※この作品はR-18です。

サムライガールの幼馴染みは王様を目指す(裏)   作:ボルメテウスさん

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予想外の来訪者

俺はアパートの一室で、棚に並べたジューランドの写真を眺めていた。一枚一枚に、あの夏の思い出が詰まっている。サバンナで出会った連中、密林で共に戦った仲間、山岳地帯で知り合ったジューマン達。

 

「みんな、元気にしてるかな……」

 

そう呟いた時だった。背後で微かな気配が動いた。

 

「そんなに想ってくれてたのかい、少年」

 

聞き覚えのある声に、俺は勢いよく振り返った。そこに立っていたのは、見間違うはずもない姿だ。長い金髪を揺らし、獣耳と尾を揺らめかせた、雌ライオンのような姉御が腕を組んで笑っている。

 

「レ、レオーネ!? なんでここに!」

「なんでって、顔を見に来たに決まってるだろ。アタシのかわいい王サマが、元気にしてるかどうか確かめたくてね」

 

驚きで言葉が出ない俺の横から、気だるげな声が聞こえた。

 

「うるさい……もっと静かに驚いてくれない? 引っ越し作業で疲れてるのに、うるさいと寝れないんだけど」

 

ベッドの方を見ると、黒髪に赤い差し色の入った少女が、片手で本を持ちながら欠伸をしている。大きなサメの尻尾が布団からはみ出て、だらりと垂れている。

 

「エレンまで!? おいおい、どういうことだよ!」

 

俺は思わず立ち上がって叫んだ。ジューランドでの冒険以来、離れ離れになっていた二人が、なぜ俺の新居にいるのか。しかも、王様である俺が招きもしないで。

 

「おいおいマジかよ……」

 

頭をガリガリとかきながら、俺は目の前の光景をもう一度見直した。レオーネは相変わらずの豪快な笑顔で腕を組み、エレンは俺のベッドの上でだらりと横たわっている。サメの尻尾がふりふりと揺れて、布団の感触を楽しんでいるようだった。

 

「どうやってここに来たんだよ。つか、そもそもなんで俺の部屋がわかった?」

「こっちに来た方法は、いつの間にかだったね、そして、あんたの所に来た方法は、簡単な話さ」

 

レオーネが自分の鼻を指でトントンと叩く。

 

「アタシの嗅覚を舐めてもらっちゃ困るね。少年の匂いくらい、この街に着いてすぐに追えたよ。ジューランドで散々一緒にいたんだ、忘れるわけないだろ」

「そっちのサメは?」

「私も同じ。匂いで追った」

 

エレンは気だるげに返事をしながら、枕に顔を埋めている。

 

「それにしても、このベッド、柔らかくて気持ちいい。ジューランドの寝床よりずっといい。これ、私の寝床にしていい?」

「ダメに決まってんだろ!それは俺のベッドだ!」

「ケチ。王様のくせに」

「王と私物を一緒にすんな!」

 

俺が叫ぶと、レオーネが豪快に笑った。

 

「相変わらずだねぇ、少年は。でもまあ、そう怒るんじゃないよ。アタシらはただ、久しぶりに顔を見に来ただけさ。ジューランドからこっち、お前さんが元気でやってるかどうか心配でね」

「……んだよ、それ」

 

俺は少しだけ口元を緩める。そうか、こいつらは俺を心配してわざわざ来てくれたのか。

 

「つか、人間の世界に興味があっただけじゃねぇのか?」

「それもある!」

 

レオーネは目を輝かせて窓の外を指さした。

 

「見ろよ少年!あの高い建物!あの光の多さ!ジューランドとは全然違うじゃないか!アタシ、こういう騒がしい街は大好きだよ。酒場はどこだい?賭け事ができる場所は?」

「知らねぇよ。つか、お前は相変わらずだな」

 

エレンがむくりと起き上がり、枕を抱きしめながら言った。

 

「私は静かな方が好きだけど……でも、ここのクッションは素晴らしい。これ、どこで買えるの?」

「だからそれは俺の枕だっつの!返せ!」

「嫌。これはもう私の獲物」

「サメかよ!いやサメだけど!」

 

頭を抱える俺を見て、二人は顔を見合わせて笑った。まったく、久しぶりに会ったのにこの態度だ。でも、それが懐かしくて、なぜか腹が立たない。

 

「……で、本当のところはどうなんだ?」

 

俺が真面目な顔で尋ねると、レオーネの笑顔が少しだけ柔らかくなった。

 

「ジューランドは平和だよ。デスガリアンもいなくなって、みんな普通に暮らしてる。でもな、どうしてもお前さんに伝えたかったんだよ。ありがとうって、直接な」

「……遅ぇよ」

「ははっ、違いない」

 

レオーネが俺の肩を軽く叩く。その手は相変わらず温かかった。エレンも枕から顔を上げて、小さくうなずく。

 

「それと、これ」

レオーネが懐から取り出したのは、ジューランドで撮った写真だった。あの夏の最後の日、みんなで撮った集合写真。俺と絶花、そしてジューマン達が笑顔で並んでいる。

 

「みんな元気だよ。で、全員がお前さんに礼を言いたがってる。『また会いたい』ってな」

「……そうか」

 

俺は写真を受け取り、しばらく見つめた。あの夏は終わった。でも、絆は終わってない。こいつらは俺の家臣であり、かけがえのない仲間だ。

 

「わかった。じゃあ、せっかく来たんだ。この街を案内してやるよ、王様の特別サービスだ」

「お、いいねぇ!」

「……でも、その前に」

 

俺はエレンを指さした。

 

「その枕を返せ」

「嫌」

「返せっつの!」

「王様ならもっと寛容になりなよ」

「うるせぇ!」

 

レオーネが腹を抱えて笑う。その笑い声が、新しい俺の城に響き渡った。窓の外には、駒王街の夕暮れが広がっている。新しい生活、新しい仲間、そしてかつての家臣たちとの再会。俺の国は、まだまだこれからだ。

女王は誰にする?

  • アルファ
  • ララ·サタリン·デビルーク
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