※この作品はR-18です。

サムライガールの幼馴染みは王様を目指す(裏)   作:ボルメテウスさん

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天使との行為

ガブリエルが「太郎さん」と俺の名を呼ぶたび、その声は喉の奥でかすかに震え、耳の奥に甘く絡みつく。

 

彼女の部屋に足を踏み入れた瞬間、空気が変わった。

 

静かで、柔らかくて、どこか肌にまとわりつくような温度。

 

その中心に、ガブリエルが座っている。

 

清楚なはずの彼女が、ランプの光を浴びて輪郭をふわりと滲ませている。

 

光に溶けるように白い肌は、指先を近づければ吸い寄せられそうなほどなめらかで、

 

鎖骨から胸に落ちる影が、息を呑むほど綺麗だった。

 

――触れたい、と、ほんの一瞬でも思った自分に驚く。

 

ガブリエルはベッドの端に腰を下ろし、

 

胸の前で指を組んだり解いたりしながら、恥ずかしそうに視線を揺らしている。

 

「……太郎さん……こちらに、すわっていただけますか……?」

 

丁寧な言葉遣いなのに、ほんの少しだけ震えていて、

 

その弱さがかえって官能的だった。

 

隣に腰を下ろした途端、彼女の体温がすぐ近くにある。

 

触れてもいないのに、肩越しに熱が伝わってくる気がした。

 

横目で見たガブリエルの横顔は、

 

清楚そのものなのに、どうしようもなく色っぽかった。

 

長い睫毛の影、呼吸に合わせて上下する胸元、

 

指先をもじもじと落ち着かなくさせる仕草。

 

そのすべてが俺の神経をじわじわと支配していく。

 

ガブリエルはしばらく言葉を失っていた。

 

十二枚の翼が微かに震え、光の粒子がはらはらと舞い落ちる。

 

「……太郎さん。あなたは、今……“試してみる”と言いましたね?」

 

その声音は、天使というよりもひとりの女性のものだった。

 

「あぁ。俺は……天使の生き方に口を出せるほど偉くはないけど」

 

太郎は胸に手を置き、ゆっくりと言葉を続けた。

 

「でも、誰かを想う気持ちが罪になるなんて……俺は納得できない」

 

ガブリエルの青い瞳が揺れる。

 

それは光の反射ではなく、感情の揺らぎだった。

 

「……本来、人間の誰とも“交わる”ことは禁じられています。

 

 私たちは、愛を向けられるほど……壊れやすい種族なのです」

 

「壊れやすい?」

 

「特定の誰かに心を寄せすぎると……翼が反応してしまうのです」

 

胸元にそっと手を添えながら、ガブリエルは囁く。

 

「愛だと信じても、それが欲望と判定されれば……堕天が始まる」

 

俺は一歩、彼女に近づいた。

 

「……じゃあ、確かめてみたらいい」

 

ガブリエルは瞠目する。

 

「太郎さん……それはあまりに危険です」

 

「でも、誰か信頼できる相手じゃなきゃ試せないんだろ?

 

 俺が言いたいのは……“俺がやる”って意味じゃない」

 

俺の声は落ち着いていた。

 

だがその奥には、強い確信があった。

 

「本当なら……俺じゃなくて、信頼できる天使の男とか、

 

 そういう相手が良かったんだろうけどな」

 

ガブリエルは首を振った。

 

「……いいえ。

 あなたでなければ意味がありません」

 

「俺で……?」

 

「天界の矛盾を指摘し、

 “愛が堕天につながるとは思えない”と言い切ったのは……あなたです」

 

ガブリエルはそっと太郎の胸元に指を添えた。

 

「私は……その言葉に救われました。

 

 ですから、あなたでなければ……確かめられません」

 

俺の鼓動がわずかに跳ねた。

 

「……ガブリエル」

 

「もちろん、恐ろしくもあります」

 

ガブリエルは微笑んだが、その瞳は涙を含んでいた。

 

「もし私が間違っていたら……その瞬間、私は堕天するかもしれない。

 愛を向けた相手が、あなたであるほど、危険なのです」

 

太郎の喉が鳴る。

 

「それでも……いいのか?」

 

ガブリエルはゆっくりと頷いた。

 

「……はい。

 もしこれが愛なら、私は堕ちません。

 もしこれが欲なら……私は翼を失うでしょう」

 

天使としての誇りと女としての感情が、痛いほどせめぎ合っていた。

 

そしてガブリエルは、震える両手で俺の頬を包み込んだ。

 

「太郎さん……

 

 どうか……私を受け止めてください」

 

俺もまた、彼女の手をそっと握り返す。

 

「……あぁ。逃げないよ」

 

距離がゆっくりと縮まる。

 

ガブリエルの息が、俺の唇にかすかに触れた。

 

十二枚の翼が柔らかく広がり、金色の光が舞う。

 

「太郎さん……私、怖いのです……

 

 でも……あなたになら――」

 

俺は息を呑む。

 

「……始まるのか?」

 

「はい……これは、“愛か欲か”を判定する光……」

 

ガブリエルは太郎の胸元に額を預け、震える声で囁いた。

 

「どうか……見届けてください……

 

 私が……何者なのかを……」

 

「少し……緊張、してしまって……すみません……」

 

そう言うたび、胸元がやわらかく震える。

 

ほんのわずか襟が乱れていて、

 

光が滑り込んで白い肌を照らし、

 

目をそらすことが難しい。

 

俺が視線を逸らそうとすると、

 

そのタイミングを見計らったようにガブリエルが小さく息を吸う。

 

「太郎さん……わたし……こういうことは……慣れていなくて……」

 

その声の奥に、確かな“俺への好意”がある。

 

それがわかってしまうから、なおさら胸が締め付けられる。

 

ガブリエルの指が俺の胸元に触れた瞬間、

 

ほんの羽のような軽さなのに、

 

体の奥まで熱が刺すように走った。

 

「太郎さんに……見られると……変なのに……

 

 いやじゃ、ないんです……」

 

彼女のその言葉は、理性をかすかに削る。

 

至近距離で向き合うと、

 

ガブリエルの息が直接、俺の唇にかかるほど近い。

 

閉じられた睫毛が震え、

 

触れ合う直前の唇がほんのりと赤く染まっている。

 

その距離は、あとわずか。

 

ほんの一歩近づけば触れてしまう。

 

だが、触れたらもう後戻りはできない。

 

俺の鼓動がうるさくて、

 

ガブリエルの呼吸すらかき消しそうだ。

 

それでも彼女は、まるで覚悟を固めたように顔を寄せてきて――

 

唇が触れる手前、

 

ギリギリのところで静止する。

 

その一瞬の熱だけで、

 

まるで触れたような錯覚に陥るほどだった。

女王は誰にする?

  • アルファ
  • ララ·サタリン·デビルーク
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