サムライガールの幼馴染みは王様を目指す(裏) 作:ボルメテウスさん
カテレアの口から吐き出された言葉は、まさに冷たい刃のようだった。
「まさか、ここにいる三大勢力が、そのような人間を抑止力に選ぶなんてね」
そう、俺を指差した時、彼女の瞳には暗い炎が宿っていた。
「そんな時代遅れのやり方に価値などあるはずもない」
「だから何だって言うんだ?」
俺は鋭く問い返した。
「あんたらの理屈で言えば、俺は悪魔の世界から排斥されるべき異物ということか」
「その通り。異分子は排除するのが筋というもの」
カテレアの杖から紫黒の光が漏れ出す。魔法陣が一瞬で形成され、複雑な紋様が空中に浮かび上がる。
「ならば私がここで引導を渡すまで」
刹那——爆風が轟音と共に吹き荒れた。
衝撃波が鼓膜を貫いた。
一瞬、視界が歪む。
床を蹴ったつもりが足がもつれ、俺は壁に背中を強打した。
「ぐっ……!」
痛みより衝撃で息が詰まる。
だがそんなことより――
「……太郎君?」
リアスの声が遠くに聞こえる。
彼女が動けない理由は明白だ。
カテレアの放った巨大な雷撃の余波が会議室全体を覆い尽くしている。
窓ガラスは粉々に砕け散り、シャンデリアが落下寸前で宙に浮いている。
その中心で、カテレアは勝利を確信した笑みを浮かべていた。
「フフ……愚かな人間よ。貴様のような存在が悪魔の世界に足を踏み入れるなど……」
雷撃の奔流が更に膨れ上がる。
このままでは俺は灰燼に帰す――
「させないよ」
その声は、空間を切り裂くように澄んでいた。
「なっ――!?」
カテレアの顔が驚愕に歪む。
金色の閃光が雷撃を真っ二つに切り裂いたのだ。
眩い光の中から現れたのは――
「お前は……」
漆黒のボディスーツに身を包んだ、金髪碧眼の女性。
右手には鋭い片刃の剣を携えている。
「アルファ……!」
カテレアが忌々しげに唸る。
「どういうつもりだ!なぜ同じ組織である貴様が――」
カテレアの怒号が室内に響く。
だがアルファは剣を静かに構えたまま微動だにしない。
その蒼い瞳は、俺を――いや、この混沌そのものを映していた。
「そうね」
アルファの口元が初めて動いた。
その声音は氷のように冷たく鋭い。
「私は禍の団の一員だ。かつてはな」
「何だと……?」
カテレアの顔色が変わる。
「だがな」
アルファは一歩前に踏み出す。
黒いスーツが光を反射し、まるで死神の衣装のように見える。
「私は復讐のために入った」
剣の切っ先が微かに震えた。しかし怒りのためではない。抑えきれない激情が滲み出ている。
「私たち家族が滅ぼされたのは誰のせいだと思っている?」
その言葉に俺は息を飲んだ。
「私の両親も姉妹も友人も……」
声に込められた憎悪は底知れない。
「すべて三大勢力のせいで殺された」
俺は咄嗟に反論しようと口を開いた。
「……待ってくれ。それは」
「わかっている」
アルファが遮った。
「すべてが悪ではないことも理解している。だけど」
彼女は剣を空高く掲げた。
その刀身が光を帯び始める。
「私は復讐以外何もできなかった」
その瞬間――
「ならばここで終えよう」
カテレアが再度魔法陣を展開した。
先ほどよりも数倍巨大な雷撃が生成されていく。
雷の奔流が咆哮を上げる。
だがアルファは怯まない。
「ああ」
彼女は小さく頷いた。
そして俺に向かって向き直る。
「太郎」
その声には迷いがなかった。
「私がついていくと決めた相手はあなただ」
「……!」
「あなたの夢は馬鹿げているかもしれない」
アルファの口元に僅かな笑みが浮かぶ。
「しかし信じたいと思った」
雷撃が炸裂する寸前――
「だから私はあなたに仕える」
アルファの剣が一閃する。
カテレアの放った雷撃が真っ二つに切断された。
「なっ――」
カテレアの驚愕の声が掻き消える。
アルファの姿が消えたからだ。
次の瞬間――
「ぐはっ……!」
カテレアは、既に剣を斬り裂かれた。
致命傷にならないように。
「私の主は太郎ただ一人」
冷酷な宣告と共に剣を引き抜く。
カテレアは膝を折り、崩れ落ちていく。
「ふざけるな……なぜ……」
血に塗れた唇が震えた。
「それは簡単だよ」
アルファは血塗れの剣を振り払う。
「あなたと違って私は救われた」
彼女の視線が俺に向けられた。
その蒼い瞳には――今までになかった感情が灯っている。
「……アルファ」
俺は彼女をじっと見つめた。
何故彼女がここまでしてくれるのか。
答えは彼女自身が教えてくれた。
「だからこれからも支え続ける。例え道がどんなに険しくても」
そう言って跪くアルファ。
その姿は臣下そのものだった。
「……了解しました我が主よ。以後も変わらぬ忠誠を」
カテレアの敗北により禍の団の謀略は頓挫した。
だがこれは始まりに過ぎない。
三大勢力との和平条約締結。
新たな秩序の到来。
そして何よりも――
「太郎」
アルファが立ち上がると俺の横に並んだ。
「これからも一緒に戦うわよ」
その言葉に含まれる重みを噛み締める。
「ああ」
俺は頷いた。
「どんな運命でも共に行こう」
アルファの蒼い瞳が輝いた。
女王は誰にする?
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アルファ
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ララ·サタリン·デビルーク
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エミリア