サムライガールの幼馴染みは王様を目指す(裏) 作:ボルメテウスさん
戦場の余韻が、ようやく静まり返り始めた頃。崩れた結界は修復され、ロキの残した神話的干渉も次第に薄れていく。戦闘そのものは終わったが、世界が受けた衝撃はまだ完全には消えていない。そんな中、少し離れた場所で、二人の声が静かに交わされていた。
「いやはや……実に愉快だ」
「オーディン様……“愉快”で済ませてよろしい状況ではないと思いますが……」
ロスヴァイセの声には疲労と戸惑いが混じっている。無理もない。神話の終末を担う存在を前にし、その常識が次々と裏切られたのだから。一方でオーディンは、杖に手を置いたまま、楽しげに空を見上げていた。
「そうか? 北欧神話の悪神が敗れ、世界は壊れず、しかも未知の力が観測できた。これ以上、神として楽しいことがあるかね」
「未知……というより、理解不能です。あの“謎のヒロインXX”という存在……神話体系にも、魔力理論にも属していない……」
ロスヴァイセは視線を落とし、思い返すように言う。魔法でも神術でもない力が、戦場を制圧した光景。その異質さは、彼女の価値観に深く刻み込まれていた。
「だからこそだ。神話の外から来た観測者。しかも、太郎の判断一つで戦場をひっくり返す」
「……正直に申し上げますと、私は怖いです」
「ほう?」
オーディンが、わずかに興味深そうに眉を上げる。
「太郎さんは、あまりにも自然に“切り札”を切りました。躊躇も、慢心もなく……まるで、それが当然だというように」
それは事実だった。俺自身、振り返ってみても迷いはなかった。選択肢としてそこにあり、必要だったから使った。それだけだ。
「王とは、そういうものだ」
「ですが……あの二つの力。闇と光を同時に扱うなど……均衡を失えば、本人が壊れてしまう可能性も……」
ロスヴァイセの声がわずかに揺れる。護衛として、戦士として、そして一人の人間としての不安が滲んでいた。
「それでも、彼は踏みとどまった」
「……はい」
「恐れず、しかし溺れず。使い切らず、押し切った。
実に見事だ」
オーディンの評価は、迷いがない。それは賛美というより、事実の確認に近かった。
「オーディン様は……本当に、これから起こる出来事を楽しみにしておられるのですね」
「もちろんだ。彼は必ず、この世界に“まだ誰も知らない問い”を持ち込む」
「問い……ですか」
「神とは何か。正義とは何か。
そして――王とは、何を壊し、何を残す存在なのか」
その言葉に、ロスヴァイセはしばらく黙り込んだ。やがて、ゆっくりと息を吐く。
「……私は、不安です」
「だが?」
「それ以上に……太郎さんなら、最後に“残す側”を選ぶと、信じています」
護衛としての覚悟。戦士としてではなく、王に仕える者としての信頼。その言葉には、揺るがない芯があった。
「ふふ……それが護衛というものか」
「はい。
戦士としてではなく……一人の王に仕える者として」
「ならば安心だ。王が進み、護衛が信じ、未知が道を拓く。
これほど美しい展開はない」
「……オーディン様」
「なんだね」
「どうか……太郎さんを、“試す”だけで終わらせてください」
「約束はできん。だが――」
「?」
「壊れる前に、必ず“面白く”なる。
それだけは保証しよう」
「……本当に、困ったお方です」
「神とは、そういうものだよ」
二人の会話を聞きながら、俺は遠くで修復されていく空を見ていた。
未知は、まだ始まったばかりだ。
だが少なくとも――信じてくれる者がいる限り、進む理由は十分だった。
女王は誰にする?
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アルファ
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ララ·サタリン·デビルーク
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エミリア