リスタート:過去へ戻って孤高な女達を手駒にして現在の危機を打破する 作:霧江
一昨日は急ぎで書いていたので、色々と描写が足りないところがありましたので。
全く予想だにしてなかった展開だったけど、絵里ちゃんのおかげで寝取られ作戦は成功で終わった。
しかし、作戦の成否とは別に結果はそこまで芳しくなかったように思える。
それどころか、最悪だったかも知れない。
元々の計画では、これで宮崎が絵里ちゃんに興味を無くして、過去改変が起こるという計画だった。
だが、蓋を開けてみれた結果は完全に真逆として出ていた。
宮崎は絵里ちゃんにさらに執着するようになったし、過去改変も起こってない。
「俺としてはあの3バカの件があったから、そうなると勝手に思い込んでいたけどな…」
俺は自嘲した。
あの3バカがそうだとしても、宮崎が同じ反応を見せる訳がない。
俺は自身の短絡的な思考を少しばかり恨んだ。
宮崎はあの3人とは違って、やられたらもっと燃え盛るタイプの人間だった。
今まで俺は宮崎とほぼ接触を避けていたから、そのことに気づくことが遅くなった。
「見通し甘かったな。完全に失敗したとしか言えない。」
今回、俺がしたのは火に油を注いだだけだ。
最後に見た宮崎の目は完全に俺を敵として見做していた。
今までは、宮崎の意識の外でいられたけど、これからは宮崎に完全にロックオンされた状態になったのである。
「これは向こうから、絵里ちゃんを解放してもらうのは無理だな。」
俺はやっとそのことを理解した。
もう後戻りなんて出来ない。
俺は宮崎と本当の意味で敵関係になったのだ。
だけど、俺は宮崎に絵里ちゃんを渡すつもりはなかった。
それは向こうも同じだろう。
これからは周りくどい作戦は無しだ。
「それじゃ全面戦争と行こうじゃないか。」
こうして俺と宮崎の全面戦争が開始した。
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宮崎の反撃は俺が思ったよりもずっと早かった。
宮崎はその日のうちに行動を完了していた。
日曜日の朝早くからに蓮さんから連絡があったのである。
「もしもし。蓮さん?おはようございます。こんなに早くどうしましたか?」
「ふううううう、おはよう、瑛二くん…。その剛太くんに聞いたよ。絵里と恋人関係になったんだって?」
電話を取るや否やすぐに深いため息が聞こえてきた。
蓮さんの用件を聞いた俺は固まるしかなかった。
俺としてはいつかはこの日がくると覚悟はしていたけど、それがこんなに早くなるとは夢にも思ってなかったのである。
だから、俺は大いに戸惑った。
「あ、は、はい。」
すでに宮崎に詳細を聞いているみたいだし、俺は素直に白状した。
「ぐっ、やはり、そうなんだ。瑛二くんがここまで手が早いとは…」
俺の言葉を聞いた蓮さんは何とも言えない反応を返してきた。
蓮さんの声には言い表せない複雑な気持ちが篭ってるようだった。
少なくとも怒りではないことに俺は少し安堵感を覚えた。
「別に隠すつもりはなかったんですけど…言う時間がなかったといいますか…」
「いつからだ?」
蓮さんは俺の返答を待たずに直ぐに質問してきた。
「いつからとは?」
俺は一回蓮さんの質問を聞き返した。
少しでも考える時間が欲しかったのだ。
俺は必死に頭を動かした。
「ふうううう」
蓮さんが俺の返事にため息をついた。
今はそれすらもありがたい。
今は午前8時。
こんなに早くからの連絡が来たということは、時間的に考えて、宮崎が蓮さんに駆け込んだのは昨日ということだ。
つまり、蓮さんの絵里ちゃんに対する取り調べが完了していると考えた方が自然だ。
ここで絵里ちゃんと食い違った返答をしたら、更に深掘りされる危険性がある。
「いつから絵里と付き合うことになったんだ?」
「それは…」
俺は少し気まずくて黙ったフリをして、メッセンジャーアプリで絵里ちゃんにメッセージを送った。
『絵里ちゃん、今、蓮さんから連絡が来たけど、俺たちの付き合い始めについて何か言った?』
スマホ慣れした現代っ子のタイピング速度で何とか、メッセージを送ることに成功した。
『うん、昨日お父さんから急に言われたから。あの時のことは話せないから、土曜日の朝に私が告白したって言った。』
すると直ぐに絵里ちゃんからの返事があった。
幸いにも絵里ちゃんも早起きをしているようだった。
ナイス絵里ちゃん!
「それが、土曜日の朝のことでした。」
「そう、か。もうちょっと詳しく教えてくれるかい?」
蓮さんはさらに詳しい内容を聞いてきた。
「それが絵里ちゃんから告白されたんです。」
「絵里からか…まあ、あの子はそういうところもあるからね。」
蓮さんは詳細内容を知っているはずなのに、知らないフリをしてきた。
俺はここでやっと蓮さんの電話の意図がわかった。
この人、まだ俺を試すきだ!
やばい感じの空気を作って俺が嘘をついてないか確認する気なんだ!
本当に娘煩悩なんだから…
と言うことは、俺と絵里ちゃんの証言に食い違いがないことが重要だ。
俺は時間稼ぎをする側、また絵里ちゃんに違うメッセージを送った。
「その、少し恥ずかしいんですけど…続き言ったほうがいいですか?」
『絵里ちゃん、蓮さんが俺のこと試そうとしている。昨日絵里ちゃんが言った内容を詳細に書いて早く送って!』
「な、恥ずかしいだと!?」
蓮さんは俺の言葉に大袈裟に反応した。
恥ずかしいと言う言葉で如何わしいことを想像したかもしれない。
実際にも如何わしいことをしているから、間違ってはないけど。
『あ、何時ものあれか!わかった!』
何だか絵里ちゃんには蓮さんの行動に心当たりがありそうだった。
絵里ちゃんはそう言って、バババッとメッセージを箇条書きで送ってきた。
『土曜日の朝、場所は家のリビングで私から告白。』
絵里ちゃんのメッセージが来ると共に蓮さんがやっと落ち着いた。
「ぐぬぬ、瑛二くん、すまない。少し取り乱した。続きを頼む。」
「わかりました。その、朝起きてリビングに出るとそこにと絵里ちゃんがいました。」
俺は絵里ちゃんのメッセージ通りの内容を蓮さんに伝えた。
「それで?」
蓮さんは続きを促した。
それとともに絵里ちゃんのメッセージが届く。
『私が瑛二くんに奇襲キス』
その内容を見た俺は戸惑った。
え、そんな内容まで言っているの?
あんなにも絵里ちゃんを溺愛している蓮さんだ。
これを絵里ちゃん本人の口で聞いて、心中穏やかには居られないと思うけど。
「それで急に絵里ちゃんに口にちゅうされました。」
「がはっ、僕の可愛い可愛い愛娘の絵里とキス、ね。」
一々反応が大袈裟だ。
それにキリキリと歯軋りする音がしている。
そんなに辛いなら聞かなければいいのに。
もしかして、蓮さんっておマゾさんなのだろうか?
「ええ、絵里ちゃんが急にキスしてきたものですから。俺もびっくりしました。」
「…続けて。」
「それから絵里ちゃんに告白されました。」
もはや、怒るのも疲れたのか蓮さんは俺の言葉に蓮さんは一瞬沈黙して、続きを促した。
俺は蓮さんの言う通り、続きを言うために絵里ちゃんのメッセージを確認した。
「…。」
「瑛二くん?一体どうしたんだい?」
「いえ、何でもないです。」
『その告白内容がこうね。あなたが私の手をとってくれたあの瞬間から、貴方のことが好きになりました。私と付き合ってください!私のこと、瑛二くんの彼女にしてください。って』
これって実際に絵里ちゃんが言ったセリフだ。
しかも、二回分の告白を全部合わせたセリフである。
絵里ちゃんは、蓮さんに俺たちの本当の惚気話を聴かせたみたいだ。
「その絵里ちゃんからの大事な告白の言葉なので、人に言うのが少し憚れるのですけど…」
「瑛二くん…わかった。これ以上は止そう。君は本当にいい男だよ。」
蓮さんはそれで納得してくれたみたいだ。
何だか蓮さんは少し感動したような声になった。
俺のキザなセリフが蓮さんの心根を揺らしたみたいだ。
それからは蓮さんの愚痴タイムに入った。
「まさか、もう娘に彼氏が出来るなんて…ぐうううう、僕の可愛い絵里に…もう彼氏がぁっ…」
「その、何かすみません。」
「いや、謝らなくてもいいんだ!君は僕が認めた男だからね…でも、くっ、くうううう!」
謝らなくても良いとか言っておきながら、蓮さんは悔しそうに唸り声を上げる。
俺は蓮さんが満足するまで、通話に付き合う事にした。
俺としては蓮さんのこういった一面も好きだったから、そこまで苦ではなかった。
本当にこの人は面白くて飽きない。
「まあ、これも親ならではの経験という物なんだろう。でもね。もう少し後で欲しかったんだ。」
「そうなんですね。」
「こんなに早く娘を取られるとは思ってなかった…」
「いえ、別に蓮さんから絵里ちゃんを取ろうなんて思ってませんよ。」
本当に大袈裟だな。
取るとかしないというのに…
俺も娘が出来たらこんな感じになるのか?
俺は少し未来が怖くなった。
「いや、取られたよ。お父さんなんて、そんなものだから。これから次第に絵里と僕も仲が悪くなるに違いない。挙句の果てにはお父さんと一緒の洗濯機なんて使いたくないとか言われるんだ。」
大分悲観的な未来感だな…
あの絵里ちゃんに関して、そんなことはないと思うけど。
「絵里ちゃんに限ってそんなことないと思いますけどね。絵里ちゃん、いつも蓮さんの話になるとものすごく生き生きしてますし。」
「瑛二くん、君は本当に良い子だよ!」
俺は蓮さんを必死に慰めた。
時間にして40分近い時間。
どの世界でもこんなに長く通話をしたことがない。
初めての長通話が彼女のお父さんになるとは思わなかった。
「前も言ったけど、君になら絵里は任せられる。その…くっ、宜しく頼むよ。」
「はい、もちろんです。」
「絵里ちゃんを泣かせたら承知しないからな。」
「絶対泣かせません。」
俺としても絵里ちゃんを泣かす気はなかった。
俺の恋人になったからには、絵里ちゃんにはいつだって笑顔でいてほしいから。
しかし、今回はやばかったな。
俺は宮崎の手腕に身震いした。
恐らく、これを数日前にやられていたのなら詰みだった。
木曜探偵団の活動がなかったら、こんな風にはならなかっただろう。
とりあえずやってみよう精神の闇雲の活動だったけど、やっといて良かった.
俺は過去の自身を褒め称えた。
「本当にタイミングが良かったとしか言えないな。ありがとう宮崎。」
俺は目の前にない宮崎にも感謝した。
本当なら目の前で言ってやりたいくらいの気分だった。
こうして、俺はまた一つの山を超えた。
宮崎のおかげで、俺たちの仲は蓮さん公認になったのである。
さて、俺はどうやって反撃しようかな…
瑛二くんを認めた次の日にすぐに恋人関係になったのを聞いた蓮さんのお茶目な揶揄いでした。