サムライガールの幼馴染みは王様を目指す(裏) 作:ボルメテウスさん
地面に突き刺さった斬月を見下ろしていたら、絶花がそわそわと胸元を隠した。
胸の中心で、天聖が淡く光っている。
「ねえ、なんか違くない?」
違和感っていうか、言葉の奥の方で何かが蠢くみたいな違和感。
「違和感?」
「うん。なんて言ったら良いのかって、天聖!」
胸の中心から光がぴっ、と跳ねて、絶花が両手でそれを隠す。
恥ずかしさと違和感が入り混じった声。
斬月は静かにそこにいる。
刃が地面に食い込んでいるだけで、言葉は発しない——でも、存在が語ってくる。
「おいおい、どうなっていやがるんだ?これは」
意識の端に、どこか聞いたような低い声が滑り込む。
斬月の声だ。冷静で、説明するというより、断定する感じ。
違和感を言葉にしようとする絶花を、斬月は斬るように見透かす。
「なるほど、これが彼女の中にある神器という訳か」
絶花はふわっと顔を赤くして、
「えっ、それって一体」
震える笑顔で尋ねる。
胸の光を隠しながら。
「なんか、俺も目覚めたみたい。こんな感じの刀が」
そう言いながら俺は自分の胸の奥に触れる。
そこにあるのは刃そのものじゃないけれど、確実に“存在”としてそこにある。
斬月は静かに斬月であり続ける。
余計な装飾は入れない。
「視えることと、理解することは別だ。ここにあるものは……程度が違う」
その言葉は説明じゃない。
“核心を指すだけの言葉”。
絶花が戸惑いながら言う。
「えっと…これってどういう…?」
胸の中心で光る天聖が、問いを代弁するようにちくり、と光った。
俺を見ながら、絶花の声が少しだけ震える。
「……すごいな、っていうか、なんか…その、冷静だよね」
まるで自分の胸が光り続けることに気が取られているみたいに言う。
斬月はじっと、俺の中から見える光と、そこにある意思を同時に受け止めている。
「強さとは、揺るぎなく刀を振るう意思だ。迷いは刃を鈍らせる」
斬月の声は説明ではなく、核心だけをピンポイントで掴んでくる。
絶花の身体が少しこわばる。
恥ずかしさと、理解しようとしている熱とが混ざったまなざし。
「……えっと、それってつまり?」
問い直すけど、言葉の速度が一瞬詰まる。
「普通に生きたい、って感情と“刀で切る”って感情は別の尺度じゃないのか?」
天聖の声が胸元で光の温度を変える。
皮肉にも、真面目で、でも外すところは外す。
「……ううん。私はどっちも守りたいんだけど!」
絶花は手をぎゅっと握る。
胸の光が漏れそうなくらい、強くなる。
斬月は一瞬だけ俺を見た。
説明はしない。断言だけ置いていく。
「守るなら、覚悟を定めろ。迷いは刃を鈍らせる」
その言葉は、気取った台詞じゃない。
ただ、核心だけがそこにある。
絶花は言葉を飲み込んだように、少しだけ目を伏せる。
天聖の光が胸で、静かに脈打った。
光がまだ胸元で揺れている。
絶花の手が、ほんの少し震えた。
「……それでさ、冷静って何?」
言葉が、ふわりと霧みたいに浮かんだ。
問いってほどでもなくて、もっと自分で理解したいみたいな問い。
斬月は地に突き刺さったまま、静かに声をくれた。
「冷静とは、対象を斬る前に対象そのものを視ることだ」
その語りは、余韻が残る。
説明じゃなくて、刃の本質を言葉にしただけ。
絶花の眉が、ほんの少し寄る。
「……対象を視る前に言葉を出すのは、違うんじゃない?」
声は小さめ。
でも、しっかり核心を突く。
その瞬間、天聖がほんの微かにへたりと震えた。
まるで、言葉を受け止めたみたいに。
俺はその様子を見ながら、黙って場所を少し詰める。
斬月は続ける。
「言葉に意味を与えるのは、行為の後だ。観念をまとった剣は、刃じゃない」
語調は冷たいわけじゃない。
ただ、戦うことと考えることを分けている。
絶花は目を伏せた。
光っている天聖の色が、ほんの少しだけ赤みを帯びた気がした。
「……そっか。でも、私にとって言葉は盾でもあり刃でもある。だからこそ…言いたくなるんだよ」
声は曖昧な線を描いていた。
言葉を刃にするのではなく、誰かを守るための言葉。
斬月はしばらく間を置く。
「言葉は、意思の刃だ。だが…意思を先に斬る必要はない。理解した後なら、だがな」
その「だがな」は、挑発でも嘲笑でもなく、
静かに核心へ射す一閃のようだった。
絶花の身体が、ほんの少しだけ縮まる。
恥ずかしいからじゃない。
言葉の振動を受け止めた瞬間の、内側の小さな閃光。
「……ふぅん」
絶花はそっと息を吐いた。
手を胸元から離し、そのまま下ろす。
光はまだ揺れている。
だが、絶花の肩先には、ほんの少しだけ覚悟の影が乗っていた。
その影を見た瞬間、
俺の胸の奥の“何か”も、確かに少しだけ反応した。
名前の無い感覚だった。
でも、確かに、今ここで何かが動いた。
「というか、刀同士が喋るって、なんだか笑える」
「今更!!」
女王は誰にする?
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アルファ
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ララ·サタリン·デビルーク
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エミリア