サムライガールの幼馴染みは王様を目指す(裏) 作:ボルメテウスさん
京都駅の構内は、観光客のざわめきで満ちていた。修学旅行生の姿も多く、浮ついた空気が街全体を覆っている。だが、その中に紛れ込むには、どうしても異質すぎる気配があった。雑踏の中に立っているはずなのに、周囲から一歩だけ距離を置いているような存在感。視線を向けた瞬間、それが“人混みの一部ではない”と分かる。
背は高めで、すらりとした体格。赤いジャケットを無造作に羽織り、下はラフなパンツスタイル。派手というほどではないが、妙に目を引く色合いだ。長い黒髪は肩口で揺れ、整った顔立ちは大人びているのに、どこか学生のような軽さも残している。だが何より印象的なのは、その目だった。鋭いわけでも、威圧的なわけでもない。ただ、こちらを“観測する”ためだけに存在しているような視線。
「――へえ。京都の妖怪たちが“人間の少年”を頼る時代か」
初対面のはずなのに、まるで前から知っていたような口ぶりだった。
「盗み聞きとは、あまり感心しないな」
「はは、気づいてた? さすがだね」
距離感が妙だ。敵意も警戒も見せず、かといって馴れ馴れしすぎるわけでもない。ただ自然体で、俺の反応を確かめるように笑っている。
「誰だ」
短くそう問うと、彼女は肩をすくめた。
「蒼崎青子。ま、通りすがりの魔法使い……みたいなもん」
“魔法使い”という単語が、冗談のように軽く投げられた。だが、その瞬間、空気がほんのわずかに軋んだ気がした。理屈じゃない。直感だ。この女は、冗談でそんな言葉を使う立場にいない。
「“みたい”って言い方が一番信用できない」
「正解。疑えるなら大丈夫そうだ」
青子は楽しそうに笑いながら、俺と京都の街並みを交互に眺める。その視線の動きが、まるで地図をなぞっているように見えた。
「用件は?」
「二つある」
「多いな」
「一つ目。この京都、世界線が歪み始めてる」
軽い口調とは裏腹に、言葉の中身は重い。俺は一瞬だけ息を整えた。
「……やっぱりか」
「二つ目。その中心に、アンタがいる」
その言い方に、確信があった。推測ではなく、観測結果として告げている。
「光と闇の話か」
「うん。しかも“王になるかどうか”の分岐点」
「随分とはっきり言うな」
「はっきりしてるから来たんだよ。中途半端なら放っとく」
止めに来たわけじゃない。排除する気もない。ただ、見届けるために立っている。彼女の立場が、ようやく見えてきた。
蒼崎青子。
この女は、京都の妖怪達とも、禍の団とも、神話勢力とも違う場所に立っている。世界の内側ではなく、少しだけ外側。だからこそ、今ここに現れた。
そして俺は、そんな“外側の人間”に見られる位置に、もう立ってしまっているらしい。
女王は誰にする?
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アルファ
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ララ·サタリン·デビルーク
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エミリア