※この作品はR-18です。

Holo Quest   作:轟th

21 / 43
遅くなりましたが、あけましておめでとうございます。
年末と年始で投稿を止めて何していたんだと問われますと、ゆっくり休んでいた……訳がなく、正月とか関係なく仕事をしていました。幸いにも定時で上がっていたので、精神的にも肉体的にも酷使していませんが。そんな訳で、休みを利用して書き溜めもしていないので相も変わらずギリギリの投稿を続けていきたいと思っています。

こんな拙い私の作品ではございますが、今後もお付き合いいただけると幸いです。
出来れば、一年経つ前には完結させたいですが、どうでしょう?


では、本編をどうぞ。


scene.21

「さあ、やるわよ!」

 

 部屋に入るや否や、ぺこらは振り返って宣言する。

 連れてこられたのは先日、デュラハンがフブキと一緒に一夜を過ごしたのと同じような内装の休憩室だった。全く同じという訳ではないだろうが、殆ど似通った部屋であることに間違いはなさそうだった。ここまで来ておいて考えることではないかもしれないが、彼には未だにやる気はなかった。

 

(はてさて、どうやって納得させるか……ん?)

 

 そこであることに気が付く。

 こちらを指さすぺこらの指は微かに震えており、瞳にも狩人を前にした小動物のような怯えを隠しきれずにいた。

 

「……ああ、処女か」

「は、はあああっ!? ぺ、ぺこらが処女なんていつ言ったのさ!」

「言葉にせずとも態度に現れてるぞ。ほら、怖いなら止めよう」

「うっさい! とっととチ〇コを出せ!」

 

 言い方が悪かったのか。

 恐怖心より怒りが勝ってしまったらしく、ぺこらはデュラハンのズボンを掴むと勢いよく下へとずり下げる。そのままパンツも下ろされてしまった為、ぼろんっと服の下に隠されていたものが露出される。まだ力なく垂れているとはいえ、目の前に突如として飛び出したモノを目にして、ぺこらは思わず固まった。

 

「な……ななな……なぁぁっ!?」

「だから止めようって言ったんだ。今ならまだ引き返せるから」

「こ、ここっこの程度余裕だし!? ただ、ちょっと、大きくてビックリしただけよ!」

 

 そのままガシッと竿を掴むと、乱暴に上下させる。

 普通の人間なら痛みに呻くところだが、生憎と仮初の肉体である彼にはその程度は大したことなかった。

 

「あ、あれ? こうしたら硬くなるって、前に聞いたのに……」

「いや、そんな乱雑に扱って感じるのは一部の輩だけだ」

「ちげぇーの?」

「はぁ、分かったから。せめて言う通りにやってくれ」

「わ、分かった」

 

 ぺこらは素直に手を離す。

 デュラハンは残った衣服を脱ぐとベッドに腰掛け、ぺこらを自分の前に座らせる。

 

「何をするにも勃起しないと始まらない。やり方は幾つかあるが、手コキしてもらおうか」

「それで、どうやればいいのよ」

「左右の手、どちらでもいいが人差し指と親指で輪を作るように肉棒を握る。残りの三指を竿に添え、上下にゆっくりと動かす」

「こ、こう?」

 

 言われた通りに、ぺこらは肉棒を擦る。

 拙い動作ながらも柔らかく、小さな手が懸命に竿を擦り上げていけば徐々に肉棒が熱を帯びてきた。

 

「あっ、なんか……硬くなってきた」

「その調子だ。動かす速さを変えてみたり、親指の腹で先端を弄ったり、後は睾丸を軽く揉むのもいい」

「わ、分かったわ」

 

 ぺこらは指示通りに手を動かす。

 最初は恐る恐るといった感じだったが、慣れてきたのか上下させる手もスムーズになっていく。もう片方の手で睾丸を下から支える様に持ち上げ、壊れ物を扱うように優しく揉む。稚拙ながらもたらされる刺激に力なく下がっていた肉棒は天を衝かんとばかりに反り返り、亀頭からは先走り汁が滲む。

 

「ちょっと! しょんべん漏らしてんじゃないわよ!」

「違う。それは先走り汁という、男性が性的興奮を感じた際に分泌される液体だ」

スンスン……確かに、違うみたいね。それに、何だかネバネバする?」

「それを舐めてみてくれ」

「うぇええ? これを!?」

「別に人体に害がある訳じゃないから」

「ふぇ……むちゅ」

 

 言われるまま、ぺこらは舌先を伸ばす。

 ペロッと粘液を舌先でぬぐい取り、その味わいを確かめる。

 

「んっ……変な味ね」

「なら良かった。次は舌で竿や先端を舐め上げながら、先端を咥えて舌で舐めまわしたり吸ったりしてくれ」

「あんた、注文が多いわね……んっ」

 

 言われたように、ぺこらは舌を伸ばす。

 チロチロと小さな舌先が亀頭や裏筋といった敏感な部分を擽る度に、肉棒がピクリと揺れる。その反応を面白く思ったのか、ぺこらは更に大胆に舌を動かして肉棒を舐っていく。初めて触る男性器に不慣れだったぺこらだったが、徐々にどうすれば男性にとって気持ちよいのか思考しながら動くようになっていった。

 

「はむ……ちゅぅ……んむっ……ちゅぽちゅぽ」

「くっ……」

 

 懸命に愛撫を続けるぺこら。 

 まだデュラハンが指示していないのに、まるで子供が夢中になってキャンディを頬張るように肉棒をしゃぶっていた。彼女の口はそんなに大きくないので全体を咥え込める訳ではなかったが、それでも半分ほどは口の中に収まっており、じゅぼじゅぼと音を立てながら激しく吸引する。

 

「んはぁっ……じゅぷ……んぶ……じゅるるるっ!」

「くぉ……っ!」

 

 素人と侮っていたデュラハンが思わず呻く。

 何とか止めさせようとするが、今の彼女は発情期に突入した獣のように本能のままに口淫を続けていた。ただ本能の赴くままに肉棒を貪るぺこらの瞳は血走ったように赤く、普段は勝気な表情は夢見心地だった。一心不乱に肉棒を求めるぺこらの姿は、デュラハンが今まで見てきた者たちの中でも随一とも言っていい姿だった。口が塞がっているからか、プップッという独特な鼻息が漏れているが、彼女がそれに気付いている様子はなかった。

 

「ンンッ、あふっ……んふうっ、じゅるるっ!」

「ぐっ……出るっ!」

「んぼぉっ!!」

 

 反射的に、ぺこらの頭を抑える。

 そしてびゅるるるっ、と勢いよく精液が亀頭から放出される。

 強制的に喉奥まで押し込まれ、しかも噴火するように放たれた大量の白濁液は狭い口内をあっという間に埋め尽くし、強制的に嚥下しても飲み切れずに口の端からだけでなく鼻からも逆流した白濁液が溢れる。本当なら今すぐにでも吐き出したいところだが、デュラハンに頭を抑えられているのでそれも叶わず、懸命に飲み干していけば彼女の胃はたった今注がれた粘っこい液体で満たされていく。

 蜂蜜のように濃く、磯のように生臭く、今までに感じたことのない程に牡臭い。

 独特の臭さと呼吸が出来ないことで、ぺこらの頭はクラクラとしていた。

 

「―――ふぅ」

 

 射精して満足したデュラハンは肉棒を引き抜く。

 

「ぺこら、大丈夫か?」

 

 心配そうに、デュラハンは声をかける。

 その声に、ぺこらは緩慢な動きでデュラハンを見上げた。

 

「んぶぁっ……げえええええっぷ」

 

 そんな彼に向けられたのは、可愛らしい少女とは思えない程の盛大なゲップ。

 小柄な体躯であれだけの量を飲まされたのだから、生物的な反応として当然と言えば当然だが。

 

「……まぁ、いいか。兎も角、俺を射精せたんだから、これで手打ちということで」

「はぁっ!? ふざけんじゃねぇし! 幾らぺこちゃんが処女とは言え、これで終わりじゃないことぐらい知ってんだよ!」

 

 終わりにしたいデュラハンに反し、ぺこらは立ち上がって吠える。

 こんなことで処女を失うのは女としても嫌だろうに、と考えての行動なのだが、どうやら彼女にはそれが不満らしい。

 

「はぁ」

「おらっ!」

 

 人間の心は分からんとばかりにデュラハンがため息を吐いていると、ぺこらは体当たりするように彼の上体をベッドの上に押し倒した。そして彼の上にぴょいと軽やかに飛び乗ると、自らの意思でドレスの肩ひもをずらして下げる。ぷるんっ、と露わになったのはフブキよりも少し小さな可愛らしい乳房。華奢な体付きに見合った慎ましいサイズだが、ピンク色の乳首はツンと上を向いており、幼いながらも凛々しさが伺える。

 

「おい、本当にするのか?」

「何寝言ほざいてんのよ。当ったり前でしょ!」

 

 ぺこらは少しばかり柔らかくなった男根を片手で掴み、もう片方の手を自らのスカートの中へと入れて黒色のショーツを横へとずらした。そのまま膣口に男根の先端を宛がうと、緊張した面持ちでゆっくりと腰を下ろしていく。多少は湿っていても愛撫もしていない入り口は固く閉ざされ、先端を押し返すように抵抗感が伝わってくる。

 

「ぐっ……」

「ほら、無理するなって」

「うっさい! 黙ってて! ふぅふぅ……んぎぃっ!」

 

 先端が、ミチッと音を立てて膣口に食い込む。

 まだ膜にすら到達していないというのに、まるで身を裂くような痛み――いや、実際に貫かれているのだが――に襲われる。彼女の意思に反して目に涙が浮かび、溢れた雫が頬を伝って滴り落ちる。

 

(痛い! 痛い痛い痛い痛い痛い痛いっ!)

 

 脳内を埋め尽くす疼痛。

 本当なら今すぐにでも止めたいところだが、彼女の負けん気がそれを許さない。

 そして早くこの痛みから解放されたいと望んだぺこらは、安易な方法を敢行することを選ぶ。。

 

「ふーっ、ふーっ……ふんっ!」

 

 深呼吸をし、そして一気に腰を下ろす。

 ぶつんっ、と体内で膜が引き裂かれたのを感覚で理解できたが、それ以上に脳内を占めるのは先ほどまでとは比べ物にならない激痛だった。ぺこらの目の前が真っ白になり、チカチカと星が散った。痛みに呼吸が一瞬だけ止まり、酸欠状態になった肺が空気を求めて荒い呼吸を繰り返す。

 

「ひっ、ひっ、ひっ……」

「おい、無茶をするなって。ほら、深呼吸するんだ」

 

 痛みに堪えるぺこらを安心させるために、上体を起こしたデュラハンは背中を軽くたたく。

 ゆっくりとリズムよく、赤子をあやすように繰り返していけば、やがて落ち着いてきたのか呼吸も次第に落ち着いていく。

 

「落ち着いたか?」

「……うん、ありがとう」

 

 痛みこそまだあるが、我慢できない程ではなくなっていた。

 落ち着きを取り戻したぺこらは、視線を下に向けて改めて結合部を確認する。腹部が内側から押し上げられて少し膨らんでおり、自分の胎内に凶悪な棒が入り込んでいるのが外からも分かる。更に下を見れば血が滲んでおり、改めて自身が遂に処女を喪失したことが分かった。

 

「それで、どうする?」

「……ここまでして、はい終わりで済ますわけないでしょ」

 

 ぺこらはまだ続けるようだ。

 ただ流石にいきなり動くと痛がって性行為も満足できないので、デュラハンは手を伸ばしてぺこらの胸を軽く揉んで刺激してやる。合わせて反対の手で尻も撫でるように愛撫していけば、徐々に痛みよりも快感の方が勝り始めて息遣いにも艶を帯び始めた。

 

「んっ♡ ど、どこ触ってるんのよ」

「こうすれば、少しは楽になると思ってな」

「ぺ、ぺこらがこんな手管でで感じたりなんて……あんっ♡」

 

 最初は生意気に抵抗して見せるも、僅かな刺激だけで嬌声を漏らす。

 態度に反し、手の内で乳首が自己主張し始めていることから身体は素直なようだ。それを分からせるように、指先で硬くなった乳首をバチンっと少し強めに弾いてやれば。

 

「んひぃっ♡♡」

 

 面白いくらい、反応を返す。

 それを愉しむように親指と人差し指で乳首を挟んでこねくり回し、もう片方の乳首は口で咥えて舌先で舐る。左右で異なる刺激を同時に与えられたことで、ぺこらは堪らず背を逸らしながら喘ぎ声を漏らす。

 

「あひぃっ♡ そ、そんなおっぱい、触っても、んぁっ♡ 何も、出ないわよ!」

「それは百も承知だ。それより、そろそろ動くぞ」

 

 吸い付いていた胸から顔を離し、そう宣言する。

 十分な愛撫を加えたことでぺこらの膣は大分濡れており、これなら動いても問題なさそうではあった。

 デュラハンは下から突き上げる様に腰を動かす。

 

「ひぎゅっ♡」

「くっ……やはり狭いな」

 

 初めてということもあって、膣内は想像以上の狭さだった。

 愛液が潤滑剤としての役割を果たしてことで僅かな痛みはあるものの抽送が止まることはないが、それでもゆっくりと腰を引いてから、またゆっくりと差し込んで亀頭で子宮の入り口を突き上げる。小さなぺこらの膣内は当然ながら浅く、少し動いただけで最奥に到達してしまう。

 

「おぐっ♡ しょ、しょこっ♡ だめえっ♡」

「そんな風には見えないがな」

「ほおっ♡ 奥をコンコンされると……おごっ♡」

 

 結合部がぶつかる度に、ぺこらは喘ぎ声を漏らす。

 それはテクニックも何もない単純な行為であったが、しかし生まれて初めて男性器によって与えられる快楽に彼女にとっては強すぎるものだった。今まで幾度となくしてきた自慰行為が、子供の児戯に等しかったことを理解する。

 

「あひっ♡ しゅ、しゅごっ♡ こんなの、はじめて……」

 

 舌をだらしなく出しながら、快楽に蕩け切った表情を浮かべる。

 そうして何回、何十回かごすっ、ごすっと下から子宮口を押し上げられたところで呆気なく絶頂を迎える。

 

「あぁぁぁぁぁぁぁ~~~~っ♡♡♡」

 

 全身を痙攣させ、秘部からはプシュっと潮が吹き出す。

 自慰では味わったことのない絶頂感に、だらしない顔を晒しながら仰け反る。快感の余韻に浸るぺこらに対し、デュラハンは彼女の両ひざの裏に手を差し込んで持ち上げる様に立ち上がる。落とさないようにしつつ、駅弁の体位を維持しながら下から突き上げる。

 先ほどまでの手加減された動きとは異なり、あまりに激しい責めに意識が朦朧としていたぺこらは一瞬だけ現実に戻される。

 

「お゛♡ もうやめ……んお゛っ♡」

「俺は、まだ、イってない。責任を、とれ」

「んぎゃっ♡♡」

 

 ドチュッ、ドチュっと大きな水音を響かせながら肉棒が胎内の最奥を突く。

 絶頂してもなお送り込まれる快楽から逃れたいと思っても、抱え込まれているせいでそれも叶わない。彼女にできるのは早く終わってくれることを祈るのみだが、その思考すら快感の波に呑まれて塗りつぶされつつあった。

 

「んあ゛っ♡ あひっ♡ はげし……おぎょっ♡ んひぃぃっ♡」

 

 もはや言葉すら話せないほど、快楽に翻弄される。

 そして容易く二度目の絶頂を迎えるが、それでもまだ終わりは来ず、ただ脳髄が焼き切れるほどの刺激を与え続けられる。

 永遠に思えた責めも、やがて終わりを迎える。

 

「そろそろ、出すぞっ」

「あ゛っ♡ あ゛っ♡ あ゛っ♡」

「出すっ、全部受け取れっ」

「お゛ほぉぉぉお~~~~~~っ♡♡♡」

 

 宣言と共に、大量の精液が子宮の中にぶちまけられる。

 一回目と引けを取らぬ量の熱い奔流が降りてきた子宮目掛けて吐き出させ、その衝撃に絶頂して全身を硬直させながら甲高い嬌声をあげる。もしデュラハンが亡者でなく生者であったのなら、一発で孕まされるには十分な濃度と量の白濁液が子宮を満たしていく。あまりの量に彼女のお腹が微かに膨らんだのではないかと思うほどであった。

 

「……っ、あひっ♡」

 

 か細い声を上げ、ぺこらはそのまま意識を失う。

 少しして射精を終えたデュラハンが膣から肉棒を引き抜けば、栓を失った膣口からボタボタっと白濁液が流れ落ちていく。それでもぺこらのお腹はまだ少し膨れていたが、彼女は幸せそうな、それでいて少しだらしない表情を浮かべていた。

 

 その後、デュラハンは女性従業員に後処理を頼み、仲間の元へと戻っていった。

 

 

 

 

 翌日のこと。

 勇者一行の四人はイースター遊技場の奥にある応接室に案内されており、上質なソファに腰掛けているのは向かい合っているフブキとぺこらの二人のみ。それぞれの背後にはデュラハンら三人と因幡が立って控えている。

 

「改めて説明するけど、ぺこらは賢者の詳しい居場所は知らないの。ただ、そこに案内できる人を紹介することが出来るわ」

「その人は、今は何処に?」

「ここに来るように連絡しておいたから、もうすぐ来るから少し待ってなさいよ」

「分かりました」

「因幡、紅茶でも淹れなさい」

「畏まりました」

 

 ぺこらが一声かけると、因幡が即座に動く。

 そうして彼は慣れた手つきで人数分の紅茶を用意し、それらを自分を除いた全員へと差し出す。カップから湯気を立てて漂う紅茶の香りが部屋に広がっていき、それだけでミオには紅茶に用いられている茶葉が一級品であることが分かった。なお、この中で最もそういった物に馴染みのある筈のフブキは、「美味しい紅茶だなぁ」と普通に味わっていた。

 そうしてまったりとした時間を過ごしていると。

 

「ねぇ、そこの……あのく、って言ったっけ?」

 

 不意に、ぺこらが口を開いた。

 それだけでなく、彼女の視線はまっすぐにデュラハンを捉えていた。

 

「なんだ?」

「あんたは……その、ウチで働く気はない? ほら、勇者一行の旅って危険が一杯でしょ? あ、あんたの腕前なら見習いからでも直ぐに場を仕切るディーラーを務めることだって夢じゃないわ! わ、私としても……嬉しいし」

 

 照れながら、ぺこらはそう口にする。

 どうやら昨晩の出来事で、彼に対して一目惚れに近い感情を抱いたのは明らかだった。

 

「―――」

「「ダメぇぇぇっ!!」」

 

 それにデュラハンが答えようとした瞬間、遮るように叫んだのは二人の少女。

 言わずもがな、それはフブキとミオであったが、ほぼ反射的に口を開いたことに己自身驚いている様子だった。

 

「えっと、その、あのくくんは、仲間として必要不可欠な存在でして」

「そうそう! 戦闘中に背中を預けられるっていうのは非常に大切なことなんだよ!」

 

 必死に彼の必要性を口にする二人。

 自分を手放したくないという言葉に嬉しいと感じる反面、彼女らを騙している事実にない筈の心が痛む感覚を覚える。そのことに疑問を感じつつも、デュラハンは既に確定している事実をぺこらへと伝えるべく口を開く。

 

「申し出は嬉しいが、俺は勇者一行の僧侶なんだ。不要だと追放されん限り、離れるつもりはない」

「……ふーん、そっか」

 

 それを聞いて、ぺこらは気にした様子もなく紅茶を口に運ぶ。

 もしかしたら彼女自身、断られることを承知の上で勧誘をしてきたのかもしれない。

 いずれにしろ、それ以降は会話も途絶えたまま時間だけが過ぎて行き、やがて部屋の扉がノックされた。どうやら約束の人物が到着しのか、因幡が扉を開けて部屋の向こうに立っていた人物を室内へと招き入れる。

 入ってきたのは頭から足首までの全身をローブで隠した、性別も分からない小柄な人物だった。その人物はデュラハンたちに気付いていないのか、ずんずんとぺこらの直ぐ隣まで来ると口を開いた。

 

「ぺこらちゃん! 急に呼び出さないでよ! あてぃしにだって、予定くらいあるんだからね!」

「はいはい、悪かったわよ。てか予定って言ったって、また動物相手に歌ってたんでしょ」

「うっ! そ、それは今は関係ないでしょ! ちゃ、ちゃんと仕事はしてるんだから!」

「そんなあくたんに、紹介したい人たちがいたから呼んだの」

「紹介したい人?」

「彼らよ」

 

 そう言って、ぺこらは勇者一行を指さした。

 そこでようやく、部屋の中に自分たち以外の人間の存在に気付いたローブの人物の動きが止まった。

 

「スゥーーー」

 

 音を立てながら息を吸う。

 そして正面を見据えたまま、横に滑るように平行移動していき、ぺこらの背後へと身を隠す。

 

「えーっと、兎田さん? そちらの人は?」

「あーっ、彼女がさっき言ってた、賢者の場所まで案内できる唯一の人物、湊あくあさんです」

「ぺ、ぺぺぺぺこらちゃん!! あたし、こんなの聞いてない!!」

 

 ぺこらの紹介に対し、ソファの向こうから声だけで少女は抗議する。

 ただ慌てているのは本人ばかりで、文句を言われているぺこらも落ち着いた様子でいる。

 

「御覧の通り、その人見知りが強くて、知らない人は当然として知り合いでも会話することも殆どないのが欠点なの」

「うぅ~」

 

 どうやら彼女の人見知りは筋金入りのようだ。

 これでは本当に賢者の居場所を知ってたとしても、案内を頼むのは難しそうではある。

 

(まるで出会ったばかりのあやめと同じだな)

 

 デュラハンは、そんなことを思考する。

 勇者一行の中でも困惑が広がる中、意を決してフブキが声を掛ける。

 

「湊さん。突然のことで申し訳ありませんが、どうか我々を賢者の元へと案内してもらえませんか?」

「む、むむむ、無理! だって人多いし、しかも男の人までいるし!!」

 

 ぶんぶんぶんっ、と音が聞こえる程首を左右に振る。

 嫌がる人間に無理強いするのは、あまり得策とは言えない。かといって現状、彼女以外に案内が出来ないのも事実。

 

「そこをなんとか!」

「無理無理! 絶対無理!」

「ちょ、あくたんってば! 案内くらいしてあげなってば」

「そんなこと言われても―――!」

 

 と、そこで不意にあくあの動きが止まる。

 傍から見れば突然静止したように見えるが、デュラハンにはそれがなんであるか察せられた。

 

(念話か。それもかなりの遠距離からの)

 

 遠距離からの通話という事実に、彼も瞠目する。

 念話はあくまで近距離、凡そ二十メートル圏内でのみ有効となる意識の疎通を図るものだ。それも意識を伝える側が何処にいるのか正確に把握しなければ出来ないのだが、屋内という正しく認識するのが難しい場所で念話を成立させている。おそらく彼女に念話を送っているのは賢者で間違いないだろう。

 

「うん、うん……分かった」

 

 少しして会話を終えたのか、あくあは立ち上がる。

 それから「スゥー…」と再び息を吸い込むと、意を決したようにローブのフードを外した。

 

「賢者様から許可が下りました。メイドである湊あくあが、皆様を案内させて頂きます」

 

 そう言って水色のメッシュが入ったピンク色の髪を揺らし、あくあは深々と頭を下げた。

 

 

 

 

 それから暫くして。

 一行はあくあの案内の元、賢者の居住地を目指して森の中を突き進んでいたが……。

 

「あの、湊さん?」

「………な、何ですか?」

「いえ、その……随分と距離が離れているなと思って」

 

 フブキの疑問はもっともだった。

 何故なら現在、彼女はフブキたちのずっと前方におり、軽く五メートルは間隔を開けているからだ。おかげで会話するにもフブキは少し大きく声を出さなければならず、ならば距離を詰めようとすれば、まるで後ろに目でも付いているかのように素早く距離を取るので如何しようもなかった。

 

「べ、別に近くにいる必要はないですし、あたしの後ろを付いていれば迷う心配もないので」

「賢者様の家まではどれくらい歩くんですか?」

「このまま後二時間も歩けば、湖の畔にある山荘に着けます」

 

 質問に、あくあは背を向けたまま答える。

 勇者一行はこの辺りの地理は把握していないが、彼らのいる森は首都から歩いて数キロの距離の場所にあった。賢者の居場所を誰も知らないという言葉から一日以上はかかると覚悟していたフブキたちだったが、想定よりも早く目的地に辿り着けそうだ。しかも湖という、ある意味で目印の側にあるにも関わらず何故誰も知らないのか不思議ではある。

 そう思ったのは、デュラハンだけではなかった。

 

「街からもそう遠くないのに、どうして誰も知らないんですか?」

「それは簡単に見つからないよう、結界が張ってあるから」

 

 不思議そうに尋ねるミオに、あくあは答える。

 結界と言っても外敵の侵入を防ぐというものではなく、許可された者以外は決してたどり着けない仕様になっているらしい。人海戦術で森を探索しようとしても、例え森の全てを焼き払っても見つけることは出来ない。どうやら賢者の結界はかなり特殊らしく、目の前に目的の建物があっても認識が出来ないらしい。

 

「じゃあウチたちも、湊さんを見失ったら迷っちゃうってことですか?」

「そうなります。けど……皆さんのことは、責任もって送り届けるので」

 

 背を向けたまま、あくあは答える。

 少しばかり? 人付き合いに難はあるようだが、彼女は真面目で責任感がある少女らしい。

 

「……あっ」

 

 不意に、前を歩くあくあの足が止まる。

 それに勇者たちも動きを止め、何かあったのかと彼女を見やる。

 

「湊さん、何かありましたか?」

「……少し、問題を片づけてくるので、皆さんは暫く待っていて下さい」

「問題って?」

 

 と、ミオが訊ねた時には、あくあの姿は忽然と消えていた。

 

 

 

 時間を少し遡って。

 森の中を進む勇者一行の後方、二十メートルほどの地点。

 木々の茂みに身を潜めながら前を行く彼らを見つめる目があり、その数は凡そ七人分。彼らが森に迷った末に見つけた冒険者の後を追いかけている訳じゃないのは、その恰好や身に纏う雰囲気から堅気ではないのは明らかだった。何か良からぬことを企んでいるのは、説明されずとも察せられるものだった。

 

「アイツら、いつまで歩いているんだ」

「街を出てから、二時間ってところか。この先にあるのは湖だったか?」

「ちんたら歩きやがって。いっそのこと、油断してる今の内に襲わねぇか?」

「馬鹿野郎。なんのために、こんな遠回りなことしてると思ってんだ!」

「あんまり大声出すなよ。気付かれたら元も子もないだろ」

 

 そう、彼らは盗賊。

 普段は冒険者を襲っては男は殺し、女は犯し、宝は盗みと散々好き勝手やってきた悪党ども。

 そんなならず者の今回の標的は勇者一行……ではなく、賢者の住処にあるとされるお宝を根こそぎ奪うことだった。彼らは賢者がこの森の何処かにひっそりと暮らしているということは掴んでいたが、どういう訳か何日費やしてもそれらしき場所を見付けられずにいた。首都へと買い出しに来たのを見付けて追いかけてきても、どうしてか一度でも見失えば二度と見付けられない。捕まえて無理やりにでも吐かせようと試みたこともあったが、賢者は空を飛んで移動するのでそれも不可能であった。なまじ時間をかけていただけに、今更諦める訳にはいかなかった。

 そんな折、賢者の居場所を探している一団を見付けた。

 念のために情報を集めてみれば、どうやら賢者の居場所まで案内できる人間を見付けたという話を三人が酒場でしているのを耳にしたのだ。自分たちが何日掛けても手に入れられなかった情報を、たった数日で得たのは正直気に食わないが、ここで暴れてしまっては全てが台無しになる。それに、鬱憤を晴らすのなら住処に案内してもらってからでも十分に間に合う。

 

「ん? あいつら、止まってるな」

「くそっ、なにチンタラしてやがるんだ」

「……おい、一人減ってねぇか? ほら、先頭にいたローブの奴がいねぇぞ」

「本当だ。何処に行きやがったんだ? カイソ、ちょっと近付いて調べてこい」

「―――」

 

 リーダー格の男が指示を出すが、返事は返ってこない。

 返事ぐらいしろと思いながら彼が振り返ってみれば、そこにあったのは地に付す四人の仲間の姿。つい数分前まで話し合っていたはずの仲間が、今や喉を掻き切られて無惨にも血を流しながら物言わぬ骸と化していた。明らかに何者かの襲撃によって命を奪われたのは明らかだった。

 

「おい……一体これはなんだ? どうなって……ウカイ、ニシテ!」

 

 男は、突然の出来事に困惑する。

 残った二人にも状況を伝えようと、そちらを見やれば彼らは頭からボルトを生やしながら棒立ちしていた。目を離したのはたった数秒だった筈なのに、その僅かな時間で更に仲間の命が奪われていた。それも直ぐ側にいたにも関わらず、自分を含めて全員に気付かれずに。

 

「ひっ、ひいいっ!」

 

 腰を抜かし、男はへたり込む。

 どうして自分が最後になったのか分からないが、近くに恐ろしい何かが潜んでいるのは明らかだった。

 そんな彼の前に、音もなく一つの影が姿を現した。

 

「……」

 

 それは先ほどまでフブキたちの前にいた筈の、あくあだった。

 彼女の右手には内側に湾曲した刃を持つ血濡れた短剣が握られており、下手人が彼女であることは間違いなかった。

 

「ねぇ、他に仲間はいない?」

「て、テメェが俺の仲間をやったのか」

 

 これまで幾つもの悪事を働いてきた信用できる仲間が殺された。

 それも、こんな年端も行かぬ小娘に手も足も出ずにやられた事実が男には信じられなかった。

 

「よ、よくも――」

「――答えて」

 

 その声は氷のように冷たく、その瞳は刃のような鋭さを宿していた。

 これ以上、不要なことを口にすれば間違いなく殺されるという事実に両手を挙げて降伏のポーズを取る。

 

「ほ、他に仲間はいない! こいつらだけだ!」

「……そう、分かった」

「この件からは手を引く! だから――」

 

 命乞いを口にしながら、男は右手首を僅かに動かす。

 

「死ねぇぇっ!!」

 

 振り下ろすと同時に、袖口に仕込んだ暗器が飛び出す。

 一度限り、それも至近距離でのみ有効だとなる仕込み針、先端に塗られたのは持続時間こそ短いが即効性の麻痺薬であり、直撃せずとも掠めさえすれば十分。動けなくなったところを後は捕縛して、仲間の仇を取るのも乱暴を働くのも自由だ。これまで幾つもの窮地を、同じ手管で脱してきた男は自身の勝利を確信していた。

 そう、当たりさえすれば。

 

「―――ッ」

 

 直後、何故か男の視界は反転した。

 何が起こったのか理解できない男が最後に目にしたのは、無表情のまま自分を見下ろす少女の瞳だった。

 

「……ふぅ」

 

 一仕事終え、あくあは息を吐く。

 先ほどの瞬間、彼女は何も特別はことはしていない。男が腕を振り下ろすのと同時に前へと踏み込み、そのまま刃で首を刎ねただけ。

 どうして暗器の存在に気付いたのかと問われれば、別に彼女は仕込み針を知っていた訳ではなかった。

 ただ職業柄、相手が死ぬまで油断していないだけである。

 

「さてと、戻りますか」

 

 湊あくあ、職業メイドーーー前職、暗殺者。

 

 




本当はぺこらとの行為後、彼女がゲロるシーンを入れようかと考えていましたが、別に彼女はゲロインという訳ではないので流石に止めました。そんな性癖もないので、今後誰かをミオらせる予定はないです……多分、きっと。


◆湊あくあ
 年齢:17歳 性別:女性 身長:148㎝(88F) 適正:短剣、暗器
 装備:幻痛の短剣、梟の羽衣、黒檀のチョーカー
 体力:5322 魔力:1331 総合戦闘力:6653

 賢者の元で暮らすメイド。
 かつては帝国所属の暗殺者として賢者暗殺の任を受けるも失敗、一度は死を覚悟するが何故か賢者に気に入られて侍女として雇われる。ただし、暗殺と潜伏の技術しか教わらなかったのでお察しである。


職業を暗殺者にした理由は、某ゲームで伝説的な無双をしたからです。
そちらでも「次元を跨ぐ戦闘兵」を使っていたのも要因の一つです。


クリック? クラック! また今度。

フレアの立ち絵が適してる?(あるいは好み?)

  • Aの画像
  • Bの画像
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。