サムライガールの幼馴染みは王様を目指す(裏) 作:ボルメテウスさん
また、こちらの活動報告で募集を行っています。
皆様の応募、お待ちしています。
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「・・・もうあれから、どんぐらい経ったんだろうな」
引っ越し前日、俺は住み慣れたこの場所から離れる前に一番の想い出の地へと来ていた。
森の奥深くを流れる川は、人の手がほとんど入っていないせいか、どこか神域めいた静けさを纏っていた。
頭上では幾重にも重なった木々の枝葉が空を覆い、差し込む陽光は細く砕かれながら水面へと落ちている。風が吹くたびに葉が擦れ合い、さらさらと波打つ音が川のせせらぎへ溶け込んだ。 透明な流れの底には丸みを帯びた石が並び、その隙間を小魚が素早く泳ぎ抜ける。岸辺には苔むした岩が点在し、長い年月を経ても変わらぬ姿で森を見守り続けていた。
獣の気配も濃い。
遠くから鳥の鳴き声が響き、茂みの向こうでは何かが草を踏む微かな音が聞こえる。それでも不思議と緊張感はなく、森そのものが訪れた者を静かに受け入れているようだった。
川の中央付近には一際大きな岩場が突き出している。
流れはその周囲だけ穏やかになり、水面には空と森の緑が鏡のように映り込んでいた。まるでこの場所だけが外界から切り離され、長い時を超えて守られているかのようである。所。
「太郎、ここにいたんだ」
そうして、俺が周囲を見ていたら、ふと話しかけてきた絶花に振り返る。
「おぅ、よくここが分かったな」
「そりゃ、太郎が引っ越し前に来るとしたら、ここしかないと思ったから」
そうしながらも、絶花も見つめた。
「そう言われたら、そうだろうな。なんだって、ここは」
そうして、見つめた先には大きな窪みがあった。
「全てはここから始まったんだよな、夏のジューランドでの冒険がな」
「でもよ、あの瞬間は今でもはっきり覚えてるぜ」
俺は自分の胸に手を当てながら、あの日のことを思い出す。
「デスガリアンの大群に囲まれて、絶花も俺も満身創痍でさ。ジューマン達も次々に倒れていって、もう駄目かと思った瞬間だった」
絶花が俺の横顔を見つめているのがわかる。
「そしたら突然、体の奥底から熱いものが込み上げてきてな。王国の駒が勝手に光り出して、気がついたら手の中に、見たこともない駒が握られてたんだ」
あの時、俺の胸の奥から現れた王者の資格。それが王国の駒と融合した瞬間、全身に稲妻が走るような衝撃があった。
「正直、自分の身に何が起きたのかわからなかった。でも、頭ん中に直接響いてきたんだ。『立ち上がれ、王たる者よ』ってな」
俺は握り拳を作りながら続ける。
「そっからはもう、身体が勝手に動いてた。王者の資格の力が王国の駒と完全に融合して、俺は初めてジュウオウイーグルに変身したんだ。自分の体が鷹の力を纏って、空を翔ける感覚……あれは今思い出しても鳥肌モンだぜ」
絶花が小さく笑う。
「太郎、あの時すごく驚いた顔してたよね」
「当たり前だろ!いきなり変身だぞ!でもよ、あの力があったから、俺は王としてみんなを守れたんだ」
「あの夏は、本当に色んな場所を巡ったよな」
俺は岩場に寝転がりながら、空を見上げてそう呟いた。絶花も隣で同じように空を見ている。
「最初は草原だった。見渡す限りのサバンナが広がってて、空気が人間の世界とは全然違った。あの風の匂い、今でも覚えてるぜ」
絶花が小さく笑う。
「太郎、最初に水を飲もうとして川に落ちたよね」
「うっせぇ!あれは足が滑ったんだよ!……でも、あの水は冷たくて気持ちよかったな」
目を閉じると、あの日々が鮮明に蘇ってくる。
「草原を抜けたら、今度は密林だった。木々が空を覆い尽くして、昼間なのに薄暗くてさ。見たこともない植物ばかりで、絶花はやたらと触ろうとして俺に止められてたっけ」
「だって、珍しかったんだもん」
「そのたびに天聖が勝手に抜けて警告してただろ。お前の刀、意外と過保護なんだよな」
俺は腕を枕にして続ける。
「密林で出会ったジューマンは、みんな警戒心が強かった。でも、デスガリアンの手先が襲ってきた時に俺達が助けたら、少しずつ心を開いてくれたんだ」
あの時の戦いは今でも覚えている。ジューマン達は身体能力が高くて、人間の俺には到底敵わないような連中だった。でも、王国の駒の力があれば戦える。王として、仲間を指揮して、共に戦うことができた。
「山岳地帯は寒かったな。空気が薄くて、普通に歩くだけでも息が切れた。でも、頂上から見た景色は……すげぇの一言だった」
絶花がうなずく。
「あの朝焼け、今でも夢に見るよ」
「だろ?ジューランドの太陽は、こっちの世界よりずっと大きくて、空全体がオレンジと紫に染まってさ。風が雲を流して、光のカーテンが山々を渡っていくんだ」
俺は手を伸ばして、あの光景を掴もうとする仕草をする。
「デスガリアンの連中はしつこかった。どこに行っても追いかけてきて、ジューマン達の生活を滅茶苦茶にしようとした。でも、行く先々で新しい仲間ができて、一緒に戦って、笑って、飯を食って……あの一夏は、間違いなく俺の宝物だ」
絶花の方を見ると、彼女は靜かに微笑んでいた。
「太郎、すごく楽しそう」
「当たり前だろ。王として、大切な仲間と過ごした夏なんだから」
俺は立ち上がり、川のせせらぎに目を向ける。
「砂漠も行ったし、雪山も越えた。洞窟の奥深くで迷子になって、絶花が泣きそうになってたこともあったな」
「なっ、泣いてないよ!」
「はいはい、そういうことにしといてやる」
笑いながら、俺はあの夏の日々を思い出す。全てが輝いていた。危険も、苦しさも、今となっては大切な想い出だ。
「でも、一番忘れられないのは……最後の戦いだ。デスガリアンの本拠地に乗り込んで、みんなで力を合わせて戦ったあの瞬間。あれがあったから、俺は今でも王を目指せてる」
絶花は黙って俺の隣に立った。彼女もまた、あの夏を共に生きた戦友だ。
「また、いつかみんなに会いたいな」
俺のその言葉に、絶花は小さくうなずいた。
俺は立ち上がり、岩場から川の流れを見下ろした。水面に映る自分の顔が、あの夏よりも少し大人びて見える。でも、目だけは変わっていない。王になるって決めたあの日から、ずっと同じだ。
「絶花、俺は思うんだよ」
隣に立つ幼馴染みに、俺は語りかける。
「ジューランドと地球は、確かに繋がってる。あの時、俺達が迷い込んだのも偶然じゃない。きっと、そうなる運命だったんだ」
絶花は黙って俺の言葉を聞いている。彼女の癖で、天聖の柄にそっと手を添えながら。
「会えるさ、絶対に。ジューランドも、この地球も繋がっているからな」
俺は笑みを浮かべた。それは王としての自信でもなく、ただの強がりでもない。あの夏を共に過ごした仲間達を信じる、心からの笑みだった。
「王者の資格が俺の中で目覚めた時、あいつらとの絆も一緒に目覚めたんだ。王国の駒が示すんだよ。まだ繋がってるって。遠く離れてても、俺達は仲間だ」
そう言いながら、俺は胸に手を当てる。王国の駒が靜かに輝いているのがわかる。王者の資格と融合したその力は、かつての仲間達との絆を今も感じさせてくれる。
「なあ絶花、お前もそう思わないか?」
「……うん」
絶花は小さくうなずいた。彼女の目もまた、あの夏を懐かしむように細められている。
「俺は王になる男だ。でも、王ってのは一人で立つもんじゃない。家臣がいて、仲間がいて、一緒に国を作るんだ。ジューランドの連中は、俺にとってかけがえのない家臣だ。だから、必ず会いに行く」
川のせせらぎが、俺の言葉に応えるように優しく響く。風が木々を揺らし、葉擦れの音が森を包み込む。
「今はまだ、こっちの世界でやるべきことがある。王を目指して、仲間を集めて、俺の国を作る。それができたら、真っ先にジューランドへ行くさ。みんなに会って、礼を言わなきゃな」
俺は空を見上げた。あの夏に見たジューランドの大きな太陽はここにはない。でも、同じ空の下に、俺達はいる。
「待ってろよ、みんな。俺は必ず、お前達に会いに行くからな」
その誓いは、風に乗ってどこまでも届くような気がした。
「絶花、お前は本当に心配性だな」
俺は呆れたように笑いながら、岩場から飛び降りて川岸に立った。振り返ると、絶花がまだ岩の上で俺を見つめている。
「別れが辛いのはわかるさ。俺だって、お前と離れるのは面倒だと思ってる。でもな、絶対に向かうって言っただろ? 王たる俺が誓ったんだ。必ず迎えに行く」
絶花は天聖の柄を握りしめながら、小さくうなずく。彼女の目が少し潤んでいるのは、気づかないふりをしてやる。
「それに、駒王街ってのは面白そうじゃねぇか」
俺は両手を広げて、大げさに言ってみせる。絶花が少しだけ笑った。
「お前もそのうち、こっちに来るんだろ? 転入の手続きとか色々あるだろうけど、待っててやるから安心しろ。俺の最強の侍がいなきゃ、国作りも始まらねぇ」
川のせせらぎが、俺達の会話を優しく包み込む。この場所とも、もう少しでお別れだ。でも、悲しみはない。俺達には次がある。
「新しい街で、新しい仲間と、新しい国を作る。そしたらジューランドのみんなにも会いに行く。やることは山積みだぜ、絶花」
「……うん。私も、絶対に行くから。太郎の侍として、ちゃんと役に立つから」
「当たり前だ。お前は俺の一番の家臣なんだからな」
俺は絶花に背を向けて、森の出口へと歩き出す。明日にはもう、ここにはいない。でも、終わりじゃない。始まりなんだ。
「駒王街か……楽しみだな」
俺のその呟きは、風に乗ってどこまでも消えていった。
女王は誰にする?
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アルファ
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ララ·サタリン·デビルーク
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エミリア