※この作品はR-18です。

Holo Quest   作:轟th

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・迷いの森
 アロス共和国の東に位置する広大な森。
 まだ街道や草原の光が背中に感じられる比較的に浅い地点までなら問題なく歩けるが、それより奥には足を踏み入れれば抜け出せなくなると言われている。理由としては一年を通して生い茂る樹木が日中でも日を遮るために見通し悪く、高低差に乏しい特徴のない似たような風景が続いており、また足場が悪くまっすぐ進むことも叶わない。
 地形もさることながら、賢者が張った結界の効果により考えている場所には絶対に辿り着けないよう無意識に思い通りに進むことが出来ないようにされている。例え森の詳細な地図を携えていたとしても、賢者からの許可を得られない限り見つけることは出来ない。


では、本編をどうぞ。


scene.22

「こちらが、賢者様の邸宅になります」

 

 あれから戻ってきたあくあに先導されること二時間。

 辿り着いたのは宣言通り、湖の傍らにひっそりと建てたれた山荘だった。それは賢者が暮らしているとは思えない程に質素な外観をしており、予め教えられていなければ森の管理人か隠居した権力者でも暮らしていると勘違いしそうな見た目をしていた。

 

「ほ、本当にここが賢者様のご自宅なんですか?」

「ウチはてっきり、塔みたいな場所に暮らしているとばかり思ってたんだけど」

「小生は逆にもっと豪華な建物をイメージしていたのである」

 

 それぞれが各々の賢者に対するイメージを口にする。

 デュラハンは逆に、これといって特色のない建物にすることで賢者の住まいと分からないようにさせているのかと考えていた。

 

「皆様、お入りください」

 

 あくあが扉の前に立ち、誘導する。

 四人を代表してフブキが扉のドアノブに手をかけ、ゆっくりと開け放つ――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 気が付くと、そこは全てが白で塗りつぶされた世界だった。

 上を見上げても、左右を見比べても何もなく、何処までも続く白の空間が広がっているだけだった。背後を振り返っても潜ったであろう扉は影も形もなく、更には仲間たちの姿も何処にもなかった。まるで漂白された世界に自分だけが取り残されてしまったような無機質な空間は、常人であれば脳と精神に短時間で深刻な影響を及ぼすことだろう。

 普通なら不安感や恐怖心を抱くところだが、彼は至って冷静であった。

 

「ここは、何処だ?」

 

 デュラハンは腕を組み、思考する。

 彼の記憶ではフブキが賢者の屋敷の扉を開け放とうとした所までしか覚えておらず、扉の向こうにこんな不思議な空間が広がっているのを見た覚えはなかった。かといってこんな場所に飛ばされたような感覚もなく、考えられるとすれば直前までの記憶が消されているか、あるいは。

 思考は数秒、彼は答えを導き出す。

 

「精神世界か」

「せ~い~か~い~~っ!!」

 

 声に続き、軽快な喇叭音が鳴り響く。

 声のした方――頭上へと視線を向ければ、そこには空中で逆さまの状態を保持したまま浮かぶ少女の姿があった。やや灰色味がかった茶色の髪をした少女の年齢は、十代半ばといったところだろうか。先端が折れ曲がった三角帽子はトレードマークのようだが、如何せんへそ出しにミニスカートという随分と露出の多く、おかげでスカートが捲れて、薄紫色の下着が丸見えである。

 

「あんたが賢者か」

「この大魔導士である紫咲シオンちゃんこそが、みんなの探していた賢者でーす!」

 

 そう宣言しながら、無い胸を逸らす。

 それからシオンと名乗った少女はふわりと向きを変え、まるで見えないハンモックに寝転ぶように空中に浮く。

 

「すまないが、賢者と大魔導士は何が違うんだ?」

「えー、そんなことも知らないのー? どっちも魔法の極致に達した存在という意味では同じだけど、賢者は知識の探求者で、大魔導士は魔法の求道者ってところね。つまりシオンちゃんは、魔法において天上天下唯我独尊の存在って訳」

「成程、理解した」

 

 ただ、妙に生意気に感じるのは見た目のせいだろうか。

 閑話休題、デュラハンは本題へと移る。

 

「それで、そんな賢者様がどうして、直接ではなく精神世界で話しかけてきたんだ?」

「四人の話を一人一人聞くのは面倒だから、こうして夢の中で同時に個別に聞いてるの。だから、アンタの仲間とも同時並行で、同じように別のシオンから話を聞いているから安心しなさいな」

 

 事も無げに、彼女はそう教える。

 まるで人が呼吸するのと同じかのように、他者の精神に入り込むだけでなく、意識を最低四つに分けて問題なく動けるなど普通ではない。これだけで紫咲シオンという存在は、こと真帆に関して右に出る者はこの世に誰一人としていないだろう。

 

「にしても……」

「なんだ?」

 

 姿勢を変え、シオンはデュラハンへと視線を向ける。

 じろじろと、頭の天辺からつま先まで舐める様に眺めていく。

 

「ぎゃははははは――っ!!!」

 

 突然、豪快に笑い始める。

 そこに知性や品性は全く感じられず、まるで子供のようにゲラゲラと空中で笑い転げる。

 

「千里眼で見つけた時は、思わず我が目を疑っちゃったわよ! だって、魔物が、人間のフリをしながら旅してるんだもん! しかも! 勇者一行の一人としてだなんて、これまで聞いたこともなかったわ!」

 

 そうして、再び笑い始める。

 デュラハンが懸念していた通り、やはり彼女には彼の正体が見抜かれていた。下手に勇者たちに伝えられては魔王に顔向け出来ないが、かといってここで始末しても複数ある精神体の一つだから意味はあるまい。

 

(さて、出たとこ勝負といったところか)

 

 警戒しつつ、彼女が落ち着くのを待つ。

 暫くして、満足したのかシオンは笑うのを止めた。

 

「はぁー、久しぶりよ。こんなに笑ったのは」

「それは何よりで」

「それで、何でアンタは人間のフリなんかしてるわけ?」

「……分かった。話そう」

 

 それからデュラハンは事情を説明した。

 自分は魔王に仕える魔王軍の総司令であり、今回は魔王の命により勇者の仲間として潜入していると素直に伝える。ここでへそを曲げられても困るので、下手に隠すことはせずにありのまま自分の事情を話す。

 

「成程ねぇ。それで、どうやって人間のフリをしている訳? 見た感じ、皮を被っている訳でもなさそうよね?」

「これは……俺個人の術だ。どうして出来るのかは俺自身分かっていないが、おそらくは生前の肉体を再現している。ただ生前の記憶が欠落しているせいか、頭部だけは再現できないため、今は他人の頭を借りている状態だ」

「正に首無し騎士(デュラハン)って訳ね」

「できれば、このことは勇者たちには黙っていてくれないか?」

「そうねぇ……別に黙ってても良いけど、交換条件があるわ」

「なんだ?」

 

 賢者が何を要求してくるか、まるで予想が出来ない。

 金銭、なんていう世俗的なものを求めてくるとは思わず、考えられるとすれば何か珍しい素材だろうか。

 

「アンタの精液、ちょうだい」

「………は?」

「欠点があるとはいえ、人間に擬態できる魔物なんて前代未聞! 探求者の端くれとしては、見逃す訳にはいかないの!」

「……普通、血液とかじゃないのか?」

「シオン、血とか苦手なんだよね。見ていると苦しくなる」

 

 血が苦手なら、精液を求めるのも分からなくもない。

 デュラハンとしても腕一本を要求されるよりはマシかと納得したが、そもそも彼に拒否権などなかった。

 

「黙ってもらえるなら協力する。ただ、一人で処理するのは気が滅入るんだが……」

「その辺り、心配しないで。ちゃんと相手を用意するから」

「相手?」

「じゃあ意識を戻すから」

 

 シオンは答えず、親指と中指を合わせてパチンっと弾く。

 それと同時に、まるで落下するようにデュラハンの意識は暗転した。

 

 

 

 

 意識が浮上と共に、ゆっくりと瞼を持ち上げる。

 映し出されるのは先ほどまでの城の世界ではなく、確りとした造りの部屋だった。周囲をよく見まわしてみれば、どうやら自分が居るのはリビングのような部屋らしく、四人掛けのテーブル席の一つに腰掛けていた。彼と同様に仲間たちも腰掛けているが、彼らは未だ夢の中にいるのか目を閉じて俯いている。

 どうやら自分たちは玄関先で意識が飛ばされた訳ではなく、ここに案内されて椅子に座った後で夢の中に連れていかれたようだ。

 ただ、肝心なシオンの姿は何処にも見当たらない。

 

「目が覚めた?」

 

 声のした方に顔を向ける。

 リビングの一角にある螺旋階段から、シオンが姿を見せた。夢の中では空中を漂っていた彼女だったが、流石に生身の肉体では普通に床の上を歩いていた。当然ながら服装は変わっておらず、可愛らしい姿と口調とは裏腹に挑発的な格好をしている。

 

「じゃあ移動しよっか」

「三人は夢の中で何を話しているんだ?」

 

 シオンは再び、階段を上がっていく。

 その後について行きながら、デュラハンは気になったことを訊ねる。

 

「んー、勇者と筋肉だるまはシオンのペットと遊んでる。魔法使いは指導してるよ」

「ペット?」

「まぁ、加減はしてるから」

 

 二階へと上がり、廊下を歩く。

 そこでシオンの後をついて行きながら、ふとデュラハンは違和感を覚える。

 この山荘は外から見た時は二階建てだった筈だが、先程階段を上がった際には三階に続く階段が続いていた。今歩いている廊下も間取りを考えれば小さく、左右にそれぞれ独立した部屋が二つあるぐらいの筈だ。しかし廊下は倍以上は長く、見える限り扉の数も左右に合わせて四つはある。

 

「……空間が捻じ曲がってる?」

「良く気付いたね。研究していると素材を保管する部屋や資料なんかを纏めている部屋を用意しないといけないんだけど、普通に家を建てようとすると広い土地が必要になっちゃうからさ。魔法で拡張させてるの」

 

 確かに、彼女の言わんとすることも理解できる。

 シオン程ともなれば大豪邸でも建てなければ全てを収納することは難しく、物理的に大きくなれば他者から見つかるリスクは比例して高くなる。わざわざ森に人除けの結界を張っている程なのだから、いっそのこと空間を捻じ曲げてしまうというのは合理的である。

 やがて案内されたのは、とある一室だった。

 

「ここは?」

「殆ど使ってない客間。ほぼ未使用と言っても清潔にはしてあるから、埃とか虫とか出る心配はないから」

 

 確かに、室内は未使用と思えない程に綺麗な状態だった。

 客間には最低限の設備としてセミダブルサイズのベッドが一つに、一組のテーブルセット、それからクローゼットといった家具類はあるが生活感はまるで感じられない。おそらく誰かが泊まりに来ても対応できるようにしているのだろうが、様子からして使われたことは数える程度なのだろう。

 

「そうそう。それで精液だけど、これくらい出せる?」

 

 パチンッと指を弾くのと同時に、ゴトッと音を立てて器が出現する。

 それは丸みを帯びた形状をした三本の足がついている大釜であり、宿屋で使われるような厨房用よりかは小さいが軽く十リットルは入りそうではあった。

 

「……ちょっと待ってくれ。まさか、これに満杯か?」

「そのつもりだけど……ムリなの?」

「何処で知識を得たか知らんが、普通の人間は一度にスプーン一杯分しか出せん。加えて連続で出すにも事前に準備が必要になるから、そんな大きい器を満たすのに果たして何十年かかるか分からん。幾ら俺が人間よりも多く出せると言っても、限度ってものがあるんだ」

「えぇ~? 何だ、意外と出せないんだ」

 

 落胆するように溜め息を吐く。

 もう一度指を鳴らすと、大釜が消えて代わりに丸形フラスコが現れる。サイズとしては大釜よりは小さくなったが、それでも容量としては軽くコップ二杯分に相当するだろう。

 

「じゃあ、これならどう?」

「……まぁ、それくらいなら何時間かあれば満たせる」

「なら後はこの契約書の内容を確認してサインして」

 

 デュラハンの目の前に、一枚の羊皮紙が出現する。

 手に取って内容を確認してみれば、そこには以下の内容が書き記されていた。

 

 

1.甲は乙に関して知り得た情報の一切を、他者に他言してはならない。

1.記録した情報も同様に、乙の同意なしに公開・譲渡してはならない。

1.甲が契約を遵守の条件として、乙は精液を提供しなければならない。精液の量については要相談とする。

 

 甲:紫咲シオン    乙:

 

 

 それは重要な際に用いられる、魔法の契約書であった。

 一般的な契約書は結んだ内容は破ろうと思えば容易く、違反したとしても科せられるのは罰金や刑罰程度。それも法執行機関が動くまでは取り立てが発生することはなく、同様に破った事実が明るみにならなければ社会的な制裁が下されることもない。しかし前記に反し、魔法の契約は違反した瞬間に契約書自体に込められた「呪い」や「魔力による制裁」が自動的に発動する。違反内容は契約の内容によって様々であるが一般的なものと異なり、逃げ場のない物理的・精神的ペナルティが即座に課せられる。

 それにより魔法の契約書は一般的に使われることは殆どなく、王族や貴族といった特定の権力者間や重要施設で取り扱われる書類に利用される程度であった。故に魔法契約書の存在自体が殆ど知られておらず、庶民に至っては契約書の存在そのもの知らない者も多い。

 

「ここまでするか?」

「何事も契約は大事よ。これで良いなら、最後に署名して」

「そうだな。ただ、その前に」

 

 デュラハンは、羊皮紙を裏返す。

 念のための行為だったのだが、彼は自身の直感が正しかったことを理解する。

 そこに書かれていた内容は簡潔に一言、「契約が結ばれた場合、乙は甲からの命令に背くことは出来ない」というものだった。つまりは表では対等であるかのような内容になっていたが、裏では契約書の作成者たる賢者優位の契約内容が罠のように隠されていた。これではシオンが望めば情報の開示を自由にできるということになる。

 

「……おい、これは?」

「うわぁ、見つかっちゃったかぁ。契約書の裏を確認するなんて、警戒心強すぎ」

「こんなものを使うんだ、念入りになるのは当然だろう」

「人によっては、表だけを見てサインする子もいるけどね。まぁ、そっちについては通ったらラッキー程度にしか考えてなかったから別にいいわ。裏の内容はなしで」

 

 シオンが人差し指を振れば、裏の内容が二十線で消される。

 それから他に異常はないかの確認をしたデュラハンは、用意された羽ペンで署名をする。

 

「これで契約完了ね」

「それで、俺の相手はどうするんだ? まさか自分がするとか言わないよな?」

「まっさかぁ! シオンちゃんがそんなことする訳ないじゃん。アンタの相手はこっち」

 

 そう言いながら、指を鳴らす。

 それと同時に部屋にあるベッドの上に、ぽすんと音を立てながら湊あくあの姿が出現する。彼女は休憩中だったのか両手で抱えたパスティを口一杯に頬張っているところであり、胸元には少し小さめの木の皿が絶妙なバランスを保ちながら乗せられていた。先ほどまではローブで身体を隠していたが、現在はフリルの付いたピンク色の可愛らしいメイド服に身を包んでいた。

 

「~♪ ……んっ?」

「休憩してたのにごめんね? あくあちゃんに頼みたいことがあるの」

「もぐもぐ……んっ。き、急に呼び出さないでよ! そ、それにどうして、その人がいるの?」

 

 口に含んでいた物を飲み込むと、勢いよく身を翻してデュラハンから距離を取る。

 それに付随して胸部に乗せていた皿が落ちかけるも、寸前でキャッチして上にパイ生地のカスも一つも落とさないという離れ業を見せる。

 

「突然だけど、あくあちゃん。この人と性交してもらえる?」

「…………へ?」

「性交、セックス、まぐわい。まぁ、呼び方は色々あるけど」

「スゥーッ…――バカがよぉ!」

 

 顔から火が出そうな程に紅潮させながら、あくあは叫ぶ。

 そして手にした木皿をデュラハン目掛けて投擲武器のように投げつけるが、彼は難なくキャッチして見せる。

 

「まぁまぁ、落ち着いてよ。別に孕めって言ってる訳じゃないんだからさ」

「そそそ、そんなこと出来る訳ないじゃん! お、おと、男の人と、その……破廉恥な!!」

「たった数時間程度のことだから。天井のシミでも数えてる間に終わるって」

「そういうことを言ってるんじゃないの!!」

「そんなに嫌なの?」

「嫌に決まってんじゃん!!」

「分かった………あくあ、命令。こいつとセックスしなさい」

「っ!?」

 

 瞬間、あくあの身体がビクンっと震えた。

 そして彼女は主人からの命令を順守すべく衣類を脱いでいくが、意識の中は今も拒否することを叫んでいる。しかしあくあの意思に反し、ピンク色の可愛らしい下着が露わになっていく。

 

「これは、何をしたんだ?」

「この子もアンタと同じように契約書にサインしてるの。命令順守を盛り込んだ奴にね」

「ああ、そういうことか」

 

 その言葉に、デュラハンは納得する。

 おそらくあくあは裏面を確認することなく署名したことで、シオンの命令に逆らえない状態にされているのだ。先ほどのやりとりから普段はそういった無理強いをすることはないが、どうやらデュラハンという貴重なサンプルを手に入れるために手段を選ばないようだ。

 

「後必要なものは」

 

 そう言いながら、指を鳴らす。

 直後、あくあの身体がほんのりと淡い光に包まれ、まるで糸のような魔力の流れがフラスコへと結ばれる。それと同時にベッド脇のサイドテーブルに、魔力の帯びた砂の収められた一つの砂時計が出現する。

 

「今のは?」

「あくあちゃんに掛けたのは、アンタが吐き出した精液をこっちの瓶に移す魔法。実際のところ妊娠するかどうか分からないけど、これからどれだけ中出しをしても孕む心配はしないから安心して。そっちの砂時計は使うと限定された空間内における時間の流れが内部と外部で異なるようにするの。分かり易く言うと、この部屋で三時間過ぎたとしても外では三分しか経っていないって訳」

「そんな魔道具、聞いたこともないぞ?」

「当然! それはシオンのオリジナルの魔法だもの」

 

 限定的とは言え、時間の流れすら操る魔法を編み出すのは規格外と呼ぶしかない。

 もしかしたら彼女が賢者ながら見た目が幼いのも、この魔法を応用した結果なのかもしれない。

 

「じゃあ準備も整ったから、シオンは下に降りてるから。終わったら降りてきて」

「分かった」

「あっ、それから」

 

 部屋を出る前、シオンはデュラハンの耳元に顔を寄せる。

 

「その子、むっつりだから口では何と言っても実際には興味津々だから可愛がってあげて」

 

 それだけ告げると、楽しげにシオンは退室した。

 カタンッと音を立て、砂時計が反転する。

 

 

 

 

 契約を履行すべく、デュラハンはあくあとの性交に臨む。

 ただし、彼女の人見知り具合では幾らシオンの言う通りにむっつりスケベだったとしても行為に及ぶのはほぼ不可能であり、そこでデュラハンは一計を講じることにした。とは言っても特別なことをする訳ではなく、室内にあった肌触りの良い細長いタオルで彼女の目を覆って見えないようにする。

 それからデュラハンも衣服を脱ぎ去ってからベッドに座り、視界の封じられたあくあを膝の上に座らせる

 

「うぅっ~、どうしてあたしがこんな目に」

「経緯は分からんが、次からきちんと契約書には目を通すことだ。ほら、時間も限られてるから始めよう」

「ひゃっ……!」

 

 あくあの身体がビクリと跳ねる。

 デュラハンが手を伸ばし、下着越しに彼女の乳房を撫でる様に触れた。

 ローブやフリルの付いたメイド服で分からなかったが、小柄な体躯には似合わない大きな双丘の持ち主のようだ。

 

「こういった経験はあるか?」

「………あ、ありません」

「なら、ゆっくりとほぐすか」

 

 そう言って、デュラハンは彼女の乳房を揉む。

 掌全体を使い、マッサージをするかのように乳房全体に刺激を与えていく。下着があるので縦横無尽とまではいかないが、それでもパン生地を練るかのようにゆっくりと揉む。送り込まれる刺激にあくあの口からは甘い吐息が漏れ出し、時折切なげに身体を捩じる。しかし幾ら逃れようとしても、後ろから抱え込まれているせいでそれも叶わず、寧ろ自ら身体を動かすことで更に快感を得てしまっている。

 

(乳首が、勃起しない?)

 

 愛撫を続けながら、デュラハンは首を傾げる。

 あくあの反応から快楽を感じているのは間違いないが、掌に乳首が勃起してくる感覚が伝わってこない。例え下着のせいで判別が難しいのだとしても、ここまで勃起が分からないことに不思議に感じる。

 

「下着を外すぞ」

「あっ……」

 

 背後に回した両手でホックを外し、肩紐を外してブラジャーを取り去る。

 視界を閉ざされているので目に見えないが、見えないからこそ普段は気にならない音が鮮明に聞こえてしまい、あくあの僅かに覗く頬は熟れたリンゴのように赤く染まっていく。

 

「ん? 何だ……沈んでる?」

 

 見れば乳首は乳房に埋没していた。

 それは陥没乳首と呼ばれるもので、先天的あるいは後天的に乳頭が突出せず、乳房の中に引き込まれているのだ。

 

「み、見ないで……」

「性格だけでなく、こっちも恥ずかしがり屋だな。どれ」

 

 デュラハンは背中から抱き締めていたあくあを、ベッドの上に横たえさせる。

 その上に覆いかぶさるように右手で乳房を添える様に掴み、もう片方の乳房を口に含んで吸い上げる。

 

「んっ!」

 

 突然のことで、あくあは嬌声を上げる。

 デュラハンは右手で乳房を揉みながら人差し指で乳首を刺激しつつ、その一方で口で乳房を吸い上げたり舌先で埋没している乳首を掘り返すように弄っていく。

 

「ん~~っ♡」

 

 下唇を噛み、あくあは声を抑え込む。

 しかし快楽に抗うことが出来ず、声は小さく漏れ出し、身を捩らせて悶えることしかできない。

 じゅるじゅうと音をわざと立てながら吸いながら丹念に乳首を責め続けていけば、引っ込み思案だったそれが次第に姿を現し始める。口の中で起き上がったのを舌で確認して口を離せば、唾液でベタベタになった乳首がピンッと隆起して外気に触れたことでふるふると震えていた。

 

「次はこっちだな」

「あっ♡ いや、だめぇっ♡♡」

 

 制止の声も聞かず、もう片方の乳房に吸い付く。

 再び吸い上げながら乳輪を舌でなぞりつつ、もう片方では露出させたばかりの乳首を指先で弄る。人差し指でカリカリと引っ掻くように弄んだかと思えば、指の腹でグリグリと押し込んだりと様々な責めを行う。そうして残りの乳首も顔を覗かせれば舌を巻き付ける様に舐めたりと理性を溶かすような愛撫を続けていたが、タイミングを見て左右の乳首を指と歯でそれぞれ強く抓り上げる。

 

「んっ、ひいああぁぁぁぁぁーーーーっ♡♡♡」

 

 先ほどまでとは比べ物にならない、電撃のような快楽にあくあは絶頂を迎える。

 ベッドの上で身体を仰け反らせ、秘部からはプシュッと音を立てながら愛液が噴き出すのが下着越しにも分かる。

 

「はぁ、はぁ……」

「そろそろ慣れたか」

 

 あくあの顔を隠していたタオルを外せば、彼女は定まらぬ焦点で天井を見上げていた。

 そんな彼女を尻目にデュラハンはベッドから降りるとあくあのパンティに手を賭け、愛液でぐちょぐちょになっている下着を剝ぎ取りにかかる。絶頂による脱力で抵抗も出来ずに呆気なく脱がされ、元々は淡いピンク色の可愛らしい下着は水気を含んだことで赤紫色へと変色していた。

 それをあくあの枕元へと放り投げると、そのまま彼女の太ももを掴んで両足を大きく左右へと開かせて自らの身体をその間へと割り込ませる。そうして露わになった愛液で十分に濡れそぼった秘所へといきり立つ自らの肉棒の先端を押し当てれば、惚けていたあくあも流石にそれには気が付いた。

 

「あっ♡ ま、待って……♡」

「待たない」

「あっ、んぐぅうっ♡♡」

 

 狙いを定め、腰を前へと突き出す。

 流石に暗殺者だけあって処女ではないようだが、ほぼ未使用の膣内は狭く、押し返すように侵入してきた異物に対して道を閉ざしていた。それでも十分すぎる量の愛液が潤滑剤となり、ずぶぶっと音を立てながら最奥を目指して入り込んでいく。小柄な体躯といっても成熟した女の肉体を持つだけあり、デュラハンの大きな槍の八割を吞み込んでいた。ただ、やはりサイズが大きすぎる為に彼女の下腹部が下から持ち上げられてぼこっと膨らんでしまっている。

 

「くっ、流石にきついな」

「あっ♡ ひぃっ♡♡」

 

 子宮口を持ち上げる様に押され、あくあは涙を滲ませながら喘ぐ。

 考えてみれば当然なことだが、人見知りな彼女が恋人を作って性行為に及んだことなどある筈もなく、処女膜も幼少期からの過酷な訓練の過程で失ってしまったに過ぎない。性欲を晴らす自慰行為でも張形を使ったこともあるが、大きな物を使う勇気はなかったので細いのしか試したことがなかった。

 そんなほぼ処女と変わりないあくあが、最上級な逸物に貫かれて息も絶え絶えになっていた。

 

(しちゃった! 男の人と、本物のセックス!!)

 

 あくあの思考は様々な感情で埋め尽くされていた。

 そして彼女の事情も心情も知らないデュラハンもまた、肉棒から伝わる快感に思わず動けずにいた。

 蜜液で満たされた媚肉の締め付けは、さながら最高級娼婦と比べても引けを取らない程の甘美をもたらす。ヒダの一つ一つが肉棒へと絡みついており、童貞や経験の浅い者なら挿入した段階であまりの気持ちよさに射精してしまう程だった。デュラハンは豊富な女性経験と、漢としての意地でもって射精するのを堪えていた。

 お互いにジッとしているというのに、あくあの膣壁は無意識に肉棒を締め上げてくる。まるで早く射精しろとせがんでくるようで、やがてデュラハンは大きく深呼吸をしてから腹を決める。

 

「動くぞ」

「へぇ? や、ま、まっへぇ♡」

 

 あくあの静止の声も聞き入れず、デュラハンは腰を動かし始める。

 最奥まで刺さっていた肉棒をゆっくりと引き抜いていき、中腹まで露出したぐらいのところで再び亀頭を突き出す。

 

「あぁあああ♡♡」

 

 たった一突きで、あくあは思わず体を大きく仰け反らせた。

 絶頂こそしていないが、それでも先ほどまでとは全く異なる快楽に思わず声を上げる。

 ベッドが軋む音と共にぱんっ、ぱんっと肉と肉がぶつかり合う音が響く。

 

「あ、ああっ! お、奥にぃぃっ!!」

 

 あくあは頭を左右に振る。

 子宮口に亀頭を何度も突き付けられ、その振動により彼女の豊満な乳房もまたブルンブルンッと音が聞こえそうな程に縦横無尽に揺れる。可愛らしいピンク色の乳首が揺れ動き、それはまるで目の前の野獣を誘っているかのようであった。デュラハンもその誘惑に抗うことは出来ず、引き寄せられるまま両手であくあの豊満な乳房を鷲掴みする。

 

「こっちも触るからな」

「あんっ、ひゃあっ♡ んっ、くぅっ♡」

 

 与えられる快楽に、あくあの嬌声が部屋に響く。

 たぷたぷと弾み揺れる乳房を支える様に持ち上げ、指先で乳首を押しつぶすように弄る。時折親指で円を描くように乳輪を撫で、乳頭を上下に爪で引っ掻く。そうした刺激が加わることで、あくあの膣壁の収縮が強く激しいものに変化していく。絶えず腰を打ち込み続ければ、じゅぽじゅぽと激しい濡れ方をした蜜壺から淫靡な音が響く。

 

(嘘、なにこれ……こんなの、知らない)

 

 あくあは困惑していた。

 自分の口から漏れ出る今まで聞いたこともない声に、そしてこれまで経験してきた快楽が生ぬるいと思える程に強烈な刺激に。

 自分の中にあった何かが抗いようのない快楽に塗り潰される感覚に、恐怖よりも喜びを感じている現実に。

 そんな自分から目を逸らそうと、せめての抵抗としてあくあは自らの両腕で顔を隠すが――。

 

「隠すんじゃない」

「や、やだぁ!」

「いやらしい素顔を晒せ!

「いやあああっ! 見ないでぇぇっ♡♡」

 

 乳房を掴んでいた両手を離し、彼女の腕を顔の前から引きはがす。

 その光景は正に嫌がる女を無理やりに犯している姿そのものであり、思わずデュラハンの興奮も高まっていく。

 

「はぁ、はぁ、気持ちいぞ! あくあ!」

「いぃいいいっ♡ あ゛んっ♡ だめっ、こわれるっ♡」

「ほら、顔を近づけて」

「んっ! ぢゅっ、んちゅ!」

 

 顔を近づけ、口付けを交わす。

 僅かに開いた隙間から舌を差し込み、逃げようとする舌に絡み付かせる。貪るように唇を奪いながら、その間も絶えず腰を動かし続けて犯すのを止めない。口移しで唾液を流し込んでいけば、繋がれて逃れることのできないあくあはそれを嚥下していく。

 パンパンっと小刻みな音を奏でながら、蜜壺からは白濁した液体が溢れだしシーツへと滴り落ちる。

 永遠に思えた行為も、やがて限界を迎えようとしつつあった。

 

「あんっ♡ ひゃっ♡ らめっ、だめぇ♡ あたしっ、もうぅっ♡」

「俺もそろそろ限界だ」

「中はっ、なかぁ♡ ひゃだぁっ♡ 赤ちゃん出来ちゃうよぉ♡」

「心配するな、出すぞ!」

 

 最後のピストンを繰り出す。

 子宮口をこじ開ける様に奥へと一気に突き入れるのと同時に、密着した亀頭が爆ぜる。全身が痺れるような感覚と共に、灼熱の熱さを持った多量の精液が吐き出される。

 

「んひぃ、ぃいいいいっ♡♡♡」

 

 熱い迸りがあくあの胎内に注ぎ込まれる。

 それはまるで雷に打たれたかのような衝撃を与え、あくあは大きく身体を仰け反らせながら快楽に悶える。

 それはまるで雷に打たれたかのような衝撃をもたらし、あくあは大きく身体を仰け反らせながら快楽に悶える。そんな彼女の肉体に呼応して膣壁が脈打つように収縮し、放たれた精液を一滴たりとも零さないと言わんばかりに締め付けてくる。

 デュラハンはぴっちりと腰を密着させ、子宮を精液で満たさんと下腹部に力を込める。

 

「――……ふぅ」

 

 少しして、息を吐く。

 ずるりと肉棒を引き抜いたところで、普段との違いに気が付く。

 彼の射精量なら栓を失った膣口から白濁がドロドロと出てくるのだが、何故か一滴も漏れてこない。子宮口がピッタリと閉じていて逆流してこない可能性もあるが、今回においてはそうでない明確な理由があった。それを確かめるべく、視線をあくあから部屋の片隅に置かれたフラスコに向ける。

 先ほどまで空っぽだったフラスコの底には、確かに精液が溜まっていた。

 

(成程、あんな感じで溜まっていくのか。あの量からして、三時間フルでやれば満たせるな)

 

 フラスコを眺めながら、冷静にデュラハンは考える。

 脱力するあくあの腕を掴むと一度身体を起こさせ、仰向けから四つん這いの姿勢にさせてその背後に回り込む。そうして復活した肉棒の亀頭を膣口に押し当てたところで、あくあはハッとした表情で振り返る。

 

「ま、待って! まだイったばかりで……」

「待たない。こっちは時間が限られているからな」

「お゛お゛ぉぉぉっ!」

 

 あくあの言葉も聞かず、再びデュラハンは肉棒を挿入する。

 こうして二人の、精液集めのための交尾は続いていく。

 

 

 

 

 

「あくあは軽いから、抱えるのも楽だな」

「ひぐっ♡ お、おろひてっ!」

「ん? 降りたいのか、ならほれ」

「へっ―――お゛ごっ♡」

「おっ、良い痙攣だ。出る」

 

 

 

 

 

「んっ、じゅる……ちゅぱっ」

「そうそう。キャンディを舐める様にしゃぶるんだ」

「ふっ、じゅぽっ、ふんっ」

「良いぞ。ああ、出そうだ。こぼすんじゃないぞ」

「んぶぅっ!! ごぽっ!」

 

 

 

 

 

「お゛っ♡ あちゃま、おかしくなりゅうぅぅ!!」

「確りマ〇コを締め付けて、精液を絞れ!」

「ん゛ぎぃいっ! またでてりゅうぅう! こわれちゃうぅううっ!!」

 

 

 

 

 

「このデカ乳も最高だな」

「うぅっ、あたしのおっぱいが……」

「全身柔いが、ここは断トツだな」

「お願いだから、髪には掛けないで」

「あっ、悪い。もう出る」

「きゃっ♡ うぅ~、顔も髪もベトベト~」

 

 

 

 

 

「んぎぃいぃいっ!!」

「この姿勢だと、より深く刺さるだろ」

「こ、これ以上されたらバカになっちゃうぅうう!!」

「そうだ! 俺だけのことを考えろ! 俺のオ〇ホになれ!!」

「にゃる♡ にゃりますからああああっ!!」

「出すぞっ!」

「――お゛お゛ぉぉぉぉぉっ♡♡♡」

 

 




心機一転、エロシーンに力を入れて書き上げました。
理由としては、最近のは何と言うか薄いというか、物足りないと思い始めていたので今回は頑張ってみましたが、おかげで予定の25日に投稿できませんでした。
エロい、と思っていただければよいのですが。


◆紫咲シオン
 年齢:??歳(外見:12歳) 性別:女性 身長:145㎝(70A) 適正:魔法(黄)
 装備:光陰の魔導書、不磨のケープ、解析の単眼鏡
 体力:4425 魔力:17700 総合戦闘力:22125

 隠居生活を送る賢者。
 権力や名声に興味はなく、未知に対する探求心の赴くままに行動する。他人を揶揄うことが好きなだが、自分に従順な者や敬意を払ってくる相手に対しては、態度は変わらないものの少なからず寛容になる。

イメージは通常衣装になっています。ゴスロリやホロウィッチの姿も悪くはないと思いましたが、特に凝る必要もないと考えて通常のものといたしました。
余談ですが、あっちの方の絡みはありません。


クリック? クラック! また今度。

フレアの立ち絵が適してる?(あるいは好み?)

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