サムライガールの幼馴染みは王様を目指す(裏) 作:ボルメテウスさん
ロキが本気に入ったのは、空気の密度が変わったことで分かった。遊びの延長のような余裕は消え、空間そのものが彼の魔力に従属し始める。次の瞬間、無数の魔法陣が空中に展開された。北欧式のルーンだけではない。歪められ、混ぜ合わされた異系統の術式が重なり合い、狙いを俺とXXに定める。
「いいね。やっぱり“動く相手”じゃないと、壊しがいがない」
ロキの指先が振られると同時に、魔法の奔流が放たれた。雷、氷、呪詛、概念干渉を伴う不可視の刃。それらが一斉に殺到し、逃げ場を消す。
俺は一歩も引かない。意識を集中させ、胸元から右肩、腕へと黒い装甲を展開する。アーマード・ダークネスが部分的に顕現し、鎧が軋むような音を立てた。全展開は危険だ。だが、これで十分だ。
『防御展開』
XXの声と同時に、半透明の魔力障壁が展開される。宇宙規格で最適化された防御。ロキの魔法が衝突し、爆ぜ、光と衝撃が空間を揺らすが、障壁は揺れるだけで崩れない。俺の装甲にも衝撃が叩きつけられるが、闇がそれを呑み込み、受け流す。
「ほう……」
ロキが目を細めた。
「北欧の魔法が、こんな風に弾かれるとはね」
防御は一瞬。次の瞬間には、俺は地を蹴っていた。XXも同時だ。役割分担は言葉にしなくても分かっている。俺は切り込み、XXは制圧。
距離が詰まる。ロキが即座に魔法陣を組み替えるが、その判断よりも速く、俺は刀を振るった。アーマード・ダークネスの闇を纏った刃が、空間を歪めながら斜めに走る。魔法陣が切り裂かれ、術式が崩壊する。
『射線確保』
同時に、XXのアーマーから高出力レーザーが放たれた。直線的で、迷いがない。ロキの回避行動を読んだ角度。魔法的防御をすり抜け、神の側面を掠める。
「――っ!」
ロキが距離を跳ねる。完全には避けきれない。切り裂かれた空間の余波と、レーザーの熱が、確実に彼を捉えている。
「いいね……実にいい」
それでも、ロキは笑った。痛みではなく、楽しさを噛みしめるように。
「神話の戦いに、こんな連携を持ち込むとは……」
俺は刀を構え直し、XXは次の射撃に備えて姿勢を低くする。互いに視線を交わす必要はない。もう分かっている。
(こいつは、近づかなきゃ止まらない)
ロキが再び魔力を高める。その中心で、フェンリルの気配が呼応するように唸りを上げた。
刃と光が交錯する中で、俺は確信していた。このままでは決着がつかない。ロキは致命を避け、遊ぶように距離を操り、神話的耐久で攻撃を受け流している。こちらが主導権を握っているように見えて、実際には“消耗戦”に引きずり込まれつつあった。
その瞬間、視界の端で銀色の軌跡が走った。
XXが、何の前触れもなく槍を投げてきた。声も指示もない。ただ、最適な角度と速度で放られたそれは、疑いようもなく“俺が取る前提”の一投だった。
俺は迷わず、片手を伸ばす。衝撃が腕に走るが、アーマード・ダークネスの装甲がそれを受け止め、力を吸収する。槍は重い。だが、不思議と馴染む。これは武器というより、戦うための“答え”だ。
『判断一致』
XXの短い声が聞こえた。
俺は一度だけ、アーマード・ダークネスの刀に視線を落とす。闇を纏った刃は強力だが、制御の負荷が大きい。長期戦には向かない。今、必要なのは“押し切る”力だ。
次の瞬間、刀を手放した。
代わりに、槍を握り直す。さらに、背中からもう一本。エンペラ星人の血が呼応し、闇の装甲が形を変え、もう一振りの槍を形成する。一本はXXから渡された銀色の槍。もう一本は、アーマード・ダークネスが生み出した黒槍だ。
二つの槍を構えた瞬間、空気が変わった。間合いが、思想ごと書き換えられる。
「……へえ」
ロキが、初めて露骨に警戒の色を見せた。
「刀を捨てて、槍か。
しかも二本持ち。ずいぶんと“本気”だね」
「長引かせる気はない」
それだけ答える。説明は不要だ。
『近接制圧に移行します』
XXが後方に下がり、射線と支援角度を再構築する。役割分担は明確だ。俺が前に出て、ロキを縛る。XXは“逃げ場”を消す。
足を踏み出した瞬間、世界が細くなる。視界にはロキだけ。一本目の槍で牽制し、二本目で間合いを殺す。突き、払う。回転しながら距離を詰める。二槍は互いを邪魔せず、むしろ軌道を補完し合っている。
「なるほど……」
ロキが、楽しそうに笑った。
「それが、君の“王の戦い方”か」
答えは動きで示す。黒槍が魔法陣を砕き、銀槍が回避先を封じる。神話の自由度を、物理と概念の両側から削り取る。
(逃がさない)
二本の槍を構えたまま、俺はさらに踏み込む。ここからは、速さと圧力の勝負だ。ロキが遊びを捨てる前に、押し切る。
女王は誰にする?
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アルファ
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ララ·サタリン·デビルーク
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エミリア