サムライガールの幼馴染みは王様を目指す(裏) 作:ボルメテウスさん
港の潮気から離れた町外れには、使われなくなった倉庫が並んでいて、昼でも薄暗い影を腹に抱えているように見えた。
錆びたシャッターの隙間から風が鳴り、金属の匂いが乾いた音に混ざって喉の奥へ刺さってくる。
式が「報酬が出る」と言った時点で嫌な予感はしていたけれど、そういう予感ほどだいたい当たる。
「・・・なんか、最近、ここに変な音が聞こえるらしいけど、絶花はどう思う」
わざと軽く言ってみたが、絶花の足取りは最初から軽くない。
「その前になんで私を連れてきたのかを聞きたいんだけど」
絶花は胸元を押さえ、天聖が喋り出さないように指先で制服の布をつまんでいた。
「なんとなく暇そうだったから」
俺が言うと、絶花の頬がさっと赤くなり、呼吸が一拍だけ速くなる。
「ひっ暇じゃないよ!その、色々とあって」
強がるみたいに言い切ってから、目線だけが倉庫の扉へ滑っていく。
「けど、流子はまた転校して、どっか行っただろ」
冗談のつもりで投げた言葉が、絶花の肩に小さく当たったのが分かった。
「うぅ、それは言わないでよぉ」
声が細くなり、指先が胸元の布をぎゅっと掴む。
「どっちにしろ暇だったら、付き合ってくれよ。式が報酬があるって行ってくれたから」
王様を名乗る俺が、結局は小遣いの匂いに釣られているのが情けなくて、口の端がひくついた。
「・・・太郎って、確か王国の駒で立場としては、式さんよりも位が高いよね」
絶花がじっと見上げてくる視線に、居心地の悪さが背中へ回る。
「・・・この辺でまともなバイトはないから」
言い訳みたいに言った瞬間、絶花は呆れたように眉を寄せ、それでも止めきれない顔をした。
「えぇ」
短い嘆きが、倉庫の壁に吸われていく。
「とにかく、行くぞさぁ!」
気合を押し付けるように扉へ手を伸ばした瞬間、空気が一度だけ引き絞られた気がした。
次の刹那、扉の内側から白い閃光が噴き上がり、衝撃が胸を殴って視界の端がはじけた。
身体が宙へ持ち上がり、背中から地面へ叩きつけられるまでの一瞬がやけに長く伸びた。
砂利が肩に食い込み、肺の奥から息が漏れて、喉が乾いた音を立てる。
「たっ太郎!!大丈夫」
絶花の声が近づき、足音が不揃いに跳ねるのが耳の内側で分かった。
「痛っまた、失敗したってんっ?」
爆煙の向こうから、妙に元気な声が聞こえてきて、状況のズレに頭が追いつかない。
俺が顔を上げようとした瞬間、頭頂部に柔らかい重みが降りてきて、首が反射で沈んだ。
髪を踏まないように気を遣っているのが分かる圧で、逆に背筋がぞわっと粟立つ。
視界の端に、太ももとブーツの影が見えて、誰かが俺の頭に腰掛けていると理解した途端に心臓が跳ねた。
「・・・うん、柔らかいね」
上から落ちた声は明るく、危うさを楽しむみたいな温度があって、俺の背中に冷たい汗が滲む。
「・・・きゃぁぁぁぁ!」
絶花の悲鳴が倉庫街に突き刺さり、爆煙の残りを震わせていった。
爆発でひしゃげた扉の向こうには、床に円を描くような光の線が走り、薬品の甘い匂いと金属の焦げが混ざって渦を巻いていた。
その光景を見ただけで、ここが「変な音」で済む場所じゃないと腹の底が理解してしまう。
女王は誰にする?
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アルファ
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ララ·サタリン·デビルーク
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エミリア