにも大の娘煩悩おじさんである蓮さんがそれを許すとは思えない。

お泊まりをしたとしても、蓮さんの監視下では肉体関係を持つことはできないだろう。

 

「絵里ちゃんとの関係進展において、蓮さんが一番の鬼門か…」

 

今の所は肉体関係とかの話をする段階にさえ俺はいなかった。

そもそもの話絵里ちゃんといる時間が少な過ぎるから。

俺はスマホで蓮さんにメールを送った。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

金曜日、学校が終わってから、俺は西宮家に向かった。

別に今回は蓮さんに呼ばれたりしてはない。

絵里ちゃんとの関係を進展させるために、俺から蓮さんに提案したものだ。

一応、名目は絵里ちゃんとの勉強会ということになっている。

それを聞いた蓮さんは娘が喜ぶと思ったのか快く許可してくれた。

 

「こんにちは!」

 

「こんにちは、牧田くん!」

 

舞さんは愛想の良い笑顔で俺を向かい入れてくれた。

今回は特に驚いた様子とかはないから、恐らく蓮さんから話は聞いているのだろう。

しかし、絵里ちゃんはどうしたんだろう?

 

「あれ?絵里ちゃんは居ないんですか?」

 

俺は舞さんに確認した。

俺としては扉を開いたらまた絵里ちゃんのボディアタックが待っていると身構えていたけど…

 

「絵里は自分の部屋にいるよ。」

 

まさか、また蓮さんのサプライズか?

舞さんにだけ俺が来ることを言って、絵里ちゃんには知らせないとか。

あり得ない話ではないけど、それだと舞さんも俺に一言言うと思うから、その可能性はないと思う。

 

可笑しい、可笑し過ぎる。

俺はこの状況に物凄い違和感を感じていた。

これは驕りではないけど、俺には絵里ちゃんに好かれている自信があったのだ。

それだけ絵里ちゃんの告白には尋常ではない熱があった。

まあ、ここで色々考えていても何かが変わることでもない。

 

「失礼します!」

 

そう言って俺は西之宮家にあがった。

前回と同じく俺は直接絵里ちゃんの部屋に向かった。

コンコンと絵里ちゃんの部屋をノックをした。

 

「はい!」

 

ドアの向こうから聞こえてくる絵里ちゃんの声。

 

「絵里ちゃん?俺だ。瑛二。」

 

「瑛二くん!今開ける!」

 

絵里ちゃんは俺の声を聞いて、しばらく音を立ててから自分の部屋のドアを開けた。

ドアが開かれる瞬間俺は一瞬身構えたけど、特に何も起こらなかった。

 

「えへへ、瑛二くん一週間ぶりだね。」

 

ボディアタックを敢行することなく、落ち着いた感じで俺を迎えてくれる絵里ちゃん。

俺はそんな絵里ちゃんの態度が気になったけど、そのまま会話を続けた。

 

「そうだね。元気だった?」

 

「元気!でも、瑛二くんに会えなくて少し寂しかった。」

 

「そう?俺も絵里ちゃんに会いたかったよ。」

 

「えへへ、本当に?」

 

俺の言葉にまたデレデレとした表情を見せる絵里ちゃん。

こういうところを見ると感情が冷めたとかはなさそうなのにな…

一体絵里ちゃんに何が起こったんだ?

いや、ここは敢えて言い替えよう。

宮崎は一体絵里ちゃんに何をしたんだ?

 

「本当だよ。今日の勉強会も俺から蓮さんに話したんだ。」

 

「そうなんだ!そんなに瑛二くんが私のこと会いたかったなんて!私うれしい!」

 

絵里ちゃんは俺の言葉に大いに喜んでくれた。

 

「じゃあ、勉強始めようか?」

 

「うん!」

 

俺たちは早速勉強会を始めることにした。

絵里ちゃんと時間を送ることも重要だけど、俺の中ではこの勉強会もかなり重要度が高かった。

俺の成績を一気に伸ばせるチャンスだからだ。

学校の成績は過去のみならず未来にも影響する要素である。

 

「絵里ちゃんこれは分かる?」

 

「もちろん!これは速度の問題だから…」

 

俺の質問に詰まることなく、スラスラと返答する絵里ちゃん。

やはり、私立学校なだけあって、俺より学力が高い。

俺はそんな絵里ちゃんに質問することは勿体無いと思った。

普通に金が取れるくらいのクオリティだ。

俺だったら月3万は出せると思う。

 

「へえ、これって瑛二くんが作ったノートなの?」

 

そこでこのノートだ。

俺は自分が知らないと思った問題をこのノートにまとめた。

それも何回も何回も解いても本当に解けなかった問題だけを整理したものである。

 

「そうだよ。絵里ちゃんの説明が上手いから、絵里ちゃんに聞きたいことをここにまとめたんだ。」

 

そう言って絵里ちゃんにパラパラとノートを見せる。

絵里ちゃんは俺のノートを興味深そうに見ていた。

 

「すごいね。これだけの量なのに、これ全部手作りなんだ!」

 

「やっぱり多かった?恥ずかしいな。」

 

流石に多かったのだろうか?

俺は自身の無学さを指摘されたようで羞恥心で顔を赤くした。

しかし、絵里ちゃんは別に俺を嗤う意図があったわけではないみたいだ。

 

「ううん、分からないことを分かっているから、瑛二くんは凄いと思うの。」

 

真剣な顔で何か哲学みたいなことをいう絵里ちゃん。

 

「そうかな?ありがとう。」

 

俺は素直に感謝の言葉を伝えた。

それから、1時間くらい勉強をしていたら舞さんからの差し入れがあった。

ちょうど良いタイミングだったので、俺たちはしばらく休憩時間を取ることにした。

 

「今日の絵里ちゃん変だよ。」

 

「そうなの?」

 

俺の言葉に絵里ちゃんは頭を傾げた。

前回と違って大分淑やかな感じになっている絵里ちゃん。

何だか絵に描いた清楚な女性を演じている気がする。

 

「だって、今日は一度も俺に飛びついてないでしょう?」

 

「むう…」

 

俺の言葉に言葉に詰まる絵里ちゃん。

それでも絵里ちゃんは清楚なふりを続けようとした。

 

「ああ、俺は絵里ちゃんの飛び付き好きだったのに残念だ。」

 

「本当に?迷惑じゃない?」

 

迷惑か…俺はそれで宮崎が何をしたかを気づいた。

 

「絵里ちゃん、もしかして宮崎くんに恋愛相談とかした?」

 

「え!?どうして分かったの?」

 

俺の言葉に驚愕する絵里ちゃん。

これで絵里ちゃんの変化の謎が解けた。

俺がそのことを言い当てて、絵里ちゃんはことの顛末を明かしてくれた。

 

「剛太が瑛二くんに飛びつくのは危ないし、迷惑だからやめた方が良いって言ったの。」

 

相変わらず一般常識を武器に振りかざす宮埼。

絵里ちゃんも俺が危ないかもしれないということを聞いて、飛び付きをやめたのだろう。

完全に純粋な善意からの行動だったけど、俺が気づかなかったら、絵里ちゃんに嫌われたと思ってそのまま疎遠になることもあり得た。

 

「そうか。でも、俺は全然迷惑じゃないよ。危ないとかも階段とかじゃなかったらいつでも飛び付いても大丈夫。俺は絵里ちゃんくらいならいくらでも受け止められるよ。覚えてないの?俺は絵里ちゃんの全体重も支えたこともあるし。」

 

俺の言葉に絵里ちゃんは確かにと一人納得した。

絵里ちゃんは急に俺をチラチラと見始める。

俺は絵里ちゃんに両手を広げた。

 

「わぷ!」

 

「おっと」

 

即座に俺に飛びついてくる絵里ちゃんだった。

絵里ちゃんは俺の胸に頬擦りをしている。

柔らかい髪の感触とふんわりと上がってくる良い匂いを少しの間堪能する。

俺は絵里ちゃんの頭をなでなでした。

 

「えへへへ、もっとして。」

 

そう言いながら俺にピッタリと張り付く絵里ちゃん。

どうやら、我慢した分だけ更に抱きつくつもりらしい。

この人懐っこい狐っ子があんなに我慢をしたから無理もないか。

 

「それで、どうせ他にも何かいったでしょう?」

 

俺は更に絵里ちゃんを追求した。

多分、これ一つじゃないだろうという算段からの質問だった。

 

「剛太がいうには男の子は皆大人しくて、淑やかな子が好きだって。」

 

案の定、そんなことを言ってくる絵里ちゃん。

それであの態度だったのか…

 

「それは宮崎くんの趣味。俺は違うよ。俺はどちらかというと活発な子がタイプかな。」

 

「私はどう?」

 

自分のことを指で指しながら聞いてくる絵里ちゃん。

この前までは岬のことを考えて一旦遠慮したんだけど。

今はその必要はないから素直に答えることにした。

 

「大好き」

 

「!!」

 

俺の言葉に絵里ちゃんは急に俺から離れた。

 

「どうしたの?」

 

絵里ちゃんは近くを物色し始めた。

俺はそんな絵里ちゃんの行動に驚いたけど、そのまま見ていた。

しばらくして、絵里ちゃんはベッドの方で黒い四角い何かを取り出した。

 

「もう一回言って!」

 

その物体を俺に押し付けて、迫ってくる絵里ちゃん。

それはスマホだった。

絵里ちゃんもスマホを持っていた。

俺以外でスマホを持っている子は初めて見た。

 

「だ…大好き。」

 

「えへへ」

 

だらし無い笑みを浮かべる絵里ちゃん。

そして、スマホにちゃんと俺の声が録音されたのかを何回か録音を再生いて確認していた。

大好き大好きと何回も俺の声が流れる。

20回くらい音声を流して、絵里ちゃんは満足したのか再生をやめた。

 

「それで満足なの?」

 

「私、大満足!」

 

上機嫌な声で言う絵里ちゃん。

なんか知らなかったけど、絵里ちゃんは俺が思っていたより面白い子だった。

とにかく、俺は話題を戻すことにした。

 

「とにかく、俺のことは俺に聞いて。宮崎くんは俺のことなんて何一つも知らないから。聞いても何も分からないよ。俺に答えられるものなら、絵里ちゃんの質問には何でも答えてあげるから。」

 

「分かった。瑛二くんに関することは瑛二くんに聞く!」

 

「はい、約束ね。」

 

「うん!」

 

これで絵里ちゃんは俺関係で宮崎に何かをきくことはなくなるだろう。

事態が悪化する前に、気づいて良かった。

絵里ちゃんにお互い素直になろうと言った過去の俺に賞賛を送りたい。

そうやって俺は宮崎の計略を一つ撃破した。




絵里ちゃんはスマホを持ってました。
当時のスマホ普及率を考えると珍しいことです。
調べたところ、子供がスマホを持っていた比率は18人に一人みたいですね。
クラスに2人くらいの比率です。
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