※この作品はR-18です。

サムライガールの幼馴染みは王様を目指す(裏)   作:ボルメテウスさん

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ヒーローの目指す形

行為を終えた後も、ガブリエルさんの変化はなかった。

それは、つまり証明された事になる。

そこから先は、言葉が自重で崩壊するように濁された。

どれだけ神々しくても、触れれば壊れる陶器のような声音だった。

 

俺は返事をするべきか、しないべきか迷っていたが、

その隣でソラが、まるで稲妻に撃たれたみたいに小さく息を呑んだのがわかった。

 

彼女の視線が、俺に向けて、刺さる。

いや、刺さる、というのは語弊がある。

もっとこう、

“青空が真上から突然落ちてきて、視界を雲ごと支配された感じ”

というべきだ。

 

「……太郎さんって」

 

ソラが呟いた。声は震えていない。

ただ、まっすぐすぎて、むしろ危ない。

 

「普通の人じゃ、ないですよね?」

 

否定しようとした。

いや、否定するべきだろう普通。

しかし喉のあたりにまとわりついた言葉が拒んだ。

俺自身も、自分が普通じゃないことぐらい薄々理解していたからだ。

 

「ヒーロー、なんですね」

 

ソラの言葉は反論を許さない。

決めつけというより、確信に近い。

“空を飛んでここに来た私が言うんだから間違いありませんよ”

という天真爛漫さと説得力。

 

「いや、ヒーローってほどじゃ──」

 

「あります」

 

ソラは被せるように即答した。

あまりにも早くて、俺の言葉の出口が閉じられた。

 

「人を救いたいって思う心が、行動に繋がってる。

言葉じゃなくて、理由じゃなくて、結果としてそうなってる。

それがヒーローじゃなかったら、なんなんですか?」

 

ソラは胸に手を当てた。

その仕草はなぜか、戦士ではなく少女だった。

 

「私、知ってます。

世界を守るために戦う人を“ヒーロー”って呼ぶんです。

でも太郎さんは違います。

世界じゃなくて、『目の前にいる人』から助けようとする……

なんていうか……そういうの、ズルいですよ」

 

ズルい?

 

いや、聞き間違いじゃなかった。

 

彼女の頬はほんのり染まっていた。

天界の光が反射しただけじゃないとわかる、

妙に体温をもった赤だった。

 

「ズルいです。ずるすぎます」

「……俺が、か?」

「はい。太郎さんは……私の知ってる誰より、ヒーローです」

 

言葉が落ちるたび、胸の奥に何かが溜まっていく。

ソラ・ハレワタール。異世界の空の戦士。

青い髪を揺らして、まっすぐ俺を見てくる。

まっすぐすぎて、正直逃げ場がない。

 

「だから……気づいたんです」

 

一瞬、静寂が割れた。

 

「私、太郎さんの背中を見るのが好きなんだって」

 

好き。

それは恋人に向けるような甘いものではなく、

戦士が憧れに向ける熱。

けれどその熱は──確かに“恋”の温度に似ていた。

 

「王様だとか、強いとか、特別とか、そういうのじゃなくて……

太郎さんが迷って、それでも人を守ろうとしてる姿が……

すごく、心に刺さるんです」

 

言葉を探している彼女は不器用だ。

だが、不器用な分だけ嘘がない。

 

ウサリアが横で

「ひゅー……」

と、耳まで赤くして見ているのは気づいていたが、今は余裕がない。

 

ソラは視線を逸らして、ぽつりと言った。

 

「……そんな人を、放っておけるほど、私は器用じゃありません」

 

青い瞳が、じわりと潤む。

 

「太郎さん。私……あなたのことを──」

 

その瞬間、天界の空気がビリッと震えた。

ガブリエルの方で、別の天使たちが焦りに満ちた声を上げる。

 

「──ガブリエル様!反応が!」

女王は誰にする?

  • アルファ
  • ララ·サタリン·デビルーク
  • エミリア
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