魔物の脅威を人間の視点から付けられたランク。
これは単純な魔物の強さや厄介さが一個人に対してどれだけ危険か、あるいは国がどのような対応が必要かなどを分かり易くしたものであり、各ギルドの書庫に常備されている魔物図鑑に併記されていて現地の冒険者達が討伐クエスト等を行う際の目安となっている。ただし危険度は時期や個体差によって変動する場合があり、対処方法は必ずしも同じとは限らない。
危険度はⅠからⅤまでの数字で表され、数字が大きくなるほど強大かつ凶悪な存在になるため非常に危険である。Ⅰ程度なら武器があれば農民でも対処できなくないが、Ⅱ以上は心して掛からねばならず、Ⅳに至っては大戦力を集結して対応しなければ国が滅ぶレベルである。ただ危険度が上がるにつれ、ピラミッドのように個体数が少なくなるので早々遭遇する可能性はない。
では、本編をどうぞ。
「ぬおおおっ! 復・活!!」
探索二日目、バクニは元気を取り戻していた。
一時はどうなるかと思ったが、直ぐに解毒できたのが幸いだったようだ。最も、普通は解毒できたとてデモンローズの実を食べたのだから、数日は寝込んでいる筈なのだが何故か一晩で回復してしまった。
「昨日はビックリしたよ。あのくさんが意識のないバクニさんを連れ帰った時は」
「面目ない!」
「いや、もう治ったなら良いよ」
「じゃあ改めて森に入るけど、今日はどうする?」
「今日は纏まって行動するが、その前に全員に話しておくことがある」
バクニの件があったため、デュラハンは未だ話せずにいた昨日のことを伝える。
この森には危険度Ⅱの魔物デモンローズが生息しており、村の子供たちが倒れたのはこの魔物の放つ毒粉を吸ってしまったのが原因である。これを治療するためにはデモンローズが落とす花弁を煎じて飲ませなければならず、子供たちを救うためには彼の魔物を倒さなければならない。
「そんな危険な魔物がいるなんて……」
「あのく君は、よくそんなことを知ってたね?」
「いや、以前そういった魔物がいるって話を聞いたことがあったんだ。バクニがその果実を食べたことで分かった」
「怪我の功名とはこのことか!」
「……兎も角、今日はその魔物を討伐する方がいい」
「じゃあ、そのデモンローズの討伐に出発!」
フブキの号令で、四人は森へと入っていく。
昨日の女性にまた会えないかとデュラハンは考えながら、森を奥へと進んでいく。
「あのくさん、それでデモンローズってどんな魔物なの?」
「花芯に口のある巨大な薔薇だな。花弁が大きく開いた状態で直径が三メートルはあり、獲物を引きずり込むように捕食する。魔物と言っても植物だから動くことは出来ず、主な攻撃手段は本体から伸びている無数の蔓による鞭と締め付けだ。この蔓はそれほど固くないから刃物で簡単に斬れるが、蔓に生えている棘には留意が必要だ。それと――」
「それって、あんな感じの?」
「ん?」
話の腰を折るように、フブキが訊ねる。
そちらに視線を向ければ、深く鮮やかな深紅の花びらを持つ巨大な薔薇が不自然なまでに存在感を発していた。その中心部には鋭い牙が生えた口があり、そこから涎のような雫が滴り落ちて地面に幾つもの痕を作っている。
種別:デモンローズ 種族:食肉植物 危険度:Ⅱ
体力:2923 魔力:731 総合戦闘力:3654
特に当てもなく適当に歩いていたのだが、どうやらデモンローズの根を下ろしている場所へと辿り着いたようだ。こちらが気付いたように、向こうも気付いたらしく幾つもの蔓の先端をこちらへ伸ばしてくる。
「よーし! みんな、行くよ!」
「応!」
武器を構えたフブキとバクニが前へ出る。
こちらが動き出すのに合わせ、デモンローズも同様に蔓を勢いよく振るう。
「やあっ!」
「ふんっ!」
二人はそれぞれ、自分に迫る蔓を切り裂く。
デュラハンの説明の通り、蔓の強度はそれほど高くないのか苦なく刃が通る。ただ植物である性質故に痛覚はないのか怯む様子はないが、斬られたことへの不満を表すように更に蔓を生やして襲い掛かってくる。
「ううむ、これは厄介であるな」
「これじゃあジリ貧だよ~!」
「ウチに任せて! 炎よ――」
「ミオさん! 森の中で火炎系の魔法は不味い!」
「うぇっ! あっ、そうか。えーと……風よ、我が敵を切り裂け!」
ミオより放たれた鋭い風の刃が、瞬く間に何本もの蔓を切り刻む。
流石に本体にまで届きはしなかったが、それでも動きを鈍らせるには十分だった。
「よしっ、今だ!」
「突貫!」
その隙をついて、前衛二人が前に出る。
このままいけば二つの刃により魔物は討伐されて終わりとなるが、彼女らが相手にしているのは危険度Ⅱの魔物だ。これまで相手にしてきたⅠとは比べ物にならない理由が、そこにはあった。
デモンローズの口元がまるで肉が蠢くかのように微かに引き攣ったかと思えば、そこから嘔吐するかのようにドロリとした薄緑色の液体の塊が目の前に迫った二人目掛けて吐き出される。
「わっ!?」
「小癪!」
二人は地面に転がるように、緊急回避する。
標的を失った液体はそのまま目の前の地面や、少し離れた場所にある草木に当たる。液体の当たった地面はジュウウゥゥッ、と耳障りな音を立てながら白煙を上げる。そこには直径十センチもの、まるで硝酸でも掛けられたかのように焦げ付いた穴が開く。飛沫程度でも掛かった草木はチリチリと音を立てて炭化し、あっという間に黒い灰と化して崩れ落ちて行く。
強力な溶解性を持つ毒液、人体に当たろうものなら只では済まない。
「今のって、魔法!?」
「気を付けろ! コイツは危険度Ⅱ、魔法を使ってくるぞ!」
危険度Ⅱ以降が、脅威とされる理由がこれだ。
魔物の知性は危険度に応じて高くなり、Ⅰであればどれだけ強くとも所詮は獣性――動物のそれと大差はない。だが、Ⅱ以降ともなれば単純ながら思考を有するようになり、個体によっては魔法を使って攻撃もしてくるようになる。
「俺とミオさんで道を切り開く。二人はそこを叩け!」
「承知!」
「分かった!」
デュラハンが指示を飛ばす。
それを魔物が理解したのかは定かではないが、後方にいる二人を危険視したのは確かだ。その証拠に地面を割って、デュラハンたちの足元から生えてきた蔓が二人の身体を縛り上げる。
「しまった!」
「きゃああっ!」
「二人とも!」
フブキは即座に二人を助けに入ろうとするが、それを妨害するように更に地面を割って蔓が生えてきた。それらを片っ端から切り裂くのに、次から次へと生えてきてキリがない。そうする間にもフブキたちの逃げ場を断つように、デモンローズは蔓を張り巡らせていく。
「ぬうっ! 厄介な!」
バクニも戦斧を振るうが、終わりが見えない。
デュラハンは締め上げられても仮初の肉体なのでダメージはないが、ミオはそうじゃない。締め付けが強くなるにつれ、ギシギシッと骨が軋み始めてミオの口から呻き声が漏れ始める。
「うっ、ん……」
「ミオさ、ん」
このままでは骨が折れるのも時間の問題だ。
フブキたちもジリ貧なのは明らかで、デュラハンは多少怪しまれてでも手助けする為に魔法を放とうとする。
「炎よ――」
「はぁっ!」
白銀一閃。
煌めく刃がミオとデュラハンを縛り上げていた蔓を全て断ち切った。
「きゃっ!」
「うおっ!」
ドサッと自由を取り戻した二人の身体が地面に落ち、突然の出来事に誰しもが動きを止めた。
二人を救ったのは細身の片手剣を手にした、フードを目深く被った女性だった。
『■■■■!』
デモンローズが雄たけびを上げながら、フードの女性にも蔓を向ける。
女性は動じることなく、片手剣の剣身に手を添える。
「風よ、我が剣に集いて刃となせ」
風が渦を巻き、片手剣へと収束する。
彼女はそれを手に持って刺突の構えを取り、そして前へと突き出した。一見すれば何もない所で片手剣を突いたようにしか見えないが、その切っ先から凝縮された風は鎌鼬となって彼女へと迫る蔓の尽くを斬り裂く。それは蔓だけに留まらず、渦巻く突風となってデモンローズ本体をも呑み込んだ。
回避の出来ない体躯は切り刻まれ、ドロップ品を残して消滅する。
吹き抜けた風にあおられて、彼女の被っていたフードが脱げる。それと同時に耳の高さで縛られた金糸のように美しく、絹のように滑らかな金髪が風にたなびく。
「おお……」
(今のは、
その光景に、誰もが言葉を失う。
デュラハンだけは、彼女が何をしたのか理解できていた。
因みに戦士と魔法使いの二人が協力することで疑似的な魔法剣を再現できるが、剣自体も魔法に耐えられるよう一般的な銅や鋼ではなく特殊な金属製を用意する必要があり、少しでも加減を誤れば大惨事に繋がってしまうので試そうと思う者は少ない。
「あ、あの、助けてくれてありがとうございます!」
フードを被り直し、去ろうとする彼女にフブキが慌てて礼を言った。
女性は立ち止まり、突き放すように言葉を返す。
「別に、気にしないで。あの魔物は、あたしにとっても厄介だったから」
「そうだとしても、我々は貴方に二度も命を救われました。改めてありがとう」
立ち上がったデュラハンが、頭を下げる。
おそらくデモンローズが邪魔だったのは事実だろうが、命を救われたのは事実だ。
「我々に出来得る限りの礼をしたいと、そう思います」
「そ、そうなんです! 勇者として助けてもらって、お礼をしないなんて沽券にかかわります!」
「いらない。今回は運が良かっただけ」
彼女は聞く耳を持たない。
と、そこへおずおずとミオが声を掛けてきた。
「あの~、大変申し上げにくいのですが、身体が上手く動かなくて……その、助けて頂けませんでしょうか?」
「……はぁ」
どうやら、蔓に締め上げられた際に棘が刺さり、麻痺系の毒に冒されたようだ。
女性が溜息を吐いて、渋々といった様子でデュラハンの方を指さした。
「あたしの家が近いから、彼女を連れてきて」
「わかった」
デュラハンがミオの身体を担ぎ上げ、先導する女性の後についていく。フブキとバクニがドロップ品を回収し、周囲の魔物に警戒しつつ森を更に奥へと進んでいく。暫く道なき道を森の奥へと進んでいけば、辿り着いたのは一本の巨大な樹木だった。
樹齢にして数百年はくだらない、巨大な木。
先行する女性はその木の根に近付くと、その一部を持ち上げて見せた。どうやら巧妙に隠された扉だったらしく、そこから階段のように張られた板により下へと降れるようになっていた。
内部は本当に木の中かと思えないほど広く、快適に暮らせる環境となっていた。
「二人はここで待ってて、そっちの彼女は上の部屋に」
「分かった」
フブキとバクニを残し、デュラハンたちは上がる。
階層として三階に当たる部分、どうやらそこは寝室らしく、葉っぱや藁を集めて作られたベッドらしき所にミオを寝かせれば女性は診断を始める。少しして診察を終えた女性は、ミオを残してデュラハンと共に二階へと降りる。
そして円を組むように、四人は床に座る。
「改めてお礼を申します。私は白上フブキ、勇者です」
「小生は戦士の金華バクニ」
「昨日も名乗ったが、俺は僧侶の牧氏あのくだ」
「……不知火フレア」
名前:不知火フレア 種族:半森人 職業:魔法剣士
体力:1327 魔力:3097 総合戦闘力:4424
森の奥にあるフレアの隠れ家。
おそらく大木を流用して改造した隠れ家は、傍目には誰かが住んでいると分からない状態となっていた。流石は森と共に生きると言われるエルフだけあって、自然を巧みに使って快適な空間を作り上げていた。実際、床に腰を下ろす四人の下には葉っぱを編んだ座布団があるのだが、葉っぱとは思えない程に座り心地が良かった。
「失礼ながら、不知火さんはエルフですね?」
「……ダークエルフとは思わないの?」
「ジンク村の村長はそう断言していましたが、実際に見て分かりました。貴方はエルフ、それも恐らくは人間との間に生まれたハーフエルフ」
「っ!」
デュラハンの発言に、フレアは目を見開く。
今まで無表情でいた彼女にしては珍しい反応だが、直ぐに元の無感動な顔に戻ってしまう。
「どうして、そう思ったの?」
「俺も本で読んだり、人伝でしか聞いたことだが……エルフは女性であっても背が高く、まるで美術品を思わせる優美な容姿を持つとされる。ああ、不知火さんも十分に美しいから決して誤解しないで欲しい。ただ純血と混血の最たる違いは、その耳だ」
「耳?」
フレアは自らの耳に触れる。
その耳は人間と比べれば、十分に尖っているように見えるが。
「エルフはナイフのように尖っているが、貴方のそれは人間のような丸みもある。違ったかな?」
「……あたしのことを見た大抵の人間は、ダークエルフと決めつけてきた。それを間違えなかったどころか、人間との混血児と見抜いたのは君が初めてだよ。正解、あたしはエルフと人間のハーフだよ。これでも軽く二百年は生きてるんだけどね」
「人間は偏見が強い生き物だからな。理解できないもの、異端を忌避する性質が強い」
「……まるで、自分が人間じゃないって言い草だね」
「そうかな?」
デュラハンは肩を竦めてみせる。
その態度にフレアはそれ以上追求しなかったが、先ほどより纏う雰囲気が柔らかくなる。
「あ、あの! ミオの容体はどうでしょうか?」
「あの娘なら大丈夫だよ。そこまで酷くないから、後数時間もすれば自然に治る」
「良かった~!」
「とはいえ、今日はもう遅くなるから……泊っていったら良いよ」
「良いんですか!?」
「まあ、ね。ただベッドはあの娘が使ってるから、雑魚寝してもらうことになるけど」
確かに、彼女の言う通り気が付けば日は大分傾いていた。
渡りに船とは、このことだろう。
「では、一宿一飯の恩義に従い、小生たちが今晩の料理を作りましょう!」
「賛成です!」
「ああ、火を使うなら家の外にしてよ。火事になったら洒落にならないから」
「なら早速取り掛かるとするか」
三人は外に出て夕食の支度を始め、その間フレアはミオの様子を見守っていた。
◆
その日の夜。
バクニと共に二階で雑魚寝していたデュラハンは、誰かが外に向かう気配に目を開ける。物音に起きたと思われるかもしれないが、実際には彼は寝たふりをしていたに過ぎなかった。仮初の肉体でも食事を取ることや性行為は出来るが、睡眠だけは取ることができない。別に、バクニの鼾が煩くて寝られないという訳ではない。
(今のは、不知火か?)
夜も更け始めた頃に何処へ。
そんな好奇心からデュラハンも彼女の後を追うべく、気配を殺して一階に降りる。
フレアはツリーハウスから出ると、そのまま裏手にある小道から森の奥へと入っていく。静寂が支配する森の中を、灯りも持たずに進んで行く彼女を追うのは中々骨だった。しかしそこは夜目が効くデュラハンは、気付かれない程度の距離を保ちながらフレアの背中を追跡する。
やがてフレアは森を抜け、開けた丘に辿り着く。
丘の縁には小さな、木を組み合わせて作られた簡素な墓標が立てられていた。
フレアはその前に立つと膝を付き、まるで祈るように手を組む。
(あれは、墓か……もしかして)
物陰からデュラハンが様子を窺っていると。
「ねぇ、出てきなよ」
「っ!」
見透かされていた。
いや、もしかしたら最初からフレアはこちらの存在に気付いていたのかもしれない。
ここで黙っても意味はないので、観念したデュラハンは姿を現した。
「すまなかった。墓参りを邪魔するような真似をして」
「いいよ、別に……」
「それは……村長の息子の墓か?」
「そう……とは言っても、下には何も入ってないけど」
この世界では、死者を弔う方法として火葬が一般的だ。
過去には遺体をそのまま大地に埋める土葬を行う地域もあったそうだが、瘴気の濃い場所ではアンデッドとして蘇ってしまう危険性を孕んでいた為に火葬が埋葬方法として広まる。例え瘴気が濃くなかったとしても、魔物が墓を掘り返して死肉を食らうこともあったため土葬は廃れていた。
だから、墓標の下を確認しても、そこには何も埋まっていない。
それでも、祈りを捧げる場所として碑を建てることは多い。
「ねぇ、貴方たちはあたしを殺すように村長に頼まれたんでしょ?」
「村長は、息子の死の原因が貴方だと決めつけていたからな」
「あながち、間違いとは言えないよね。あたしと出会っちゃったから、あの子は死ぬ羽目になったんだから。……あたしの独白、聞いてくれる?」
「ああ」
デュラハンは彼女から少し離れた所で、地面に腰を下ろした。
フレアは夜空を見上げながら、ゆっくりと語り始める。
「あたしはね、ここから遠く離れたエルフの里で、エルフのママと人間のパパの間に生まれた。人間でも異物を忌避するように、里でもあたしたちの居場所はなかった。だからあたしたち家族は里を離れ、各地を転々として回ったんだ。幸いなことにパパが冒険者として腕が立ったから、生活に困ることはなかった。それからパパが寿命で死んでからは、比較的平和なこの白の大陸でママと一緒にひっそりと暮らしていた」
エルフはその美貌から、人間から狙われやすい。少なくとも白の領土では禁忌されているが奴隷として飼うことが、一種のステータスと考える輩も確かに存在する。そういった輩から逃れるためにも、エルフがいないこの国なら安全に暮らすことは出来る。
「そのママも枯渇病で森に帰ってからは、あたしは独りで生きてきた。世間では魔王の存在に怯える人が多いけど、あたしには関係なかった。だって魔王が支配しようが、人間が支配しようが変わりないんだから。そう思っていたあの日、あたしはあの子に出会った」
フレアは、今でもその日のことを覚えている。
森を散策していた彼女は、魔物に襲われて腰を抜かしている青年と出逢った。武器も持たずに森の中に無謀にも立ち入った人間が魔物に襲われて命を落とす、それはこの世界ではありふれたことだったから、普段のフレアなら特に関わることなく立ち去っていた。
ただ、どうしてかは分からなかったが、気まぐれからフレアは青年を助けた。
「あたしとしては、それでさようならってつもりだったのに、しつこいぐらい話しかけてきてさ。助けられた恩を返したいって言って聞かなかったんだ。今まで色んな人間と接したことはあったけど子供以外で、あんな悪意とかのない真っ直ぐな目で見つめられたのは初めてだったな。あたしも根負けしてさ、気付いたら色々と話すようになってた」
おそらくピンチの状態から救われた人間が相手に惚れるという現象のように、おそらく青年は自分を助けてくれたフレアに一目惚れしたのだろう。だからこそ例え強引と思われたとしても、少しでも接点を持とうと必死に声を掛けてきたのだ。
そして青年にとって、フレアがエルフとかダークエルフとか関係なかった。
だからこそ、父親に反対されても彼はフレアとの関りを続けた。
その果てに待っているのが、自らの死に繋がると思いもせず。
「ある時、森の少し入った所にあたし宛の手紙が入っていた。そこには普段とは違う集合場所が記されていて、あたしは何の警戒もせずにそこであの子を待っていた。でも……」
そこで、フレアはグッと黙り込む。
おそらく、そこから先は村長から聞かされていた通りの出来事が起きたのだろう。
村長はおびき出したフレアを強襲するが、そこへ事態を察した青年が飛び出してきたことで彼女の身代わりになってしまった。そして彼女は青年を遺体を連れて、村人が入ってこれないような森の奥へと引っ込んだ。
「これで、あたしの身の上話は終わり。ごめんね、こんなつまらない話を聞かせて」
そう言って、フレンは振り返った。
だが、彼女の目じりに雫が溜まっていたのを、デュラハンは見逃さなかった。
だから彼は、立ち上がって彼女の身体を優しく抱き留めた。
「えっ、ど、どうしたの?」
「俺は、口が上手い訳じゃない。気の利いた言葉も思いつかないけど、こうして胸は貸すことが出来る」
「……うっ、あっ……あぁぁぁぁぁっ!!」
フレンは泣いた。
大粒の涙を瞳からこぼしながら、まるで赤子のように泣きじゃくった。
彼女と森で初めて会った時、突き放すような態度を取っていたのは自分と関わることで、また他人が傷付くのを恐れたからだ。本当なら最初から関りを持たなければ傷付かずに済むが、生来のお人好しさからどうしても放っておけなかったのだ。
孤独な人生を送ってきたからこそ、短い期間とはいえ自分と関わってくれた青年の優しさが嬉しかったのだ。無自覚だったかもしれないが、青年の存在はフレアにとって特別だった。
そうして泣き止むまで、デュラハンは彼女を抱きしめ続けた。
◆金華バクニ‐戦士
年齢:24歳 性別:男性 身長:184㎝ 適正:斧
装備:鋼の斧、鋼の鎧、鋼の盾
コーンフィールド王国で活躍する冒険者。
少し古風な話し方をする、正々堂々を重んじる重厚な武人肌な典型的な戦士。
脳筋な所があるので深く考えるのは苦手だが、きちんと説明すれば理解できるし納得もする。
イメージは某ゲームの敵キャラ、ご存じ大盗賊のお頭のような巨漢。
ただし、あちらと違って装備はまともなのでパンツ一丁にマスクという恰好ではない。
ではクリック? クラック! また今度。
シチュ募集について。世界観を壊さない程度。
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是。案を出したいです。
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否。主の好きなように書いたらいい。