リスタート:過去へ戻って孤高な女達を手駒にして現在の危機を打破する 作:霧江
俺たちは風呂場に来ていた。
一応、上原さんは俺とお風呂場に入ることを了承はしていたけど、
他所の子供と一緒に入ることには抵抗があったのか、最後の最後までごねてきた。
「さすがに二人で入ることは、勘弁して貰えない?」
「でも、俺はもう眠いよ。上原さんの後で入るとかになると、眠くて入れないよ。」
「大丈夫、瑛二くんが先に入っていいわ。」
「俺は今本当に眠いよ。先に入っても、もしかしたら風呂場で寝ちゃうかも。上原さんが入れないかも知らないよ。」
「うっ、それは…」
上原さんは俺が一人で入った時のことを考えたのか、渋い顔をしている。
俺は誰かが順番の問題で入れないかもとか言っただけだが、上原さんにとってはそうではなかったみたいだ。
寝る時間がすぎて、疲れている子供を一人で風呂に入れさせると、風呂場で眠っちゃう可能性が大いにある。
風呂場で寝る行為というのはかなり危ない行為だ。
先ほどまではオナニーをバレた挙句、供に土下座までした上原さんだけど。
上原さんは普通に良識のある大人だった。
そんな上原さんとしては、仕方なくイエスと言わざるを得ない。
「わかったわ。一緒に入りましょう。」
「うん!」
こうやって風呂場談義は俺の勝利で決定した。
と言っても、別に上原さんと密着して入るわけではなかった。
上原家は先に言った通り、豪邸と言える範疇に入っていた。
夕方に入った時に見たけど、風呂場も豪邸に似合う大きさだった。
下手したら、小さな温泉くらいはありそうなものだった。
この大きさじゃなかったら、二人で入るということに対する抵抗がより大きかったと思う。
それから俺たちは風呂場に入った。
体を洗うこと自体はそれぞれやった。
あくまでも、上原さんから手を出したという事実が必要だ。
俺から何かを提案することは良くない。
風呂場にはタオルを巻いて入ることにした。
今日だけ特別よという上原さんの言葉。
理性が戻った上原さんのガードは固かった。
「しかし、夜中でもここの風呂場はお湯が溜まっているね。」
「いつも夜にもう一度風呂に入っているの。」
一見して何ともない返答だ。
しかし、これは毎日体を洗う必要があるということだ。
ということは、彼女にとってオナニーは日課ということだった。
大分、欲求不満な奥様だなと感心する。
岬ちゃんのお父さんはそんなに、床下手な男なのだろうか?
詳しい事情はわからないけど、今は踏み入った事情は気にしないことにした。
俺たちは向かいに座るような形で風呂に入った。
「上原さんは本当に綺麗だよね。顔もそうだけど、お肌とかもつるつるそう。」
「恥ずかしいわ。そんなにジロジロ見ないで。」
本当に見ていて飽きない美人だった。
俺は素直な感情をこめて、上原さんに俺が好意を持っていることを示した。
地道に着実とどこどこが好きだよねとか、どこどこが凄いうよねと褒め称えた。
終いには、俺が褒めすぎて上原さんは顔を真っ赤にして何も言わなくなっていた。
それから風呂を堪能すること10分位。
俺は無言のままで風呂を堪能した。
本当にいい風呂だったのである。
その反面、上原さんはもじもじしていたけど、やっと決心がついたのか話を切り出した。
「瑛二くん、さっきのことだけど、本当にご両親に言わないでよね。」
「言わないよ。上原さんを困らせたくないもの。」
「本当に?約束できる?」
「約束できるよ。」
上原さんの目を見て、彼女を困らせたくないとはっきりという俺。
俺の目はさぞ本気が込められていただろう。
だって、本当に言うつもりはなかった。
この事実を持って、上原さんを俺の味方にするつもりなのだ。
それでも上原さんはまだ不安がっていた。
そこで俺は一つ提案をすることにした。
「そんなに不安だったらなんだけど、最近ね、俺のお父さんとお母さん何だか大変だって。
それで俺を見てくれる人を探しているみたい。」
「そうなの?そういえば、今回のお泊まりも急な話ではあったわね。昨日の今日という感じで…」
「そうそう。それでね、上原さんが俺を見てくれるない?俺も知らない人と会うのは不安だし。
上原さんも俺がこのことを言ってないか確認できるじゃん。」
俺の提案に上原さんは悩んでいるらしかった。
別にこの場で返答をもらう必要もなかった。
「もう俺は上がるよ。本当に眠いんだ。はああむ」
俺は上原さんにあくびをして見せる。
そして、風呂を出ようとするこのタイミングで…
ポロリと脱がされる俺のタオル。
先に結び目を緩くして、水の重さで解けるように細工を施していた。
これも全て計画の内だった。
「…!?」
その流れで上原さんは俺のおちんちんを見た。
まだ、子供にしてはご立派なもの。
俺の自慢のものだった。
「ごめん、タオル脱げちゃった。」
「いや、大丈夫よ…って、大きくなってる…」
「本当にごめんね、上原さんを見ていたら何か大きくなったの。」
「私を見てこんなにも…」
俺は無垢な少年を演じながらも、上原さんを女として見ていることをアピールした。
意外にも上原さんは何か満更でもなさそうだった。
これで今日の仕込みは終わり、これ以上は何もできるものはない。
「じゃあ、俺は上がるけど、上原さんはどうする?」
「もうすこし風呂を堪能していくわ。おやすみ、瑛二くん」
「おやすみ、上原さん。」
俺は風呂場を後にした。
その後ろで微かに上原さんの声がきこえた。
「…もしかしたら夫よりも…」
俺は笑みを耐えられなかった。
今日は良く寝れそうだ。
少し欲求不満だけど。
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次の日の朝。
俺は留置場にいた。
かなり早い時間に目を覚まして、人気はあんまり感じられない。
くそ、あれは単なる夢だったかと悪態をつこうとしたその瞬間。
「!?」
奇妙な感覚が俺を襲ってきた。
何か形容し難い妙な感覚に俺は乗り物酔いにも似たような似てないような奇妙としか言えない感覚に陥る。
人生でこんな感覚を味わったことはない。
「ちきしょお、吐きそうだ。」
我慢ならずに俺は悪態をついた。
本当に奇妙な感覚だ。
もっと詳しく説明すると、頭に何かの情報を入力されるとしか言えない、変な感覚だ。
今、俺の頭には二つ分の人生の記憶がある。
俺は自分の記憶を整理するために、目を閉じた。
思い出すのは元の俺の記憶。
ろくに仕事もせずに、親と喧嘩して何とかフリーターで食い繋ぐ男の記憶。
それをじっくりと思い出すようにする。
「何!?」
俺は驚愕した。
これは驚愕するしかなかった。
今まで俺は自分の人生を滅茶苦茶にしたのは、俺自身だとかんがえていた。
しかし、これが違っていたのだ。
何故か人生で一番に頭がすっきりしている今ならわかる。
いや、俺の頭を滅茶苦茶にしたのもそいつが問題だった。
そいつの名前は、荻田亀太郎。
どうしようもない最悪な糞爺だ。
「何で今まで思い出せなかったんだ。あの野郎。」
俺は怒りを露わにして吐き捨てる。
荻田亀太郎。
俺の子供のころのお目付け役、言わばベビーシッターだ。
当時の俺の親は何かと忙しくて、俺を見てくれる人が必要だった.
しかし、親戚は皆家から遠いところに住んでいるし、皆忙しかった。
それで仕方なくベビーシッタを雇用したのだが、それが荻田亀太郎だった。
外面は人の良さそうな爺さんと言う感じだったけど、その中身はとんでもないクズだった。
最初の数日くらいはまともにしていたけど、数日しないうちにその本性を表した。
そいつは大の面倒臭がりで、俺が何かいうとあっち行けとか、俺に構うなの一点張り。
それに我が家を自分の家のように使って、酒盛りをする始末。
それだけだったら、まだ、マシだった。
あろう事か俺を邪魔者に思ったそいつは…子供の俺に酒を飲ませた。
ただの飲料と言って渡してきたけど、今思えばあれは酒だった。
大人にとっても激毒なお酒を子供に飲ませやがった。
それのせいで俺は子供ながらアルコール中毒になっていた。
来る日も来る日も俺に酒を飲ませては、寝ている俺をほっといて家で好き放題する。
親が家にくる日は、俺から酒の匂いを消すために消臭剤を持って、俺を追いかけ回す。
そいつの笑い声が頭から離れなかった。
俺が親と仲違いをしたのも、あの亀太郎の野郎のせいだ。
あの野郎と過ごした2年と言う時間。
俺は親に対する信頼を失っていた。
また親も、知らずに酒を飲まされてできたアルコール禁断症状で親に当たり散らかしていた俺に失望した。
俺の過去が滅茶苦茶になったのは、全部あの野郎のせいだ。
俺の頭を酒でダメにしたあいつだけは絶対許せなかった。
必ず復讐することをここで誓う。
だけど、どうやって?
あの野郎はすでに年齢で亡くなっていてもおかしくない。
というか、どうして俺は今更になってそれを思い出せたのだろうか?
俺は再び目を閉じて過去を思い浮かべた。
すると、もう一つの過去が頭の中で浮かんできた。
「!!」
もう一つの過去の中の俺は上原さんの家に預けられていた。
上原さんは良識のある大人として、俺に良くしてくれた記憶。
その記憶の中の俺は最悪な人生を送ってなかった。
恐らくだが、これが今の俺の体の記憶だ。
上原さんは俺の条件を飲んでくれたのだ。
そのおかげで、壊れていた脳が再生した。
そして、もう一つの記憶が俺に入ってきて、俺はやっとそのことを思い出したのだ。
つまり、過去改変は効果があった。
でも、どうして過去改変が起きたのだろうか?
どうやって、過去に戻る?
そこで俺は見慣れない腕輪を自分がしていることを発見した。
こんなものを買った覚えはない。
いや、買う金もない。
無かったものができるとか、あり得ないことである。
つまり、これが摩訶不思議な現象を引き起こした張本人なのか?
そう思った俺は腕輪を観察する。
それはシルバーのシンプルな腕輪で、どこかメタリックな感じがある。
「これは一体?」
しばらく、腕輪をいじってみたけど、結局は何もわからなかった。
ボタンとかがあることはわかったけど、時間移動とかとんでもない機能があるものを、
無闇に触って作動させることなんてあってはならない。
「何かの操作ミスでとんでもない時間帯に飛ばされる恐れがある。だとしたら、
このタイムマシン?についてもっと調査が必要だ。」
俺は他に何かないか周りを調べた。
少し時間が経ったが、特に収穫はなかった。
「どうしたものか…そう言えばポケットをまだ見てなかったな。」
俺は自身のポケットを調べた。
この腕輪は俺が気づかないうちに嵌められていた。
だとしたら、他に俺の所持物が増えていても、おかしいけどおかしくはない。
「あった!」
ポケットの中から出てきたのは使用説明書と書かれた一枚の紙だった。
使用説明書
1.この機械はタイムマシンである。
2.この機械は人間の意識を過去に戻すことでタイムトラベルを実現した。
3.この機械を使って帰れる過去は、自分が生まれてきた日が最大だ。
4.自分の過去に関しては、自分の行動で変えることができる。
5.他人の過去に関しては、自分と関わった人物にのみ限定して変えられる。
6.大きな過去改変を引き起こした際は、この腕輪を使用した時点へと戻る。
7.詳細の使い方は…
という感じの文章だった。
これはとんでもない代物だった。
どちらかといえば、信じられないものである。
だけど、俺は信じるしかなかった。
「直接経験したものだから、疑う余地がない。」
この機械が俺の過去を変えたのだ。
だけど、一つだけ疑いというか、疑問があった。
「この機械が俺の過去を変えたと言うなら、俺は何でまだ留置場にいるんだ?」
基本平日に書いてます。仕事柄暇している。