サムライガールの幼馴染みは王様を目指す(裏) 作:ボルメテウスさん
俺はアパートの一室で、棚に並べたジューランドの写真を眺めていた。一枚一枚に、あの夏の思い出が詰まっている。サバンナで出会った連中、密林で共に戦った仲間、山岳地帯で知り合ったジューマン達。
「みんな、元気にしてるかな……」
そう呟いた時だった。背後で微かな気配が動いた。
「そんなに想ってくれてたのかい、少年」
聞き覚えのある声に、俺は勢いよく振り返った。そこに立っていたのは、見間違うはずもない姿だ。長い金髪を揺らし、獣耳と尾を揺らめかせた、雌ライオンのような姉御が腕を組んで笑っている。
「レ、レオーネ!? なんでここに!」
「なんでって、顔を見に来たに決まってるだろ。アタシのかわいい王サマが、元気にしてるかどうか確かめたくてね」
驚きで言葉が出ない俺の横から、気だるげな声が聞こえた。
「うるさい……もっと静かに驚いてくれない? 引っ越し作業で疲れてるのに、うるさいと寝れないんだけど」
ベッドの方を見ると、黒髪に赤い差し色の入った少女が、片手で本を持ちながら欠伸をしている。大きなサメの尻尾が布団からはみ出て、だらりと垂れている。
「エレンまで!? おいおい、どういうことだよ!」
俺は思わず立ち上がって叫んだ。ジューランドでの冒険以来、離れ離れになっていた二人が、なぜ俺の新居にいるのか。しかも、王様である俺が招きもしないで。
「おいおいマジかよ……」
頭をガリガリとかきながら、俺は目の前の光景をもう一度見直した。レオーネは相変わらずの豪快な笑顔で腕を組み、エレンは俺のベッドの上でだらりと横たわっている。サメの尻尾がふりふりと揺れて、布団の感触を楽しんでいるようだった。
「どうやってここに来たんだよ。つか、そもそもなんで俺の部屋がわかった?」
「こっちに来た方法は、いつの間にかだったね、そして、あんたの所に来た方法は、簡単な話さ」
レオーネが自分の鼻を指でトントンと叩く。
「アタシの嗅覚を舐めてもらっちゃ困るね。少年の匂いくらい、この街に着いてすぐに追えたよ。ジューランドで散々一緒にいたんだ、忘れるわけないだろ」
「そっちのサメは?」
「私も同じ。匂いで追った」
エレンは気だるげに返事をしながら、枕に顔を埋めている。
「それにしても、このベッド、柔らかくて気持ちいい。ジューランドの寝床よりずっといい。これ、私の寝床にしていい?」
「ダメに決まってんだろ!それは俺のベッドだ!」
「ケチ。王様のくせに」
「王と私物を一緒にすんな!」
俺が叫ぶと、レオーネが豪快に笑った。
「相変わらずだねぇ、少年は。でもまあ、そう怒るんじゃないよ。アタシらはただ、久しぶりに顔を見に来ただけさ。ジューランドからこっち、お前さんが元気でやってるかどうか心配でね」
「……んだよ、それ」
俺は少しだけ口元を緩める。そうか、こいつらは俺を心配してわざわざ来てくれたのか。
「つか、人間の世界に興味があっただけじゃねぇのか?」
「それもある!」
レオーネは目を輝かせて窓の外を指さした。
「見ろよ少年!あの高い建物!あの光の多さ!ジューランドとは全然違うじゃないか!アタシ、こういう騒がしい街は大好きだよ。酒場はどこだい?賭け事ができる場所は?」
「知らねぇよ。つか、お前は相変わらずだな」
エレンがむくりと起き上がり、枕を抱きしめながら言った。
「私は静かな方が好きだけど……でも、ここのクッションは素晴らしい。これ、どこで買えるの?」
「だからそれは俺の枕だっつの!返せ!」
「嫌。これはもう私の獲物」
「サメかよ!いやサメだけど!」
頭を抱える俺を見て、二人は顔を見合わせて笑った。まったく、久しぶりに会ったのにこの態度だ。でも、それが懐かしくて、なぜか腹が立たない。
「……で、本当のところはどうなんだ?」
俺が真面目な顔で尋ねると、レオーネの笑顔が少しだけ柔らかくなった。
「ジューランドは平和だよ。デスガリアンもいなくなって、みんな普通に暮らしてる。でもな、どうしてもお前さんに伝えたかったんだよ。ありがとうって、直接な」
「……遅ぇよ」
「ははっ、違いない」
レオーネが俺の肩を軽く叩く。その手は相変わらず温かかった。エレンも枕から顔を上げて、小さくうなずく。
「それと、これ」
レオーネが懐から取り出したのは、ジューランドで撮った写真だった。あの夏の最後の日、みんなで撮った集合写真。俺と絶花、そしてジューマン達が笑顔で並んでいる。
「みんな元気だよ。で、全員がお前さんに礼を言いたがってる。『また会いたい』ってな」
「……そうか」
俺は写真を受け取り、しばらく見つめた。あの夏は終わった。でも、絆は終わってない。こいつらは俺の家臣であり、かけがえのない仲間だ。
「わかった。じゃあ、せっかく来たんだ。この街を案内してやるよ、王様の特別サービスだ」
「お、いいねぇ!」
「……でも、その前に」
俺はエレンを指さした。
「その枕を返せ」
「嫌」
「返せっつの!」
「王様ならもっと寛容になりなよ」
「うるせぇ!」
レオーネが腹を抱えて笑う。その笑い声が、新しい俺の城に響き渡った。窓の外には、駒王街の夕暮れが広がっている。新しい生活、新しい仲間、そしてかつての家臣たちとの再会。俺の国は、まだまだこれからだ。
女王は誰にする?
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アルファ
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ララ·サタリン·デビルーク
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エミリア