※この作品はR-18です。

サムライガールの幼馴染みは王様を目指す(裏)   作:ボルメテウスさん

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外宇宙からの遭遇

 ロスヴァイセが写真を見て沈黙してから、しばらく妙な空気が流れていた。

 宇宙由来の戦闘アーマー。

 銀色の装甲。

 どう見てもこの世界の住人じゃない。

 

「……太郎さん」

 

 ロスヴァイセが、慎重に言葉を選ぶように口を開く。

 

「その……“謎のヒロインXX”という方は……

 今も、活動しているのですか?」

 

「してる。今も別宇宙で勤務中だ」

 

「勤務……?」

 

「銀河警察」

 

「警察……?」

 

 理解が追いついていない顔だ。

 無理もない。北欧神話の戦士に“銀河警察”は荷が重い。

 

「必要なら呼べる」

 

 俺がそう言うと、ロスヴァイセは一瞬固まった。

 

「……呼ぶ、とは?」

 

 俺は答えず、ポケットから小型の通信端末を取り出した。

 魔導具でも神器でもない、完全にSF寄りの代物だ。

 

「ちょ、ちょっと待ってください!

 今この場でですか!?」

 

「今が一番分かりやすい」

 

 端末を起動し、短い信号コードを入力する。

 この世界の言語でも、魔力波でもない。

 

 ――宇宙規格通信。

 

『……応答を確認』

 

 ノイズ混じりの音声が、端末から流れた。

 

『こちら、銀河警察・特別遊撃部隊所属。

 コードネーム:謎のヒロインXX』

 

 ロスヴァイセの目が見開かれる。

 

「し、喋った……!?」

 

「喋るに決まってるだろ」

 

『ツッコミが聞こえるので、

 どうやら現地はいつも通り混乱しているようですね』

 

 淡々としているが、どこか軽い。

 間違いない。

 

「久しぶり。XX」

 

『はい。

 観測対象:エンペラ星人後継者・唯我太郎。

 通信を受信しました』

 

「今、時間あるか?」

 

『あります。

 ただし“正確にどれくらいあるか”は知りません』

 

「知らないのかよ」

 

『銀河規模で任務をしていると、

 時間感覚はだいたい雰囲気になります』

 

 ロスヴァイセが、そっと手を挙げた。

 

「……質問しても、よろしいでしょうか?」

 

『はい。

 ただし、答えられないことは“知らない”と答えます』

 

 真顔で言うな。

 

「で、では……

 あなたは……人間、なのですか?」

 

『はい』

 

「では、先程の写真の姿は……?」

 

『アーマー装着状態です』

 

「身体は……機械では?」

 

『違います。

 “中身は生身です”』

 

「年齢は?」

 

『20歳以上です』

 

「正確には!?」

 

『知りません』

 

 即答だった。

 

 ロスヴァイセは頭を抱えた。

 

「なぜ、なぜそんな重要なことを……!」

 

『銀河警察では、

 “年齢を気にする暇があるなら任務をしろ”

 という文化がありまして』

 

「文化の問題なのですか!?」

 

 端末越しでも、XXが肩をすくめているのが分かる気がした。

 

『それより、太郎。

 今回の通信は“監視”ではなく“要請”ですね?』

 

「察しがいいな」

 

『信頼していますから』

 

 さらっと言う。

 ロスヴァイセが、はっとこちらを見る。

 

「……信頼?」

 

『はい。

 彼は、危険ですが――

 放置するより、隣にいた方が安全だと判断しています』

 

「評価基準が独特すぎます……」

 

『よく言われます』

 

 俺は一息ついて、要点を伝えた。

 

「北欧の神、ロキが動く」

 

『……なるほど』

 

 XXの声のトーンが、ほんの少しだけ変わった。

 

『神話干渉型の混沌因子ですね。

 こちらの宇宙では“非常に面倒なタイプ”です』

 

「対処できそうか?」

 

『完全な予測は不可能です』

 

「つまり?」

 

『やってみないと分かりません』

 

「正直だな」

 

『“分からないことを分かったふりをする”のは、

 最も危険ですから』

 

 その言葉に、ロスヴァイセが小さく息を呑んだ。

 

「……その考え方、

 北欧の神々にも見習ってほしいものです」

 

『神々はだいたい見習いません』

 

「即答!?」

 

 俺は苦笑しながら言った。

 

「来れるか?」

 

『はい』

 

「世界線、越えられるか?」

 

『問題ありません』

 

「宇宙船で?」

 

『当然です』

 

 ロスヴァイセが限界だった。

 

「ま、待ってください!

 宇宙船で世界線を越えるとはどういう……!」

 

『説明すると長くなります』

 

「説明してください!」

 

『私も完全には理解していません』

 

「理解していないのですか!?」

 

『ですが、

 “来る”ことと“戦う”ことは出来ます』

 

 その言葉に、不思議と不安はなかった。

 

「十分だ」

 

『了解しました』

 

 通信の向こうで、何かが起動する音。

 

『到着まで、体感で数分。

 現地時間では――』

 

 少し間が空く。

 

『正確には知りません』

 

「最後までそれかよ」

 

『仕様です』

 

 通信が切れた。

 

 沈黙。

 

 ロスヴァイセは、しばらく何も言えずにいたが、やがて静かに俺を見る。

 

「……太郎さん」

 

「ん?」

 

「あなたが“王になるかどうか”は分かりません」

 

「俺も分からない」

 

「ですが……

 この状況で、

 宇宙から“謎のヒロインXX”を呼ぶ判断をする方は――」

 

 言葉を選び、彼女は続けた。

 

「少なくとも、

 ロキの思惑通りには動かないでしょうね」

 

 その評価には、皮肉と、ほんの少しの信頼が混じっていた。

 

(ああ……それでいい)

 

 空を見上げる。

 

 やがて、この世界の空に、 明らかに異物な“星の軌跡”が差し込んでくる。

女王は誰にする?

  • アルファ
  • ララ·サタリン·デビルーク
  • エミリア
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