※この作品はR-18です。

サムライガールの幼馴染みは王様を目指す(裏)   作:ボルメテウスさん

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倉庫の錬金術師

港の潮気から離れた町外れには、使われなくなった倉庫が並んでいて、昼でも薄暗い影を腹に抱えているように見えた。

錆びたシャッターの隙間から風が鳴り、金属の匂いが乾いた音に混ざって喉の奥へ刺さってくる。

式が「報酬が出る」と言った時点で嫌な予感はしていたけれど、そういう予感ほどだいたい当たる。

 

「・・・なんか、最近、ここに変な音が聞こえるらしいけど、絶花はどう思う」

わざと軽く言ってみたが、絶花の足取りは最初から軽くない。

 

「その前になんで私を連れてきたのかを聞きたいんだけど」

絶花は胸元を押さえ、天聖が喋り出さないように指先で制服の布をつまんでいた。

 

「なんとなく暇そうだったから」

俺が言うと、絶花の頬がさっと赤くなり、呼吸が一拍だけ速くなる。

 

「ひっ暇じゃないよ!その、色々とあって」

強がるみたいに言い切ってから、目線だけが倉庫の扉へ滑っていく。

 

「けど、流子はまた転校して、どっか行っただろ」

冗談のつもりで投げた言葉が、絶花の肩に小さく当たったのが分かった。

 

「うぅ、それは言わないでよぉ」

声が細くなり、指先が胸元の布をぎゅっと掴む。

 

「どっちにしろ暇だったら、付き合ってくれよ。式が報酬があるって行ってくれたから」

王様を名乗る俺が、結局は小遣いの匂いに釣られているのが情けなくて、口の端がひくついた。

 

「・・・太郎って、確か王国の駒で立場としては、式さんよりも位が高いよね」

絶花がじっと見上げてくる視線に、居心地の悪さが背中へ回る。

 

「・・・この辺でまともなバイトはないから」

言い訳みたいに言った瞬間、絶花は呆れたように眉を寄せ、それでも止めきれない顔をした。

 

「えぇ」

短い嘆きが、倉庫の壁に吸われていく。

 

「とにかく、行くぞさぁ!」

気合を押し付けるように扉へ手を伸ばした瞬間、空気が一度だけ引き絞られた気がした。

 

次の刹那、扉の内側から白い閃光が噴き上がり、衝撃が胸を殴って視界の端がはじけた。

身体が宙へ持ち上がり、背中から地面へ叩きつけられるまでの一瞬がやけに長く伸びた。

砂利が肩に食い込み、肺の奥から息が漏れて、喉が乾いた音を立てる。

 

「たっ太郎!!大丈夫」

絶花の声が近づき、足音が不揃いに跳ねるのが耳の内側で分かった。

 

「痛っまた、失敗したってんっ?」

爆煙の向こうから、妙に元気な声が聞こえてきて、状況のズレに頭が追いつかない。

 

俺が顔を上げようとした瞬間、頭頂部に柔らかい重みが降りてきて、首が反射で沈んだ。

髪を踏まないように気を遣っているのが分かる圧で、逆に背筋がぞわっと粟立つ。

視界の端に、太ももとブーツの影が見えて、誰かが俺の頭に腰掛けていると理解した途端に心臓が跳ねた。

 

「・・・うん、柔らかいね」

上から落ちた声は明るく、危うさを楽しむみたいな温度があって、俺の背中に冷たい汗が滲む。

 

「・・・きゃぁぁぁぁ!」

絶花の悲鳴が倉庫街に突き刺さり、爆煙の残りを震わせていった。

 

爆発でひしゃげた扉の向こうには、床に円を描くような光の線が走り、薬品の甘い匂いと金属の焦げが混ざって渦を巻いていた。

その光景を見ただけで、ここが「変な音」で済む場所じゃないと腹の底が理解してしまう。

女王は誰にする?

  • アルファ
  • ララ·サタリン·デビルーク
  • エミリア
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