サムライガールの幼馴染みは王様を目指す(裏) 作:ボルメテウスさん
アルファの瞳孔が微かに開いた。長い睫毛の奥で蒼い虹彩が揺れる。彼女の美しい横顔に夕暮れの光が差し込み、彫像のような輪郭を際立たせていた。
「……考えさせて」
囁くような声。透き通る湖面のようなアルファの声には初めて感情のゆらぎがあった。彼女の長い指が無意識に耳を覆う。エルフ族の血が流れている証でもある尖った耳介に触れると落ち着く癖なのだろう。幼少期に故郷の森で過ごした日々を思い出させる仕草だ。
「時間はくれるかしら」
「もちろん」
俺は頷いた。
「急がなくてもいい。この世界は広い。お前みたいに存在が闇に沈むには勿体無い」
一瞬で頬が紅潮するのが見て取れた。青白かった肌に朱が走る。恥じらいと動揺が綯い交ぜになった表情が新鮮だった。戦士として鍛え上げられた完璧なプロポーションの肢体がわずかに強張る。
「……ありがとう」
小さな呟きと共に踵を返すアルファ。金糸のような髪が揺れて夜風に乗る。しかし彼女は三歩ほど進んだところで立ち止まった。華奢な背中越しに伝わる躊躇い。
「もし私が……」
言いかけて口を噤む。アルファの視線が俺の腕を這う。アーマード・ダークネス使用後の赤熱した傷痕を隠そうともしていない左腕だ。無数の亀裂が走り、皮膚の下で黒ずんだ筋繊維がうねるのが透けて見える。
「……命を賭けてもいいほど大切なものは?」
背を向けたまま尋ねる声音に芯があった。振り返らずとも俺を見ているのが分かる。
彼女は知っている。この男が今日限りで命を捨てる覚悟でいることも。
「・・・俺が目指している王道は、全ては絶花からあった。誰とでも友達になれる普通の国にな」
即答した途端に鈍痛が脳髄を貫いた。視界が暗転しかける。アーマード・ダークネスの負荷が全身を締め付ける。
「……そう」
それだけ言って闇へ踏み込むアルファ。月光を切り裂くようなしなやかな動きはまさに森の精霊を彷彿とさせた。最後の一瞥もないまま姿が溶け消えていく。
「───ッ!」
歯を食い縛りながら両脚に力を込める。だが意思に反して身体が傾いだ。バランスを保とうと伸ばした指先から力が抜け落ちる。
「まだまだ……」
言い終える間もなく世界が横に流れ始めた。木々の梢が斜めに傾いで見え、地面が遠ざかる。否──自分が倒れているのだと認識できたのは衝撃で背中が激しく打ちつけられてからだった。
冷たい土の感触。肺腑から抜けていく温もり。遠ざかる意識の中で思う。
「ちょっ太郎!ようやく見つけた」
「あっアスカ」
そのまま気絶する前に、アスカが俺を見つけた事に気づく。
「全く、あんた無茶し過ぎよ!」
「あははぁ、悪い」
「とにかく、帰るわよ」
そうして、俺はアスカに抱えられる形で、その場を立ち去って行く。
女王は誰にする?
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アルファ
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ララ·サタリン·デビルーク
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エミリア