戦術人形が指揮官を愛するまで_裏 作:イエローケーキ兵器設計局
時間はエルウィンことAK-15が初夜を迎えるよりも前、潜水艦基地で指揮官に助けられたずっと後のこと。
作者より
産卵シーンを書くといったのにめちゃくちゃ薄いじゃないの、と言われそうなのでまた、書きます(違う娘か、そるとももう一回レナーテになるのか……私にはわかりませんが)
「奪われたら自決してしまうほど好きな守りたい人が居て、その人を誰かに奪われる可能性があるなら、いっそのこと殺してしまうべき、だ……そうね。」
指揮官の書斎には様々な本が並んでいて、時に個性的な書籍が眠っていたりする。例えば今、私が手に持っているヤンデレと言われる傾向の人向けの恋愛指南書とか。なんでこんなモノを持っているのか分からないけれど、指揮官と私の仲だしなぁとしか思えない。
「あら、メモが。」
挟まれ、畳まれていた紙片を開くと"屋上、22:00、待つ。頑丈、ナイフ持参"と書いてある。
22:00。屋上。
「……!」
背後からの殺気に思わず前に飛び出すと空気を切るような音が背後で小さく聞こえる。
「やっぱり人間になろうとしたんだね、レナーテ。ウチの精鋭でも避けられなかったのに。」
指揮官……!?
「何故ですか?指揮官。何故、私を殺そうとするのですか?」
「君も読んだだろう?だから、ここに来た。違うかい?」
「確かに読みましたが……!」
何度も何度も、宙を切るナイフを避け、避けられないものはナイフで弾く。
「ウォーミングアップは終わり、君も正当な理由で俺を殺せる。」
指揮官が急接近してきてナイフを私の首に当てるなり一言。
「好きな人は殺すか依存させないと何処かへ行ってしまうよ?」
頸に一閃。
血の海に沈む指揮官を見下ろして小隊全員に連絡を取る。慌てて本当に殺すわけには行かない。でも、何故?見殺しにすれば独占はできる。でも……このメモリーがもし消えてしまったら……私は……人の記憶はそう長持ちはしない。もし、本当に私が人間になってしまったら……。
「AK-15、AK-12、AN-94、誰でも良い!早く屋上に来て!」
結果から言うと、第一に指揮官は生身の人間ではなかった。これに関しては私のリサーチ不足。あまりにも精巧にできていたから、てっきり純粋な人間だと思っていた。第二に指揮官は一時的に気を失っているだけであり、修復ポッドに安置すれば数時間で蘇生できる事がわかった。そして……第三に、彼の部下は私たちを救援した後、ある女指揮官にスカウトの形を取って奪われたらしい。指揮官は私にテストを課していた。万が一の時に引き金を引けるかどうか。
「貴様!」
壁に叩きつけられる。それは当然。
「AK-15、ストップ。彼女を殺しても意味は無いわ。」
そして、私を殺したところで指揮官の記憶が、バックアップを取った後の消えた記憶が帰ってくることもない。
「……。」
私を睨むAN-94の視線が初めて痛いと思った。
数時間後。AK-12に捕縛された私は独房……営倉に居た。足音が聞こえる。カツ、カツ、カツ……。
「レナーテ、ただいま。」
「指揮官……。」
足音の正体は頸に包帯を巻いた指揮官だった。
営倉から出た私は仲間達からの視線を背中に受けながら指揮官と指令室に入った。
「いやーね……うん、バックアップが無かったら危なかった。うん……。」
「はい……。」
「それと……レナーテ、頼まれていたモジュールだが……。」
「んっ……。」
背中の脊椎を模した差込口に追加のインプラントを2つ挿してもらう。1つはセクサロイド用の発情インプラント(以下人格インプラント)、1つは……。
「レナーテ、よく俺の嗜好を理解できたな?」
「指揮官様の事ですから。」
嘘。貴方様の嗜好を探し当てるだけでかなり苦労しました。ベッドの下も携帯端末も怪しいものがなくてあるのは普通の小説ばかり。まさかと思って本棚の全ての本を漁ったらようやくビンゴ。
「じゃあ……挿れるよ?」
「はい。お願いします。指揮官の子供が欲しいので。」
卵生モジュールとそのプログラムである。
「指揮官、本当にするんですか?」
「そりゃあ、なあ。俺のせいで小隊が瓦解しましたなんて……。」
「……分かりました。」
施設内に対人形用の睡眠ガスを空調設備を介して充満させ、寝ている間に今夜の記憶の削除と書き換え、人格インプラントの挿入を行う……壮大な計画を実行に移す。
「指揮官、これを。」
「ありがとう。君も。」
二人してガスマスクを確認しあい、ペアとなって手術を決行する。タイムリミットは2h。
「まずは……AK-15。ごめんよ、エルウィン。」
指揮官がAK-15を軽々とベッドの上に転がし、うつ伏せににしてケーブルを頸に。私はインプラントを用意して脊椎に挿す。
「おやすみ、AK-15。」
データ処理を終えて部屋を出る。
「次はAK-12……待て。AN-94からにしよう。」
AK-12の部屋を避けてAN-94の部屋を覗く。倒れている。
「ごめんな、アンティア。」
これまた軽そう(本当に軽いのだろう)に持ち上げるとベッドに寝かせ、さっきと同じ行動をとる。
「おやすみ、AN-94。」
「さて、後はAK-12だが……フラッシュバンは持ってるか?」
「え?あー……ありますよ?」
「良かった。多分気が付いているだろうな。」
AK-12の部屋の前に来る。ガスの効果は残り45min。
「3,2,1で行こう。」
「3,2,1……投擲。」
指揮官がフラッシュバンを僅かに開けたドアの隙間から投げ込み、閉める。扉を閉めてもあの煩さは健在で何も聞こえない。
「……!」
身振り手振りで突入、の意図を読み取り、ドアを蹴って入るとガスマスクを着けたAK-12が訓練弾を装填した銃をこちらに向けて待っていた。
「……。」
何を言っているのか全くわからないけれど明らかに敵意剥き出しだった。
指揮官が一歩前に出る。AK-12のトリガーに力が入る。
「……。」
指揮官がガスマスクを外す。AK-12も釣られてガスマスクを外すがその隙に指揮官が動く。
「……!」
指揮官がAK-12にぐっ、と近づいて唇を奪った。あら、大胆。AK-12が羨ましいわ。最初は抵抗するも段々と力が抜けて腰が砕けて、いつの間にか倒れ込む彼女。
「……。」
指揮官の今だ、に応じてインプラントを差し込み、ケーブルを挿す。
タイムリミットの15分前には全てを終わらせられた。
「ありがとう、RPK-16。」
「指揮官。私には無いの?ご褒美とか。」
「そうだなぁ……。」
「そんな、はぐらかさな……んっ……♡指揮官、そんな、いきなりは……やんっ……♡」
卵生モジュールを装着した状態で、初めてのセックス……♡前戯もキスも何も無いのにもうすんなり入っちゃう……♡
「指揮官……乱暴なのは……♡」
立ったまま犯されるのは……♡びっくりしたけれど後々、♡この立派なおちんちんが♡皆を泣かせるんだなって、♡思うと……♡
「しきかん、はげしっ……♡こわれちゃう♡」
「そう言いながら、腰を振っているのは、どっちだ……!」
「あんっ、ずるい……♡わたし……♡私です♡」
「もう出そう……!出して良い?良いよね、出すよ!」
「はい……♡しきかんのせいし、おくに、ください♡」
指揮官から熱い子種を注ぎ込まれた瞬間、快感が私の身体を突き抜けて腰が砕けてしまいました……♡あぁ……卵生モジュールが指揮官の子種を受け取って卵を作ってる……♡
「最初が両生類の卵で良かったのか?」
「ええ♡硬い卵だと戦闘で割れてしまいますし、何より……♡」
パンツを履きながら答える。
「その方がお好きでしょ、指揮官♡」
その後、訓練していたら好きな人の卵なら全て良し、と知ってランダム制になった。数時間で産み分けもできるようになった。今では魚類のぶよぶよ小径卵から鳥類のカチカチ大径卵までお手の物。
「指揮官♡」
「ゆっくり、ゆっくりな……見えてきたぞ……力んで……!」
「ひっ……ひっ……ふぅ……♡」
「もう一踏ん張り……!」
今、私、人間してる!
「う、産まれる♡」
「おめでとう、産まれたよ……!」
大径卵だと産道に引っかかりやすくて大変。でも、こんな事してくれる存在って、私だけでしょう?指揮官。私だけを見て……とは言わないけれど、数多といる戦術人形達の中でも私達、叛逆小隊は見て欲しい。
「レナーテ。」
「はい?なんでしょ……ん♡」
「……ありがとう、俺に付いてきてくれて。」
お慕いしています、指揮官♡
……なんて言えたら良かったものの、流石にそうすると小隊内のヘイトを集めること間違いなし、なので指揮官の記憶も童貞になるように、辻褄が合うように、調整して消しましょう。ん?誰よ、この女。まあ良いわ基礎データは消さないでおきましょう。濃厚な、それこそ性的な接触はなかったみたいだし?さようなら、貴方の中の私。こんにちは、指揮官。私は貴方に何もしていません。でも、これからは……ふふふ。あぁ……貴方の驚く顔が早く見たいです。私を何も知らずに壊れるまで犯して、卵が産まれるのを見届けて……♡あぁ、なんて甘美なんでしょう……♡
ふぅ……落ち着いて、彼はとりあえず無垢なままに帰った。悟られては不味い。性的接触は無かった。良いね、私?
18時。時間はアンティアの見送りのもとにヘリコプターに乗った後(注:"3.1.AN-94_裏")に帰る。今回の偵察目標はウェザビー閣下こと、識別名"エカテリーナ"。指揮官の精鋭人形はこの女によって"運用"されている。
ヘリコプターを近傍の降着地点に降ろし、歩いていく。機長席に座ったときからずっと無言だった指揮官が口を開く。
「PzB39は……あそこか。」
「見せてみて。」
双眼鏡を指揮官から借りて見ると屋外で磔にされる戦術人形の姿が。
「あの娘が……。」
あの日指揮官の記憶を消した時に目についた女の一人だ。なるほど。
「そう、俺の副官の一人、PzB39だ。あの程度でくたばるような人形ではないが……くそっ。作戦開始を待つしか無いのか……。」
指揮官に心配されるPzB39に少しだけ嫉妬してしまう自分を恥じた。一時の感情で記憶を消した自分を客観視できた。……彼の仲間に嫉妬してもしょうがない、重要なのはどのポジションに居るか。彼女には無いニッチを私たちで埋めれば良い。正妻は無理でも制圧戦闘と繁殖なら私達のほうが上手だと信じている。
「指揮官、クライアントが居るわよ。」
「む?」
MG人形が目に入る。識別情報と一致した。エカテリーナの"寵愛"を受けるMG34。
「今回はよろしくお願いします。」
「こちらこそ、よろしく頼むよ。」
「そちらの方は?」
「こちらは私の護衛でレナーテ、と言う。」
「よろしくお願いしますね。」
指揮官とMG34が握手した瞬間少し黒くなったココロを今、ニコッと偽りの笑顔で隠す。その手を離せとは言わない。
エカテリーナは暴力的で部下への暴行はもちろん、抵抗する捕虜や人形に対しての性的暴行も確認されているという。指揮官の部下は発覚した時が怖いのか痕跡の残りにくい手法で痛めつけたのだろうけれど……。
「MG34、何か言い残すことは?」
え?
「妹を、よろしくお願いします。それだけです。」
そう言ってビーコンを受け取ったMG34は屋内に走って帰っていった。
「……どいつもこいつも変わらんな。」
肩を落としてヘリコプターに向かっていく指揮官。
「指揮官、よろしいのですか?」
「クライアントの意思を尊重するのが俺たちのできる限度だ。」
指揮官の頬を天気雨が伝う。貴方は……優しすぎた。
ヘリコプターの操縦を代わって基地に帰った。指揮官は泣いていた。私は……笑っていなかった。
基地に帰るととても良い匂いがしていた。指揮官はさっきまでの泣き顔から笑顔になっていた。けれど、きっと……仮面の向こうに悲しみを隠しただけなのだろう。
人間がカレーライスを食べる時、幸せホルモンが分泌されるという。もちろん嘘である。そんなデータを私は知らない。けれど指揮官の表情はさっきよりも明るい。
「……カツは誰が揚げた?」
「……私ですが。」
「エルウィン、旨い。衣と肉のバランスがとても良い。」
小声で良かった、と呟いたのをしっかりと聞き取った。
「カレーの方も良い。米は……皆、素晴らしいよ。」
アンティアとルシアが食べながら喜んでいる。
"♡"を使う時は人間であることを前提として使っています。なのでそうですね……RPK-16"レナーテ"は(半)人間として扱われている、と見てもよろしいかと。
Q:この世界線のレナーテが首に包帯を巻いているって本当?
A:本当です。指揮官が首に包帯を巻いているのでRPK-16が自分の頸のコネクタを隠すように巻いています。
(好きな人と同じが良い……というのは理解できますよね?)
Q:誰よこの女
A:PzB39の姉、PzB38。詳しくは2.PzB39の場合_表を読んでください。そこに3割くらいは書いたので。