リスタート:過去へ戻って孤高な女達を手駒にして現在の危機を打破する 作:霧江
8月になってからのこと、外は完全に夏の景色が広がっていた。
こんな暑さでは中々外に行く気はしないのである。
俺は美鈴との運動を終わらせて、上原家のリビングで寛いでいた。
因みに岬は別のクラスメイトの誘いがあって外出していて、葵も家族旅行で不在だった。
それで俺は今日一日を美鈴と過ごすことに決めたのである。
「涼しい風が気持ちいいわ。」
「本当だね。」
俺は美鈴の頭を軽く撫でながら美鈴に相槌を打った。
美鈴はそんな俺の撫で撫でに対して、自身の頭をグリグリと擦り付けてくる。
俺はそんな普段とは違う美鈴の甘え方に少し胸がキュンとした。
「もう本当に俺の美鈴は可愛いんだから。」
普段の美鈴はもっとこうしっかりしている印象があって、周りでもあの人は本当に大人の人って感じで評判だけど。
そんな美鈴が俺にだけ見せてくれる姿は本当に可愛いとしか言えない。
美鈴は俺の褒め言葉に満更でもなさそうな表情をした。
「ふふ、私のこともっと褒めてもいいわ。えーちゃん。」
美鈴は俺に更に自分のことを褒めることを要求してくる。
美鈴は初デートの日以来、こうしてプラトニックな関係を求めてくるようになった。
以前まではただ単に肉欲を満たせば良いという感じだったけど、最近の美鈴はもっとこうイチャイチャすることを好むようになった。
あの初デートは、美鈴の情欲によって死んでいた恋愛細胞を復活させたのかもしれない。
俺としては美鈴とイチャイチャできるから大満足だ。
「すずちゃんは可愛い!最強!」
俺は初デートで決めた二人だけの愛称で美鈴を呼びながら美鈴のことを褒めまくる。
俺がそうやって美鈴を撫でながら褒め続けると美鈴は安心し切った顔で眠りについた。
美鈴の寝顔は普通に可愛くて見ていて飽きなかった。
しばらく俺は美鈴の寝顔を見ていたけど、さすがに永遠に見ているのは無理だった。
それで俺は他のことをやろうと思って、テレビのリモコンを探した。
しかし、残念なことにテレビのリモコンは俺のからだから離れたところにあった。
「む、これは動けないな…」
今、美鈴は俺の体に寄りかかって眠っている状態。
テレビのリモコンを撮ろうと体を動かすと美鈴が起きてしまう恐れがある。
俺としてはそれは何とか避けたかった。
「まあ、俺も寝ても良いけど…」
何となく寝たい気持ちではなかった。
俺は仕方なくスマホをいじることにした。
普段はスマホのことはなるべく触らないようにしているけど。
久しぶりにスマホで遊ぶと時間が過ぎ去るのも早かった。
そうやって片手でスマホをいじっていること1時間。
美鈴が眠りから覚めた。
「むう、私といる時はスマホより、私のことを見てほしいわ。」
美鈴はスマホをいじる俺をみて、子供のように頬を膨らませて不満を表出してくる。
俺はそんな美鈴に対して素直に謝った。
「ごめんごめん、でも、少し気になることを見つけたから、つい見ちゃった。」
これは別に言い逃れのためでも何でもなかった。
普通に気になるものを見つけて、俺はそれについて調べていた。
「気になるもの?」
美鈴は俺の言葉に頭を傾げる。
「うん、何でもこの近くで今夜夏祭りがあるんだって。」
「へえ、そういえば、そんな時期だったわね。」
美鈴は俺の言葉を聞いて時間の流れの速さに驚いているようだった。
「美鈴、それでなんだけど、今日の夜、一緒にデートに行かない?」
俺はそんな美鈴にデートのお誘いをした。
今回で二回目のデート。
前回は変態趣向だったことを踏まえて、今回は定番のデートをしようと思ったのである。
「行く!絶対に行くわ!」
美鈴は俺の誘いに食い気味に乗った。
目を爛々と輝かせて、ウキウキとしている美鈴の姿は恋に焦がれる小娘そのものだった。
俺はそんな美鈴を見て少し苦笑した。
「じゃあ、今日の18時に出かけようか?」
「分かったわ!こうしてはいられないわね。」
美鈴はそう言ってソファから立ち上がった。
まだ18時までは6時間も時間があるというのに、何でこんなにせかせかとしていろのだろうか?
「美鈴…?」
俺が美鈴にそのことを聞こうとしたけど、時すでに遅しだった。
美鈴はそのまま何かの準備をしては外に消えてしまったのである。
家の中には俺の声だけが一人寂しく漂っていた。
ーーーーーーーーーーーーー
それから美鈴が帰って来たのは17時30分頃。
その時はすでに岬も帰宅していて、俺は岬と撲殺戦隊を見ていた。
俺は撲殺戦隊に夢中になっている岬を置いといて、美鈴のことを出迎えるために玄関に向かった。
そこで美鈴を見た俺は固まるしかなかった。
「じゃん!どう?驚いた?」
悪戯に成功したみたいに無邪気に笑う美鈴。
俺はそんな美鈴を見て固まるしかなかった。
ライトブルーカラーに繊細な刺繍が入っている高級感あふれる着物。
そして、それに似合うように簪で結い上げた髪型。
普段の化粧とは違って、自然な感じの薄化粧が美鈴の美貌を際立てていた。
普段の貴婦人という感じとは違って、今回は大和撫子という感じだった。
何というか、本当に綺麗だな以外の感想が出てこない。
「綺麗…。」
俺は今の素直な感情をそのまま述べた。
「ふふ、ありがとう❤️」
美鈴は俺の褒め言葉に対して頬を染めて、愛嬌のある声でお礼を言ってきた。
くっ、あざと可愛いじゃないか…
「本当に美鈴が俺の物で良かった。」
本当にそうとしか、言いようがなかった。
美鈴が他の男のものだったら、血涙を流して悔しがっていたに違いない。
「こんなにも気に入ってくれるなんて、お金を使っておめかしした甲斐があったわ。」
美鈴は俺の反応を見て、満足したように言った。
しかし、お金を使った、か…
美鈴の使ったお金はかなりの額のはず。
俺とのデートのためだけに一体いくら使ったのだろうか。
「因みにいくらくらい?」
俺は普通に興味本位で質問してみた。
「えーちゃんはそんなこと気にしなくてもいいわ。」
俺はその言葉を聞いて、何となくものすごい金額を使ったことを直感した。
「そんなことより、早くデートに行きましょう。」
美鈴はそう言って俺に手を差し伸べてきた。
「うん。」
俺は美鈴の手を取って玄関を後にした。
祭りの会場までは徒歩での移動だった。
俺たちは移動の間、お互いの手を握って歩いて行く。
「家族以外の人とお祭りなんて、初めて。楽しみだわ。」
「そう?じゃあ、今日を最高の1日にしないと!」
「ふふふ、そんなにハードルあげちゃってもいいの?」
美鈴は俺を微笑ましそうに見て、最もな意見を言ってきた。
でも、折角のデートなんだし、ハードルは高いくらいが良い。
「いいもん。美鈴のこと絶対に楽しませて見せるから。」
「楽しみだわ。」
さてと、そういう意味で俺は美鈴の手を恋人繋ぎで掴んだ。
「!!」
俺の大胆な行動に美鈴は一瞬体を硬直させた。
しかし、すぐに俺の意図がわかったみたいで、頬を少しだけ赤く染めた。
普段はもっとすごいこともしているのに、恋人繋ぎで驚くとか。
本当に可愛いお母様である。
「瑛二…この手…」
「嫌だった?」
「ううん、嬉しい。本当にデートって感じがして、ドキドキして来たわ。」
俺の問いに美鈴は頭を横に振った。
美鈴は少し恥ずかしいみたいだった。
だけど、俺の手を離すようなことはしなかった。
むしろ、がっしりと握り返してきたのである。
手から美鈴の体温が伝わってくる。
俺たちは恋人繋ぎのまま祭りの会場についた。
「わあ、すごい人波。」
会場は俺が思ったより数倍人でいっぱいだった。
まだ、空は薄暗いくらいで明るかったけど、周りは煌びやかな提灯の黄色い光が灯されている。
これぞ、ザ・祭りという感じだ。
「それで何するの?」
「そうだね…あ、あちらに射的があるよ!」
俺は入り口付近で射的をしている人を見つけた。
やはり、射的は抜かせないな。
俺はそのまま美鈴の手を引いて射的場に向かった。
「これやろう!」
俺は射的場を指差しながら言った。
「わかったわ。」
美鈴はそう言って財布からお金を取り出して、店の人に渡した。
「はい、ありがとうございます!」
俺はみせの人から銃をもらって獲物を定める。
目標は美鈴が好きなクマのぬいぐるみだ。
別に射的は特技ではなかったけど、美鈴に何か思い出になるものを渡したかった。
「惜しいわ!」
「くうう、これでダメか…」
一発目から俺はクマのぬいぐるみにゴム弾丸を当てることに成功した。
しかし、残念なことにクマのぬいぐるみは倒れなかった。
俺は続いて二回目の弾丸を撃った。
「くっ、倒れない!」
「惜しいわね。どう?もう一回する?」
美鈴は俺が悔しそうにしているところを見て、そう提案してきた。
「俺はもういいよ。それより、美鈴もやってみて!」
「え、私が?良いけど。本当にもう一回しなくていいの?」
「いいよ。また来年美鈴ときたら良いしね。」
「瑛二…!」
美鈴は俺の言葉に何だか感激したようだった。
それとテキ屋のおじさんは俺たちをみて少し訝しんでいた。
親子だとしても子供と呼び捨てし会うのは怪しいもんな!
俺は慌てて美鈴に銃を渡した。
「うん…中々当たらないのね。」
「惜しい!」
惜しくなかったけど、俺はとにかく惜しいと言った。
そもそも美鈴の弾丸は商品にかすりもしなかった。
美鈴は勝負欲が発動したのか、何回も何回も金を払った。
何というか意外な一面である。
「ううう…何で当たらないの…」
美鈴は悔しそうにしている。
そもそも当たらないからなのか、余計に悔しがっている気もする。
このままだといつまでたっても射的だけすることになりそうだ。
美鈴も当たりさえすれば満足するだろう。
それにもっと他のところもみて回りたいしね。
俺は仕方ないので、そんな美鈴の後ろに抱きついて照準の仕方を教えることにした。
「え、瑛二!?」
美鈴は急に俺が抱きついてきて驚いたようだった。
俺はそんな美鈴を無視したまま、美鈴の腕を直接動かしながら照準の仕方を説明した。
「はい、銃のここ見えるでしょう?これと撃ちたい商品を合わせるの。」
「こ、こう?」
「うん、上手!そして、照準を少しだけ左にずらして。」
銃を撃っている美鈴を後ろでみていてわかったことだけど、ここの銃は少しだけ弾丸が右に曲がるようになっていた。
射的あるあるのそれである。
それで俺も先はそれのせいで微妙なところを当てて失敗したようだった。
俺は美鈴にそれを調整するようにとしたのである。
美鈴はごくりと唾を飲み込んで、銃を撃った。
今度は弾丸の軌道も考慮したからか、弾丸がクマのぬいぐるみの額にちょうど当たった。
そして。
「やった!やったわ!」
子供のように喜ぶ美鈴。
本当に嬉しそうだ。
「すごいよ!美鈴!」
「おめでと!」
俺たちは二人で小さい勝利を喜びあった。
「はい、これ。欲しかったでしょう?」
射的場から離れたところで、美鈴は俺にクマのぬいぐるみを渡してきた。
「ううん、俺は大丈夫。実はこれ美鈴に上げたかったの。美鈴、クマ好きでしょう?」
元々は格好よく商品を俺が取って、美鈴にプレゼントしたかったけどね。
美鈴は俺の言葉を聞いて、何やら感激していた。
「覚えて、くれてたんだ…」
「当たり前でしょう?美鈴のことだからね。」
前回通り過ぎるように話した話題だったけど、俺はしっかりと覚えていた。
何せ、俺の初めての彼女さんが好きなものだからね。
「嬉しい…これ、瑛二にもらったプレゼントと思って大事にするわ。」
「ありがとう。でも、今度はもっとちゃんとした形で渡せるようにする。」
「気にしなくていいの。私はこれで十分だから!」
美鈴はそういって、クマのぬいぐるみを抱きしめた。
それからも俺たちは祭りの会場を隅々と回った。
その間も美鈴はその人形を大事そうに抱えていて、俺は何だか嬉しくなった。
そして、時間がすぎて、花火の時間になった。
俺は何とか穴場っぽいのを調べてみたけど、都合よくそんなものは見つからなかった。
仕方なく、人並みの中で花火を見ることになった。
「もう始まるよ!美鈴こっち!」
「うん!」
俺たちは花火がよく見えそうな場所へと移動した。
しばらくして、花火が打ち上がった。
俺は年甲斐もなく、空を彩る数々の花火に俺は見惚れていた。
そういえば、何気に俺って花火をちゃんと見た記憶がないな。
だからなのか、目の前の花火が特別に感じられた。
本当に今日のことは忘れそうにない。
美鈴もそうだったらいいなと思った俺は美鈴のことを見上げた。
しかし、美鈴は空のことなんて全く見ていなかった。
それどころか美鈴は下を向いていた。
というか、美鈴は慈愛に満ちた目でずっと俺を見ていた。
「美鈴?何で俺を見ているの?」
俺は美鈴に聞いた。
花火の轟音のせいで、美鈴にちゃんと伝わっているかは分からない。
美鈴は俺の問いに対して、何か答えを返した。
その声もまた花火の音に溶け込んで、俺には伝わってなかった。
「美鈴聞こえないよ!」
俺がそういうと、美鈴は何かをわかったみたいに頷いた。
そして、美鈴は美鈴は微笑んで、急に膝を曲げた。
俺は声が聞こえやすいように、耳元に何かを囁くかと思った。
だが、美鈴の行動は俺の予想とは全く違っていた。
美鈴は俺と目線を合わせてきたかと思えば…
「ちゅっ」
衆目環境にも関わらず俺にキスをして来た。
何回も何回も修正して、ちょっと時間がかなりかかってます。