※この作品はR-18です。

サムライガールの幼馴染みは王様を目指す(裏)   作:ボルメテウスさん

406 / 484
獅子の本音

俺は缶ビールを片手に豪快に笑うレオーネを横目で見ながら、手元のグラスに注がれた麦茶を一口すする。エレンはとっくに寝てしまい、ベッドの上でサメの尻尾をだらりと垂らしながら、すぅすぅと寝息を立てている。

 

「にしても、よく飲むな、お前」

 

「当たり前だろ。ジューランドにはなかった酒が、この街には山ほどあるんだ。楽しまなきゃ損ってもんだよ」

 

レオーネは缶ビールをテーブルに置き、今度は日本酒の一升瓶を手に取った。どこで買ってきたのか知らないが、ラベルを見ると結構な高級品だ。彼女は遠慮なくコップに注ぎ、ぐいっと一気に飲み干す。

 

「ぷはぁ……!これ、いいねぇ。米からできてるんだろ?ジューランドの酒とは全然違う。人間の世界はやっぱり面白いよ」

 

「そりゃよかったな。でも、俺は酒は飲まねぇぞ」「なんでだい?男なら飲めよ」

 

「俺は未成年だぞ」

 

「ジューランドならば問題ないぜ!」

 

と返しながら、レオーネは俺のグラスに日本酒を注ごうとする。俺は慌ててグラスを引っ込めた。

 

「やめろ!俺はまだそういう年齢じゃねぇんだよ」

 

「固いこと言うんじゃないよ。アタシが許すから大丈夫さ」

 

「お前が許しても、問題はそれだけじゃねぇんだよ!」

 

俺はテーブルを叩き、レオーネに向き直った。

 

「お前なぁ……この街で面倒事を起こす気か?昨日だって盛大に派手なことをやってただろ」

 

「昨日?ああ、ガオガイガーのことかい。あれはしょうがなかっただろ。少年がいきなり飛び出しちまったんだから」

 

「俺が悪かった部分はあるけどな。でもな、ああいうのを目立たせるわけにはいかねぇんだよ」

 

「なんでだい?王様だろ?目立ってなんぼじゃないか」

 

「それはそうかもしれねぇけどな……今はまだタイミングじゃねぇんだ。この街のことだってわかっちゃいねぇ。下手に目立つと敵を刺激することもあり得るんだよ」

 

レオーネは少し黙り込み、コップを置いて腕を組んだ。獣耳がぴくりと動き、考え込んでいるのがわかる。

 

「なあ、少年」

 

レオーネが唐突に俺の肩に手を回してきた。酒の匂いがふわりと漂い、金髪が俺の首筋にかかる。酔っているせいか、いつもより体温が高い。

 

「な、なんだよ」

 

「アタシさ、最初にお前さんに会った時のこと、よく覚えてるんだよ」

 

レオーネはコップをテーブルに置き、遠くを見るような目をした。獣耳がぴくりと動き、尻尾がゆらりと揺れる。

 

「ジューランドに突然現れた、へんてこな人間のガキ。王様になるだなんて偉そうなこと言って、でも、やることはめちゃくちゃでよ」

 

「うるせぇな。当時のことは言うな」

 

「でもよ、お前さん、一度もアタシらを見下さなかった。ジューマンだからって、差別もしなかった。ただ『お前は強いな』って、それだけ言ってよ」

 

レオーネは俺の肩をぎゅっと掴み、顔を近づけてきた。金色の瞳が、酔いのせいか潤んでいる。

 

「あの時、アタシは思ったんだ。こいつは面白い奴だってな。王様になるって言うだけあって、器が違うって」

 

「……そうかよ」

 

「そうさ。だから、こうしてまた会いに来たんだ。お前さんのことが、アタシは大好きなんだよ、少年」

 

レオーネはそう言うと、俺の身体をぐいっと引き寄せ、強く抱きしめてきた。彼女の豊満な胸が俺の胸板に押し付けられ、むわっとした酒の匂いと、彼女自身の野性的な匂いが混ざり合って鼻をつく。

 

「ちょ、レオーネ!?」

 

「王様ならよ、何人だって抱けるんだろ?」

 

レオーネは俺の耳元で囁くように言った。吐息がくすぐったくて、俺は思わず身をよじる。

 

「な、何言ってんだよ!」

 

「何って、そのままの意味さ。王様ならハーレムを作るのも当然だろ?アタシは別に構わないよ。お前さんの側にいられるなら、それで」

 

「お、お前なぁ……酔いすぎだろ!」

 

「酔ってなんかないさ。ちょっと気分が良くなっただけでね」

 

レオーネは俺を抱きしめたまま、ソファに押し倒すような体勢になった。彼女の長い金髪が俺の顔にかかり、視界が金色に染まる。

 

「ちょ、待て待て待て!」

 

「待たないね。アタシは獲物は逃がさない主義でね」

 

「俺は獲物じゃねぇ!」

 

「わかってるよ。お前さんはアタシの王サマだ」

 

レオーネはニヤリと笑うと、俺の頬にそっと手を当てた。その手は戦士のものとは思えないほど優しくて、俺はますます混乱する。

 

「お、おい……」

 

「少年、アタシはな、お前さんとまた会えて本当に嬉しいんだ。ジューランドでの戦いが終わって、お前さんがいなくなって、アタシはなんだか寂しくてね。酒を飲んでも、賭け事をしても、なんだか物足りなかった」

 

レオーネの声が少しだけ真剣なものに変わる。彼女は俺の目をじっと見つめながら、言葉を続けた。

 

「だから、こうして人間の世界まで来たんだよ。お前さんに会うためだけにね」

 

「……レオーネ」

 

「だから、今夜くらいは付き合いな。王サマの命令じゃなくて、アタシのわがままだ」

 

レオーネはそう言うと、俺の唇に自分の唇を重ねてきた。酒の味がする。彼女の唇は柔らかくて、熱かった。俺は抵抗しようとしたが、彼女の腕は意外に力強く、身動きが取れない。

 

「ん……っ」

 

「……ぷはっ。どうだい、少年?アタシの酒の味は」

 

「……苦い」

 

「ははっ、正直だねぇ」

 

レオーネは楽しそうに笑い、俺の上から退いた。俺はようやく解放され、ソファに座り直す。

 

「お前なぁ……もう少し加減しろよ」

 

「悪い悪い。でも、これでわかっただろ?アタシは本気だって」

 

レオーネはそう言うと、再びコップを手に取り、残りの酒を一気に飲み干した。彼女の頬はほんのりと赤く染まっている。本当に酔っているのか、それとも素面なのか、俺には判断がつかなかった。

女王は誰にする?

  • アルファ
  • ララ·サタリン·デビルーク
  • エミリア
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。