サムライガールの幼馴染みは王様を目指す(裏) 作:ボルメテウスさん
世界が、二色に割れていた。
俺の右手にあるのは、アーマード・ダークネスが形成した黒槍。重く、深く、触れただけで空間を沈める闇の結晶だ。そこにはエンペラ星人としての“皇帝の闇”が、何一つ飾られずに宿っている。支配、圧倒、屈服を強いる絶対の力。理性で押さえなければ、全てを踏み潰そうとする本能の塊だ。
そして左手。XXから託された銀の槍。こちらは軽く、鋭く、触れた空気すら浄化するような光を帯びている。ウルトラマンメビウス――皇帝を倒した存在の系譜。その“光の在り方”が、理由も理屈もなく、俺の中で確かに呼応していた。
この世界は、そのどちらも知らない。知らないまま、今、二つが同時に現れている。
「……なんだ、その光と闇は」
ロキの声には、明確な動揺があった。
「二本の槍? いや……性質が違う。規格が、合っていない」
俺は答えない。言葉にする必要がない。二つの力は、俺の意思に関係なく、既に噛み合っている。相殺ではない。対立でもない。互いを拒まず、互いを縛らず、ただ“同時に在る”。
「北欧神話の体系じゃない……いや、神話ですらない……?」
ロキの魔法陣が、わずかに歪む。判断が遅れている。今まで見てきた混沌とは、質が違うのだ。
「闇の方は……王の闇? 否、もっと古い……“皇帝”の気配だ」
黒槍を振るう。空間が沈み、ロキの魔法が一瞬、重力に捕まったように落ちる。
「待て……光まで混じっているだと?」
銀槍が続く。光が走り、闇が切り開いた軌道をなぞるように、魔法を正確に貫く。
「闇と光は対立するものだろう……なぜ、同時に扱えている……?」
それは、俺自身も完全には分からない。ただ一つ言えるのは、どちらかを否定した瞬間、この形は崩れるということだ。だから俺は、選ばない。両方を握り続ける。
「貴様……自覚はないのか」
ロキが後退する。神としての余裕が、明確に削れていく。
「その闇が何を意味するか……!」
黒槍が振り下ろされ、地面が砕ける。支配の力が、ロキの動きを縛る。
「そして、その光……まさか……“倒した側”の力……?」
銀槍が突き出され、闇が作った“逃げ場のない瞬間”に、光が差し込む。
「あり得ない……皇帝の闇と、それを滅ぼした光が、同一の器に……?」
ロキの笑いが、乾いたものに変わる。
「はは……ははははは……!」
だが、それは楽しさではない。理解不能なものを前にした、神の焦りだ。
「なるほど……王候補……」
二槍を交差させ、俺はさらに踏み込む。距離を与えない。考える時間を奪う。
「君は……神話の外に立つ存在だ」
黒と銀が交錯するたび、ロキの魔法は一つずつ剥がれ落ちていく。
「この世界が、君を知らないのも当然だ……」
光が走り、闇が押し潰す。連携ではない。同時存在そのものが、攻撃だ。
「だが……」
ロキが最後の魔力を引き絞る。
「これ以上、遊べないな……!」
だが、遅い。
「来い、太郎……!」
俺は、二本の槍を構え直す。
「――終末を、越えてみせろ!」
答えは動きだ。黒槍で圧し潰し、銀槍で貫く。光と闇が同時に収束し、ロキの防御を完全に上回る。
「卑怯も、正義も、もう関係ない」
ロキの声が、崩れる。
「ここからは……“力の差”だ」
それは、俺の言葉じゃない。彼自身が認めた現実だ。
「……ッ!」
衝撃が走る。
「……くっ……!」
ロキの体が、吹き飛ばされる。
「……馬鹿な……」
地に伏しながら、なお信じられない顔で呟く。
「この圧……完全に……」
俺は槍を下ろさない。ただ、終わったことを理解している。
「はは……参った……」
ロキが、力なく笑った。
「やられたよ……王……」
こうして、放課後のラグナロクは一つの終わりを迎えた。
神話の悪神は敗れ、世界は辛うじて壊れずに済んだ。
だが――
光と闇を同時に握る存在が現れたことだけは、確かに刻まれた。
女王は誰にする?
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アルファ
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ララ·サタリン·デビルーク
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エミリア