※この作品はR-18です。

サムライガールの幼馴染みは王様を目指す(裏)   作:ボルメテウスさん

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サムライガールの寂しさ

京都のホテルに戻ったのは深夜だった。廊下の静寂が足音を吸い込み、カードキーをスロットに通す電子音だけがやけに大きく響く。ドアを開けると、室内は薄暗く、窓際に佇む小さな影が目に入った。

 

「……遅い」

 

絞り出すような声に、胸が紧缩した。振り返った絶花の顔には怒りと不安が混ざり合い、紫の瞳が微かに潤んでいるのがわかる。制服のブレザーは乱れたままで、リボンが緩んでいるのも気にしていない様子だった。

 

「悪りぃ。ちょっと……用事があって」

 

「用事? 私を置いていくような用事?」

 

一歩踏み出すと、彼女は後退りした。その動作が痛いほど語っていた。置いていかれる恐怖。見捨てられる不安。それらが彼女の小さな体を縛り付けている。

 

「……私、待ってたんです。ずっと。窓の外見て、どこに行ったのかって。帰ってこないし、連絡もないし……」

 

震える声が途切れ途切れになる。八坂との情事の余韻など消し飛ぶほどの罪悪感が俺を打ち据えた。彼女は知らない。俺がどこで何をしていたかなんて。ただ、帰ってこないという事実だけが彼女を傷つけた。

 

「絶花」

 

名前を呼んで近付くと、彼女は肩を窄めた。逃げない。ただ怯えている。幼馴染の俺に対してじゃない。自分の中の不安に対してだ。

 

「……私だけ置いていかれるの、怖いんです。昔からずっと。お父さんもお母さんも忙しくて、いつも一人で……だから、太郎がいないとって……」

 

最後は聞き取れないほど小さな声だった。俺は手を伸ばし、彼女の華奢な肩を抱き寄せる。一瞬だけ硬直した体が、ゆっくりと俺の胸に預けられた。

 

「悪かった。もう置いてかねぇよ」

 

「……本当に?」

 

顔を上げた絶花の瞳は、不安と期待の狭間で揺れていた。月光に照らされたその顔は儚く、壊れそうで、それでいて芯のある強さを秘めていた。

 

「ああ。俺はここにいる。ずっと」

 

言葉に力を込めると、彼女の表情が少しだけ緩んだ。安堵か、あるいはそれ以上の何かか。俺の胸元に額を押し付け、小さく息を吐く。

 

「……証明してほしい」

 

呟きに、心臓が跳ねた。

 

「……え?」

 

顔を上げた絶花は、頬を染めながらも真っ直ぐに俺を見ていた。その眼差しには迷いがない。ただ求めるだけの、純粋な渇望。

 

「言葉だけじゃなくて……体で、証明してほしいんです。……私が望めば、離れないって」

 

喉が渇いた。八坂との交わりで疲弊したはずの体に再び熱が灯る。彼女の華奢な体躯が俺の腕の中にあり、吐息が鎖骨にかかる距離で交わされる視線。拒む理由などどこにもない。

 

「……いいのか?」

 

問いかけると、絶花は小さく頷いた。

 

「……私、強くなる。だから……今だけは……」

 

切なげな囁きとともに、彼女は自ら唇を寄せてきた。

女王は誰にする?

  • アルファ
  • ララ·サタリン·デビルーク
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