サムライガールの幼馴染みは王様を目指す(裏) 作:ボルメテウスさん
「……酷い話だな」
資料を閉じた俺の手が震えていた。アルファから受け取った調査報告書は黒歌の境遇を克明に記していた。
「やっぱり、悪魔の奴らは下種が多いね」
アルファの声は珍しく沈んでいた。氷のような美貌に浮かぶのは紛れもなく悲痛な色だ。彼女は書類を机に戻しながら続ける。
「こいつが起こした数々の犯罪は、すべてこの男の陰謀だったみたい。証拠も揃ってるし」
彼女が示したページには魔法陣の写真が添付されていた。
喉の奥で何かが詰まるような感覚に襲われた。俺は拳を固く握りしめる。
「つまり黒歌は——」
「正当防衛どころじゃないよ。むしろ被害者側だね」
アルファがため息交じりに言い放つ。しかしその目は鋭く光っていた。
「問題は『はぐれ悪魔』というレッテルそのもの。教会も冥府も認めないからね。彼女の人生はすでに終わりかけてる」
その言葉が重く胸にのしかかる。法は悪を裁くが正義を必ずしも守らない。黒歌が犯した罪は確かに重い。だがその原因を作った者は罰せられていない——。
「私としては許せない」
アルファがきっぱりと言い切る。
「でも太郎はどう思う? 黒歌を救う価値があると思う?」
その問いかけに俺は黙考した。
彼女の過去と現在が脳裏で交錯する。
「間違ってはないけど……タイミングが悪すぎたんだ」
思いがけず漏れた言葉にアルファが眉を寄せる。
「どういう意味?」
「黒歌の気持ちも分かる。だけど、その結果、小猫を不幸にさせたのも事実だ」
「…そうね、それは間違いないわね」
俺の言葉に対して、アルファは肯定した。
「黒歌の願いをそのまま受け入れても、きっとこの先、姉妹が一緒に幸せになる事は出来ない。残酷な事だけどな」
「だったら、どうするの、我が主」
アルファが鋭く言い放つ。彼女の瞳に浮かぶのは厳しい現実への認識だ。
「黒歌に正義の鉄槌を下すのかしら?」
その問いには明らかな非難の響きがあった。アルファの口調に宿る温度差が肌を刺す。
「それとも彼女の望み通りにするつもり?」
「どちらも違う」
俺は毅然として答えた。
「黒歌の行動は確かに過ちだった。だが根源は虐げられた無力な存在の嘆きだ」
声が低く落ち着くように努めた。心の奥底で燻る怒りを鎮めるために。
「そして小猫もまた同じ痛みを背負っている。二人とも救われる資格がある」
アルファの表情がわずかに緩んだ。
「具体的には?」
「まずは事実を明らかにすべきだ」
俺は立ち上がり窓辺へ歩み寄った。
「黒歌が行った行為のすべてに至った過程を公にする。勿論、その時に黒歌はつらい思いはすると思うけど」
おそらくは、いや間違くなく妹である白音からは拒絶される。
それは、彼女の選択だから。
「それでも、その思いが変わらないんだったら、なんとかしなければな」
女王は誰にする?
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アルファ
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ララ·サタリン·デビルーク
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エミリア