※この作品はR-18です。

サムライガールの幼馴染みは王様を目指す(裏)   作:ボルメテウスさん

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問題がありすぎる解決策

「……ふぅん」

 

猫猫が俺の部屋に入ってきた瞬間、鋭い視線が突き刺さった。手に持った煎じ薬の袋がカサリと音を立てる。

 

「で、今回は何をやらかしたわけ?」

 

開口一番、そう言うと彼女は椅子にどかっと腰を下ろした。長い三つ編みが揺れる。

 

「いやぁ……ちょっとね」

 

歯切れ悪く返すと、猫猫は目を細めた。ジトッと湿度のある眼差しが俺の首筋に注がれる。

 

「アンタの体臭が変わってる。昨日は随分と濃厚な時間を過ごしたんじゃない?」

 

「……なんで分かるんだよ」

 

「薬草師の鼻なめんじゃないよ。悪魔の甘ったるいフェロモンが染みてる」

 

冷たい指が俺の襟首を摘む。指先で匂いを嗅いだ猫猫の眉がピクリと動いた。

 

「……上級悪魔? しかもかなり高位の。普通の人間が触れられる相手じゃない」

 

「グレイフィアって人だ。リアスのお目付け役で……魔王の奥さん」

 

俺がそう言った瞬間、猫猫の顔色が変わった。窓の外では夕陽が沈みかけていて、その橙色の光が彼女の翡翠の瞳に反射する。

 

「おいおいおい……!」

 

椅子を蹴るように立ち上がった猫猫。

 

「あんたが女に手を出す事はしょっちゅうあるから今更だけど、まさか人妻に手を出すなんてねぇ」

 

「なんというか、殺されそうになったからつい」

 

「ついで、やる行為かなぁ」

 

そうしながら、呆れる猫猫はため息を吐く。

 

「それで、そんな人妻に手を出したのが問題なの?」

 

「いやぁ。それが、政略結婚に巻き込まれてしまいそうになっていて」

 

「・・・面倒な事になっているね」

 

「それで、どうしたら良いのか分からなくて、相談に来ました」

 

猫猫は俺の説明を聞いているうちに眉間の皺が深くなっていった。机に肘をつきながら指先でトントンとリズムを刻んでいる。

 

「つまり、アンタが人妻とヤって、しかもリアスのお家騒動に首突っ込んだと」

 

「身も蓋もない言い方だなぁ……」

 

「他になんて言えばいいのよ」

 

猫猫の呆れ顔がどこか諦観に似た表情に変わる。

 

「で、どうやって解決する気?」

 

「それがわかれば相談しないっての」

 

俺が苦笑いを浮かべると、猫猫は深く溜息をついた。

 

猫猫は腕を組んで睨みつけてくる。

 

「まず聞きたいんだけど」

 

「ん?」

 

「なんで私に相談するわけ?」

 

その言葉には苛立ちと呆れが混じっていた。俺は頬を掻きながら答える。

 

「だって、こういう関連で一番頼りになるからな」

 

「そういう理由で困らせないで欲しいんだけど」

 

「うぅ、それは」

 

俺はそう言いながら、頭を悩ませる。

 

「・・・冥界での毒、それでチャラ」

 

「おぉ!猫猫!ありがとうな!こんな事、さすがに絶花には言えないから!」

 

「当たり前でしょ。というよりも政略結婚って言われてもねぇ、具体的な解決策もないままじゃ、無理でしょ」

 

「だよなぁ」

 

猫猫の冷静な指摘に俺も項垂れた。リアスの婚約を潰すことも、グレイフィアとの関係を清算することも簡単にはいかないだろう。

 

その空気を変えようと猫猫が咳払いをした。

 

「・・・政略結婚の目的って、確か純血の血を残す事だったよね」

 

「まぁ、それは」

 

「けれど、それって他の悪魔と結婚しても、その純血が守れる訳ないじゃん」

 

「それはまぁ」

 

「むしろ、必要なのはさ、悪魔が数を増やす事じゃないの」

 

「えっ」

 

猫猫はそれだけ言うと、真顔で。

 

「結論から言うわ」

 

「簡単よ。リアスの腹に直接注いでやりなさい」

 

猫猫の目が危険な光を放った。薬匙をくるりと回す指先が震えているのに気づく。

 

「それってつまり……妊娠させろって?」

 

「そういうこと」

 

彼女の口調はあくまで淡々としていた。

 

「なんで!?」

 

俺は思わず、叫んでしまった。

 

「悪魔の数が減って、純血を増やすとかそんな感じでしょ。だったら、何年もやって、子供が生まれにくい悪魔よりも数ヶ月ですぐに産まれる人間の方が有用でしょ」

 

「なるほどな……悪魔の種族性か……」

 

「つまり簡単にまとめると。太郎の精子って悪魔より濃厚だし。悪魔の種族よりずっと早く成長するから悪魔を増やすには人間の方が手っ取り早いって訳」

 

「なるほどなぁ。ちなみにこれは誰かの考えとかじゃないよな」

 

「私が考案しました」

 

猫猫は自信満々に言い放つ。頭を抱えた俺に彼女が追い打ちをかける。

 

「もし誰も妊娠しなければあなたがリアスを妊娠させた結果になるわけよ」

 

俺の心臓が早鐘を打つ。リアスの白磁の肌や赤い髪が脳裏に蘇る。

 

「そ……それは……」

 

口籠もった俺を見て猫猫がニヤリと嗤う。医療道具箱から何かを取り出す音が響いた。

 

「もちろん拒否権はあるけど? 試す価値はあるんじゃない?」

 

その瞳には計算高い輝きがある。まるで標本を観察する科学者のような冷徹さ。

 

「本当にそうするしか手はないのか?」

 

俺が問い詰めると彼女は微かに苦笑した。

 

「残念ながら現状だとね。もし失敗したら……冥界と戦争だね」

 

それを聞いて、俺は。

 

「なんだか、悪魔よりも悪魔らしくないか」

女王は誰にする?

  • アルファ
  • ララ·サタリン·デビルーク
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