※この作品はR-18です。

Holo Quest   作:轟th

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・ステータス
 種族や職業を問わず、個人の能力を数値化した指標。
 体力値は肉体的な頑健さ、持久力、そして生命力を示す数値である。高ければ高いほど、激しい戦闘に耐えうるだけでなく、負傷からの回復が早く、長距離の移動や重労働にも適応する。これは戦場といった激しい鍛錬のみによって向上する訳ではなく、身体を動かすあらゆる活動――例えば農作業や長旅、単純な運動といったごく普通の生活の営みによっても、着実に上昇させることが可能である。
 魔力値は高ければ高いほど、強力な魔法を行使できるだけでなく、より複雑な魔法の発動や継続的な魔法の使用、更には精神的な攻撃への耐性も高まる。こちらは体力値と違って日常生活を送るだけでは上昇できず、本人の素質や魔法の研鑽、あるいは神秘との接触など、専門的な修練を必要とすることが多い。因みに冒険者であれば多少なりとも上昇はする。
 総合戦闘力は体力値と魔力値を合わせた数値によって算出され、基本的に数値の高さ=個人の強さに直結する。ただし、これはあくまで強さを測る目安であるため、状況によっては戦闘力が低くても戦況を覆す場合もある。
 なお、例外を除き、能力値をバランスよく高められる者はいない。


では、本編をどうぞ。


scene.2

 翌日、牧氏あのくことデュラハンは酒場にいた。

 情報によれば勇者が共に旅をする仲間の勧誘をここで行うらしく、現に情報を聞きつけた職業様々な冒険者たちが店内にはちらほらと見受けられる。ゴリゴリの前衛職や、見るからに魔法使いといった格好をした者までいる。そんな中でデュラハンはカウンターに一人で座り、マスターから振る舞われた安酒をチビリチビリと飲みながら時が来るのを待っていた。

 暫くして――バンッ!

 

「諸君っ! 待たせたな!!」

 

 酒場の扉を勢いよく開け放ち、一人の人物が姿を現した。

 それは正に王子様、と呼ぶに相応しい全身が白を基調とした衣装を身に纏っていた。ただ彼女が女性であることはズボンではなくスカートを履いていることや、胸部の膨らみを見れば明らかであった。

 そして真っ白な髪と水色の瞳、狐を思わせる耳や尻尾が生えている。

 

「私こそがコーンフィールド王国、王太女の白上フブキである!」

 

 自信に満ち満ちた、それでいてよく通る透き通った声。

 威風堂々とした態度で名乗りを上げた彼女に、騒がしかった店内は一瞬にして静まり返った。

 そんな彼女に目をやった瞬間。

 

「―――ッ!」

 

 デュラハンの視界に、ノイズが走った。

 視界に映る、フブキの姿と重なるように誰かの姿が浮かび上がる。

 それが誰なのか判明する前に、景色は元に戻ってしまう。

 

「……今のは」

 

 あれは誰だったのか。

 そんな風に彼が困惑するのを余所に、フブキはずかずかと店内へと入ってくるのが見える。彼女は迷うことなく店内の奥、二階へと続く階段を中段ぐらいまで昇ってから振り返って酒場全体を見回してから口を開く。

 

「諸君らも知っての通り、魔王が世界を侵略せんと勢力を拡大しつつある。そして勇者である私は巨悪を打ち倒さんと、王国を旅立つこととなった。だが、私一人で過酷な旅を乗り越えることも難しいだろう。そこで魔王討伐の旅に同行してくれる勇気ある者を募ることとなった。さあ、我こそはという者は名乗りを上げよ! 役目を果たした暁には望むままの褒美を与えん!!」

「…………」

「…………」

「ほ、本当に望みを叶えてくれるのか?」

「勇者に二言はない! 報酬も地位も、王家に叶えられるものなら何でもだ!」

「う、ウオオオオオオッ!!」

「「「オオオオオオオオオオオッ!!!」」」

 

 フブキの言葉を受け、一人の冒険者が席を蹴って立ち上がると雄たけびを上げた。それを皮切りに次々と冒険者たちが席を立ち、我こそはと拳を高らかに掲げ、店内はあっという間に喧騒に包まれていた。

 それから勇者のパーティに相応しいかの面接が、酒場の奥にある個室の一つで一人一人行われることとなった。内容としては名前や職業、冒険者ランクなどが訊ねられた後で色々と聞かれるとの説明が事前に行われた。

 その審査に合格すれば晴れて仲間入りすることが出来るが、やはり勇者の仲間を選ぶものだけあって一筋縄ではなく、デュラハンより先に入っていった冒険者たちは次々と不合格を言い渡されたのか、落ち込んだ様子で酒場を後にしていった。

 やがて何十人目かで、ようやくデュラハンの番が回ってきた。

 

「失礼する」

 

 個室に入れば、部屋には四人の人間がいた。

 一人は勇者であるフブキ、その隣には魔法使いと思しき恰好の女性が一人。後は王国兵と思われる甲冑に身を包んだ騎士が二人いるが、彼らは直接は関わらないのか、何かあれば即座に対応できるよう壁際に控えていた。

 

「そちらに座ってください」

「分かりました」

 

 デュラハンは空いていた席に座る。

 二人の対面に座ったところで、デュラハンは女魔法使いの服装は随分と露出度が高いことに気が付いた。大きく開いた胸元のスリット、そこからは彼女の谷間が覗けてしまっている。おそらく男なら思わず視線が奪われてしまうだろう。

 ただ、デュラハンは特に気にせず、面接に集中することにした。

 

「えーっ、では名前や職業、ランクを教えてください」

「牧氏あのく、職業は僧侶。ランクは黒鉄になります」

 

 答えつつ、胸元から認識証である黒色のプレートを見せる。

 女魔法使いはふむふむと頷きながら、羊皮紙に何かを書き込んでいった。彼女が前のめりになると余計に谷間が強調されるので、もはやワザとやっているのではと勘ぐってしまう程だ。

 

「確認として、犯罪に加担したことはありますか?」

「いえ、ありません」

「僧侶とあれば回復魔法が得意だと思いますが、どこまで使えますか?」

「基本的な回復魔法を始め、毒と睡眠の状態異常を治せます」

「両親、あるいは家族はいますか?」

「いいえ、結婚はしていません。天涯孤独の身です」

「魔王討伐を成した暁には、何を求めますか?」

「富を。田舎に引っ込んで村の子供に魔法が教えられるよう支援を求めます」

 

 女魔法使いから、次々と質問が飛んでくる。

 予め人間らしい回答は考えてあったので、デュラハンは淀みなく答えていった。

 

「私からは以上です。では、最後に勇者様から何かありますか?」

「そうですね……あなたはどうして魔王討伐の旅への希望をしたんですか?」

「魔王を放置しておけば、いずれ世界の人々は苦しむでしょう。だからこそ私は旅に出ることを決意しました」

「なるほど……」

 

 質問が終わると、フブキと女魔法使いはヒソヒソと何かを話し始めた。小声なので人間なら聞き取れないかもしれないが、デュラハンには「どうだ」とか「いい感じじゃない?」と言っているのが聞き取れた。

 合否が決まるまでの間、デュラハンは勇者について考えていた。

 

(さっき、勇者を見た時……あれは一体? まさか、前世と関りが?)

 

 思考の海に沈む中、やがて合否が決まった。

 内緒話を終えた勇者と女魔法使いはデュラハンの方へと向き直った。

 

「牧氏さん、話し合いが済みました」

「はい」

「おめでとうございます。貴方は晴れて勇者一行に選ばれました!」

 

 女魔法使いが高らかに宣言をする。

 目的の為にも合格する必要性があったので、これには彼も安堵する。

 

「ありがとうございます」

「では出立は明日の朝、北の門から出ます。事前に準備を済ませておいてください」

「分かりました」

 

 では、と言ってデュラハンは席を立つ。

 彼が部屋から出て酒場の一席に座った所で、騎士の一人もやってきた。

 

「皆さん。勇者様と同行する仲間は決定しました。これにより面接は終了したいと思います」

「……はぁ? ふざけんなよ! 俺はまだ面接を受けてないぞ!」

「そうだそうだ!」

「申し訳ありません。ですが、既に決定事項ですので」

「納得できるか! そもそも面接自体、話して終わりだったじゃないか! それだけで一体何を見たってんだよ!?」

 

 どうやらデュラハンで枠は埋まってしまったらしい。

 納得いかなかった冒険者たちは騎士へと詰め寄って叫ぶが、どれだけ訴えかけたところで騎士は取り付く島もなかった。確かに冒険者からすれば、話をしただけで実力を見られてないのだから受け入れられる訳がない。

 このまま残っていても面倒に巻き込まれるだけと思い、デュラハンは席を立った。

 

(ん?)

 

 そこで、幾つかの視線に気が付いた。

 見れば何人かの冒険者がデュラハンの方を見ながら、何やら耳打ちしている。向けられる視線には明確な敵意があり、おそらく彼らはデュラハンが勇者の仲間に選ばれたのではないかと気付いているようだった。

 

(これは……面倒なことになるか)

 

 ここで声を掛けられるのは面倒なので、デュラハンは酒場の外に出る。

 思ったよりも時間が経っていたらしく、空は既に夕暮れに染まっていた。

 

(さて、陛下に報告しないとな……)

 

 そう思いつつ歩いていれば、酒場から数人の人影が出てくるのが見える。それは店内でこちらを睨んでいた冒険者たちであり、彼らは周囲を見回してデュラハンの姿を見付けると少し距離を開けながら追いかけてきた。

 ただ声を掛ける訳でも、掴み掛かってくる訳でもない。

 そこで彼らが何を考えているのか察したデュラハンは人気のない方へと足を向け、後ろを冒険者たちが付いてくるのを確認して路地を奥へ、奥へと進んでいく。やがて人気が完全になくなった場所まで来たところで、デュラハンは立ち止まった。

 

「さて……俺に何か用か?」

 

 薄暗い路地裏にて、後ろを振り返る。

 そこに居たのは冒険者が四人、全員が殺気立った顔をしている。

 どう対処しようかと考えていると、先頭に立っていた一人が話しかけてきた。

 

「確認するけど、お前……勇者のパーティに選ばれたよな?」

「まぁ……光栄なことにな」

「そんなお前に素敵な提案を持ってきたんだ!」

「それはどんな?」

「辞退して欲しいんだ。理由はそうだな、一晩考えたけど勇者様の足を引っ張る恐れがある、なんてどうだ?」

 

 そう言いながら、男は鞘から剣をわずかに引き抜く。

 提案いう名の暴力を振りかざす気満々なのは間違いないだろう。

 

「あんたの恰好、僧侶だろう? 回復なら別に薬でも代用出来るだろ?」

「……それで?」

「おいおい、察しが悪いなぁ……痛い目見たくなかったら大人しく、こっちの言うことを聞けって言ってんだよ!!」

 

 我慢できなかったのか、鞘から剣を抜き放つ。

 この程度で怒鳴り散らすようでは、どうあっても勇者の仲間にはなれまい。

 

(面倒だな……っと、そう言えば)

 

 そこでデュラハンは、あることを思い出す。

 今の肉体は妖魔軍団長の癒月ちょこの用意してくれた指輪の効果により、ステータスが本来の十分の一にまで減少している。それでも人間と比べれば圧倒的に強いと言っていたが、どれくらいなものか試していなかった。

 

(彼らには実験体になってもらおうか)

 

 この瞬間、哀れな冒険者たちの物語が終わることが決定した。

 だが、それを知らない彼らは黙り込んだデュラハンを侮った。

 

「アニキ! コイツ、ブルっちまったみたいだぜ?」

「へへっ、所詮は僧侶だな。後ろに隠れている臆病者だ」

「そうだな。適当に脅してやれ」

 

 戦士風の男の後ろに居た盗賊と思しき小柄な男が前に出る。

 その手にはナイフが握られており、デュラハンの隣まで来ると馴れ馴れしく肩を組んでからナイフの峰をペチペチとデュラハンの頬に当てる。

 

「ほれほれ、命あっての物乞いって言うだろう?」

「……それを言うなら、命あっての物種だ。阿呆」

「あ?」

「ふんっ」

 

 本当に無造作に、直ぐ真横にある盗賊の顔面目掛けて裏拳を放つ。

 動作としては顔の前を飛ぶ虫を追い払おうとするような軽いものだったが、パンッと乾いた音を立てて盗賊の身体は横に吹っ飛ぶ。錐もみするようにぶっ飛んだ盗賊の身体は、そのまま数メートルは離れていた家屋の壁に激突して止まった。

 

「………は?」

 

 その声は誰が漏らしたものだったのか。

 彼らの目にはいきなり、盗賊の身体が横に飛んだことしか見えなかった。

 

「お、おい! 大丈夫か!?」

 

 武闘家らしき男が盗賊へと駆け寄り、慌てて抱き起す。

 盗賊の顔面は大きく陥没しており、血と涙を垂れ流しながらも何とか息は合った。だが直ぐにでも治癒しなければ命に係わるのは、素人目にも明らかであった。最も、一命を取り留めた所で後遺症は残るだろうが。

 

「お、おい! て、テメェ! 一体何しやがった!?」

「……ただ殴っただけだ」

「僧侶の拳程度で、こんなになる訳ねぇだろうが!!」

 

 デュラハンとしても、本当に殴っただけだった。

 まさか軽い一撃で致命傷になってしまうとは、普段は気にしていなかったが思ったより人間は脆いようだ。今後は気軽に人を叩くような真似は決してしてはならないと心に決めつつ、残りの三人も片付けるべく動く。

 

「へっ?」

 

 次の餌食となったのは、一番奥にいた弓持ちの戦士だった。

 五mは離れていた距離を瞬きの内に詰め、無防備な胴体に向けて連打を放つ。なめし皮の防具の上から叩き込まれた拳は、容易く防御を貫通して上半身の骨が幾つも砕く。骨を破壊された弓使いは激しい痛みと、呼吸困難により意識を失った。

 

「こんの、化け物があああっ!!」

 

 デュラハンの背後から、長剣使いが斬りかかる。

 不意を突いた一撃、振り下ろされた斬撃は的確に彼の背中に当たる。

 

「へへっ、これで……あれ?」

 

 長剣使いは、違和感に気付く。

 自分の振り下ろした剣は確かに命中しているのに、どうして振り抜けていないのだろうか。いや例え服の下に鎖帷子を着ていたとしても、斬撃の衝撃を受ければ骨折、そうでなくとも激しい痛みに膝を付くだろう

 

「どうした? その程度じゃ、魔物も斬れんぞ」

「ぐっ、この」

 

 剣はその構造から押すか、あるいは引くことで対象を切れる。比較的に力が入りやすいので剣の重さや押し出す力を利用することで、厚みのあるものや硬いものでも切れる。なのに、どれだけ力を込めても、まるで大岩に剣を当てているかのように固い。

 やがて待っているのに飽きたデュラハンは振り返ると、長剣使いから剣を奪い、更に逃げられないように片手で頭を鷲掴みにして軽く持ち上げる。

 

「は、放せ!」

「剣はこうやって使うんだ」

 

 奪った剣を男の身体に押し当て、ゆっくりと力を込めて行く。

 当然、鈍らではない刃は身体に少しずつめり込んでいき、肉が裂け、血が溢れ出す。

 

「や、やめっ!」

「ふんっ」

 

 命乞いをする暇すら与えず、剣は振り抜かれる。

 左肩から右わき腹にかけて斜めに斬られ、支えを失った下半身は血を吹き出しながらベチャッと音を立てながら地面に落ちる。デュラハンに掴まれていた上半身もポイッと脇へと投げ捨てられてベシャッと音を鳴らす。

 

「さて、最後はお前か」

 

 そして生き残った武闘家へと向き直る。

 盗賊の介抱をしていた男は、目の前の出来事が理解できず茫然としていた。

 自分たちは、ただ運よく勇者の仲間に選ばれた僧侶を脅そうとしただけだった。そしてあわよくば自分たちの誰かが勇者パーティに入り込み、あの小綺麗な顔をした勇者や色気を出してこちらを誘惑してきた女魔法使いを四人で好き放題するつもりだった。

 なのに、結果はどうだろう。

 リーダーの長剣使いは死亡、盗賊は重傷、弓使いも生きているか怪しい。

 

「か、金なら払う! あんたのことを言いふらさない! だから――!」

「残念ながら、そんなものに興味はない」

 

 命乞いする武闘家だが、デュラハンには通じない。

 その姿に仮にも人を癒す僧侶が、こんなにも無慈悲なものだろうか。

 そう思った男の考えは、言葉となって口から漏れる。

 

「あ、悪魔」

「ああ、なんだ分かってるじゃないか」

「へ?」

「今後は前に出るのは控えた方が良いな。勘のいい奴には気付かれる可能性が出てきた」

「な、何を言って……」

「ありがとう。せめてもの慈悲だ、一撃で逝け」

 

 魔力が込められた剣が振り下ろされる。

 刃が肉体を切り裂くと同時に、噴き出す魔力が武闘家の肉体を一瞬にして灰燼に帰す。

 

「後は放置でいいな……ん?」

 

 片は済んだと帰ろうとしたデュラハンは、己が持っていた剣が使い物にならなくなっているのに気付いた。どうやら大量生産の鉄の剣では、彼の魔力に耐えられなかったようだが、元々必要のない代物だったので、ポイッと捨てる。

 これが騎士の巡回する表だったなら死体を放置すれば騒ぎになるが、こんな浮浪者や犯罪者しかいないような無法地帯にまでは監視の目は届かない。このままにしておいても、ここの住人が必要なものを奪った上で処分してくれるからだ。

 デュラハンは再び人通りの多い道に出ると、何事もなかったように宿へと戻っていった。

 

 

 

 

 翌朝、デュラハンは城下町の北門の前に立っていた。

 正確な時間までは分からなかったので夜明け後から居るのだが、暫くして如何にも戦士職といった風貌の、筋骨隆々で大柄な体躯の男がやってくる。こんな時間にここに来ているならば、彼もまた勇者一行に選ばれた冒険者だろうと推測できる。

 

「……貴殿も、勇者一行に選ばれた冒険者であるか?」

「ああ。そちらも?」

「うむ。小生の名は金華バクニ、職業は戦士だ」

「俺は牧氏あのく、職業は僧侶」

 

 差し出された手を握り返せば、力強く握り返される。これは普通の僧侶だったら手の骨が折れている所だが、バクニの様子からして握り潰そうと考えている訳ではなさそうだった。どうやら見た目通り、その肉体は鍛え抜かれているようだ。

 

「宜しく頼む」

「うむ!」

 

 互いに挨拶を済ませ、暫く他愛のない話をする。

 それから暫くして、風を切るようにして白上フブキが颯爽と歩いてくるのが見える。その隣には面接時にもいた、フブキとは正反対な真っ黒なローブを身に纏った女魔法使いの姿も確認できる。

 フブキは前回と同じような衣装の上から胸部を守るブレストプレート、腕を守るガントレットと脛を守るグリーブに踏み抜き防止のサバトンという動きやすさを重視した装備となっていた。

 女魔法使いは前回と違って露出の殆どない服装に変わっており、真っ白いワンピースの上からはローブ、頭にはつばの大きなとんがりを被っている。

 

「遅くなってすまない! 準備に手間取ってしまった」

「お偉方との挨拶に時間を取られてしまいまして」

「いやいや! おかげで小生たちも親睦を深めることができた!」

 

 ハッハハ、と豪快に笑うバクニ。

 何は兎も角、ここに勇者一行が全員揃った。

 

「じゃあ改めて、私は白上フブキ。職業は勇者!」

 

 名前:白上フブキ 種族:獣人 職業:勇者 等級:赤錫

 体力:688 魔力:295 総合戦闘力:983

 

「ウチは大神ミオ、職業は魔法使いです」

 

 名前:大神ミオ 種族:獣人 職業:魔法使い 等級:黒鉄

 体力:308 魔力:1232 総合戦闘力:1540

 

「小生は金華バクニ! 職業は戦士!!」

 

 名前:金華バクニ 種族:人間 職業:戦士 等級:黒鉄

 体力:1268 魔力:317 総合戦闘力:1585

 

「俺は牧氏あのく、職業は僧侶だ」

 

 名前:牧氏あのく 種族:人間(偽装) 職業:僧侶 等級:黒鉄

 体力:314 魔力:1256 総合戦闘力:1570

 

 自己紹介を終え、パーティは結成された。

 いよいよ魔王討伐に向けて旅立たんと、北門を抜け――。

 

「それで……えっと、何処に向かえばいいのかな?」

 

 フブキは、はにかむように笑った。

 まさか出鼻を挫かれると思わなかったデュラハンは、思わずこけそうになる。

 

「むっ? 魔王城を目指すのではないのか?」

「いえ、魔王の城は特殊な結界で守られているらしく、普通の方法ではいけません」

「大陸も過去には唯一の陸路として橋が架かっていたらしいが、今は落とされて繋がっていない」

「では海路ではどうだ? 船ならば、ここから一直線であろう?」

 

 バクニの疑問は最もである。

 ここ白の領土は海を挟んで赤の領土と隣接しており、彼の言うように船に乗れば最短距離で魔王の居城へ向かうことが出来る。それは誰しもが知っている事実だが、当然ながらそれが出来ない理由が存在する。

 

魔の巣食う呪われた海域(デモニックチューマー)、ですね」

「でも……?」

「デモニックチューマー、あそこには怪物が棲むと謂われている」

「ええ。赤の領土に近付いた帆船は例外なく、その怪物の餌食となっています」

「という訳で、我々は陸路から魔王の根城を目指す!」

 

 ビシッとフブキは前を指さす。

 ただし、その方向は明後日の方向ではあるが。

 

「えーっと、大神さん?」

「あっ、ミオでいいですよ」

「ミオさん、一先ずは北西にあるジンク村に行きませんか?」

「そうですね……ウチも賛成です」

「では、ジンク村に向かう!」

 

 デュラハンからの提案を受け、一行は王都の北西に位置するジンク村に向かう。




◆白上フブキ‐勇者
 年齢:16歳 性別:女性 身長:155㎝(84C) 適正:剣、魔法(黄)
 装備:聖剣(未覚醒)、部分甲冑、王族の耳飾り

 コーンフィールド王国の王太女。
 城の宝物庫に眠っていた聖剣を鞘から抜き放ったことで勇者に選ばれる。
 使命感の高さから旅に出たが、魔王を絶対悪とは考えていない。

言わずもがな、イメージは肩マントなしのキング衣装です。
部分甲冑の方は型月に登場する剣の騎士王を参考にしています。


ではクリック? クラック! また今度。

桃色な場面について。

  • 現在の頻度で問題ない。
  • もう少し増やしてもよい。
  • そもそも不要。
  • がっつり増やすべき。
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