※この作品はR-18です。

リスタート:過去へ戻って孤高な女達を手駒にして現在の危機を打破する   作:霧江

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結構難産でした。


妖婦とヒモ

「この機械が俺の過去を変えたと言うなら、俺は何でまだ留置場にいるんだ?」

 

この機械によって大きな過去改変が起きたことは確かな事実だっだ。

それも俺の人生を変えるくらいは、結構大幅に過去改変があった。

だけど、俺は変わらず留置場にいる。

これ自体が可笑しな話だ。

 

「過去改変があったのに、まだ留置場にいるのはおかしい話だ。過去改変前の俺と、

 後の俺は完全に違う人間だとしてもいいくらいだ。」

 

どうにか目を閉じてここ数日のことを思い出そうとする。

しかし、2つの記憶があるという神妙な感覚で、うまくここ数日のことを思い出せなかった。

どうにか思い出したものは短編的な記憶だけだった。

 

「くぅっ、頭がこんがらがってくるな。」

 

その記憶の中で、俺は積極的に自分から行動を取ったりはしてなかった。

ただ単に、上原さんに助けを求めただけだ。

っていうか親ではなくて、上原さん?

自分でも何でそうしたか理解できなかったけど、過去の俺はそうしていた。

 

「それから4日後の今日岬ちゃんが俺を訪れてくる。」

 

4日後か、上原さんとはそれなりの関係ではあったけれど、岬ちゃんとはそうでも無いらしい。

国選弁護士だった前は3日目だったけど、今回は4日目だ。

国選弁護士の時よりも遅くれた到着であった。

 

「これは良くないな。何かの調子で岬ちゃんとの関係が拗れているのか?」

 

上原さんを伝に弁護士依頼をしているにも関わらず、これだけ時間がかかっている。

俺と彼女の関係はうまく思い出せないけど、良いものではないみたいだった。

一次目標であった上原岬の懐柔は叶わなかった。

どうやら俺の初の過去改変は失敗したらしい。

 

「まだ、やり直せる。」

 

そう、この機械がある限り、俺は何度でもやり直せる。

だけど、俺はすぐに過去へ行かずに、状況を確認することにした。

このまま過去へと帰ったところ、目的がなければ計画を立てられない。

未来人というアドバンテージを最大限活かすためには、これから何をするかをしっかりと確認する必要があった。

 

それに前とは違って、今は酒で潰れてない新鮮な脳を持っている状況だ。

当たり前だが、過去改変前の俺とは判断力が違う。

何か新しい情報を得られるかも知れない。

俺は絶望にどっぷりと浸かり、女と酒に溺れていた自分を捨てて新しく生まれ変わることを決心した。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

岬ちゃんの訪問前、俺は警察の取り調べをうけていた。

俺を担当している刑事は高岡正雄という人で、優しそうという感想がでる刑事さんだった。

そこそこ年齢がありそうな彼はしつこく俺を詰問している。

色んな切口から俺を詰問しているが、俺は何も答えられなかった。

 

「そのことは覚えておりません。」

 

「はは、そうですか?でも、現場からはあなたの痕跡でベッタリでしたよ。何も覚えてないということはないでしょうに。」

 

人の良さそうな顔で俺に言う高岡刑事。

状況証拠と物的証拠は確実だという。

ここのところは改変前とほぼ変わらない。

 

俺の指紋のついた銃、硝煙のついたコート。

銃声で現場に急行していた時に、現場で酔っ払って銃を握っていた俺。

誰がどう見ても俺が犯人に見えることは確かだろう。

 

「その時は本当に泥酔いして、俺は何も覚えてないんです。」

 

「牧田さん、別に私はあなたの敵という訳ではないです。こうやって取り調べをしているのも、

 結局はあなたのためなんです。あなたが無実なのなら、警察に協力してくださいな。」

 

高岡刑事はそういった。

本当に自分は味方だから、何でもいいから言って欲しいという態度だった。

だけど、本当に俺は何も覚えていない。

俺がもう一度口を開こうとしたその時だった。

 

「高岡さん、牧田さんへ面会です。」

 

「おう、わかった。牧田さんまた後で。」

 

女性の声に高岡刑事は取り調べを打ち切った。

朝から2時間に及ぶ取り調べだったけど、何とか終わったとため息を吐く。

何も覚えてませんの一点張りであったけど、それでも疲れることは疲れる。

 

「牧田さんこちらに」

 

女性はそう言って俺を面会室に案内した。

俺は何も言わずに彼女についていく。

 

「ここです。」

 

俺は面会室にはいった。

そこにはすでに上原岬が待っていた。

相変わらず、俺好みの美人さんだったけど、前とは違う点がある。

何か滅茶苦茶怒っていた。

 

「あんたというやつは!」

 

興奮した様子で言う上原弁護士。

今にも俺を殴りそうな勢いだったが、面会室は透明ガラスで区切られていたから助かった。

しばらく、俺はそんな上原岬にどう接するか分からずにいた。

上原弁護士はそんな俺を見て少しは落ち着いたようだった。

大人の岬ちゃんは激情的ではあるけど、理性が働くタイプらしかった。

 

「まずは仕事の話よ。大体の内容は聞いているわ。本当は来ないつもりだったけど、ママがどうしてもと言うから。」

 

「そ、そうか。」

 

美しい顔を歪めて歯軋りをしながら言う岬ちゃんに俺は萎縮した。

本当は仕事を受け入れるつもりはなかったけど、4日目になってやっと決定したとのこと。

 

「何それ?能天気ね。本当にムカつく。わかる?あんたは今かなり危険な状況よ。

 あなた送致されているのよ。それに今日は4日目。検察はあなたを有力な犯人として見做しているの。」

 

俺の気の抜ける返答に本当に頭に来たと言う感じだ。

本当にムカついてムカついて、仕事であっても関係なし、我慢ができないという様子。

岬ちゃんの俺へのこの敵意は異常だが、そんな状態で俺を弁護しようとしている。

俺はこの状況をうまく飲み込めずにいた.

だから、玉砕を覚悟して彼女のデリケートゾーンへと踏み込むことにした。

敢えて呼称も彼女が怒りそうなものを選択することにした。

 

「わかった。ところで、岬ちゃん何でそんなに怒っているの?」

 

「はあ?岬ちゃん?」

 

ブチっという音が聞こえてきた気がした。

ドスのきいた声に、殺意のこもった目線。

透明ガラスがいなかったら、岬ちゃんは俺に飛びかかって首を絞めていただろう。

俺は留置場にいることを初めて感謝した。

 

「あんたふざけているの?」

 

「いや…」

 

俺はビビって言い訳をしようとしたが、岬ちゃんは爆発して早口で俺を捲し立てる。

 

「このっ、クソヒモ野郎が!まじで言ってんの?お前というやつは!私の母親と結婚した挙句、寄生しているくせに

、何を怒っているとか。あんたが言う立場にあると思う?」

 

俺は固まった。

そんな俺をものともせずに、岬ちゃんは続けて毒を吐く。

 

「あんたなんか本当にこのままにしておきたいけど、ママのお願いで仕方なく、この仕事を受けたんだよ?本当は

顔も見たくない。あんたなんてここで一生閉じこもっていろって感じ。だけど、ママが悲しむから仕方なく来てやったのに。何を怒っているかって?分からない?ああ、分からないでしょうね。このクズ!中学校からは別の学校に入ったのになんか家にくると思ってたら、本当に信じられない。あり得ないんですけど…!」

 

岬ちゃんの罵倒の嵐に、俺はやっとこの世界の過去を思い出すことに成功した。

岬ちゃんの言う通り、俺は上原さんの、美鈴のヒモになっていた。

案の定、碌でもない大人かと思ったが、実はこれが俺の意思ではなかった。

上原さんに手を出させることには成功したものの、子供の頃の俺には上原さんの性欲を制御することはできなかった。

 

あの日、本当の快楽を知った上原さんは性欲の化け物になった。

子供の俺はそんな上原さんに食われる哀れな羊でしかなかった。

それから俺は何もかも上原さんの言いなりになった。

 

一つ、岬ちゃんとは違う学校にいくこと。

 

上原さんは凄まじい独占欲の持ち主だった。

娘の岬ちゃんに嫉妬するくらいに酷いもので、俺が岬ちゃんと仲が良くなることを嫌っていた。

だから、中学校からは他の学校を通うことを強要した。

 

二つ、友達を作らないこと。

 

上原さんの嫉妬心は俺の交友関係にまで及んだ。

友達関係さえも作らないようにと命令した。

それを中坊の俺は、性欲に負けて受け入れていた。

 

三つ、働かないこと。

 

上原さんは俺を常に側に置きたがっていた。

その結果、俺が働くことを禁止した。

上原さんはその溢れる母性と性欲をもって、俺をダメな大人にした。

40代になっても色褪せない美貌と輝きで俺という人間はダメになった。

俺が焦って何かを言うと上原さんは何時も微笑んでこういう。

 

「いいのよ。何もしなくて、瑛二は私が養うから。」

 

俺は頭を抱えた。

俺のせいで上原さんはとんでもない妖婦になってしまった。

 

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それからも岬ちゃんは20分くらい俺を罵倒した。

立ち会いに入った警察の人が仲裁に入って、やっと終わった。

そこからは意外にも普通の流れで進んだ。

岬ちゃんはイヤイヤながらも母親のために俺を弁護するとのこと。

弁護士モードの岬ちゃんはまともだった。

本当にいい女だと思う。

 

岬ちゃんも事件について聞いてきたけど、俺は本当に何も知らない。

そのことを伝えたら岬ちゃんは呆れたかのような顔をしていた。

信じてもらえないだろうなと思ったけど、意外とあっさり信じてくれた。

 

「あんたが人を殺せる訳ないじゃん。この弱虫。人妻ママコン」

 

少し変な話だけど、その罵倒で俺は少し嬉しくなった。

岬ちゃんによると、行動としてわかりませんの一点張りはよくやったとのこと。

変なことを言って、窮地に陥るよりかはましだといっていた。

俺としては本当に何も分からなかっただけだけど。

これからもそのスタンスを崩さないようにとのことだった。

 

それに先ほどは、ほぼ犯罪者として見做されていると言っていたけど。

取り調べが続いていることは、何か確実な証拠が足りてない可能性があると岬ちゃんは言った。

だから、余計に警察や検察のフェイスに巻き込まれないようにとのこと。

俺はその言葉を心に刻む。

 

国選弁護士ではない上原岬はすさまじく有能だった。

帰り際、岬ちゃんは一言俺を労った。

 

「何があっても諦めないこと。あんたはどうなっても知らんけど、ママが心配だからね。」

 

そう言った岬ちゃんの顔にはどこか影がかかっている気がした。

恐らく、上原さんを本気で心配しているのだろう。

俺は申し訳ない気持ちになった。

 

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それからも警察の取り調べがあったけど、夜になって俺はやっと自室に戻っていた。

 

「これで目標は決まったな。まずは、上原さんの暴走を止めること。そして、岬ちゃんと仲良くなること。」

 

この二つが先決であった。

今日のことで改めてわかった。

俺の解放には上原岬の力は必須である。

そして、上原さんの暴走を止められない限り、岬ちゃんとの和解は叶わない。

 

つまり、俺は上原さんを完全に手籠にする必要がある。

上原さんが俺を支配するのではなく、俺が上原さんを支配するのだ。

そうすれば、やっとのこと、この地獄にも光が見えるだろう。

 

「それに、岬ちゃんも少しは幸せになれるかもな。」

 

俺は先ほどみた岬の表情を思い浮かべる。

岬ちゃんは母親が心配で心配でどうしようもないと言う顔だった。

最初は上原岬を何とも思ってなかったけど、幼馴染であることを自覚した今は違った。

 

岬ちゃんの綺麗なその顔を昔のように笑顔にしてやりたかった。

俺らしくないかもしれないけど。

少しだけ、そう思えた。

その手段は岬ちゃんの母親を完全に調教するという最悪な行為だけど。

 

「では、行きますか。」

 

俺は説明書に書かれた通り、タイムマシンを操作した。




真っ当な大人になるため!
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