リスタート:過去へ戻って孤高な女達を手駒にして現在の危機を打破する 作:霧江
美鈴が言っていた別荘はそこまで遠いところではなかった。
上原家からは車で1時間弱くらいの場所で、かなり近いところだった。
それで少し遅めの朝食を取ってからの出発だったけど 、昼前に別荘に到着することが出来た。
「何というか、洋画とかに出てきそうな建物だね。」
「綺麗な家なの...」
俺は別荘を見て思ったことをそのまま口にした。
岬も俺と似たような感想のようだ。
「ふふっ、なにそれ。大袈裟だわ。」
美鈴は俺たちの反応を見て面白がっていた。
だけど、俺としては本当にそんな感想だったのである。
美鈴の別荘は、まさしくザ・海辺の家って感じだった。
分かりやすく言うと、刑事映画とかで主人公が引退したらここに住みたいなと、未来の家を想像するシーンとかで出てきそうな家だった。
「見ているだけではつまらないわ。それに外は暑いから、中に入りましょう?悪いけど、荷物移すの手伝ってもらえる?」
俺が呆然と別荘のことを感想していると、美鈴がそんなことを言ってきた。
「分かった。」
「はい!」
俺たちは元気良く美鈴に返事を返した。
確かにまだ真夏と言うこともあってか、外は最高に暑かったのである。
それに美鈴が言っていた荷物というと殆どが食材だったので、痛む可能性だってあった。
俺と岬は美鈴に言われた通り、車から荷物を下ろすことを手伝った。
俺が思ったより、かなり量はあったものの、三人掛かりということもあって、荷下ろし自体はすぐに終わった。
「お母さん!家の中見てくる!英二も付いてくるの!」
「うん。」
荷物の整理が一短絡してから、岬はそう宣言した。
ここは岬も初めて来る場所だということみたいだ。
それで探検をしようということらしい。
分かるよ、初めての場所はワクワクするからね。
俺としても岬と同じ気分だった。
「はい、いってらっしゃい。」
美鈴はそんな俺たちを笑顔で見送ってくれた。
それから俺は岬と一緒に別荘の中を探検した。
二人で別荘の中を隅々まで走り回った。
そして、2階に着いた時。
「英二、これ見て!」
岬が急に俺の手を握って俺を何処かへと導いた。
すると、そこには...
「綺麗...」
一つの絵のような風景が広がっていた。
窓の外に広がっている砂浜と海の風景。
先ほどまでは別荘に気を取られて知らなかったけど、太陽に照らされてキラキラと光る海は物凄く幻想的だった。
テレビとかネットとかの知識で知ったかぶりになっていたけど。
俺は本当に何も知らなかったんだなと改めて思った。
俺はしばらく光る海に見惚れていた。
「えへへ、海に見惚れている英二可愛いの。」
「...少し恥ずかしい...」
岬はそんな俺を微笑ましいもの見るかのように、ニコニコ笑っていた。
俺は岬のそんな反応に少し顔が熱くなることを感じた。
だけど、悪い気分はしなかったので、俺はそのまま海を眺め続けた。
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その後は、待ちに待った海に出ることにした。
俺は美鈴が買ってきた水着の中で一番大人しい感じのものを選んで着た。
美鈴が言うにはどれも似合っているとのことだから、何を着ても問題はないだろう。
俺は準備を終わらせて外に出てきた。
「おお、本当に誰もいない。」
砂浜には本当に誰もいなかった。
流石プライベートビーチと言ったところか。
本当に人っ子一人もいなかった。
それこそ、岬も美鈴もいなかった。
「まあ、女の子の準備は長いからね。」
俺は一人納得した。
一人でやることが無くなった俺は、海に入ることにした。
折角だから誰もいない夏の海とやらも堪能したかったのである。
ということで、水泳の授業とかでやる準備運動を一通りやった。
準備運動を終わらせてから、俺はやっと波打ち際に足を踏み入れた。
「つめた!」
夏の海は俺が思ったよりもずっと冷たかった。
こんなに暑い日だから、海も少し温め何じゃないかと思ったけど、違うみたいだ。
このままでは入れないかもと思った俺は、体のあちこちに海水をかけて体を海の温度に馴染ませた。
しばらく、その行動を繰り返すことで何とか海の温度に適応することが出来た。
そして、俺は覚悟を決めた。
「えい!ままよ!」
俺は一気に海へと駆け出した。
一瞬飛び込もうかとも思ったけど、それをするにはちょっと水深が足りない気がする。
だから、俺は海の奥へと走り出した。
俺が足を止めたのは水が腰の高さに来たところだった。
何かが不思議な感覚がしたからである。
「おおおお...おおおお!」
それは波に体が揺らされる感覚だった。
こんな感覚は人生ではじめてだった。
俺はしばらくその感覚に身を任せてみることにした。
特に何もしてないけど、ゆらゆらと波に身を揺らされる感覚というものは中々面白いものだった。
それこそ年甲斐もなく、まるで本当に子供にでもなったみたいに歓声を上げるくらいには面白かった。
俺がそんな風に一人遊びをしていると、急に後ろから何かがぶつかってきた。
「わっ!」
「英二!」
それは岬だった。
どうやら、岬がおれに向かって飛び付いてきたみたいだ。
俺は後ろを振り向いて、岬の姿を確認した。
そして、俺は固るかしかなかった。
「あたしの水着どう?」
「凄く綺麗だ。」
「えへへ、うれしい」
そこには岬が水着姿でいたのである。
それも子供用のビキニなる物を着ていた。
何というか、岬はそこまで発育は良くないけど。
逆に大人な水着を着ているそのアンバランスは絶妙なものだった。
俺は岬のことを素直に褒めた。
「じゃあ、私はどうかしら?」
そう言って次に現れたのは美鈴だった。
こちらも思っていたのとは全く違う水着だった。
美鈴は逆に露出を押さえた感じでファッショナブルな水着を着ている。
「美鈴も綺麗だよ。」
「ふふっ、ありがとう。」
俺の言葉に美鈴は満足したような笑顔を見せてくれた。
一通り、二人の水着を感想してからのこと。
俺たちは海で遊ぶことにした。
だけど、俺は海での遊びに詳しくなかったため、海遊びマイスターの岬に遊び方を聞いた。
「まずは...こうなの!」
バシャという音と俺に掛かる海水。
これはあれだな。
お互いに水を掛け合うあれだ!
俺はすぐに岬に応戦した。
「えい!」
力一杯に手で水を集めてそれを岬に飛ばした。
岬も負けじと俺に水をかけてきた。
俺たちは夢中になって水の掛け合いっこをした。
しばらく、そう遊んでいたそのとき。
「ぷはっ」
俺はあらぬ方向から水しぶきを飛ばされた。
そして、俺がその方向に向くと、そこには美鈴がいた。
「あ...」
ちょっと、頬を染めて固まっている美鈴。
何やら水しぶきを飛ばしてきたのは美鈴らしい。
美鈴は自分の参加で急に水遊びが止まって、少し不安そうな表情をしていた。
何というか子供じみた反応だ。
それを見て、俺は美鈴がこういう遊びをしたことがないかもと悟った。
何だって、美鈴は恋愛も出来ないくらいに大事にされていたからな。
「美鈴も一緒に遊ぶ?」
「うん!」
俺の問いに美鈴は満面の笑顔で答えた。
そして、そこから過酷な遊びが始まった。
水遊びから始まったそれは、水泳、ビーチバレーボール、砂場遊びとかにも発展した。
俺たち3人は本当に子供のように遊んだ。
俺も結構楽しんでいたつもりだったけど、美鈴のはしゃぎっぷりには負けた。
美鈴は本当に全ての遊びを十全に楽しんでいた。
そんなはしゃいでいる美鈴は本当に可愛かった。
日が暮れてからのこと。
俺たちは食事をすることにした。
既に体はグタグタで、食事を取る元気もなかったけど。
海遊びマイスターの岬によれば、海の遊びには食事も含まれるらしい。
「海ではバーベキュー!これがないと海に来た気がしないの。」
とのことだった。
何でも上原家では、海でバーベキューをすることが伝統らしい。
それは今回も例外ではないらしく、今回もバーベキューを開催するとのこと。
そういえば、食材を移すときに2日分にしては多いなと思ったら、これが原因だったらしい。
そして、その努力には確かな価値があった。
「うまい!」
美鈴が用意してくれた食材はどれも美味しかったのである。
人生で初めてのバーベキューは成功だった。
二人はそんな俺を愛らしいものでも見る目で見てきた。
何というかペットにでもなった気持ちだ。
「英二、これも食べて見て。」
「これも美味しいの!」
俺は二人は俺に色んな食べ物を進めてきた。
俺も進められるがまま、それでついつい大食いをしてしまった。
まあ、この雰囲気だったら、それが無くても大食いをしていたと思う。
その証拠に岬も美鈴も普段より多めの量を食べていた。
やはり、雰囲気というものは大事らしい。
「じゃん!」
バーベキューが終わってからは、美鈴が車から何かを持ってきた。
それは線香花火だった。
3人で花火大会をしようとのこと。
俺たちはその後、夜の海で三人で花火をしながら走り回った、
全てがおわってから、気付けば、俺はベッドの中にいた。
「あれ?今日ってエロイことしてない。」
もしかしたら、そういうハプニングがあるかもと思ったけど、そんなことはなかった。
二人とも今日は本当に疲れているとのことで、大人しく寝るとのこと。
「二人に無理をさせることもないか...」
そして、それは俺も同じだった。
体が本当に限界を迎えていたのである。
しかも、夕飯のバーベキューを食べ過ぎて、食後の眠気も凄い。
「はああむ」
俺はあくびと共に考えることを諦めた。
何だか今日は本当に自分が子供になった気分だったな。
だけど、こんな日があることも悪くはない。
そう思った俺は、疲れに身を任せてそのまま目を閉ざした。
きっと、俺は今日のことを一生忘れられないだろう。
俺は海のことが好きになった。
今週は忙しすぎる...
次話から過去編のクライマックスに入ります。