リスタート:過去へ戻って孤高な女達を手駒にして現在の危機を打破する 作:霧江
岬ちゃんを見送ってから、先ほどの惨状を片付けた。
蒸し暑くなっている部屋を換気して、体臭を消すためにシャワーを浴びる。
服は洗濯籠に入れては、念のためにその上から消臭剤をかけて、部屋着に着替えた。
一応、母親のメモには少し遅れてくると書かれていたけど、遅れてがどれくらい遅れるかはわからない。
岬ちゃんを調教することばかりを気にして、考えてなかったことだが、これは結構危ない橋を渡っていたことに気づいた。
俺は最初大人基準で考えたから、遅れるとは9時や10時くらいを考えていたけど。
今の俺は子供、それを踏まえって考えたら、案外7時にも帰ってくる可能性があった。
普段の夕食よりは遅れるという意味である可能性も多々あったのだ。
そして案の定、母親が戻ってきた。
俺が岬ちゃんを見送ってから、大体30分くらいのことだった。
あの時に子宮責めをもう一サイクルしていたら、岬ちゃんを調教していたことがバレていただろう。
俺は胸を撫で下ろした。
「ただいまー。遅れてごめんね。お腹空いたでしょう?今からご飯お用意をするから。」
「お帰りなさい。大丈夫!」
帰ってきた母親はただいまを言ってすぐにキッチンに向かった。
俺はリビングで食事を待ちながら、学校の宿題をすることにした。
リビングのテーブルで勉強をする俺。
小学生レベルの問題だったけど、俺としては新鮮な感覚だった。
そこまで難しくはないけど、それでも記憶に新しいものが多すぎる。
だって、改変前の世界ではこの時期からのことをほぼほぼ覚えてなかったし。
改変後の世界でも上原さんの甘々な対応と誘惑で勉強をほぼしてなかった。
上原さんは俺が勉強をしようとする度に、そんなことなんかより、おマンコしようと腰を前後に降りながら誘惑してきた。
何と恐ろしい御仁である。
だから、勉強をするということ自体が俺にはなれない行為である。
ところで俺が何で勉強をしているかと言うと…
母親から点数を稼ぐためだった。
「宿題?自分から宿題をするなんて珍しいね。エイちゃん、どうしたの?」
夕食の支度が大体終わったのか、母親は俺を呼びにきたが、勉強をしている俺の姿に驚いたみたいだった。
「岬ちゃんはこの時間に宿題をするんだって。」
俺は準備していた答えを母親に返す。
母親は何か感慨深そうだった。
「エイちゃんが自分から勉強をするなんて!!!」
というか、ショックを受けているらしかった。
俺としても予想外すぎる反応が帰ってきて、俺も驚いた。
過去の俺は一体どんなやつだったんだ?
宿題一つでこんなに感激するなんて…
「ええ、俺も勉強くらいはするよ。」
「いえ、そんなことなかったじゃない。」
ハッキリ否定する母親。
それは親としてどうかと思うけど?
俺は少し心の中に小さな傷ができた気がした。
母親はそんな俺に構わず、騒ぐのをやめない。
「今日は宴よ。エイちゃんが好きなpizzaを頼むわ。ああ、そうだわ。岬ちゃんと上原さんにもお礼をいわなきゃ!!!」
ピザだけネイティブの発音でいう母親…うざ可愛い。
この人ってこんなんだったのか?
俺はいよいよ母親がわからなくなった。
「夕飯の準備終わったんじゃなかったの?」
「言ったでしょう?今日は宴よ!pizzaと夕食両方食べるのよ。」
母は嬉しそうに足を鳴らして、ピザの配達を頼みにに行った。
一体何だって言うんだ?
俺は呆然とその後ろ姿を見た。
しばらくして、ピザの配達がきた。
母はピザを受け取って、用意したご飯とピザを食卓に並べた。
「さあ、たんとお食べ。」
「いただきます!すごいね。こんなには食べられないよ。」
「無理に食べる必要はないわ。食べたい分だけ食べていいわよ。」
母は優しく言った。
相当機嫌が良さそうな感じだった。
ヨシ、計画通りだった。
しかし、白米にピザか…変な調合だった。
少し悩んだが、俺はピザを先にいただくことにした。
それから食事が大体終わった頃に、母は急に真剣な表情をした。
表情がコロコロ変わる人だ。
俺は母の意外な一面を見た気がした。
しかし、空気の落差がひどすぎて戸惑う。
「エイちゃん、聞いてほしいことがあるの。」
「何?」
「実は、お父さんは会社の都合があってね。今月から遠いところで働くことになったの。単身赴任ってことなんだけど…」
「え、そうなの?」
ああ、これはここで言われていたのかと俺は納得した。
確か、父親は単身赴任で2年くらい家を空けていた。
俺が覚えている限りでは、会社の昇進の条件として、支社の支部長を務めるためだった。
「それと、本当にごめんなさい。お母さんもね、しばらく家を空けることになったの。」
「え、何で?」
俺は既に知っていたけど、それでも驚いたふりをする。
そんな俺をみて母は本当に申し訳なさそうにしていた。
「お祖父さんがね、急に体が悪くなったの。それで見てくれる人がいなくて、
お母さんがしばらく面倒を見ることになったの。」
「そうなんだ、お祖父さん大丈夫?」
母親は簡潔に事情を説明する。
確かこの件は母方の祖父のことだった。
別に健康の問題だと、引っ越して看病すればいいと思うかもしれない。
しかし、お祖父さんはこの頃認知症になっていたらしい。
それで、子供を連れて看病するのは難しいという判断だった。
「うん、大丈夫よ。」
母は笑って見せた。
しかし、その笑みはどこか力がなさそうにみえた。
「それでね、エイちゃんには本当に悪いんだけど、しばらく、二人とも家を空けがちになるの。」
「大丈夫だよ。俺ももう一人で何とかできるから。」
「ダメよ。エイちゃんに何があったら、危ないでしょう?それでエイちゃんを見てくれる人を探しているの。」
「!!」
母の言葉に俺は硬直した。
それもそうだ。
俺はこの場面を覚えている。
あの憎き荻田亀太郎を紹介される前の前ぶりだった。
だけど、今回は違うんだ。
俺はその最悪な未来を脱却するために行動する。
「じゃあさ、俺は上原さんがいいな。」
「上原さん?流石にそれは上原さんに申し訳ないけど…」
「完全に知らない人よりは、知っている人だとお母さんも安心でしょう?それにお隣さんだからね。」
「ううん、でもね…それもあり…いや、なし…迷惑になりそうだし、そもそも向こうの意向も…
ふうん…?許可があれば何とかなる?いや、図々しいかな?でも、悪くないかな…お金を出して何とか…
それにエイちゃんもいい影響を受けているし、信頼はできるから…お父さんにも相談しないと。」
母は一人でぶつぶつと思案する。
恐らく俺を上原さんに預けることを本気で考慮しているらしかった。
こうなった母は中々元には戻らない。
時間は既に夜8時くらい、子供は寝る時間だった。
こうしていても仕方がないので、俺は先に席を立つことにした。
「お母さん、俺もう遅いから先に上がるよ。」
「わかったわ」
俺はそんな母を後にした。
これで俺にやれることは全てやった。
もう過去改変は起こっていることになっているけど、それでも最低限のことはしておかないと不安んだったのだ。
俺が行動をしなかったら、逆の過去改変があってもおかしくはなかった。
そのための宿題アピールとおねだりだ。
俺は自分の部屋に向かった.
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俺は未だ眠れずにいた。
俺の人生の分岐点である。
過去改変後のこの時の俺の行動は思い出せかった。
まだ、二つの記憶を取り扱うことに苦労をしている。
この時を思い出そうとしても、中々思い出せない。
精神がしっかりしている過去改変後だとしても、衝撃的な記憶でなければ子供の頃の記憶なんて曖昧だ。
過去改変後に衝撃的な思い出と言っても、というか全部上原さん関係しかない。
上原さんに搾り取られた記億とか、上原さんと旅行先で野外プレイをした記憶とかとか。
俺は少し引き攣った笑いをこぼす。
それだけ、あの妖婦美鈴は俺の人生を壊している。
「やっぱり、上原さんは完全に調教して、誰が上か教えないといけないな。」
とにかく、そんな記憶ばかりでどうやって上原さんが俺のベビーシッターになったのか当たりの、細々とした行動は記憶になかった。
だからこそ、さらに不安だった。
行動をしなくても、過去改変はできたかも知れない。
でも、行動をしなかったら、不安で仕方がなかった。
また、あの最悪な人生に戻りたくなかった。
「こうしていてもな。手は尽くした。なるようになる。寝る前にトイレに行くか。」
俺は頭から雑念を振り払ってトイレに行くことにした。
子供だからいつおねしょをしてもおかしくない。
夜のトイレもまた死活問題である。
精神だけは大人の俺がおねしょとかありえないからな。
俺は部屋のドアを開いて廊下に出た。
「もしもし?上原さんのお宅で間違い無いでしょうか?こんな遅い時間に申し訳ございません。」
母の声だった。
どうやら上原さんに電話をしているらしい。
俺は母の電話を盗み聞きすることにした。
「はい、私、牧田可奈です。この度は急なお願いを聞いていただいて、本当にありがとうございます。」
先ほどまでは面白可笑しな感じな母だったけど、電話口では普通にとても丁寧な喋り方をしている。
「いえ、つまらないものでしたが、気に入っていただいて幸いです。」
恐らくお菓子の話だろうか?
母は有線電話で話していて上原さんの声はきこえなかった。
まるで一人芝居を見ている気分だった。
「そういえば、うちの息子が岬ちゃんのことを真似て宿題をしていたんです!
中々言われないと宿題をしてくれない子なんですけど…驚きました。」
「そうですか?本当に大変じゃなかったんですか?」
上原さんが俺を褒めている?
片方の話だけだと内容がよくわからないけど、会話の空気感はわるくない。
「うちの息子は中々気怠げな感じで話を聞かないことが多いですけどね。」
息子の愚痴はそこまでにして…
それからも俺の愚痴が続いたけど、中々本題に入らない。
もういいかなと思ったその時だった。
「はい、はい、ありがとうございます。」
「一つお願いしたいことがあります。実は私たち夫婦が家を空けることになりまして、
大変なお願いということはわかってます。うちの子を預かっていただけますか?謝礼もいたします。」
母は本題に入った。
恐らく父とも話がついたのだろう。
俺は緊張した。
次の言葉を手に汗を握ってまつ。
「ダメですか?」
断っただと!?
上原さんに取引を持ちかけたのに!
絶望だと思った矢先だった。
「あ、謝礼の方がいいということですか?それだと私たちが申し訳なくなります。是非受け取ってください。」
俺は思わずガッツポーズをとった。
やった!やった!
俺は自分で未来を開拓したのだ。
俺の目の前で起きたことだからもっと実感が湧く。
今日はよく眠れそうだった。
次の話は上原さんの壮絶な求愛になります。